筋状の雲がバージョンアップしちゃったのがJPCZ
林:
JPCZについて調べてきました。JPCZとは中国・北朝鮮国境の山脈にぶつかった風が日本海で合流して雲ができる。この理解でいいですか?
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/2717/3893/6553/jpcz001.jpg)
増田:
そうですね、空気同士がぶつかると地面に潜れないので、上に行くしかない。これは天気のひとつの原理原則ですね。
林:
上昇気流になって積乱雲ができて雪が降る、と。
増田:
今日も日本海にびっしりと雪雲が出ていますよね。筋状の雲とか言ったりもしますけど。これ、1個1個のつぶが積乱雲です。
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/5917/3893/6837/sujijo002.jpg)
増田:
なんで筋状になってるかというと、つぶつぶの雲たちが風によって流されて筋になってるということなんですよね。風向きはこの筋の向きを見れば分かる。
林:
そうそう、筋状の雲との違いも聞きたかったんです。
増田:
JPCZが見える衛星写真を見ると、筋状の雲が風でぶつかって、背骨のように発達している。
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/6717/3893/7042/jpcz002.jpg)
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/7817/3893/7284/jpcz003.jpg)
林:
筋状の雲がバージョンアップしちゃったのがJPCZ
増田:
そうです。さらさらって流れてるだけだったらいいんですけれども、集まってきて、そこが特に雪雲が発達しているという感じですね。
林:
筋状の雲はまず寒気が来るとできる
増田:
それがあったうえでのJPCZ
注:
JPCZは Japan-sea Polar airmass Convergence Zoneの略。日本語で言うと「日本海寒帯気団収束帯」。易しく言うと「日本海で冷たい空気の流れたちが集まってる帯状のところ」です。
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/3417/3893/7405/002.jpg)
JPCZってニュースで言うようになっている
林:
現象としてのJPCZは分かりました。次にJPCZをよく聞くようになったことに聞きたいのですが、JPCZってこの3つのうちどれですか?
①最近発生し始めた現象
②昔からあったけど、最近理由がわかった現象
③昔からあったけど、最近名前がついた現象
増田:
現象としては昔からありました。そして名前がついたのは1980年代
林:
①~③のどれでもない!
「④昔からあったし、昔に名前がついた」だ。
増田:
ですね。僕が気象予報士試験を受けていた1990年代は普通にありましたから。
林:
1980年代に名前がついて。2020年代にニュースで言い始めた
増田:
JPCZ自体はときどき、大雪の解説をするときに使ってましたね。ただ、やっぱり小難しい現象でもあるので、2000年代はそんなにみんな頻繁に使わなかったかなっていうふうには思います。
林:
2006年、チーム森田ブログにJPCZの解説があります。早いですね。
増田:
森さん書いてましたね。早いですね。
(森朗さんは増田さんが所属するウェザーマップの社長)
解説を書くサイトだったので、ちょっと小難しいこと、あえてテレビとかでは普段あんまりやってないことを書いてたんですよね。
逆に言うとこの2006年頃はまだテレビとかメディアではJPCZをバンバンやってなかったということですね。
林:
ここに書いてあるということはそういうことなんですね
増田:
最近、なにか専門的な、雪だけじゃないですけども、専門的な言葉を使って見出しをつけるとか引っかかりを作るようなメディアが増えているのではないかと。
林:
バズ至上主義の弊害が
雪の解説で使っていた
林:
googleトレンドを見ると2011年に登場してます。2025年はまだデータが確定してないから点線ですが、すごい伸び。
注:
Google トレンド:Googleで検索された回数を調べられるサイト。検索された数でその語の人気が分かる
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/7517/3893/7774/googletrend_jpcz.jpg)
増田:
それこそバズるじゃないですけれども、何か1個ポンと出ると、それをみんなが口にして、こういう風にどんどん広まるのでは
林:
ニュースで急にJPCZって言ったらそうなるかも
増田:
僕もときどき使って解説のひとつとして昔からやってるので、あまり何も思わないんですけれども…
林:
JPCZって急に現れたみたいに思ったんですが、これまでも言ってたんですね。
増田:
2000年代の前半とかはなるべくそういう難しい言葉は使わないっていうのが結構ありましたけども、そのなかでも使う人は使っていた。それがなんかみんな、もうみんな使ってるし、行け行けみたいになってる感じですね。
林:
これはなんなんでしょうね。そしたら、たとえばNHKが使ったらもうオッケー!みたいなことはないんですか
増田:
JPCZは、普通に使ってる言葉だったので…
林:
私が聞いてなかった、ということかもしれない
増田:
「新しい言葉なんですね」って結構聞くんです。いや、普通にやってたけどな…聞いてなかった……?という、うーん、ねえ
JPCZは昔で言う「気圧の谷」
増田:
温故知新じゃないですけれども、最近もうすっかり聞かなくなった「気圧の谷」がブームになったりして。そんな言葉あるんですか!とか言われたりして。
小林:
気圧の谷って言わないですか?
