学生時代のグループ名はダサくてユニークである
このほかにも沢山のグループ名が集まった。相当な数が集まったのに、ひとつも被っているものはなかったのが面白い。グループ名は友達同士の関係性や印象深いエピソードが元になることが多いので、とても個性的な名前ができあがるのだろう。
また、卒業して社会人になってからも、グループ名が継続して使われることも多いようだ。私たちの世代が年老いた頃、グループ名を掲げて集まるおじいちゃんおばあちゃんが頻出するのだろう……
学生時代に仲良しのメンバー(いわゆるいつメン)に”グループ名”をつけた経験はある人は多いのではないだろうか。
そのチーム名をなるべく沢山収集して、皆の青春時代を垣間見たい……そんな好奇心が生まれたので、実践してみることにした。
グループ名をつける文化は、いつから存在しているのだろうか。そもそも学生生活における”グループ”とはなんだろう。おそらくだが、学校・教室という狭いコミュニティの中で、移動教室やお昼休憩時に行動を共にするいつも一緒にいるメンツ(通称:いつメン)のことを指す。グループに属すという文化はだいたい学校生活の中で発生する気がしている。
私の経験上、学生時代につけるグループ名は大体適当で、ダサくて、ユニークだ。青春時代の甘酸っぱい黒歴史の香りがするのだ!!
とりあえず、自分が学生時代の頃どんな風にグループ名をつけていたか思い出すために、昔の記憶を辿ってみることにした。
もちろん私もグループ名をつけたことがある。高校2年生のとき、仲良し3人組で「くそあま」というグループ名をつけた。なぜ”くそあま”かというと、3人で集まって話すことが本当にクソみたいな内容だったとか、3人の名前の頭文字を合わせるとAMAという単語だったような気がする……
このように、学生時代につけるグループ名はそこまで強い由来はなく、その場のノリで適当につけることが多いと思う。私の周りの友人たちも、単純明快なものが多かった。
人はなぜグループ名をつけるのか?他の人はどんなグループ名をつけていたのだろうか?思いを馳せていたら眠れなくなってきた。
とにかく色んなパターンのグループ名を知りたかったので、まずはアンケートで募集してみることにした。
沢山のグループ名が集まったので、まずはデータ化して傾向を探っていこう!
まずは回答者の年齢比を調べた。
ただ、このアンケートは私とSNSで繋がっている人やその周辺の回答が大半なので、必然的に10代は少なくなってしまっている。現役の高校生に話を聞くと、今でもグループ名をつける文化は継承されているようだ。アンケート結果から、20代以下の年齢層はグループ名をつける行為が頻繁に行われてそう。
続いては、グループ名を中学・高校・大学・社会人のどのタイミングでつけたかを調べてみた。
高校生はグループ意識がもっとも強いのだろうか。友達同士で遊んでSNSにアップするという機会がもっとも多い年代なのかもしれない。予想に反して大学生も多いのはびっくりだ。少数派ではあるものの、年齢層高めの社会人もグループ名をつける文化はありそうだ。
次はグループ名をつける動機を調べた。
仲良くなったメンバーとLINEグループを作る際に名前をつけなければならず、適当にかいたものがそのままグループの総称となるパターンが非常に多かった。
また、特につけようと思っていたわけではないが、いつのまにかグループ名がついていたという理由も多数だった。友人の印象的な発言などをなんとなく引用していたら定着したなども理由として挙がっていた。
上位3つの理由を見ると、グループ名をつけるのに明確な理由はなく、なりゆきでつけていることがわかる。たしかに、LINEグループの名前って適当につけがちだ!!
