特集 2013年1月21日

ウィキペディアの画像提供依頼に応える

身を挺すことを厭わずにいたい
身を挺すことを厭わずにいたい
インターネット上のフリー百科事典、ウィキペディア。ネットで何か調べ物をすると、検索結果にその言葉のページが上位に出てくることも多いと思う。

個人的によく閲覧するサイトの1つだが、記事のページにときどき「画像提供依頼」なるものが貼られている場合がある。「記事を充実させるために、関係する画像をもっていたらぜひ載せてね」という依頼だ。

ウィキペディアの特徴は、誰でも編集に参加できること。私も利用するだけでなく、手持ちの画像を提供してみたい。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」

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自分の写真を提供してみよう

何かを検索すると、自然とたどり着くウィキペディアのページ。ネットの情報源の1つとして、すっかり定着していると思う。
トップページは意外と目にしないかもしれない
トップページは意外と目にしないかもしれない
「フリー百科事典」と銘打ってあるように、方針への賛同があれば誰でも記事の編集や作成ができる。改めて考えるとあまり見ないトップページにも、まずその説明が載っている。

そして、各記事を見ていると、たまに「画像提供依頼」という囲みが掲載されている場合がある。
一例として、エンゼルパイの画像も提供募集中
一例として、エンゼルパイの画像も提供募集中
百科事典だから、やはり画像が載っていた方が記事としてわかりやすいだろう。まだ画像のない記事には、こうして依頼が出ていることがあるわけだ。
ここに来ればどんな画像の提供依頼が出ているかがわかる
ここに来ればどんな画像の提供依頼が出ているかがわかる
ウィキペディアの中には、画像提供依頼中の記事がまとめられているページもある。この原稿を書いている時点では、約2900のページに依頼が出ている。
結構たくさんある画像提供依頼
結構たくさんある画像提供依頼
アルファベット順・あいうえお順に画像提供依頼中のページが並んでいて、求められている項目が一覧できる。このページを見ているだけでも、ふむふむと興味深い。

眺めていると、「この画像なら自分が持ってるぞ」と思い当たるページが出てくる場合がある。
これ、あります
これ、あります
私の場合、例えばそれは「伊豆シャボテン公園」。当サイトで以前掲載した記事の取材で訪れたからだ。
どんな画像を求められているか確認
どんな画像を求められているか確認
このページの場合、「正面入口、又はサボテンの建物の画像」が求められていると書いてあった。入口の画像なら、確か私が書いた記事に載せたはず。
動かない鳥、ハシビロコウを見に行った
動かない鳥、ハシビロコウを見に行った
入口の写真もある
入口の写真もある
いつも便利に利用しているウィキペディア、今回は自分の持っているものを提供して、記事を充実させるために参加してみたい。
まずはアカウント作成
まずはアカウント作成
ファイルをアップロードするためには、アカウントを作成してログインする必要がある。自分はまだアカウントを作っていなかったので、新たに作成した。

アップロードには、そのファイルが世界中で使えるようになる「コモンズ・アップロード」と、ウィキペディア日本語版のみで使える「ローカル・アップロード」とがあるが、今回は前者の方に載せることにしよう。(詳細はこちら)
アップロードの過程で説明が読める
アップロードの過程で説明が読める
どんなファイルならアップロードできるか、アップロードされたファイルはどういう扱いになるかについては、作業の途中でわかりやすく説明が出てくるので、しっかりと確認できる。

ルールについて了解し、ファイルをアップロードしたので、今回編集したい「伊豆シャボテン公園」のページに移って、上部にある「編集」をクリックする。
いつも見ているだけだったので新鮮
いつも見ているだけだったので新鮮
記事の書き方にはルールがあるので、それらに留意した上で編集をする(参照)。今回は写真を掲載するだけなので、手順は簡単。編集画面から「埋め込みファイル」のボタンを押して、表示に従って先ほどアップロードしたファイル名を指定。ファイルの存在する場所などを指定しないでいい簡単さにはちょっと驚いた。あとは必要があればキャプションを入力するだけだ。
基本はファイル名の指定だけなので簡単
基本はファイル名の指定だけなので簡単
編集を確定する前にプレビューを確認できる。それを見た上で問題がなければ投稿確定のボタンを押す。これでもう自分がアップロードした画像が記事に反映されている。
おお、載ってるぞ
おお、載ってるぞ
これまで見ているだけだったウィキペディアに自分の提供した画像が掲載されているのは新鮮。記事の充実に寄与できたという、ちょっとしたうれしさもある。

そういうわけで、少し手順を踏めば画像を提供できるウィキペディア。画像提供依頼の一覧ページには、他にも気になる項目がある。
久しぶりに見た言葉
久しぶりに見た言葉
例えばそれは「ギャル男」である。ここからが本題だ。
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謎のボランティア精神

画像提供依頼中の「ギャル男」。残念ながら、個人的にはギャル男の画像は持っていない。
依頼に応えられない虚しさ
依頼に応えられない虚しさ
ギャル男の写真は持っていないし、ギャル男でもない自分。目の前で画像提供依頼がなされているというのに、何もできないのか。

画像提供依頼は数年前から出されていることがわかる。その間、誰からも提供されていないギャル男の写真。

普通ならば「ふーん」で終わるところ。しかし、文字だけがずらっと並ぶギャル男のページをじっと見つめていた自分に、小さな変化が起きた。「じゃあ、俺がやるか」というスイッチが入ったのだ。
記事中に道筋が示されている
記事中に道筋が示されている
とは言え、ギャル男は全く未経験の自分。求められているのは「ギャル男ファッションの特徴を理解しやすい写真」とのことだが、あまり具体的にイメージできない。

画像を載せるからには資料的価値のあるものにしなくてはならない。進むべき道はその記事の中に開かれていた。ギャル男の解説の中に「典型的ファッション」という記述があるのだ。

それによると、ギャル男の髪型は「茶髪+メッシュ」「ミディアムヘアで頭頂部にボリュームをもたせる」とのこと。短めの髪型の自分には難しい。
それでもあきらめたくはない
それでもあきらめたくはない
物理的に困難かと思ったのだが、調べてみるとあっさり「ギャル男」と銘打たれたカツラが売られているのを発見。これを利用することで、十分にギャル男ファッションを伝えられるだろう。
健全な使用が目的とのこと、大丈夫大丈夫
健全な使用が目的とのこと、大丈夫大丈夫
「Good Luck」って励まされてる気持ちに
「Good Luck」って励まされてる気持ちに
ミステリアスな存在感
ミステリアスな存在感
鏡の中の自分を確認
鏡の中の自分を確認
袋から取り出してかぶり、おそるおそる鏡に映った自分を確認してみる。…うん、なんとかそれっぽい方向に進めているんじゃないだろうか。
高いハードルもできるだけ乗り越えたい
高いハードルもできるだけ乗り越えたい
続いて服装の記述を確認。「(しばしば極端に)焼けた肌」というのは難しいが、それ以外はなんとかなりそうだ。
やあ、また会ったね
やあ、また会ったね
ディティールもしっかり押さえて
ディティールもしっかり押さえて
「全体的に痩身、細身(タイト)な服装」「冬は黒い服装が多い」という説明で思い浮かんだ服がある。当サイトに以前載せた記事で使ったドクロ服だ。ピチピチサイズなのも今回の説明に適っている。「豹、シマウマなどのアニマル柄を取り入れる」も、さりげなくこなしているではないか

