美しくさを求めて
今回、ネイルをしてみて一番良かったのは、自分が持っていた「ネイルは女性がするもの」というステレオタイプの考えを捨てられたことだ。
そして、ネイルを一度やったことにより「美しくありたい」という気持ちが強くなった。今、指の毛を脱毛している。
俺は美しくなるぞ!!!!
女性の友人から「ネイルやるとマジでテンションあがるよ!」「ネイルは休日の癒やし」という話を何度か聞いたことがあった。ネイルをすると爪を見るだけでテンションあがるらしい。
そういえば「ネイルをやってみる」という選択肢をなぜか自分の人生から勝手に消していた。よし、やってみるか。
最初に懺悔をしておこう、ごめんなさい。
ネイルをやる前は「ネイルってゴテゴテしているし可愛くない」「何が楽しいの?爪塗るだけじゃん」と思っていた。
「ピーマンが苦手だったけれど、大人になって食べてみたら好きになった」くらいの話だ。やってみると楽しさに気づく。
ネイルをつけてもらっているとき、自分の爪がどんどん美しくなっていくのにワクワクした。爪がキレイな状態で生活するのは、お気に入りの洋服が指先についているようなウキウキ感があった。
俺も可愛くなっていいんだ!!ということを教えてもらえた気がする。ありがとう、ジェルネイル。
指が目に入ってくる度に「かっけぇ〜〜〜〜!」と感動する。
これ、本当に大げさではなく、ついつい爪を見てしまうのだ。
新しいおもちゃを買ってもらったように、新しい靴を買ったときのように、指の先端にウキウキがつまっているのだ。
キラキラしている爪を見て「宇宙みたい」と、ロマンチックなことを思う。ネイルは心をもキラキラにする。
ネイルをつけてから2〜3日は「寝ているときに長い爪が折れたらどうしよう」と怖かった。ネイルがひっかかって自分の爪ごと持っていかれたら……と想像するとゾッとする。
ただ、やはりこの心配も1週間もすれば、キレイさっぱり頭の中から消えてなくなった。ジェルネイルはレンガくらい頑丈。
※ ちなみにこの長い爪は自分の爪ではない。ジェルで伸ばしている。後ほど、どうやってつけているのかも説明する。
そもそもこの記事を読んでる人で、ジェルネイルのお店に行ったことがない人もいるはずだ。
ということで、ここからは僕がはしゃぎながらジェルネイルをつけてもらった体験記を書いていこう。
「お店に行ったら色を塗って〜」と、すぐにネイルは始まるのかと思っていた。
しかし、まずは爪をキレイにしていくところかららしい。下準備をしっかりすることで、ネイルの定着率が良くなるとのこと。
美咲さんのお店では、下準備としてお湯につけて爪をキレイにする「ウォーターケア」を行っている。
しかし、僕は自分の爪がそこそこキレイなタイプだと自負していたので、時間をかけてキレイにする必要があるのか疑問に思う部分があった。
俺の爪ってこんなに汚かったのか…!!!!!!
見ればみるほど、もともとの爪がブサイクに見えてくる。カメラアプリで加工した?と勘違いするくらい美しい。
濡らして、甘皮を押しあげて、爪をキレイにして……と、ケアだけで1時間ほどかかっていた。
美咲さんは「爪を育てる」ことを大事にしているため、丁寧にウォーターケアを行っているのだ。(お店によっては、ケアをせずにネイルから始める場合もある)
そもそもであるが、僕はジェルネイルがなにかよくわかっていなかた。マニキュアと同じものだと思っていた。
聞いてみると、ジェルネイルは「爪にジェルと呼ばれる合成樹脂を塗って、UVライトやLEDライトなどを使って固めるネイル」ということらしい。
「無理やり取ろうとすると爪が剥がれちゃうくらいに、爪とジェルは密着しますよ」と教えてもらった。例え話が怖すぎる。
ジェルネイルはジェルを一度固めて、その上にまたジェルを塗って完成させていく。
つまり1つの爪を完成させるまで、
ジェルを塗る→ライトを当てて固める→ジェルを塗る→ライトを当てて固める……
と、何度も重ね塗りしていく。地道だ。ネイリストってもっと派手な作業をしていると思っていた。
美咲さんは僕が理解できるように「ジェルを重ね塗りしていくのは、Photoshopでレイヤーを重ねていくイメージに近いかな」と教えてくれた。わかりやす。例え話の守備範囲が広いな。
自分の爪が次々に作品に昇華されていく…!!!