ではさっそく、あつまった191の回答の中から個人的に印象に残ったものを紹介していく。私の独断と偏見で決めているので、評価基準も合わせてご紹介する。
【名前の由来】高校3年生の頃、他のみんなが受験勉強に勤しんでいる間、ほとんど使われていない部室にたむろして、コマ撮りアニメを作ったり、YouTubeでミュージックビデオを見たりと漫然と過ごしていました。あまりのだらしなさに自然発生的に「ゆとり」だねとなり、高3という集大成的な時期も重なり「総本山」という響きがバチッとハマりました
音の響き:★★★
強そう :★★★★★★★
それゆとりじゃなくて青春では?:★★★★
いきなりパンチが強い。「ゆとり」と「総本山」という相反する単語がひとつになることによって絶妙なハーモニーを生み出し、一度聞いたら忘れられない。あと、部室にたむろしてコマ撮りアニメをつくったりとかさ……めちゃくちゃ青春してんじゃん。私もいれてください!!
【由来】全く覚えてませんが、名前のインパクトが強く名前だけ覚えていました
突拍子のなさ:★★★★★
ダサかわいい:★★★
由来を思い出して欲しい:★★★★★★
ちょっとまってくれ、この激強インパクトな名前で由来を覚えてないなんてことがあるのか?ドス恋という単語と神社という単語が出会う瞬間を想像してみるが、全く思い浮かばない。ひたすら神社の恋みくじを回っている学生ってこと?
そして、名前の響きはダサいのになぜか可愛らしさがあるのが不思議。ドス恋神社〜ズの恋は実ったのかしら……
(Fight to the powerは20人ぐらい、その中の選抜メンバーが華龍恋で8人。美蘭華は一個上のグループで15人ぐらいいました)
【由来】Fight to the power=そのメンバーで海にいったらそうさけんでるおじさんがいた
華龍恋・美蘭華=とにかくヤンキーっぽくてかわいい名前つける選手権みたいな感じだった
編成が複雑:★★★★★★★
華やかさ:★★★★★★★
かわいらしさ:★★★
まず編成が難しい。グループの中に選抜メンバーがいる構造がややこしすぎる!
海辺で「Fight to the power!」って叫んでるおじさんいたら怖すぎてまず近寄りたくない。でもそういう奇妙な情景こそ忘れられないものですね(だからといってグループ名にするのか?)。
【由来】タスマニアデビルに似ている美術の先生がジャスミンティーを飲んでいたから
先生をいじりすぎ:★★★★★★★
名前の響き:★★★★★
かっこよさ:★★★★★★
先生に陰であだ名をつけるの、あるあるですよね。私も数学の先生にムーミンってあだ名つけていました。
タスマニアデビルって可愛いけど似てるねって言われると微妙な動物第5位ぐらいな気がする。
【由来】ハーモニカが上手な学校一の問題児がリーダーだったので。
卒業して15年後の同窓会で、初めてそんなグループ名で呼ばれてたこと知りましたが、陰で日常的に使われていた様子。
センス:★★★★★
大喜利力:★★★★★★
なぜ気づかなかった:★★★
陰でグループ名をつけられていたことを15年越しに知るという新しいパターン。
「ハーモニカが上手な学校一の問題児」というワードだけでもう面白いが、THE 虎舞竜にかけているのにもセンスが伺える。
【由来】全員笑い魔だったので微笑み絶やさずから。(どっちかと言うとゲラゲラバクハーツとかの方が相応しかったと思いますが)
センスを感じる:★★★★★
平和:★★★★
語感の良さ:★★★★★
正直見た瞬間はダサ!って思ってしまったが、語感の良さといいほのぼの感といい、独特のセンスがある。”ゲラゲラバクハーツ”もじわじわと笑いが込み上げてくる。
【由来】不明
なぜこれになった?:★★★★★★★
幼児感:★★★★
平和:★★★
このパターンで理由が不明なことってあるんかい!でも学生って「下衆」とか「うんこ」系のワードを意志がないまま使うことが多い。
ちなみに私も学生の頃「うんこ」を意味なく1日に50回ぐらい連呼している時期があったが(ネタとかではなく本当に毎日言っていた)、付き合っていた彼氏に「もう大人なんだから、頼むからやめてくれ」と言われて渋々やめたことがある。
【由来】二口(ふたくち)という名前の友達のあだ名がブタ(ふた=ぶた)で、そこから派生して豚汁が生まれ、☆とロードはなんとなくつけた。メンバーそれぞれに具の担当(豚肉・じゃがいも・にんじん・味噌・こんにゃく・ごぼう)があり、みんな合わせると豚汁が完成する。略して豚ロ(トンロ)。
団体芸:★★★★★★★★★
溢れ出る陽キャ感:★★★★★
☆の存在感:★★★
なかなかパンチのあるグループ名だ。誰かが特に豚汁を好きなわけでもないのが面白い。全員が集まると豚汁が完成するシステムも画期的で、”チーム1人たりとも欠けてはならない”という信念を感じる。
【由来】教科書が汚れたからって水で洗うやつがいたから
なんで?:★★★★★
教科書を水で洗っちゃいけません!なんて学校で習わないからついつい洗っちゃうよね!! そう言いたいところだが、水で洗った場合代償の方が大きいのでは?
