特集 2024年11月9日

沖縄のカラオケでは沖縄の曲が歌われがちなのか

沖縄に住んでいてヒシヒシ感じることに「ものすごく地元愛が強い」というのがある。ビールといえばオリオンビールだし、そばは沖縄そばだし、高校野球が勝ち進めば道路から車がいなくなる。沖縄では地元のものを積極的に推していこうという雰囲気をよく感じるのだ。

カラオケでも「沖縄だから」という理由で曲を入れている人を結構見るような気がしている。そんなぼんやりとした仮設を実証すべく調べてみた。

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カラオケの履歴から沖縄の曲を探す

本当にカラオケで沖縄の曲が歌われているかを調べるためにはどうすればよいか。話は単純でカラオケの履歴を端から端まで確認していけばよいのだ。

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調べにきた

というわけで、今回は「カラオケハウスとまと」宜野湾店に協力していただいた。「カラオケハウスとまと」は県内に9店舗を展開するカラオケ店で商業施設の2階だったり、閉店したレストランをリニューアルして店舗にしたりと各店で色々特色があって面白い。

僕が大学生だった26年くらい前から宜野湾店はあったと思うのだが、学生時代はもっぱら料金体系がはっきりしないコンテナを並べたカラオケボックスを利用していたために最後にこの店に来たのは多分卒業飲み会の二次会以来である…懐かしい。

そうだ、感慨に浸っている場合ではない。複数人で手分けして履歴をチェックさせて頂く。 

ここからひたすら各部屋の履歴100件くらいを確認していく作業に入るのだが、履歴を見ているとだいたいの曲のまとまりでその時の利用グループの年代や構成がわかって面白い。ひたすら渋い歌謡曲が入っているブロックがあったと思ったら、Vtuberの曲が入っているブロックがあったりしてこれはこれで新たなカラオケの楽しみ方なんじゃ無いだろうか。余談だけど。

BEGINの「三線の花」2007年リリース
かりゆし58の「アンマー」2006年リリース

さて、肝心の沖縄の曲はどれくらい入っているかといえば、各部屋の履歴100件程度に2-3件といったところ。

スピッツの名曲をネーネーズ(沖縄では有名な女性アーティストグループ)がカヴァー

沖縄出身アーティストが歌う沖縄の歌!みたいなド直球のものもあれば、有名な曲の沖縄階調カヴァーなんてものも歌われている。

HYは大人気

ちょっと悩ましいのは沖縄出身アーティストだけど沖縄の事を歌っていないもの。HYはメンバーの出身地である東屋慶名(ひがしやけな)の頭文字を取っていて、ローカルCMにもよく出演しているので沖縄推しにカウントしてよいような気がするが単純に曲が良くて歌われている可能性も否めない。

逆にこれくらいガッツリと沖縄の曲が入っていると潔い。入っている曲は全てエイサーでおなじみの曲なのでカラオケでエイサーでも練習していたのだろうか。 

幼児のいるグループだったのだろうか?

あと気になる事と言えば、沖縄の曲とは関係無いが、結構な比率で童謡が入っていた。これはこれでちょっと興味深い。

部屋には島唄集もあった

さて、各部屋のカラオケ履歴を調査した結果についてお知らせしたい。「沖縄のカラオケでは沖縄の曲が歌われがち」なのかどうかなのだけどこれだけでは「正直よく分からない」。結構沖縄の曲が入っているような気もするのだけどこれよく考えたら全国的な履歴と照らし合わせてみないとなんとも言えないよな…というのが結論である。

ただ取材協力頂いたカラオケハウスとまとの店長さん曰く、「確かに沖縄の曲が比較的歌われているようだ」との話ではあったのだけど。

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JOYSOUNDさんから歌唱ランキングを頂いた

 そんな感じでモヤモヤした状態だったのだけど、なんとデイリーポータルZに協賛頂いているJOYSOUNDさんが沖縄と東京の歌唱ランキングなるものを共有してくれた。

沖縄と東京の上位500曲を比較してみたい

このデータはJOYSOUNDの会員システムである「うたスキ会員」の歌唱データをもとに歌われた歌の上位500位を抽出したものだということ。こちらのデータを比較して本当に沖縄では沖縄の曲が歌われがちなのか調べてみたい。

黄色は何となく沖縄に関連がありそう、赤は沖縄のアーティストで色分けした

まずは1位から15位を見ていこう。このデータは6月のものなのだが、東京・沖縄共通で1位だったのはCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」。2位、3位とどちらも同じ曲がランクインしているのだが、沖縄の4位は米津玄師の「さよーならまたいつか!」(東京だと10位)。曲自体はあまり沖縄には関係無いのだが、PVの舞台が沖縄のA&Wで撮影されている。

さらに11位はHYの「365日」(東京では40位)。このあたりではなんとも言えないのだけど…

30位から50位あたりにもコンスタントに沖縄の曲が入ってくる。カラオケハウスとまとのデンモクでも履歴として入っていたBEGINの2曲、夏川りみの「涙そうそう」がラインクインしている。東京ではBEGINの「島人の宝」は209位、「三線の花」はランク外。夏川りみの「涙そうそう」は264位になっている。

沖縄民謡は青で色付けしている

100位までいくと、ついにイクマあきらの「ダイナミック琉球」が登場。この曲は最近の創作エイサーの定番曲として使われてるし、甲子園での応援歌としても定着してるらしく沖縄のローカルCMでもBGMとして使われている沖縄県民誰もが知っている曲。

150位には海勢頭豊の「月桃」がランクイン。県外の人は知らないと思うのだが、「月桃」は平和の願いを込めた歌詞が特徴的で6月23日の「慰霊の日」によく流される曲でもある。このデータが6月のものなので時期的なものもあるかもしれない。

その後も300位までコンスタントに沖縄の曲が入っており、300位までののランキングで沖縄の曲は東京で4曲に対して沖縄では20曲だった。これはもう「沖縄のカラオケでは沖縄の曲が歌われがち」と言ってもよいのではないだろうか。


新たな謎も

データでも裏付けが取れてすっきりしたのだが、新たな謎もあった。沖縄のランキング62位にはなぜか童謡の「おしょうがつ」がランクインしていたのだ。6月のデータでなぜお正月…前半の調査で結構な比率で童謡が入っているのは分かっていたのだが、さすがに「おしょうがつ」が宇多田ヒカルの「First Love」より歌われているのには何かあるのではないだろうか。また折をみて調査してみたいと思う。

取材協力:カラオケハウスとまと宜野湾店
http://ktomato.wp.xdomain.jp/

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