「大きめのサングラス」は300円ショップでよさそうなのを見つけてきた。アクセサリーは妻のを借りよう。なかなかのペースでギャル男要素をクリアしてるぞ。
「先のとがった靴」って、悪魔みたいだな
「先のとがった靴」って、悪魔みたいだな
続いては下半身。今回は靴の説明にあるエンジニアタイプのブーツを通販サイトで見つけた。ちょうど半額セール中で、風向きは自分に味方している。
2000円で買えたぞ
2000円で買えたぞ
ギャル男一式
ギャル男一式
必要な物は一通り揃えた。あとは昨日までの自分を捨て去って、新しい自分に脱皮するだけだ。
まだ震えてるだけだった頃の自分
まだ震えてるだけだった頃の自分
ネックレスが冷たい
ネックレスが冷たい
どっちが前かな…
どっちが前かな…
どうなんだろうね
どうなんだろうね
「ズボンをブーツに入れるブーツインファッション」も押さえてみた。ギャル男の記事にあった「典型的ファッション」は大体クリアしたはずだ。

なのに今ひとつ達成感がないのは、どうしてなんだろう。
ポージングの問題か
ポージングの問題か
ヒゲの跡が青いからか
ヒゲの跡が青いからか
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人に認められたい

画像としてウィキペディアに投稿するからには、資料としての価値がなくてはならない。それゆえ、説明にあったギャル男ファッションの要素はほぼ押さえた。理論的にはかなりのギャル男だ。

なのに、確信が持てない。いいところまでは行ってるはず。どうすればいいのだろう。
なんか違うな
なんか違うな
どうしたもんか
どうしたもんか
いろいろとポーズを取って、自分なりにギャル男を模索してみる。型は押さえているのだから、ここは工夫でより完成度を高めたい。
違う
違う
これも違う
これも違う
撮影係の妻曰く、「なんか不自然なのよ」。それはそうだ、ギャル男未経験の自分がギャル男に無理矢理扮しているのだから、不自然なのはわかってる。そこをなんとか超えていきたいのだ。

妻の助言は「ポージングが不自然だから、むしろポーズ取らないで歩いてみて」とのこと。
あっ!
あっ!
デジカメの画面を見て「あっ!」と思う。雰囲気出てきてる!

そう思ったあと、「うん、出てるよね」「まあそうだよね」「そうかな…?」と、内面の言葉を重ねるほどに、じっくりと自信がなくなっていく。感情の揺れが激しくて疲れる。

それはきっと、自分で自分を知ろうとしているからなのだろう。ギャル男であるかどうかは、自分よりも他人がどう思うかの方が重要なはず。
寒さ以外の理由で震える
寒さ以外の理由で震える
そこでやってきたのは新宿。南口にある東急ハンズだ。来訪当日は、ここで当サイトが「新春いらないもの祭り」というイベントを開催中。

そこにいる編集部員やライターに、事前に意図を知らせず私を見てもらい、自分が何に扮しているのか答えてもらいたい。「ギャル男」という言葉を引き出せたら、このゲームは私の勝ちだ。
ぼちぼち人がいるな…
ぼちぼち人がいるな…
まずは普段の格好のまま、サッと通りかかって偵察。誤解なきよう書くが、目立つ格好をして人でにぎわう場所に出て行くのは本当は嫌なのだ。嬉々として繰り出すのではなく、葛藤を抱えたギャル男でいたい。

そういう自分に、コーナーのにぎわいはプレッシャー要素。しかし、資料性の検証のためには覚悟を決めなくてはならない。
なんで颯爽としてるっぽいのか
なんで颯爽としてるっぽいのか
戦いに向かう男の背中
戦いに向かう男の背中
階下のトイレの個室でギャル男化を済ませる。手洗い場の大きな鏡に映った自分を見て、改めて怖じ気づく。もうあとには引けない。いや、別に引ける。いやいや、せっかく埼玉からここまで来たんだし…。

イベント会場はちょうどエスカレーターを上がったところだ。視界にゆっくりとブースの様子が入ってくる。
野に放たれた野獣
野に放たれた野獣
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自信を持とう