水を含んでお麩みたいに5倍ぐらいに膨らみそう。
【由来】東方神起が好きな子がいて、東方神起の歌い方って吐息混じりだよねといういじりから来ていた(と思う)
着眼点が特殊:★★★★★
字面がかっこいい:★★★★
吐息混じり=Toiki5で、グループのメンバーたちが納得したのかだけ教えて欲しい。どれだけ東方神起の吐息の話題で盛り上がったんだろうかと想像すると楽しくはある。
そして字面はかっこいい。LDHのスタイリッシュなダンスユニットで居そう。
【由来】グループの1人のおばあちゃんが、子どもを叱る時に「どこのせがれじゃ!」というのを「どこしがれ!」と言います。
そしてその子の地元ではそのおばあちゃんがリーダー格の朝から原付で公園に集まるご近所グループがあります。
そのグループが元祖「どこしがれ軍団」なのですが、高校の学科名がZ科ということと、ただかっこいいと言う理由でZをつけ「どこしがれ軍団Z」と言う名前になりました
おばあちゃん強すぎる:★★★★★★★
かっこよさ:★★★
どこしがれ!というのは何だろう。「どこしがれ 方言」で検索しても何もヒットしなかった。おばあちゃんが生み出した威嚇用の造語なのだろうか?
”おばあちゃんがリーダー格の朝から原付で公園に集まるご近所グループ”も気になって仕方ない。
そしてZ科とは……?ももいろクローバーZみたいで、いいような気もしてきた。
【由来】同級生らと毎年の夏に田舎で川下りをしていたのだがその際に浮き輪の代わりにポリタンクを両腕に抱えて下っていたことから
なんでだよ:★★★★★★
エコ:★★★
日本代表っぽさ:★★★★
ピンポイントの思い出がグループ内で伝承されてグループ名になるパターン、あるよね!浮き輪よりポリタンクの方がちゃんと浮きそう。
あと響き的に”なでしこジャパン”っぽいのも良い。日本代表でこの名前のチームがいてほしい(弱そうだけど!)
【由来】授業中に書いていた戦隊物小説のチーム名。高校時代に、浅草にもサンバカーニバルがあることを知り、リオのカーニバルと対決したら面白いかなぁと思って書き出した戦隊物小説(ギャグ)に、親友の皆をそのままヒーローとして登場させたのが由来です。
リーダーがパープル、他にモスグリーン、オーシャンブルー、カシスオレンジ、ベージュなどの色をつけていました。カシスオレンジはお酒の名前ですが当時は知りませんでした。
なんでだよ:★★★★★★★
読みたい:★★★★★
サンバ:★★★★
「浅草のサンバカーニバル VS リオのカーニバル」を主題にした小説ってこと?しかも戦隊モノ?でも学生の頃って授業中とかにこういう突飛な小説書きがちかも。あと友達を登場させがち。
【由来】事あるごとに「セッサン」という謎の言葉を発していて(意味もわからない)、それがグループ名となった
音の響き:★★★★
字面の良さ:★★★★★
発音しやすさ:★★★★
友達同士しか通じない謎の造語を生み出して流行らせるの、学生あるあるな気がする。セッサン、語感がよくて息を吐くように言えるのが評価高い。
好奇心で試しに検索したところ、"せっさん"という山形県の指スマ(指を使う遊び)が存在するらしい。そんな偶然があるのか。
【由来】同じ墓に入ろうなーのノリです
覚悟の強さ:★★★★★
切なさ:★★★★★★★
字面:★★★
死後の世界を友にする覚悟の友達がいるなんて羨ましい。でもノリで同じ墓に入っちゃいけません。天国で後悔しないように、墓友は慎重に選ぼう!
