無機物を動かしていきたい
プラモデルとラジコンカーという既製品を組み合わせるだけでも、とんでもない味わいが生まれた。
くりかえすが我々は無機物が動く姿を見ることに抗うことができない。だからこそこういう記事が生まれてしまうわけである。
これからもなんらかの形で無機物を動かし、その様子を愛でていきたい。
買うだけ買って作っていないプラモデルがある。いわゆる積みプラだ。
まずこれを組み立てたい。
そして…組み立てたら飾ってるだけじゃなくて、外を元気に走らせたい!
ここのところ物欲が旺盛になってしまっていろいろな買い物をしている。そうした中、プラモデルもいくつか続けて買ってしまった。
……そして買っただけで組み立てていない。自分自身に「コラッ!」である。
上から「アメリカザリガニ」、「プレイステーション」、「セガサターン」、「ドラえもん」、「カップヌードル」である。気ままに買った感がでている。
これはどうしたものか。部屋の片隅に積まれて、どうも罪の意識にさいなまれてしまう。どうにかしないといけない。
そんな折、プラモデルをもくもくと作る会(7時間ある動画)が開催された。zoomで手元の映像を映しながら、3人で好きずきプラモデルを作るという会だ。
共同作業としてのプラモデル作りは集中することができて非常によかった。おかげで7時間ほどかけて、3つのプラモデルを組み立てる事ができた。
まずはそのときのプラモデルを紹介したい。
はじめはアメリカザリガニ。プラモデルといえばガンダムか戦車くらいしか視野になかったのだが、生き物のプラモデルの意外性にやられて購入した。
今回作るのは赤で、ほかには青とクリアー(透明)があった。アメリカザリガニにカラー展開があるのが、さらに意外である。
もくもくと組み上げていく。カニを食べるときに黙る、という話があるが、ザリガニを組み立てるときも同じように黙る。
もくもくと作っていたが、心の中では「すげー、こんなふうにできあがってくんだ!」と感心しきりであった。
アメリカザリガニのプラモデル、やはり良いものだ。素組みのまんまではあるが、プラモデルを組み上げた達成感というのはなかなかだ。集中していいペースで作れたのも気持ちがいい。
気を良くしてつづいて手にとったのはカップヌードルのプラモデルだ。「ドラえもん」のエピソードでも登場したアレである(と言って通じるだろうか)。
本物のカップヌードルと違って、こちらは3分で完成とはいかない。
パーツ数はアメリカザリガニにより少ないから簡単そう、と思っていたが、後にそれは間違いだと気がつく。
だいたい組み上がったと思ったら、ここからカップにシールを貼っていく作業に入る。ザリガニにはなかった工程だ。
カップヌードルの場合、組み立て時間のあとに、シール時間があるのを覚えておいてほしい。プラモデルをランナーから切り取って組み上げるのとは別の集中力を使う。
カップ外面の細かいシール貼りが終わると、麺の上にかやくを散りばめる作業に入る。
エビにもシールを貼るので「またか…」と思ってしまった。でもリアル!
最後にフタをする。
そう最後はフタのシールでふさいでしまうのだ。見えなくなってしまう。頑張ってエビにシール貼ったのにである!
1度や2度剥がしたところで粘着力がなくなってしまうシールではないが、基本的には貼っておくもののようだ。
強い気持ちでシールを貼ったら……
作り始めてからもう5時間以上経過していたが、興が乗ったので続いてもう一個ほど作ることにした。
次はセガサターンだ。
集中力が落ちてきたのでパーツは少なめだとありがたい。
これが切れると本体データも消えるという、セガサターンの命と言ってもいいようなボタン電池も再現されている。
外側だけではなく内部のメカも再現されていて楽しいプラモデルであった。
こうしておよそ7時間かけて、アメリカザリガニ、カップヌードル、セガサターンを組み上げることができた。
さて、完成したプラモデルなのだが、部屋の中で飾っていると、なんというか、力を込めて作ったものにも関わらず「静か」だ。プラモデルなのだから当たり前なのだが……。
とりあえずこれらプラモデルを外に連れ出すことにした。
プラモデルは、屋外に持ち出すとその存在感が増すのだ。以下の写真を見てほしい。
プラモデルを外に持ち出して、それぞれ適当な場所に置いて撮影すると、なんというか存在感がぐっと立ち上がってこないだろうか。くるはずである。
これはこれでいいのだが、まだなんというか静物的だなという感じがいなめない。もっとプラモデルにダイナミズムを加えることができないだろうか。たとえば、走らせるとか。
いや、なんとかして外で元気に走らせたいと思う。走らせたいのだ!
どうやって走らせるのか。考えていると、ちょうど良さそうなものが売られていた。
また物欲に注文ボタンクリックする指が負けてしまった(しっかりしろ、指)のだが、ラジコンカーである。
パッケージにはりんごを運んで走れそうなことが書かれている。
これをつかってプラモデルを走らせてみたい。プラモデルがより元気に見えるはずである。
ちなみに軽トラのボディ部分を外してシャーシだけにならないかとネジを外したら、中でヘッドライトとテールライトの配線がシャーシにべっとりくっついたので、そっと元に戻した。
結果としてアメリカザリガニが軽トラックに乗っている。いったいなんの光景だ、とも思われそうだが、これはこれとして味わいがある。
アメリカザリガニが元気に走り回っているのをみるだけで、なんだかこちらも笑顔になってしまう。
ボストン・ダイナミクスのロボットだとか、モルカーだとか、人々は無機物が動くのに目がはなせない。
そして、ぼくも無機物を動かすことに抗うことはできないのである。
続いてカップヌードルも走らせてみよう。
こうやって届くウーバーイーツがあったらほほえましいですな。
最後はセガサターンを乗せる。すると、はたらくくるまみたいになった。
ご清聴ありがとうございました。
プラモデルとラジコンカーという既製品を組み合わせるだけでも、とんでもない味わいが生まれた。
くりかえすが我々は無機物が動く姿を見ることに抗うことができない。だからこそこういう記事が生まれてしまうわけである。
これからもなんらかの形で無機物を動かし、その様子を愛でていきたい。
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