準備がたいへんすぎた
パレードは常々やりたいと思っていた。
しかしパレードっていざやろうとすると準備がものすごく大変なのだ。今後なんらかの機会にパレードをやろうとしている人がいたらぜひこの記事を参考にしていただきたい。
順を追って説明しよう。
パレードをするにはまず場所の問題がある。
しかしパレードっていざやろうとすると準備がものすごく大変なのだ。今後なんらかの機会にパレードをやろうとしている人がいたらぜひこの記事を参考にしていただきたい。
順を追って説明しよう。
パレードをするにはまず場所の問題がある。


公道でやったらぜったい叱られる。

プロ野球の優勝パレードとか、銀座の通りを封鎖してやるだろう。でもあれってきっと裏でものすごい人とお金が動いているのだ。
そんなの我々にはない。
今回は公道は避け、僕の家の近くの工事現場前を選んだ。
そんなの我々にはない。
今回は公道は避け、僕の家の近くの工事現場前を選んだ。


ここである。

念のため工事のおっさんにここでパレードをやっていいか聞いてみた。週末なら工事していないからいいんじゃないか、と。やった。
あとは何をしたらいいのか。
「パレード」で画像検索しながらパレードをパレードたらしめている要素を書き上げていった。夢に見たパレードを現実のものにしていく作業である。
・派手な服
・沿道の人
・オープンカー
・警備員
やることはたくさんあるが一つずつこなしていこう。
場所の次は「派手な服」である。
向かったのは矢沢永吉さんのファンがライブの時に来て行くスーツを扱うお店。パレードに着ていける服が見つかるだろうか。特注とかになるのかな。
あとは何をしたらいいのか。
「パレード」で画像検索しながらパレードをパレードたらしめている要素を書き上げていった。夢に見たパレードを現実のものにしていく作業である。
・派手な服
・沿道の人
・オープンカー
・警備員
やることはたくさんあるが一つずつこなしていこう。
場所の次は「派手な服」である。
向かったのは矢沢永吉さんのファンがライブの時に来て行くスーツを扱うお店。パレードに着ていける服が見つかるだろうか。特注とかになるのかな。


と思って行ったらすぐあったよね。

というかこのお店、パレード専門店なんじゃないかというくらいラインナップが突き抜けている。


シャツの彩度がはんぱない。

お店の人は「白いスーツに合うシャツはやっぱり赤か黒ですね」と言っていた。この極彩色のシャツたちの前でそんなこと言われても説得力ないが、選択肢は多いにこしたことはないのだろう。
おかげで衣装は揃った。
続いて沿道の応援である。まず横断幕をオーダーした。
おかげで衣装は揃った。
続いて沿道の応援である。まず横断幕をオーダーした。


横5メートルで注文したら「ああ、ガチのやつですね」と言われました。

「横断幕をオーダーした」と一言で済ませたが、ここに至るまでに自分で布に描こうとして失敗したり、入稿期限ぎりぎりで会社のデザインチームに泣きついたり、といろいろあった。


これがガチのやつ。

何社かに見積もりを出してもらったのだが、結局納期の関係などもあり、横断幕のプリントは知り合いのプリント屋さんにお願いすることにした。今回の企画では人脈という人脈を総動員した感がある。
沿道の声援用にうちわもあったほうがいいだろう。これは自分で作った。
沿道の声援用にうちわもあったほうがいいだろう。これは自分で作った。


「大好き」としたつもりがハートの位置を間違えたため「犬好き」に見える。どんなアピールか。

妻に今週末暇か、と聞かれたので「パレードをするから暇ではない」と答えたのだが、家で作っていたのはこの「犬好き」とアピールされたキラキラのうちわである。説明するには複雑すぎる。


うちわの周りのキラキラはうちわの裏側に貼ると文字が隠れないことも学んだ。こういうノウハウはネットに書かれていないので作りながら学ぶしかないのである。

集まった人には旗を振ってもらうとパレードっぽいかもと思いこれも作った。


作ったら革命家みたいになった。

こうしてパレードの準備にほぼ一週間かかった。
僕はこの一週間、ずっと上司のことを考えていたことになる。どうしたら喜んでくれるだろうか、もしかしたらちょっと嫌がったりしないかな、服のサイズは、上司の友人はどこまで呼んだらいいのか。
テレビ番組では制作に係るAD(アシスタントディレクター)さんが何人もいるって聞くが、その意味もわかる。一人で準備しようとすると果てしないのだ。
まあいい、なにしろ準備は整った。明日はいよいよパレード当日である。
僕はこの一週間、ずっと上司のことを考えていたことになる。どうしたら喜んでくれるだろうか、もしかしたらちょっと嫌がったりしないかな、服のサイズは、上司の友人はどこまで呼んだらいいのか。
テレビ番組では制作に係るAD(アシスタントディレクター)さんが何人もいるって聞くが、その意味もわかる。一人で準備しようとすると果てしないのだ。
まあいい、なにしろ準備は整った。明日はいよいよパレード当日である。

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パレード当日
パレードの日はせっかくなので上司である横山さんの誕生日当日にした。「こいつ本気だ」と横山さんに思わせるためだ。ご家族とゆっくり過ごしたいだろうところを、こんな場所まで呼び出してしまい本当に申し訳ない。


この人が上司の横山さん。

さっそく横山さんにYAZAWAのお店で買った衣装に着替えてもらっていたところ、知らない若者が困った顔で近づいてきた。どうやら車のタイヤが砂に埋まってしまったらしい。
横山さんはこの恰好で「どこ?」と躊躇なく車を見に行った。
横山さんはこの恰好で「どこ?」と躊躇なく車を見に行った。


それにしてもよくこんな「本物」っぽい人に声をかけたものである。これが若さだろうか。


一人スターが混じっています。

若者の車はみんなで押してなんとか救出することができた。実はこれがかなりたいへんだったため、横山さんを中心に「さあ打ち上げにでも行こうか」みたいな空気になっていた。ごちになります!
そこにパレードのために借りた車が到着して(そうだ、おれたちはパレードするために集まったのだ)と思いだした。
そこにパレードのために借りた車が到着して(そうだ、おれたちはパレードするために集まったのだ)と思いだした。


今日はこれでパレードさせてもらいます。

車は近所に住む友人に借りた。
最初レンタカーをいくつかあたってみたのだけれど、パレードができる4人乗りのオープンカーはなかなかないのだ。輸入車のディーラーさんにも企画書を書いて送ったのだけれど、返事がなかった。
最初レンタカーをいくつかあたってみたのだけれど、パレードができる4人乗りのオープンカーはなかなかないのだ。輸入車のディーラーさんにも企画書を書いて送ったのだけれど、返事がなかった。


返事がなかったのは「パレードをするから車貸してくれ」って正直に書いたからかもしれない。

車のオーナーである金子夫妻は、そろそろオープンにして走るにはいい時期だよね、と言っていた。確かに天気も重要なファクターである。これで雪とか雨とか降っていたら押さえこんでいた罰ゲーム感が一気に爆発するに違いない。


パレード用に飾りつけします。


自分ちの車がえらいことになっていくのを笑顔で見守る車のオーナー金子夫妻の心の広さよ。

準備は整った。


今日の主役の登場である。

横山さんにはおおまかに誕生日をパレードで祝わせてほしい、という企画趣旨は伝えてあったが、まさかYAZAWAみたいな服を着て首に花輪かけられてる自分を想像することはなかっただろう。
しかし本当にすごいのはここからだ。さあ座席へどうぞ。
しかし本当にすごいのはここからだ。さあ座席へどうぞ。


お、おれはどこに連れて行かれるのだ。

ここでパレードに使うオープンカーが四人乗りでなければいけない理由がわかるだろう。祝われる人は後ろで堂々としていてもらいたいのだ。ただ、これは一般的にハコ乗りと呼ばれる座り方なので、ふつうの道でやっちゃダメである。


行ってらっしゃい!

その頃、パレード現場にはぞくぞくと「沿道の人」が集まり始めていた。


みんな今日のパレードを見に来た人たちである。

大切なのは「沿道の人」
準備の中で、この人集めの部分に実は一番気をもんだ。
なにしろ場所が場所である。それこそ銀座を封鎖してパレードできたらもっと楽に集められたかもしれないのだが、今回は東京から電車で1時間半かかる海沿いの工事現場である。
今回は横山さんと親しくしている人たちを中心に声をかけ、加えて僕の地元の友人も呼んだ。
これで最終的に30人以上が集まってくれた。当日飛び入りで参加してくれた人を含めるともっと多かったと思う。これもすべて横山上司の人徳である。
なにしろ場所が場所である。それこそ銀座を封鎖してパレードできたらもっと楽に集められたかもしれないのだが、今回は東京から電車で1時間半かかる海沿いの工事現場である。
今回は横山さんと親しくしている人たちを中心に声をかけ、加えて僕の地元の友人も呼んだ。
これで最終的に30人以上が集まってくれた。当日飛び入りで参加してくれた人を含めるともっと多かったと思う。これもすべて横山上司の人徳である。


