私のあほな質問が他人の仕事の邪魔をしている……
大手メーカーにきこう
もちろんメーカーのレシピは企業秘密だろうしむこうも仕事でやってるんだからこちらも迷惑をかけたくない。
だからせめて何味なのか、他の食品でいう何の味に近いのかだけでも、「公開できる範囲でけっこうですので」とそえて大手メーカーの広報に連絡をとってみた。
回答いただけなかった
大手メーカーならもうひとつあるだろう
大手メーカーからの回答はなかった。しかし大手はもうひとつある。そちらにきいてみると、質問をメールでもらえれば本国にきいてみますとのこと。おお。
ということで以下の項目についてきいた
・コーラはそもそも何の味?
・コーラがない国の人に伝えるとき、自然界でいう何の味に近いと説明する?
・コーラの味ってできたころから変わってない?
私のあほな質問が海を渡って迷惑をかけている……
コーラはまだまだあるじゃないか
大手メーカーの本国からの回答は未だない。(1ヶ月近く経ってるのでたぶんこないが、ひょっこりきたら追加でのせよう)
コーラってそもそも何味なのか。これそんなにタブーなことなのだろうか。危ないところにふれて騒ぎ回りたいわけでもない。ただ知りたいのだ。
コーラはまだまだある。たとえばメッツコーラやジョルトコーラ。しかし大手はもうこりた。ここはグッと知名度を下げよう。
地ビール、地サイダーと同じように地コーラをつくってるメーカーがある。さっそく連絡をとってみると、それくらいなら教えてあげるという。
さすがの親しみやすさである。
答えが出る前に自分でもコーラの味を研究しようと思う
自分で作ってみよう
コーラはそもそも何味なのか。こちらで一度解答しておく必要があると思い、自分でコーラを作ってみることにした。
コーラの裏に書かれている成分表には、果糖ぶどう糖液糖、カラメル色素、酸味料、香料とある。カラメルの色くらいしかわからない。
だがとっかかりはある。バニラコークだ。あれを飲んでてバニラの味ってコーラのじゃましてないなと思い当たった。なのでバニラでジュースを作ってみた。
バニラエッセンス(香料)、レモン(酸味料)、カラメルソース(色素)、砂糖でやってみた。う~ん、なんかわるくないんだけど
近いところまでいくな
バニラとレモンとカラメルに砂糖を入れたものを飲んだ。……まさか。そんなに遠くないぞこれは。
しかしそのあとでコーラを飲むと(……なんておいしいんだ!)と感動する。甘みが口の中で広がり長くつづくのだ。
ただ、ちがいはわかるのだが何がちがうのかがさっぱりわからない。
料理のできる家人にもきくと、コーラってスパイス味なんじゃないかという。なるほど。キッチンにあったスパイスをかたっぱしから嗅いで、これじゃないかというものを入れた。
そして味がさっぱりわからなくなった午前3時あたりに、大北(筆者)コーラはできた。
できた、大北コーラ。主にクローブとカルダモンとバニラ味。
これが密造コーラだ
大北コーラはできあがった。
炭酸水150
カラメル大さじ1
砂糖25g
クローブ1ふり
カルダモン1.5ふり
レモン(ポッカレモン容器)25ふり
バニラエッセンス4滴
しょうが…ほんのちょっぴり
シナモン…ほんのちょっぴり
以上である。味は多少コーラっぽさがある甘酸っぱいスパイス味。これを持って地コーラメーカーに正解をききにいこう。
やってきたのは木村酒店。ただの酒屋さんなんだけどな……
しずおかコーラの木村飲料に
訪れたのは静岡県島田市にある木村飲料株式会社。しずおかコーラや富士山頂コーラという地コーラを製造している。
工場でなく販売所におじゃましたが、現地に着くと酒屋さんがあった。あれ?