増田:
最近言わないじゃないですか。
林:
2006年に住さんが気圧の谷に行ってますよ
小林:
御前崎まで行ってる
増田:
おもしろい
林:
いま気圧の谷って言わないのであれば、これは謎の記事になりますね
増田:
そうですね。天気図をあまり出さなくなったというのも原因ですね。天気図を出して、ここは気圧の谷ですよみたいな話をしてたので。
小林:
天気図は見ないですね。もっと見せる絵が多いんでしょうか。
増田:
雨の予想とか雪の予想とか、いろんなのが出てくるようになったので。昔は天気図とかひまわりしか画像がなかったので。
それこそJPCZもこのあたりの気圧の谷がって、言ってたと思うんですよ。
林:
え?
あ、そういえばNHKのJPCZの解説に等圧線が凹んでいるって書いてました
![](https://dailyportalz.jp/application/files/thumbnails/width640/6017/3893/8043/basic-knowledge_20221201_01_01.jpg)
増田:
そうそう、そうですそうです。まさにそれ。
これは5日の天気図ですけれども、ここに表現してあります。
![](https://dailyportalz.jp/application/files/6617/3893/8099/SPAS_COLOR_202502050300.jpg)
林:
あった!
増田:
昔だったら
「日本付近は西高東低、冬型の気圧配置、日本海には雪雲が、筋状の雲が現れまして、その中でも、このあたり、気圧の谷がありまして、この付近で雪雲が発達しやすくなっております。」
とかでしょうね。
林:
それが昔の天気予報
増田:
80年代じゃないですか。それが今だったらこれがJPCZになったという。ジャパンシーポーラエアマスコンバージェンスゾーン。
小林:
必殺技感がある
林:
JPCZは気圧の谷ですって書いちゃって大丈夫ですか
増田:
それはツッコミが来るかもしれないですね。気圧の谷はほかにもいろんなところにあるので「天気図上では気圧の谷のひとつ」ですね
林:
JPCZとかいって「なーんだ、気圧の谷か」って思ってます
増田:
そのなーんだって言える人も今減ってるでしょうね
1月のクイズ(2025年1月 全国最低気温)は0.1℃差の人がいました
正解:-25.6℃(1月19日・占冠)
🥇ぷりんぐみん -25.5℃・上川(0.1℃差)
1/16に高温に関する早期天候情報が出ました。1/20までの寒そうな地域の週間予報を見ても-20℃まで行くか行かないか。
もしかして今年の1月はそんなに寒くならないんじゃないでしょうか。
🥈 IWC -26.2℃(0.6℃差)
陸別が暫定トップの幌加内をまくるのではないか
🥉すえよし -26.5℃(1.0℃差)
北海道のどこか。いつもどおり勘です。北海道は土地勘がないので。
増田:
12月の最低気温を更新しなかったですね。今季最強寒波とは言いながらも、北海道はそうではないということですね。
林:
ぷりんぐみんさんが0.1℃差ということで、すごい
増田:
ぷりんぐみんさん素晴らしい
林:
北海道は寒くなかったんですよね
増田:
1月は特に後半は結構気温が高くて、札幌も雪がだいぶ減ってましたけれども。もう1回ぐらいね、やっぱり北海道らしさがあってもいいような気がするんですけれどもね。
林:
2月の問題もまた日本国内最低気温にしましょう。
解答はこちらから
増田:
もう1回ぐらい寒波があるんじゃないかな。15日のあたりに1回下がって、そのあとはどうなるかですね。
林:
-30℃まではいかないで、-28.8℃
増田:
いいと思います。