【由来】仲良い4人で遊んでいたらその日丁度駅伝がテレビでやっており、ノリで「うちら青学陸上部駅伝部レギュラーだしな」と言い張っていたらそのままグループ名になった。毎年青学が負けたら「ウチらの努力がたりなかったね〜」という会話をしている。
音の響き:★★★★★★
かっこよさ:★★★★
全く関係ない他校の駅伝ほど気楽に見れるものはないのに、あえて自分ごと化していくスタイル、素敵!青学の陸上部もさぞ喜んでいるだろう……
【由来】グループの1人がマルミ工業(まるみこうぎょう)をマルミエ業(まるみえぎょう)と読み間違えたインパクトがめちゃくちゃデカかったため。
【評価】
アホさ:★★★★★★★★★★★★★
バカさ:★★★★★★★★★★★★★
実際にありそう:★★★★★★
マルミ工業とマルミエ業、ぱっと見違いが全くわからないからしょうがないのかもしれない。でもこの漂うアホさはなんだろう!
【由来】いつものメンバー(いつめん)+おい森世代+筆者があだ名でユニバースと呼ばれた事による悪魔合体
どういうこと?:★★★★
圧倒的平成感:★★★★★★★★
かわいさ:★★
平成生まれには欠かせない”おいでよ!どうぶつの森”を引用したグループ名。所属する友達のあだ名を組み込むのはあるあるだが、ユニバースというあだ名がどんな経緯でつけられたのかは定かではない。
【由来】飲み会でゲロの隠語をスプラッシュと呼んだことから
下品:★★★★
かわいさ:★★★★★
くだらなさすぎて笑った。隠語にすればいいってもんじゃあないんだよ!!ただし、字面はよい。ひらがなにすればかわいくなるのずるいな……
【由来】プリクラを撮る時の定番のポーズに、両手でピースを作り、おでこと顎に上下に、縦につけてするポーズが流行っていた。この様子が古典の授業で習った垣間見るという状況に似ているのではないかとなり、この名前になった。
語感の良さ:★★★★★★★★
やりたくなる:★★★★★
「垣間見ピース」というポーズが今まで存在しなかったことが不思議に感じるぐらい、語呂がしっくりきている。古典的な文脈もおさえた博識のあるポーズではないか!
【由来】皆で厨二病を罹患していて、秘密の組織を作りたくなった為。一番重症だった僕が提案した気がします。もうあまり覚えていないんですが、話し合いの結果これがかっこいいと言うことになったのだと思います。当時の僕は”無”はかっこいいと思っていたので、気に入っていました。
バンギャの集団っぽい:★★★★★
十字架が素敵:★★★★★★★
とにかくクセが強すぎる。両端に十字架があしらわれているのがポイント高い。全員厨二病なら「無は万物より大いなる力を持つ──魂の導きにより我々はここに降臨しし者†」などと会話していそうだ。
このほかにも沢山のグループ名が集まった。相当な数が集まったのに、ひとつも被っているものはなかったのが面白い。グループ名は友達同士の関係性や印象深いエピソードが元になることが多いので、とても個性的な名前ができあがるのだろう。
また、卒業して社会人になってからも、グループ名が継続して使われることも多いようだ。私たちの世代が年老いた頃、グループ名を掲げて集まるおじいちゃんおばあちゃんが頻出するのだろう……
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |