新幹線の乗降の多い大きな駅や空港には、お土産の買い忘れをフォローするお店が結構ある。各地の名物をしれっと売っているのだ。
体はもう帰ってきてるのに、まだおみやげが買えちゃう。そんな、距離が無視できる興奮にあふれる店々をまわってきました。
※2007年3月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。情報はすべて初出当時のものです。
まずは東京駅から
おみやげ買い忘れフォロー店めぐり、最初はやっぱり東京駅から始めたい。遠距離移動の基本、新幹線各線の発着駅である。もう毎日各地からわらわらとおみやげを買い忘れて困った人々が到着しているんじゃないだろうか。
この建物の中に大勢のおみやげを買い忘れた人々が…
今日はそういう人々のため、東京なのに東京じゃない土地の名物を売っているお店を探したいわけだ。
なんとなーく、見た記憶はかすかにあるのだが……実際あるんだろうか。
ずらり並ぶ東京みやげには今日は用はない
魅惑的だけど、用はないんだってば
あった、各地の海の幸
東京のおみやげにつぐおみやげのなか、現れたのが下の写真のお店だ。
どこかの県の物産展のような佇まい
近づくと各地から押し寄せた品々が
八重洲北口付近ならぶ店のなかに、突如としてあった。みると、各地のうまい魚介の加工品がずらっと並んでいる。一緒に白飯を売って欲しくなるような魅惑のラインナップ。
おみやげというと箱菓子とこの手の渋い海系の加工品というのが鉄板だろう。
おーい! おみやげ買い忘れた人、みんなここで買えるぞーう!
海産のほか、わさび漬けも
瓶詰めはなんでもぐっとくる
海鮮に見とれている目で全体を見回していて、一つだけちょっとジャンルが違うものがあることにも気づいた。
うなぎパイだ。なんでまたここに。
おーい! 浜松のおみやげ買い忘れた人、みんなここで買えるぞーう!
うなぎパイ~~っ!
お菓子類は大丸の地下にも
紅一点のように光っていたうなぎパイについ目を奪われて海産物そっちのけで購入した。
しかもこの店、うなぎパイを買ったらちゃんとうなぎパイの紙袋に入れて渡してくれたのだ(小分け用のビニール袋もくれたぞ)。
おみやげの雰囲気をいっそう盛り上げる紙袋。ひっそりと、しかしかなり しっかりと買い忘れに対応している。やるな。
どこから見ても立派な浜松帰り風になり、私の顔はきりっとしました
さらなるおみやげを求め、駅とくっついているデパート、大丸の地下の全国銘菓にも行こう。
大丸地下のコーナー、頼もしい看板。なお、三越の「菓遊庵」など全国の銘菓を扱うデパ地下コーナーはそもそも多い
単純に各地の銘菓をあつめたコーナーだから今回の企画とはちょっとずれるようにも思うが、八つ橋、柿チョコ、のし梅と、揃えてくれると買い忘れにも頼もしい。
生八つ橋、ありましたー!
柿チョコ、これこないだ新潟で買ったよ
うなぎパイはこちらにも
水戸名物の大人の味もあった
おお、個人的に大ファンの一六タルトも
デパートだとおみやげとして売っている感はないですな
名品を目視したところで、あらためて今回求めている、あくまで買い忘れをフォローする、うっかりさんのための店ももう少し探したい。
どこだったらあるだろう。そうだ、空の旅の玄関である羽田空港に行ってみよう。
羽田空港と夢のちんすこう
羽田空港に到着。こちらは第1ビル出発ロビー
もう5年以上前、家族で沖縄へ行ったときだったと思う。おみやげのことは考えずにかなりマイペースに旅を楽しみ、最後の那覇空港で大慌てで家族のメンバーめいめいがおみやげを買い揃えた。
で、羽田に到着してみたら、到着ロビーを出てまん前の店でちんすこうが売られていて、「えー」という気持ちで必要もないのに変に盛り上がってまた買った覚えがあるのだ。「ここ、まだ沖縄かよ!」とか騒ぎながら。
思えば、あれは完全におみやげを買い忘れた人のための店であった。記憶はおぼろげだが、あれは夢ではなかったと思う。
東京駅同様、羽田空港も出発ロビー近辺では盛んに東京みやげが売られていた。その他、ヨックモックやとらやなど、旅のおみやげ、というよりもいわゆる手みやげ、菓子折りの販売が盛り上がっているようだった。
ここじゃない、やっぱり記憶どおり、おみやげを買い忘れた人のための店は到着ロビーにあるようだ。
羽田カレーの匂い説の原因とも思われるカレー店「ライブカレー」の隣にその店はあった
到着ロビーのまん前、普通の売店風ですが、中をのぞくと…
出発ロビーに比べると静かな到着ロビー。私が行った時間帯はちょうど到着便もなく、あたりはひっそりしていた。あのー、旅先でおみやげを買い忘れて帰ってきてしまったのですが……。あ、あった。
でた、博多明太子
辺りを見回すまでもなく、ありました。到着ロビーのまん前に各地のおみやげ販売コーナーが。
やっぱりあった沖縄のちんすこう
北海道もあるぞ、鮭フレーク
長崎からは角煮まんじゅう
宮崎の冷や汁と渋めのメニュー
かと思えば東北から牛タンチップ
銘菓系もあります。熊本の松風!