知らないジュースが山ほどある。ここだ
いきなりコーラの素あらわる
話をきけたのは社長の木村さん。自分で味を作ることもあるので作り方はわかるという。
まずこれを見てくださいと茶色の固形物をわたされる。
「これがコーラのもとです。コーラナッツ。どうぞかじってみてください。味がしますか?」
木村飲料三代目の木村社長。わざわざこのコーラナッツを用意してくれてた
コーラナッツは興奮剤だった
コーラナッツをかんでみる。コーラの味といわれればそんな気もするが……ちがうな、これ渋いだけかも。
「興奮しませんか? カフェインが入ってる。これがコーラの由来なんですよ。
アフリカの木の実なんですけど、かじってると刺激になるというのでイスラム圏で消費されてたんです。イスラムの人はお酒飲めないから」
コーラの実はイスラム圏の人にとってのお酒がわりだったのだ。そして興奮剤としてアメリカにわたる。
コーラナッツ!? 渋くてコーラっぽさはあんまりない
コーラはもともと薬だった
「コカ・コーラもペプシコーラも元々は薬なんですよね。
コカ・コーラのコカはコカイン。コカもコーラも興奮剤です。最初は風邪薬とかそういう薬だったんですよ。ペプシもペプシンという胃薬からスタートしてます。
それにフレーバーを足して飲みやすくしたらおいしいっていうんで広まったんですね。コカインとかは常習性があるのでのちに外されたんでしょうね」
コーラとは元々はおいしい薬だったのか。ということはコーラ知らない人には"薬の味"といえばいいのか?
コーラナッツとコーラの関係はコーヒー豆とコーヒーに似ている。どちらもカフェインが入っている。
おいしい薬のおいしい部分がコーラ
――コーラナッツは今でも入ってるんですか?
「高いから、名前きいたことないような安いコーラだと使わないでしょうね。
漢方でもそうじゃないですか。これ一滴くらいしか入ってないんじゃないの?って赤まむしドリンクとか」
となると元々おいしい薬の「おいしい」部分だけが生き残ってコーラとなってるわけだ。一体その「おいしい」とは何なのか。答え合わせをしてもらおう。
――ぼくもコーラを作ってきたんですけど
「……作ってきた? 大丈夫ですよね?」
――大丈夫です、大丈夫です
「じゃあ飲んでみましょう。おかあさ~ん、コップある? コップ! コーラ。飲むんだって、コーラの。ちがうよ、作ってきたんだって!」
……私のあほな考えがふたたび大人たちを困らせている!
「大丈夫ですか?」あきらかに困惑した表情
お母さん、いやがる
――すいません。入ってるのはバニラとレモンと……
「バニラあってました? シナモンも? じゃあそれらしい味は作れるはずです。あとオレンジの皮なんかのシトラスオイルですね、渋みがあるといい。お母さんも飲んでみて。」
奥さん「え、なに?これ?」
木村「だからコーラだよ、コーラ。作ってきたって」
奥さん「私はいいわよ」
木村「いいでしょ、そんなゴクゴク飲むもんじゃないし」
すいません、奥さん……。あまりにもいたたまれなくなった私はコーラナッツの袋の成分表をじっと見ていた。
「え、そんなに飲むの?」奥さん、申し訳ないです
大北コーラはなんと正解に近いらしい
奥さん「何味? え、コーラ味? 甘くない?」
木村「甘くていいんだよ。あ、いいんじゃないですか。いい感じじゃないですか」
なんと奇跡的に大北コーラはコーラとして認められた。前フリとして作ったのに正解してしまう。記事としてはアウトだが、うれしい。本気で作ったのだから。
――そもそもコーラ知らない人に何味なんだといわれたらなんて説明するんですか?
「基本的にバニラとシナモンですね。その2つで近い味になると思います。あとすっぱいやつ。匂い的には近いやつができるはず」
木村「いいじゃないですか」奥さん「薬くさくない?」すいません……
コーラとはバニラとシナモン風味のサイダーだった
――そうそう、思ったよりもすっぱいですよね、コーラって
「酸味料入ってますよ。クエン酸とか。すっぱくないとかき氷の蜜になっちゃうんですよ。
ふつうのサイダーもそうなんですけど、3大要素っていって甘さとすっぱさと匂い。これがないとおいしさが出ないんです」
――ぼくが使わなかったオレンジの皮っていうのも要素として大きいですか?
