LINEの誕生日帽、これ
たまにLINEのアイコンに、黄色い三角の帽子のようなマークがつくことがある。
その人が今日誕生日であることを示す印だ。
ホーム画面の「友だちリスト」に「今日が誕生日の友だち」とか「誕生日が近い友だち」という欄があって、ここに表示されるアイコンを見ると、ああ! と思っていただけるんじゃないか。

その時代に入って久しいが、SNS時代の到来とともに誕生日が急にクローズアップされた感がある。
それまで誕生日というのはごく親しい人の日しか知りようがなかった。それが、SNSにより知り合いレベルの人の誕生日もカジュアルに知らされるようになった。
LINEはその、誕生日を知らしめる方法が「帽子をかぶらせる」なのが意外で愉快だ。
というわけで、作る
気がついたからには作ってみようか。LINEの世界にのみ存在するあの誕生日帽を、今日は実際にかぶってやろう。
どれだけやる必要のないことも、やれることなら全部やる。そんな人間の思いもよらない貪欲さを、誰でもない自分自身にみせつけたい。

黄色の円錐の上にオレンジ色の丸を乗せ、かぶる。
それくらいの単純なことでもいざ実際にやろうとなるとめんどくさい。
紙を買い→型紙を検索して→型紙通りに切り抜き→組み立てる
頭で考えているだけと違い、実際に作り出すとなると物理をなんとかすることの難儀に気付かされる。だからこそ分かることがあるわけだ。

調べるとおおむね半径(母線)は20センチ、角度は130度から140度くらいが帽子としてかぶりやすいようだ。
心も声も静かに作業し、出来上がったらちゃんとLINEの誕生日の人の帽子だから笑う。
「これじゃん!」の瞬間だ。

誕生日の人の登場です
というわけで、誕生日の人です! と私が登場するのだけど、実際の誕生日は1月なのだった。
1月まで待てずについ作ってしまった。

どうでもいいが、上の写真で結果的に拙宅が日本地図と、あとぶどうの軸を飾っていることを発信することとなった。たいしていろいろ写っているわけじゃないにもかかわらず情報量が無駄に多い部屋であることが誇りです。
それなりにそれっぽくはできたわけだけど、どうだろう、かぶったら「あ! 誕生日!」と人にわかってもらえるだろうか。

これなーんだ
ちょうど当サイトライターで妄想工作作家として名を馳せる乙幡啓子さんとご飯を食べる予定があったものだから、宴もたけなわのころにすっと取り出してかぶってみた。
こういうことは藪から棒がいい。

「ねえ乙幡さん、これなんだかわかる?」
「え……?」
いぶかしみながら、「よくできてますね……」と、とりあえず言ってくれる乙幡さんが優しい。

うっとおしくぐいぐいいったのだけど……
「すみません、わからないです」
ですよね!
同席のもう一人の友人も「完全にわからない、わかる気がしない」とのこと。そこまで言うか。
これですよ!これこれ!とLINEの画面を見せたところ、友人は「あ〜」となったのだけども、乙幡さんはなんと「このマークの存在、はじめて知ったよ……」とのことであった。
当然「で、誕生日なんですか?」という話にはなるものの、誕生日ではない。
ではこれはいったい何の時間なんだという、人情味あふれるいい空気を作ることができた。
ひとつひとつ、丁寧にぜんぶやっていく。そういう身からあふれるハングリー精神にだけは触れた、今日は心の強い日だ(誕生日ではないけど)。
