特集 2024年9月21日

米を湯取り法で炊けばチャーハンはパラパラになるのでは?

さて、違いはなんでしょうか。

パラパラのチャーハンを作るにはどうすればよいのか。少しでも料理に関心がある人なら、ペペロンチーノの作り方くらいハマってしまう答えなき難問である。

すでに語りつくされた感がある話の気もするが、前から一度試してみたかった方法がある。それはお米を炊くのではなく茹でる「湯取り法」だ。

炒めるご飯が最初からパラパラならば、それで作るチャーハンもパラパラになるのでは。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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まずは普通にチャーハンを作ってみる

パラパラチャーハンに挑む前に、普段通りに普通のチャーハンを作ってみる。

ただチャーハンは家庭によって「普通の」の作り方が、味噌汁やカレーくらい広い料理なので、普通のというか「今日の私はこうやって作った」くらいの話と受け止めていただきたい。

卵を入れる順番とか、醤油は鍋肌に垂らすべきなのかとか、味の素を入れるのはどうなんだとか、その辺は各自で好きにしてほしい。チャーハンはいつだっておいしいのだから。

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中華鍋を熱して多めの油を入れて、溶き卵を半熟に炒めて取り出す。
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具を炒める。今日は冷蔵庫にあったベーコンとネギだけ。手癖でにんにくやしょうがも入れたくなるが、できるだけシンプルにしてみた。
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普通に炊いたご飯を入れる。普通と言いつつ普段から麦飯を食べているので、チャーハンも麦飯で作る。人の数だけ普通がある。
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ご飯がほぐれにくい場合、ここで酒を入れることも。火加減は強火だと早くできる。

 

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味付けは醤油、塩、胡椒、うま味調味料などを使うが、能登土産に買った「いしる」というイカの魚醤を使いたかったので、これだけでいってみよう。普通はどうしたという話だが、すごく小声の能登応援なのだ。
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卵を戻してざっくりと混ぜる。ちょっといしるを入れ過ぎたかな。
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本日のチャーハンが完成。

できあがったチャーハンを食べてみると、香ばしく焼かれたいしるから、その原材料であるイカの肝だけが持つ独特の味わいが米粒を覆っていて、まるで塩辛チャーハンのようで感動したのだが、今日の本題はそこじゃない。

肝心なのはごはんのパラパラ加減なのだが、しっとりしつつも十分にパラパラ。麦粒のプチプチした食感も好印象で、なんの問題もなくおいしい。麦飯だからとパラパラというのもあるだろう。

わざわざ湯取り法を試す意味があるのかなと思ってしまった。これでいいじゃん。失敗したら「麦飯といしるでチャーハンを作るとおいしい」という記事にしよう。

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いしるチャーハン、おいしいよ。

 

湯取り法で日本米を炊いてチャーハンを作ってみる

私が米の湯取り法を知ったのは、1993年におきた「平成の米騒動」のときだった。国産米が足りなくなって急遽タイ米が輸入されたが、その評判は残念ながら芳しくなかった。

今思えば、うどんとパスタのように、日本米とは違うジャンルの食べ物として楽しむべき食材なのだが、食べ慣れた日本米と比べてしまったのだ。ちなみに当時バイトしていたファミレスでは、日本米とタイ米を混ぜたブレンド米を使っていた。混ぜちゃだめだ。

そんな時代に「タイ米は本来こうやって炊くものなんですよ」と、グルメ漫画の「美味しんぼ」などで紹介されていたのが湯取り法である。令和の米騒動が起こって湯取り法の話を思い出し、チャーハンに流用できないかと考えた次第だ。

だがここで使うのはタイ米ではなく日本米。新米も出回ってきたしね。日本米も湯取り法にすることで、パラパラに炊けるのでは。きっとチャーハン新時代の幕開けだ。

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普通の日本米。
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米をさっと洗い、冷蔵庫で2時間ほどしっかり浸水させた。
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米が水を吸って白くなった。
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沸いたお湯に、水切りした米を入れる。このまま煮続けるとお粥ができるね。
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軽く混ぜながら、吹きこぼれない程度の火力で茹でる。火が通ったか不安で10分ほど加熱したが、このあと炒めるから8分くらいでよかったかも。
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ザルに上げて水分を切り、鍋に戻してフタをして蒸らす。少し加熱して水分を飛ばすという高度な技もあるらしい。ちょっと茹ですぎたかも。

 

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チャーハンの作り方や材料は、米の炊き方以外は最初と同じである。

すべて目分量なので多少の誤差はあるけれど、知りたいのは米のパラパラ加減なので問題はないだろう。

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湯取り法の日本米を投入。

さすがは茹でた米だけあって、日本米だがサラサラしている。まるで鍋の締めに雑炊を作るときに使う、ごはんを一度洗ったやつみたいだ。

だったら湯取りじゃなくて、普通に炊いたごはんを洗えばパラパラチャーハンができるのではと思いつつ、その疑問にフタをして中華鍋を振るう。

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強火で水分を飛ばすように炒める。
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見た目はさっきとほぼ同じチャーハンが完成。若干いしるが少なかったようでパンチが弱い。塩分量って大切。

湯取り法で炊いた日本米のチャーハンを食べてみると、パラパラというかハラハラで、口の中で儚く消えていくチャーハンになっていた。温度が全然違うけど、かき氷を食べているみたいである。なるほど、こうなるのか。

これはこれで食べやすいが咀嚼の楽しみが弱いので、油まみれの炭水化物をモリモリ食べているという、チャーハンならではの満足感(罪悪感&背徳感)がちょっと薄いかも。

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お湯に溶け出た澱粉質が物足りなさの正体か。

 

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