無敵です
到着ロビーは北ウィング、南ウィングどちらにも各地の名物を扱うお店があった。もれなく救済である。
ちんすこうはやはり夢ではなかったのだ。悩んだ末、今日は博多でおみやげを買い忘れた人を気取って明太子を買った。すると、ここでも専用のビニール袋が。へえ。
お店の袋に入れ、さらに専用袋もついてきた
羽田空港第1ターミナルにはこの他にも鉄道連絡口の近くにもその名も「旅のお土産館」というのがあって、ここはキャッチコピーが“買い忘れ、食べ忘れ、ここにおまかせ”だ。買い忘れのための店もここまで開き直ってきた。いいのか。
ものすごい開き直り
なお、ターミナルビル内には北海道の物産店もあるので北海道みやげはこちらでも調達できます
おみやげというより、自分で欲しいこんなのから、
こんぶまで大充実
こうなると、やっぱり気になってくるのはあそこじゃないだろうか。
そう、海外への玄関口、成田空港である。国内よりいっそうお土産の買い忘れが深刻な海外。成田空港の買い忘れサポート力を確かめたい。
世界のおみやげのお店
ここに来ると本当どきどきします。成田空港出発ロビー
さて成田。もう普通にありました。羽田空港とまったく一緒、到着口前におみやげのお店が。
さすがに国内のように生ものは扱えないのか、ラインナップはお菓子が中心。
こちら、雑貨を扱っている風な感じですが
なかにはずらりと各地のおみやげが
海外旅行というと国内以上におみやげ買い忘れのエマージェンシー度が高いだろう。
個人的には新婚旅行でベルギーに行った際おみやげが足りなくなり、偶然現地で食べて美味しかったチョコレートショップのチェーン店をデパ地下で発見したのでそこで調達して配った覚えがある。
ものすごい分かりやすいニューヨークみやげなどお菓子を中心にぎっちり
商品には輸入用の日本語ラベルがきっちり張ってあり、「足りなくなったので現地で食べたのと同じのを買ってきた」と配るごとに説明したのだった。どこに出しても恥ずかしくないおみやげを買い忘れた人っぷりであった。
なんだ、ここで買えばよかったのか?
そして、値札には「旅行通販カタログ」の文字が頻繁に見られた
「おみやげカタログ」のなぞ
さて、上の写真の「旅行通販カタログ」というもの、何かと聞くと、おみやげカタログのことだそうだ。おみやげカタログとは、出発前に予約をしていくと到着後に自宅に行ってきた土地のおみやげを宅配してくれるというサービス。
存在は知っていたが、なんだか謎なサービスだ。だって、おみやげって、自分で現地で買うから“おみやげ”なんじゃないか。
これまで紹介した、おみやげを買い忘れた人のための店はともかく、カタログで頼んじゃっだら、おみやげじゃなくてそれは輸入なんじゃないか。
ぼんやりした疑問をいだきつつも、成田空港にはこのカタログから選んだおみやげがすべて直接予約できるというカウンターがあるというので行ってみた。
小さいカウンターにキオスクばりにいろんな商品が刺さってた
もしかすると、帰国後に買い忘れたおみやげもこのカウンターでフォローしてもらえると思ったのだ。私が悩まされたベルギーのおみやげも買えてしまうんじゃないか。
カタログ経由、世界のおみやげ屋さんは出発ロビーのすみに、ひっそりとしかし雑多でわくわくする光を放っていた。
観光スポットどこでもどんとこい
買い忘れにも対応「おみやげカタログ」
早速聞いてみると、これから出発する人でなくても、誰でもこのおみやげカタログのサービスは使えるそうだ。基本的には普通のカタログショッピングと変わらないらしい。
めっちゃあるな……
ためしにドイツ~ベルギー旅行のおみやげで買い忘れがあったと相談してみる。担当の方は親身になって対応してくれた(すごくいい人だった)。カタログで買い忘れを補充するケースは珍しくないそうだ。ここもある意味買い忘れた人のための店であった。
相談の結果、ドイツのチョコレートとビールのセットを本当に注文してしまった。
予約がその日の午前11時前だったため、なんと翌日には届けてくれるという! 買い忘れ、これでもかの強力サポートである。
スイスとイタリアのおみやげを試食させてもらいました
「おみやげ」ってなんなんだっけ、そんな腰のくだけるようなサービスではあるけれど、
・店員さんが当然日本語で対応してくれて丁寧(海外だと外国語にまくられて適当なものを買わずにすむぞ)
・一部のお菓子は試食もできる
・なんと、ポイントカードもある
と、なんとなく小声になるが、便利このうえないシステムだった。当然現地で慌てて買う必要も、荷物がぎゅうぎゅうになることもないわけだ。
ドイツのおみやげは、きっちり1日後到着(小分け用の青いビニールバックつき)
それにしてもポイントカード制度の存在はすごい。頻繁に利用する人がいるということだろうか。偉い人とか、しがらみが多くてたくさんおみやげを配らないといけない、商売をしている人か。
おみやげは、気持ちだ。便利さをとっても、気持ちが伝われば、それはそれでいいのかもしれない。
おっと、いけねえ! ぽやーんとしてきてしまった。
買ったおみやげは、職場で配ったり
法事でくばったり
自分で食べたりしました
ぽやーんとしたまま終わったが、まとめよう。
なんだかんだいって、巡った店はカタログのカウンターも含めてどこもわくわくする楽しい店だった。そうだよ、別におみやげを買い忘れた人じゃなく、普通に食べる用のものを買ったっていいんだから。
ちなみに東京駅では横浜のシウマイや草加せんべいなども東京都外のおみやげも構内の随所で売られていた。東京駅のユーザカバー半径を考えるとこれは許容範囲ということだろう。おなじ理屈で、成田では北海道から沖縄までのおみやげを扱っていたのだった。
おみやげのお店の柔軟性には突っ込みどころいっぱいだ。なんにせよ、おみやげはおいしいし、もらえばうれしい。ので、なんでもええじゃないかと強引に納得しました。
成田のよぼっとした各地のおみやげラインナップ
(「白いお台場」というのがあるんですな)