くどいようだが著者近影
くどいようだが著者近影
ギャル男の客観的な検証のために訪れたイベント会場。まずは自分であることを告げずに近づいていってみる。
俺だってこんなことしたくないんだ
俺だってこんなことしたくないんだ
目を伏せる白いシャツのウェブマスター林さん、ちょっと驚いた顔で私を見るのはオレンジ服のライターきだてさん。このあときだてさんは、腰を引くことなく怪しい私にイベントの説明を始めてくれた。
「何やってんすか?」(ギャル男の検証です)
「何やってんすか?」(ギャル男の検証です)
その様子を見た林さんは、内心「(その人やばそうだから説明しないでいいよ…)」と思っていたらしいが、なんとなくおかしな私の様子を見て、気づいてくれた。

「どうも…おつかれさまです…」と私が挨拶すると、張り詰めていた緊張感が解けていく。どうしてわかったか訊いてみると「なんか猫背で姿勢悪いし、ゆらゆらしてるし」とのこと。そうだ、それは自信のなさの表れだ。

本題である「私が何に見えるか」の質問への答えは、「X JAPAN」とのこと。うーん、どうだろう。まずは微妙なアプローチといったところか。
不審のあとゆえの笑顔
不審のあとゆえの笑顔
まだ気づいていない編集部の石川さんをものすごく凝視してみたが、石川さんはものすごく無視。その分正体がわかったときは笑顔。「エジプトっぽい」という感想は、全体を見るのを恐れて胸元にジャラジャラするゴールドのネックレスを中心に見ていたからか。

女性ライターの小堺さんは「バンドやってる人?」。そして「ヒゲが青い」。
サングラスの下で泳ぐ視線
サングラスの下で泳ぐ視線
こうしたやりとりを「えっ?え?」と何度も聞き直す私。ギャル男ヘアーが耳にかかって、聞き取りづらいのだ。フィジカルなのかメンタルなのか、なぜだか汗も垂れてくる。

パニックが起きないよう、来訪を唯一あらかじめ知らせておいた担当編集の安藤さんと肩を組んでわかったことがある。
ギャル男センパイ、顔でかいっス!
ギャル男センパイ、顔でかいっス!
顔がでかく見えるのだ。そもそもの素地に、ボリュームのある髪型とでかいサングラスが拍車をかけるのだろう。舞台映えしそうな存在感は、舞台に立つ予定のない者にとっては無駄かもしれないが、ここはポジティブに捉えよう。
そ、そんなに見ないで…
そ、そんなに見ないで…
ライター地主さんは「そういう中学生、いますよね」と、ハードな中学生観を披露。

「ズボンをブーツインしてるから、乗馬やってそう」と無茶なことも言っていた。よく見ろ、こんなだぞ。
ギャル男センパイ、顔でか過ぎっス!
ギャル男センパイ、顔でか過ぎっス!
それぞれの方に意見を聞かせてもらったあと、「これこれこういうわけで、ちゃんとファッションの特徴も踏まえた上で…」と、正解である「ギャル男」と伝える。全体的に「…ああ……まあ言われてみれば……」との反応だった。

うん、否定はされてない。
そして世界へ
そして世界へ
そういうわけで、帰宅して写真をアップロード。手順の途中で「このファイルは、自分自身による作品です。」と確認するステップが登場。「まあ、作品ってほどでもないけどな…」と思いながらクリックする。
緊張するなあ
緊張するなあ
そして「ギャル男」のページに移って編集。先に書いた通り、アップロードした写真を記事に掲載するのは非常に簡単。ボタンを何回かクリックすると、いよいよ世に放たれる。
こんにちは
こんにちは

「すけべえ」も画像提供依頼中
「すけべえ」も画像提供依頼中

更新されたページを見て胸に去来するのは、達成感とやっちまった感の入り混じる思い。完璧ではないかもしれないが、資料性はある程度押さえられただろうか。

ルールを守って手続きを踏めば誰でも編集できるウィキペディアは、多数の人が関わって質を高めていけるのが特徴の1つ。この記事を書いている時点では先のような状況になっているが、今後より適切な画像が載ることがあるならば、喜んで引退したい。
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