酔拳ができないぐらいベロベロになった
憧れのジャッキー・チェンが飲んでいた三鞭酒を飲む事ができて、これでまたジャッキー・チェンに近づくことができた気がする。今後は酔拳の練習をしていこうと思います。
「酔えば酔うほど強くなる」のキャッチコピーで有名なジャッキー・チェンの主演映画、酔拳が好きだ。師匠との修行シーンや酔拳の相手のスキを生むゆったりした動きと相手を攻撃する際の激しさに思わず見とれてしまうカンフー映画の傑作だ。
そんな酔拳だが強敵と戦う終盤、師匠からもらったお酒を飲んで力がみなぎるシーンがある。そのお酒が実は現実にあるらしい。
神奈川県横浜市が世界にほこる観光地、横浜中華街。みなとみらい線の元町・中華街駅が最寄り駅である。渋谷からも乗り換えなしで行けるのでアクセスがよく、土日となれば日本人だけではなく、海外からの観光客でにぎわっている。
私自身、神奈川県生まれであるが中華街に来たのは初めてだ。東京の人が東京タワーに昇ったことがないのと同じで、意外と近くあっても行かない。中華料理が食べたいときは日高屋か餃子の王将に行ってしまう。
お酒を探す前にまずは色々と見て回ろう。タピオカミルクティー屋と天津甘栗を売っているお店が多い。
そんな中、変わったグルメを見つけた。脱線するが紹介しておきたい。
甘さが売りのメロンパンに甘辛いチャーシューをはさんでいる。はさんでいいのか。観光地だからって無茶してないか。
外はカリカリとして素朴な甘さのメロンパンである。そして、中を開けると、
煮付けられたチャーシューが入っている。合わないようだが食べて見ると相性が良くて驚く。メロンパンがパイ生地のようなサクサクした食感で、その中から甘辛いチャーシューの味がメロンパンの甘みと合わさり、笑っちゃうがおいしい。
中華街にあるのはそんな変わった食べものだけではない。もう一つだけ紹介してもいいですか?
観光地によくあるお土産屋かと思っていたが、思わずほしくなってしまう商品があった。
強くなりたい者、カンフーを極めたい者としてはぜひほしい。
カンフーは激しく動く必要があるため、スニーカーのような足首が固定されるくつよりも動きやすいカンフーシューズがいいとのこと。
今、スリッポンというサンダルのように足をスッと入れるだけのはきやすいくつがあるが、カンフーシューズもそのような感じだ。
ただ、お店を見ていて、さらに心ときめく商品があった。
30歳の自分ですら興奮しているのだから、小学生が見たら興奮して鼻血を出してしまうかもしれない。なんなら自分も鼻血が出るぐらいのテンションの高さである。
初めて実物のトンファを見て思わず財布に手がのびそうだ。心をゆさぶられている。会社で仕事が追われているとき、トンファを近くにおいて触りながら仕事したい。
ただ、トンファもいいがもう少し手軽に買えるものを見つけた。ヌンチャクである。
中国の武器と言えばヌンチャクである。修学旅行で木刀を見るとほしくなるだろう。その気持ちと同じ気持ちである。ヌンチャクがとてもほしい。これは買いだと思いすぐに買った。
今、カンフーシューズとヌンチャクを持っているので、職務質問されたら「職業は武道家です」と言おうと思う。
そんな寄り道をしたが、本来の目的である酒屋さんへ向かう。
昭和5年創業の老舗の酒屋である安田屋さんは、日本のお酒だけはなく、中国のお酒を取り揃えており、地元だけはなく、中華街のお店からも愛されているお店だ。
多くのお酒を取り扱っているが、その中にお目当てのお酒を見つけた。これがジャッキー・チェンの酔拳に出てきたお酒、三鞭酒(さんぴえんちゅう)である。
これが酔拳に出て来たお酒か。しかし、なんでこれを飲むだけで強くなるのだろうか。そう思っていたらお酒の下にこんな記事があった。
記事を見てみると、三鞭酒は「三鞭とはオットセイ、鹿、山オオカミの陰茎のことで、ここから抽出したエキスにトカゲや複数の薬草を配合し、高梁酒(高梁とはコーリャンという中国で栽培されているトウモロコシのような植物)と合わせたお酒」らしい。
お店の人に聞くと、「滋養強壮に効果があって、体力がないときや夏バテしたときに効果があります」とのことでこれからの季節にぴったりなお酒だ。
ジャッキー・チェンもこれでパワーがついて、いつも以上の力が出せたのだろう。一応、念のために「酔拳に出て来たお酒ですよね?」と聞いたが、「それはちょっとわからないです・・・」と回答をされて不安になった。
気になるのは味と効果である。飲んでみよう。
アルコールで言えば泡盛の度数である。ビールが4~5度ぐらいなのでアルコール度数は高いほうだ。
においはクセのある漢方薬のにおいがするが味はどうだろう。
においはクセがあるが、味は甘みがほんのりとした甘みがあってとてもおいしい。使っている素材が思わずぎょっとするようなものたちだが、スッと飲める。
そして、しばらくすると体の奥から熱くなってくる。飲んだ瞬間は、のど、そしてお腹が熱くなるが、段々と体全体が熱くなってくる。自分のエネルギーで爆発しそうな感じだ。そんな気持ちをおさえるために近くにあるセブンティーンアイスを食べた。おいしかった。
安田屋さんには三鞭酒だけではなく、中国では一般的に飲まれている「白酒」というお酒がある。
中国と言えば紹興酒が有名だが、飲み会などで飲まれるのはこちらの白酒(パイチュウ)である。
こちらも三鞭酒と同じく高粱を原材料として、そこに大麦やエンドウ豆を使って作られており、甘くて香りがいいお酒らしい。
ツボに入ったお酒なんて絶対においしいに決まっている。容器のまま一気に飲んでしまいそうになるが優雅に飲もう。
水で割ってみたり、氷を入れて冷やして飲むのもおいしいが、常温で飲むのが通常の飲み方のようだ。その方が白酒の味わいをより深く感じることができるらしい。
のどが焼けるそうになるぐらい強いお酒だ。少量でもベロベロになれる。このあと、少し草原で横になった。夏の日差しをあびながら、お酒を飲むのもいいものだ。そう思いながら箱を見たら、
ロシアのウォッカがアルコール度数50度ぐらいらしいので、ベロベロになるのもわかる。でも、後味がすっきりしているので、冷やして飲むとまた違った味わいでおいしいかもしれない。今度は冷やして飲んでみよう。
憧れのジャッキー・チェンが飲んでいた三鞭酒を飲む事ができて、これでまたジャッキー・チェンに近づくことができた気がする。今後は酔拳の練習をしていこうと思います。
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