そうか、爪ってキャンバスなんだな。ネイリストにとっては芸術を表現する場所なんだ。
爪って伸ばせるのか。なんだ、これ、おもしろすぎる。
「爪が急に伸びる」という異常事態に脳の処理が追いつかず、考えることを放棄して、ただただ爆笑した。
爪がどんどん変わっていくのは、マジックショーを見ているような感覚にも近い。ジェルネイルはアートでありエンターテイメントなのである。
「休日にネイル行くのマジで楽しいよ!」と女性が言う理由がだんだんとわかってきた。マジで楽しいよ!
ああ、かわいい。愛しい。俺の爪ってこんなに愛くるしかったのか。
このまま100年経って「世界最高に爪がかわいいミイラ」としてルーブル美術館に寄贈されたい。
「え?塗るだけでそんな光るの?」「そんな仕組みで宝石みたいに!!」と、驚きの連続であった。知らない世界は日常から100メートル以内にごまんとあることを思い知らされる。
うわー!俺の指、可愛い!!!!!!!
終わってから時間を見て驚いた。なんと、2時間も経っていた。はぇー、楽しすぎてまったく長く感じなかった。何度でも言うぞ。ネイル、楽しい!
本来であれば、ネイルは10本すべての指を含めてデザインを决めていく。
しかし今回は、「様々なネイルを体験したい」という僕の要望に答えてもらい、左右でバラバラなデザインにしてもらった。本当にありがとうございました……!!
さて、最後にネイルをつけて生活をしてみてわかったことを短めに6つほど書いていこうと思う。
ネイルはつけるだけじゃなく、日常でも楽しみを与えてもらえる。コスパ良い〜!
僕は勝手にネイルをしている人に対して「個性を出すため」や「人に見せるため」という偏見を持っていた。
しかし、「なんでハンバーグ好きなの?」という問いに「美味しいから」と答えるのと同じだった。ネイルに深い意味なんてない。かわいい、かっこいい、楽しい、と感じたからやる。それだけだ!!
ネイル楽しい〜〜〜!
と自分が思っていても、周りから偏見の目を向けられることはある。
サウナに行ったとき、大学生くらいのグループに「うわ、なにあれw」と嘲笑されることがあった。
このときの気持ちについては「ムカつく」などの怒りよりも、「仕方ないよな」という思いの方が強かった。自分とは違う人間を見たときに、偏見を持ってしまうことはあるし、第一印象で人柄を想像してしまうこともある。人間だもの。
女性に会うと「えー!そのデザインかわいい!」「ネイル楽しいよね!」という感じで、共感されることが多かった。
逆に、男性に会ったときは「どうやってつけるの?」「生活していてどう?」と、たいていが興味での質問だった。普段は異性に聞きづらいので、質問しやすかったのかもしれない。
ネイルをつけたことがある人と、つけたことがない人のちょうど中間に立っているようでおもしろい体験だった。
爪のデザインがしっかりしているため、服装もだらしないものにしないように気を遣うようになった。「ネイルに見合った行動をせねば」と、気合を入れる感じ。
あと単純に、犯罪がすぐにバレそうだなとも思った。「緑色の長い爪のネイルをしている男でした!」みたいな。
ネイルは爪が伸びてくるとダサくなってしまう。髪の毛を染めたときにプリンになってしまような感じだ。こうなってしまったら、ネイルオフを検討する時期だ。
ネイルオフするときは、爪に密着したジェルの表面を削って、専用の溶剤で溶かして、落としていく。ネイルオフするだけでも、やはり1時間くらいはかかってしまう。オシャレは大変だ。
今回、ネイルをしてみて一番良かったのは、自分が持っていた「ネイルは女性がするもの」というステレオタイプの考えを捨てられたことだ。
そして、ネイルを一度やったことにより「美しくありたい」という気持ちが強くなった。今、指の毛を脱毛している。
俺は美しくなるぞ!!!!
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