「渋みですよね。渋みといっても『渋っ!』っていうのと舌に何かまとわりつくようなものとありますから。
でも一番大きいのはバニラとシナモンでしょうね。シナモンとバニラをベースにして、そこから味付けを各社つけるんです。
コーラの実は入れなくてもバニラとシナモンにサイダーをまぜてやればマイコーラ、白いコーラができちゃうんですよね」
こちらは他社の商品、コーラフレーバー。かがせてもらうと完全にコーラの匂いだ。そうか、お菓子屋さんはこれをまぜてコーラ味のガムとか作ってるのか。
「あと作り方も関係あるんですよ。工程。作ってから一晩おいたり、エイジングっていうんですけどペプシとかコカ・コーラはやるんですね。そしたら味はやっぱり変わるんですよ」
かつて木村さんのところでも大手メーカーのコーラを下請けしたことがあるそうで、厳しい品質管理からすこしでも外れたものは管理の人がガシャーっと捨てていたらしい。
それに対して木村さんは「もったいない!」と思ったと。ふつうの感覚だ。奥から出てきたおばちゃんが味見してくれるし、ここには大手にはない何かがある。
今度無香料サイダーというのを出すからこれにバニラとシナモンまぜたらコーラですよ、と木村さん。
コーラ上陸反対運動があった
――コーラが生まれたころと味はちがうんですかね?
「当時は薬くさかったですよ。日本に上陸したときも、私も年少のころだったんですが、え、なんでこんな薬くさいの? 売れるわけがないって思いました。
東京飲料さんがコーラ作って最初に入ってきたのは昭和36年かな(※wikipediaによると昭和32年)。私は31年生まれだから。東京オリンピックのあたりにコーラがうわっと流行ったんですね。オリンピックに合わせて新幹線も開通するしコーラも入ってくるし」
――オリンピックって大きいんですね
「大きい大きい。そのときに、地サイダー、地ラムネ作ってた飲料水屋さんはみんなで立ち上がって上陸反対闘争やってたんですね」
――え~! コーラ反対運動!?
「コーラに対してそんなの上がってきたら困るって。うちはみんな零細でやってるんだからって。うちの会社もやってたみたいですね。
これが昭和43年のときの価格表なんですけど……」
コーラ反対運動なんて今となっては冗談のようが実際そのあと日本の飲料水屋がアメリカのコーラに掃討されていくのだ。
昭和43年の木村飲料価格表。ジュースに並とか上とかある
コーラをやっつけろ!
――ジュースに並とか上とかあったんですね
「かつ丼じゃないですけどね。ジュースの並は甘味剤をつかったダイエットコーラみたいな。昔は甘味料つかったほうが安かったんです。
それでこれ、Cハンターってあるでしょ。コーラなんですよね。コーラをやっつけろっていうので売りだしたんですね」
――すごいですね。敵対心むきだし。味はコーラ?
「じゃないです。ファンタみたいなやつです」
コーラハンターというわりにはファンタと言い切ってるところに若干の腰くだけ感があるが、果汁系サイダーということなのだろう。
スマックはカルピスソーダみたいなものだという。全糖と書かれているのはこの前年に使ってはいけない甘味料ができたからだそうだ
北へ逃げた義経がチンギス・ハーンになった
「あとは飲料水屋さんがみなさん抱えたのがこのガラナという商品ですね。
コカ・コーラは東京に拠点をもうけて本土上陸したんです。そこから絨毯爆撃とおなじようにすべてのお店にすべての工場、すべての売店に置かせるというのがコカ・コーラの方針なんですね。
むかしながらの飲料水屋さんはこの販売店は木村飲料さん、ここは渡辺さんというように分かれてたんですけど、コーラさんは全部置いちゃうんです。
おたく置かないの?他のとこ売れちゃうよ?みんなと同じように置いたほうが身のためですよって方法ですね。
そのときにガラナっていうのがブラジルで売れてるというので、色も似ている製法も似ているし、みんなで持ち上げてやろうっていうので。
ゼミ―、全国清涼飲料協同組合というところがガラナで対抗しようとしたんですね。それがこのゼミ―ガラナ。あとコアップガラナというのと二種類あってそっちは今もあるんです。北海道に」
リンゴジュースは広口ビン。ゼミ―ガラナは一番高い50円。
生き残ったガラナ飲料
「コカ・コーラの本土上陸作戦のときはあまりにも早く上陸してきてあっという間にローラー作戦で全部のお店に置かれちゃったんです。
今までうちの販売店だったところも半分はコカ・コーラさんが持ってっちゃった。だから同業者の数がガクッと減っちゃってね。
でも本土決戦してるあいだに、九州上陸が一年遅れて、北海道は三年遅れたんですよ。その間飲料水屋さんががんばって九州とか北海道で定着させて、だから今でも北海道行くとガラナが置いてある」
なんと。コーラの味をさぐっていて、答えてくれたのはコーラを目の敵にしていた昔ながらのジュース屋さんだったのだ。おかげで正面からはきけないコーラ上陸の歴史をきけた。
――ペプシは?
