モチを愛する日本人
日本人はモチ系の食べ物が大好きである。各地に独自のモチ料理が存在する。仙台には「ずんだ餅」があり、三重には「赤福」がある。地域を問わず、日常には「ぼた餅」があるなど、とにかく日本人はモチが好きなのだ。
これが「赤福」です!
こっちが「ぼた餅」です!
いろいろなモチ料理があるけれど、基本的には見た目が異なる。他にも磯辺焼きやあべかわ餅などもあるけれど、それぞれ見た目が違うのだ。そして、モチが好きな我々は、モチ料理の名前を言われれば、それを思い浮かべることができる。
これがぼた餅ですね!
たとえば、「ぼた餅」を思い浮かべて欲しい。上記の画像のものを思い浮かべたと思う。ぼた餅と言われて、「赤福」を思い浮かべる人はいないのだ。それくらい我々はモチを愛しており、モチも我々を裏切らないのだ。
ということで、佐賀県の「みやき町」に来ました!
みやき町のぼた餅問題
佐賀県みやき町に我々が知っているものとは、別の「ぼた餅」が存在した。ぼた餅と言われて思い浮かべる、黒く丸いあれとは全くの別物なのだ。でも、ぼた餅。佐賀は自由の国なのだ。
みやき町にある、
ぼた餅屋さんにやってきました!(老舗泉屋)
みやき町は福岡県に隣接する町で、日本最古の天気予報といわれる「旗上げ神事」「旗降し神事」が行われる綾部神社がある場所だ。ここのぼた餅がおかしいのだ。先の画像のように間違いなく「ぼたもち」と書かれている。でも、違うのだ。
これがみやき町の「ぼた餅」です!
二度見した。我々の知るぼた餅とは全く違う。異世界に来たのかな、と思ってしまう。ぼた餅より、むしろインディーズの「赤福」に似ている。でも、みやき町では、ぼた餅と言えば、これなのだ。
ぼた餅屋はここ(老舗喜久屋)と、先の老舗泉屋、
そして、橋本屋の3店舗あります!
みやき町でぼた餅を売っているのは、「老舗泉屋」、「老舗喜久屋」、「橋本屋」の3店舗だけ。それぞれがお店でぼた餅を手作りしており、行列ができているお店もあった。並んで何を買うか、ぼた餅である。
そのぼた餅がこれです!
歴史が古いぼた餅
ぼた餅の概念が崩れそうだ。私が30年間見てきたぼた餅はなんだったのだろう。いや、いま目の前にあるこのぼた餅が幻かもしれない。だって、全然違うのだ。もはや丸くもないのだ。米粒が完全に潰れているのだ。
モチを丸めて、
あんこに絡めて、
さらに追いあんこをして、
ぼた餅!
ぼた餅と書いてあるので、ぼた餅なのだ。歴史も古く今から800年前に綾部通俊が源頼朝に命じられ、奥州征伐に出かけ、その凱旋の際に祝いモチとして、兵士たちにこの「ぼた餅」を振る舞ったそうだ。歴史あるぼた餅なのだ。
歴史が古いのでこれも間違いなく「ぼた餅」です!
味はどうなの
このぼた餅と普通のぼた餅の違いは形だけではなく、中のモチが、半殺しではなく、完全に殺してあることだ。よりモチなのだ。そこにこしあんが塗られている。お店に寄り、モチの硬さや、あんこの甘さが異なる。
これが普通のぼた餅
これがみやき町のぼた餅。完全にモチです!
3軒全てのぼた餅を買って、先にも書いた綾部神社で食べた。どれも美味しかった。地元の方は、このお店のが好き、というのがあるそうだけれど、私の幸せな舌はどれも美味しく感じた。確かに普通のぼた餅とは異なる。口当たりが緩い感じだ。
全3店のぼた餅を買って食べた!
どれも美味しい!
モチが全て殺してあるので、緩い感じ。千代田区より渋谷区であり、福岡より佐賀という感じなのだ。それがこのみやき町のぼた餅なのだ。ただ間違いなく言えるのは美味しいということ。そして、賞味期限が当日なので、みやき町に行かないと食べられないことだ。
すっげ美味しいよ!
ぼた餅とぼた餅
同じ名前でも、違うもの、というのは出会うと驚く。ただそこではそちらが、普通のもの。世界って広いんだな、と思う。そして、何を食べても美味しい、と感じる自分にも驚く。こっちのが甘いじゃん、と言われたりしたのだけれど、全部、ぼた餅味だった。つまり、美味しいのだ。それが一番素敵じゃない。世間は春じゃない。桜が咲くじゃない。そういうことなのだ。