横断幕を持っているのは退職された横山さんの元上司である。徹底的に呼んだ。


さっき横山さんに車を押してもらっていた二人もいる。「お世話になったので」ということで参加してくれた。

現場には横断幕が設置され、うちわと旗が配られ、いよいよ熱気が高まってきた。
あとはパレードがやってくるのを待つばかりだ。
あとはパレードがやってくるのを待つばかりだ。

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パレードがやってきた


うおー!

伝わるだろうか、この熱気。
ついに僕らの町にパレードがやってきた。拍手、歓声、「こっち向いて!」「おめでとう!」「カッコいい!」
オープンカーの後部座席で手を振るのは僕の上司である。いい会社に入った。
ついに僕らの町にパレードがやってきた。拍手、歓声、「こっち向いて!」「おめでとう!」「カッコいい!」
オープンカーの後部座席で手を振るのは僕の上司である。いい会社に入った。


ちなみに警備員役は今回のコラボ相手であるJTBの山田さんにお願いした。

なんの告知もしていないパレードだったにもかかわらず、近くのお店の2階にいたお客さんとか、工事現場の先の駐車場にいた人なんかも手を振ってくれていた。
あれなに、どうしたの?みなきょとんとした後に笑顔になって手を振ってくれる。意味はわかんないけど有無を言わせぬ祝福ムード。やる方も見る方も笑顔になれる、これぞパレードの醍醐味であろう。
あれなに、どうしたの?みなきょとんとした後に笑顔になって手を振ってくれる。意味はわかんないけど有無を言わせぬ祝福ムード。やる方も見る方も笑顔になれる、これぞパレードの醍醐味であろう。


わー


きゃー

オープンカーは熱狂の沿道を横目にゆっくりと進み、その後砂浜の駐車場へと帰って行った。
興奮した。
撮影をしていて、もし自分がこの中心にいたら、と考えたら震えたが、横山さんは生まれつきスター性のある人なので、むしろ喜んでくれたんじゃないかと思う。まったく知らずに集まった沿道の人たちにも笑顔で手を振りかえしていた。
興奮した。
撮影をしていて、もし自分がこの中心にいたら、と考えたら震えたが、横山さんは生まれつきスター性のある人なので、むしろ喜んでくれたんじゃないかと思う。まったく知らずに集まった沿道の人たちにも笑顔で手を振りかえしていた。


ありがとうございました!

横山さんはこのあとファミレスでビールをジョッキで5杯飲んだところまで目撃されている。きっとうれしかったんだと思う。いいことをした。

夢は続く
長年の夢だったパレードができた。しかし今回はこれで終わりではない。
東京に出てきて成功をおさめ、誕生日には部下にパレードを企画してもらえるほどの人望を集める横山さんの活躍ぶりを、実家のご両親にも見てもらうのだ。
具体的には今回のパレードの写真でギフトカードを作ってご両親に渡しにいく。
東京に出てきて成功をおさめ、誕生日には部下にパレードを企画してもらえるほどの人望を集める横山さんの活躍ぶりを、実家のご両親にも見てもらうのだ。
具体的には今回のパレードの写真でギフトカードを作ってご両親に渡しにいく。


え。

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一路高知へ
熱狂のパレードの翌週、我々は横山さんの実家のある高知にいた。


本当に高知まで来ました。

JTBに発注した写真入りトラベルギフトカードが出来てくるのを待つと同時に、上司の休みを確認して実家のある高知までの切符を手配した。パレードをやったことから比べると国内線の手配なんてもはや無きに等しい。


ここから電車を乗り継いで。


横山さん生誕の地に降り立つ。

横山さんが事前に「会社の同僚が家に来る」と実家に連絡したところ、ならば家に来る前に土佐のカツオを食べてもらいビールを2杯ごちそうしてから来なさい、とお母さんから指令を受けたのだという。その通りおごってもらいました。最高においしかったです。