「コカ・コーラが直販やったのがそれで、ペプシさんは代理店制度を使ったんです。この地域はカゴメさんが販売テリトリー、ここはだれだれがって。でも代理店制だからだれも力を入れないですよね。自分とこも売るものがあるんだから。
そこでサントリーさんが権利を全部買って、本格的に対抗していったんですね。それから広がっていったんです」
日本でコーラといえばまずコカ・コーラをイメージするが、最初の売り方のちがいだったのか。
どんどん減っていった昔ながらの飲料水屋
――めちゃめちゃおもしろいですね、飲料水の歴史
「反対上陸闘争で戦った飲料水屋さんはどんどん減っていって、静岡ではうちしか残ってないんです。隣の山梨では20年前にゼロ。長野も数年前に。
なんでうちだけ残ってるかというと種類をたくさん作ってたんです。
浜松とか清水とか人のたくさんいるところはマンション建てて早めにやめちゃって。そこのお得意さんが、あ、木村さんとこはなんでも作れるから、ってうちに持ち込んできたんです」
出た、マンション経営。クリエイティビティの最大の敵は家賃収入ではないか。
「十数種類あるコーラさんに対して、ラムネやサイダーだけじゃあジリ貧になることはわかってましたんで。この当時で、ミルクセーキもあるしコーヒーあるでしょ、ブラックの。
UCCさんが昭和43年に缶コーヒーを発明したっていうんですけど、どこの飲料水屋さんもビンのコーヒーは作ってたんですよ」
ビンコーヒー、新鮮だ(缶コーヒーのときもみんなそう思ったのだろう)。
とにかくなんでもつくるという木村飲料は自社商品で100種、他社も入れると2~300種を作るという。やっつけろといっていたコーラも今では3種類ある。
しずおかコーラはお茶のコーラ。けっこうおいしい。外国でもよく売れているらしい。これが前年度一番のヒットだったが、富士山サイダーがブームにのって売上3倍になり抜いたらしい。山ガールすごいぞ。
コーラは敵だ!
――今しずおかコーラやってますけど、昔はコーラ作らなかったんですか?
「うちなんかはオヤジにどこ行ってもコーラ飲むなって教育されてたから。今は研究のために飲みますけど、前は敵だから一切飲んじゃだめだって。
コーラの味も最初に飲んだときの、なんだこんなまずいやつってトラウマになってて」
飲料水屋の子供にとってのコーラの存在はすごい。親の仇がコーラなのだ。
「なんでうちのお茶コーラができたかっていうと、私がうちのオヤジみたいに厳しく育てられなかったもので、娘が寿司屋いってもどこいってもコーラを頼むんですよ。焦げ茶色の。
これはいかんと。日本料理は色を大切にする文化だからお茶を使わないと、という思いがあって」
父、自分、娘にとってのコーラ。この三代つづく飲料水屋のコーラ物語。次の朝ドラにどうですか。
富士山頂コーラは「富士山頂の空気のようなスーっとする成分が入っています。登ったことないですけど」 登ったことないのに! 「大丈夫です、毎年登ってる社員がこんな感じですと言ってます」 だそうだ
カレーラムネに激辛カレーラムネ。ケンミンSHOWでも取り上げられてよく売れたらしい
なぜカレーがラムネになっているのか
――カレーラムネとかそういうおもしろ商品はなんで生まれたんですか?
「47年前の学校給食の味なんですよ。
昔は釘でも打てるようなかったいコッペパンとまずい脱脂粉乳、そして具の入ってない味噌汁が定番だったんです。
でも10日に一度だけカレースープが出てきて私それが好きで。コッペパンをスープにつけておくとふにゃふにゃになって食べやすくなるんですね。
10日間、私ゆびおり数えてまってました。そのなつかしいカレースープを再現したのがうちのカレーラムネなんですね」
――なんでラムネで再現するんですか!
