特集 2021年5月17日

ときめき★メイクアップチューハイ

毎晩毎晩飽きもせず、家で作って飲んでいるチューハイ。味のない甲類焼酎を味のない炭酸水で割っただけの味のない酒。

それに対する文句はひとつもないし、飽きる気持ちも一切ないんですが、気軽に外飲みができない昨今、多少のマンネリを感じなくもありません。

そこで思いつきました。そうだ、味には満足してるんだから、見た目のほうに変化を与えてあげるのはどうだろう? 題して「ときめき★メイクアップチューハイ」大作戦!

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:ご近所の名店「龍正軒」50年の全歴史


かわいい我が子にメイクアップ

あらかじめお断りしておきますが、今回、たとえば前回の「龍正軒」の記事のように、何かのためになる内容は一切含まれておりません。なので、お時間のない方はさらっと流し読みしてもらっても、なんなら文章は読まないでもらっても、むしろこのままそっとページを閉じてもらっても、一向にかまいませんので〜。

さてさて、冒頭でも書いたとおり、飽きもせず毎日のように飲んでいる無職透明の酒、プレーンチューハイ。あいつに、見た目だけでもメイクアップをほどこしてやりたい。そう考えたとき、真っ先に思い浮かぶ選択肢はこれですよね。

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食用色素

ネット通販で買って届いて封を開け、強烈に感じたゴレンジャー感。

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フォーメーションをとらせてやるとさらに戦隊みが
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トー!

つって、ふざけてる場合じゃありませんでした。

えーと、あらためて今回の趣旨なんですが、たとえばこいつ。

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プレーンチューハイ梅干し入り

今日はわけあって小洒落たグラスに入っておりますが、チューハイに梅干しをひとつポトリと落とした、僕の大好きな飲みもの。

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構成要素で言うとこう

ここに、

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食用色素

をちょい足しし、かわいくメイクアップしてあげて、晩酌のマンネリ脱出を図ろうというわけなんです。

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こういうこと

食用色素って、粉なんだな。世の中知らないことばっかりだ。

「メロンソーダ風梅入りチューハイ」

毎度、やったことのないことを試しにやってみるというようなことばっかりしている僕。想像通りにうまくいくのかな〜? なんて不安もあったんですが、

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完璧すぎた

付属の、赤子の爪先ほどのスプーン一杯の食用色素を、グラス一杯のチューハイに加えて混ぜてみたところ、笑っちゃうくらい理想どおりの、見た目は完璧にメロンソーダな液体が完成しました。

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そこに梅干しを戻せば
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かわいい! ときめく!
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「メロンソーダ風梅入りチューハイ」

いや〜大満足! あ、今回はこのあとも、こんな写真がただ続くだけです。あしからず。

しかしながらどうでしょう? この、昔ながらの喫茶店で「メロンソーダでございます」と出されて120%違和感のないビジュアル。

こういうものをお店で頼んだことがないので勝手がわからず、「なんだかそれっぽい」という理由のみで横に添えたガラス容器には、本気で勝手がわからなすぎるので、

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コンビニで売ってたかわいいキャンディ

を入れてみたけど、合ってる自信はありません。

それはともかく、もう1回断っておきますが、これ、単なる梅干し入りのチューハイですからね。実際に飲んでみると、甘味一切なし! 焼酎のアルコール感と炭酸の爽快感をベースに、ほ〜んのりとしょっぱいだけの、見た目に反してストイックすぎる味。

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なので飲むときはこんな顔
いったん広告です

「ブルーハワイ風金魚チューハイ」

さて、届いた食用色素は5種類あります。そこで今回は、せっかくなので、下町の大衆酒場などで飲まれているチューハイメニューに、合いそうなカラーをプラスしてアレンジしていってみようと思います。

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「金魚」

こちらは実際にある「金魚」という焼酎の飲みかた。お湯割りや水割りの焼酎がベースになることも多いんですが、そこに大葉と赤唐辛子を浮かべることにより、まるでグラスのなかを金魚が泳いでいるような涼しげな見た目に。味のほうも、大葉の爽やかな香りと唐辛子のピリッとした刺激でなかなか美味しいんです。

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炭酸水割りは夏にぴったり

ここに青の食用色素を加えれば、

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金魚がたちまち熱帯魚に!
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「ブルーハワイ風金魚チューハイ」

重ね重ね、甘味は一切ないストイックな味です。

「ゴールデンカッパチューハイ」

続いては、その存在を知らない人は「えっ!?」と驚いてしまうかもしれないチューハイ。

プレーンチューハイに刻んだキュウリを加える飲みかたで、「カッパサワー」なんて名前で実際に出している店、普通にけっこうあるんです。これが、甘味のないスイカやメロン系の爽やかさで、なかなかうまいんですわ。

このカッパサワーを緑色にアレンジするのはちょっと生々しすぎる気がして、日本最大の業務用調理道具街、合羽橋にある「金のカッパ像」をイメージし、黄色の食用色素を加えてみることに。

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「ゴールデンカッパチューハイ」

キュウリと飾りに使ったフェイクグリーンの効果か、黄色味がだいぶ緑に引き寄せられてしまってる気がしますが、液体自体は、リアルゴールドのような黄金色。

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ただし、栄養はほぼなし

「乙女ピンクなガリチューハイ」

主に串カツ屋なんかでよく見る、ガリ入りのチューハイ。これまた爽やかで美味しいんですよね〜。それにしてもチューハイの受け皿、でかいな。

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岩下の新生姜を使って

赤の食用色素を加えれば、

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「乙女ピンクなガリチューハイ」

信じられます? この飲みもの、ほんのりと生姜の香りがするだけの、いたってプレーンなチューハイなんですよ?

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スペシャルな日にぜひ

「喫茶店のコーラ風レモンチューハイ」

最後は輪切りのレモンを1枚加えただけの、シンプルなレモンチューハイ。

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安心の美味しさ

ここに黒の食用色素を加え、

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喫茶店のコーラ風レモンチューハイ

いや〜、ずっとチューハイを飲んでいるだけなんですが、見た目がこれなので脳みそがバグりまくりますね。いつもの倍くらい酔いが回るのが早い気がする。

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信じられます? これに味がないなんて

それにしても今回、最初に緑の食用色素をチューハイに溶かしたときは、その見た目のあまりのメロンソーダっぷりに感動したな〜。

つまり今の僕には、真っ青なおすましも、真っ黒なホワイトシチューも、真っ赤な白ワインも作ってしまうことができる。そう考えると、あの頃の自分よりもほんの少しだけ強くなれた気がしませんか?

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