まずは普通にチャーハンを作ってみる
パラパラチャーハンに挑む前に、普段通りに普通のチャーハンを作ってみる。
ただチャーハンは家庭によって「普通の」の作り方が、味噌汁やカレーくらい広い料理なので、普通のというか「今日の私はこうやって作った」くらいの話と受け止めていただきたい。
卵を入れる順番とか、醤油は鍋肌に垂らすべきなのかとか、味の素を入れるのはどうなんだとか、その辺は各自で好きにしてほしい。チャーハンはいつだっておいしいのだから。
できあがったチャーハンを食べてみると、香ばしく焼かれたいしるから、その原材料であるイカの肝だけが持つ独特の味わいが米粒を覆っていて、まるで塩辛チャーハンのようで感動したのだが、今日の本題はそこじゃない。
肝心なのはごはんのパラパラ加減なのだが、しっとりしつつも十分にパラパラ。麦粒のプチプチした食感も好印象で、なんの問題もなくおいしい。麦飯だからとパラパラというのもあるだろう。
わざわざ湯取り法を試す意味があるのかなと思ってしまった。これでいいじゃん。失敗したら「麦飯といしるでチャーハンを作るとおいしい」という記事にしよう。
湯取り法で日本米を炊いてチャーハンを作ってみる
私が米の湯取り法を知ったのは、1993年におきた「平成の米騒動」のときだった。国産米が足りなくなって急遽タイ米が輸入されたが、その評判は残念ながら芳しくなかった。
今思えば、うどんとパスタのように、日本米とは違うジャンルの食べ物として楽しむべき食材なのだが、食べ慣れた日本米と比べてしまったのだ。ちなみに当時バイトしていたファミレスでは、日本米とタイ米を混ぜたブレンド米を使っていた。混ぜちゃだめだ。
そんな時代に「タイ米は本来こうやって炊くものなんですよ」と、グルメ漫画の「美味しんぼ」などで紹介されていたのが湯取り法である。令和の米騒動が起こって湯取り法の話を思い出し、チャーハンに流用できないかと考えた次第だ。
だがここで使うのはタイ米ではなく日本米。新米も出回ってきたしね。日本米も湯取り法にすることで、パラパラに炊けるのでは。きっとチャーハン新時代の幕開けだ。
チャーハンの作り方や材料は、米の炊き方以外は最初と同じである。
すべて目分量なので多少の誤差はあるけれど、知りたいのは米のパラパラ加減なので問題はないだろう。
さすがは茹でた米だけあって、日本米だがサラサラしている。まるで鍋の締めに雑炊を作るときに使う、ごはんを一度洗ったやつみたいだ。
だったら湯取りじゃなくて、普通に炊いたごはんを洗えばパラパラチャーハンができるのではと思いつつ、その疑問にフタをして中華鍋を振るう。
湯取り法で炊いた日本米のチャーハンを食べてみると、パラパラというかハラハラで、口の中で儚く消えていくチャーハンになっていた。温度が全然違うけど、かき氷を食べているみたいである。なるほど、こうなるのか。
これはこれで食べやすいが咀嚼の楽しみが弱いので、油まみれの炭水化物をモリモリ食べているという、チャーハンならではの満足感(罪悪感&背徳感)がちょっと薄いかも。