「ここ近道だから!」となんか穴を通りだす横山さん。


着きました。

横山さんのご両親にはいちおう内容をお知らせしておいてもらったが、パレードの衣装に関しては僕が高知まで持って行ったので伝わっていなかったかもしれない。
せっかくなのであのパレードの興奮をそのままご両親にも感じていただきたかったのだ。部下の粋なはからいというやつである。
結果、こうなった。
せっかくなのであのパレードの興奮をそのままご両親にも感じていただきたかったのだ。部下の粋なはからいというやつである。
結果、こうなった。


手に持っている桐箱の中身はJTBトラベルギフト。


こんなに緊張した横山さんを見るのは初めてです。

いざご両親へ
ご両親にはリビングに待機していてもらい、衣装に着替えた横山さんが飛び出してきて驚かせる寸法である。
僕の親にはきっとこういう冗談は通じないと思うので、本当にうらやましい限りである。まだどうなるかわからないけど。
僕の親にはきっとこういう冗談は通じないと思うので、本当にうらやましい限りである。まだどうなるかわからないけど。


行った!


おま…、な…。

ご両親は言葉を失っていた。
わかる。久しぶりに帰ってきた息子がYAZAWAみたいになっているのだ。そこにどんな声をかけよう。
でも驚いてはいたがスターになった息子を見ての喜びの表情も半分以上は感じた。お母さんは「やっぱりあんた赤が似合うねえ」と言っていた。
わかる。久しぶりに帰ってきた息子がYAZAWAみたいになっているのだ。そこにどんな声をかけよう。
でも驚いてはいたがスターになった息子を見ての喜びの表情も半分以上は感じた。お母さんは「やっぱりあんた赤が似合うねえ」と言っていた。


お父さんには「せめてもう一つシャツのボタン閉めろ」と言われていたが。

事の発端を横山さんがご両親に全力で説明する。
「だから、JTBっていう会社があって、そこがトラベルギフトっていうカードを作っていて」
「で、なんであんたがそんな恰好してんの」
「デイリーってほらネットで有名なサイトで、いまテレビとかで広告やってもウケなくて、みんなネットでいろいろ工夫してて」
「だからなんであんたが」
なにはともあれトラベルギフトである。さっそくご両親に手渡してもらった。
「だから、JTBっていう会社があって、そこがトラベルギフトっていうカードを作っていて」
「で、なんであんたがそんな恰好してんの」
「デイリーってほらネットで有名なサイトで、いまテレビとかで広告やってもウケなくて、みんなネットでいろいろ工夫してて」
「だからなんであんたが」
なにはともあれトラベルギフトである。さっそくご両親に手渡してもらった。


息子さんのパレードの写真で作りましたよ。

僕からも概略は説明した。息子さんが東京で人気者になり、いまでは誕生日にパレードをされるほどになったんです、と。


「よくわかんないですけど、これはすごいわね…。」「どれどれ」


「あ、ひゃー。」

ご両親は驚いてはいたが、そこはさすが横山さんのご両親である。「これはいい企画だなー」と写真入りトラベルギフトカードを褒めてくれた。
その言葉を聞けてよかった、本当にやってよかった。撮影の後にジャージに着替えた横山さんの照れたような、子どもみたいな笑顔も忘れられない。
その言葉を聞けてよかった、本当にやってよかった。撮影の後にジャージに着替えた横山さんの照れたような、子どもみたいな笑顔も忘れられない。


このギフトカードを使ってぜひ東京で活躍する横山さんに会いにきてほしいものです。




贈り物はいい

人に何かを贈るのは気持ちがいい。
思えばパレードもそうである。企画ではあったが、一生懸命にその人のことを考えながら喜んでくれる顔を思い浮かべてなにかをする。はっきりいってこれほど楽しいことはない。
そしてこういうパーソナルイベントを祝うのにJTBのトラベルギフトは最適だった。僕もいつかいい写真が撮れたらカードにして親に贈ろうと思う。
思えばパレードもそうである。企画ではあったが、一生懸命にその人のことを考えながら喜んでくれる顔を思い浮かべてなにかをする。はっきりいってこれほど楽しいことはない。
そしてこういうパーソナルイベントを祝うのにJTBのトラベルギフトは最適だった。僕もいつかいい写真が撮れたらカードにして親に贈ろうと思う。


このくらいの写真が撮れたらな。