「私がゆびおり数えた味が……同級生がきっと泣いて喜んでくれるにちがいないと大ヒットまちがいないと思って作ったんですよ」
カレーラムネ、ほんとに辛い。「味わって飲むと辛いから一気に飲むといいですよ」 そんな痔にきびしいことできない
「こんなマズイものはだめですよ」
――あ、これあてるつもりで作ったんですね
「あてるつもりで。そしたら営業マンたちが『社長、こんなマズイものだめですよ』と反対するんで5年くらい世に出なかったですね。
お茶のコーラも娘の寿司屋のコーラがもとですし。うちの新商品のアイデアっていうのは今まで自分が体験したすべてに関係しててそれを実現してるんですね」
木村飲料のおもしろ商品は木村さんの個人的な体験からきてるらしい。実際にカレーラムネはその珍しさからヒットし、ケンミンSHOWなどにも取り上げられたとか。
合格祈願をしたサイダー。神社36社で断られ、37社目で祈願をひきうけてくれたらしい。原料や製品をトラックで持っていって合格祈願してもらうそうだ。
結局はトップのおっさんが決めている
――マーケティングとかで決めるのではなくて?
「前は農学部出のバリバリの博士号もってるような人が試験管片手にできるようなもんだと思ってたんです。大手さんそういう宣伝するじゃないですか、うちの研究室の若い力でもって開発しましたって。
そうか、うちは若いのいないな~、年寄りだしセンスも悪いしむりかな~と思ってたんですけど。
ある日うちの専務が『社長、大手さんの商品決定どうするかって開発部長にきいてきたんですけど、どうも若い人じゃなくて最終的にきめるのはトップの人の経験と勘だそうですよ』って。
うちと変わらないじゃん!つって。あれは宣伝で、やっぱりトップの独断と偏見でやってるわけですよ。そう思うと急に気が楽になって」
この「専務~!」「社長~!」的なやりとりが最高だ。結局、日本を動かしてるのは大体おっさんたちなのだ。
芋焼酎みたいな芋サイダー伊三郎は「うちのおじいさんの名前です。焼き芋をよくくれてその思い出の味なんですよね」なぜおじいちゃんの思い出がサイダーに!
おもしろラムネは自分でやるしかない
「まあ意見はききますよ。もうなんでも言ってくれ、と。でもすべて鵜呑みにしてると平凡なものしかでてこないと。
斬新なものはみんな責任とりたくないからそんなこと言うわけないですよね。最終的に判断くださないといけないし、もし失敗しても尻拭いなんて自分でやるしかないんだから、最終責任は自分にして、だれのせいにもせず作る」
このサイトも色々へんなことやってるのだが、それは自分でやらないと誰もやってくれないからで、その気持よくわかる。
わかるが、しまった。コーラの味をききにきたはずが、いつのまにかどうやったらカレー味のラムネを生み出せるかという話になってしまった。
木村さん、取材した時のプレジデントに出てたらしい。あとなぜかサイダーの歌も歌ってる。次何やりたいとかあるんですか?ときいたら「紅白に出たい」と。コーラの味をききにいったら変わったおっちゃんに当たってしまった。
そして戦いはつづく
この調べもの、めちゃめちゃおもしろかった。
これはバニラとシナモンの味なのだ。はっきりした答えが出た。目の前の空の色が大きく変わったような心地だ。
それも大手メーカーの口から出てこなかった答えが、かつて大手にたたきのめされた飲料水屋の口から語られた。なんてドラマチックな展開だ。
木村さんは語る。
「Cハンターとかコーラ飲まないって戦い方もあったけど、相手のふところに入りながら商売させてもらうっていう作戦もいいかもしれない。
因縁の飲料水屋さんですから、これから仲良くなるのか悪いままなのかわからないですが。とにかくコーラさんと正反対のやり方やっていったほうが生き延びれる確率は高いなと思いますね」
未だ戦いはつづいている。あのおもしろいラムネも闘争の結果なのだ。これからも地方の飲料水屋の動きを見守っていたい。
ところで記事内に出てくる事実関係をしらべにwikipediaのコーラの項目を読んだ。
「ほとんどの人がコーラ特有の風味だと認識するのはバニラやシナモンである」と書いてあった。ああ、インターネットのくそつまらなさよ。このマジレス天国め。
それに対してコーラはうまいなあ。バニラとシナモン味でうまいうまい。
木村飲料の前の自販機。この端にはダイドー社のものも置いてある。それは「うちが一番最初にダイドーとやりあったから」だそうだ。ドラマまだまだありそう