沖縄銘菓、アメリカ生まれの「ジャーマンケーキ」とは？

ジャーマンケーキのルーツはアメリカ

ジャーマンケーキは生クリームやバタークリームを挟んだチョコスポンジケーキの上にココナッツの食感を残した「フィリング」と呼ばれる甘いペーストをけっこう分厚く塗ったものである。

名前の由来となっている「ジャーマン」はアメリカのサミュエル･ジャーマン（Samuel German）という人が考案したものだからで、ドイツとは関係がないし、むしろドイツでは売られていないとか。
ジャーマンケーキのレシピが新聞に公開されると、瞬く間に全米に広がり、アメリカでは6月11日は「ジャーマンケーキの日」として記念されているほど一般的なスイーツになったらしい。

沖縄にジャーマンケーキが広まったのは？

沖縄では、1956年のアメリカ統治下だった時代に、後のジミーとなる小さな町の商店「ジミーグロセリー」が基地内で人気だったジャーマンケーキを作って販売したのがきっかけだったらしい。

それが沖縄にも広まって、今ではジャーマンケーキを知らない人はいないだろうし、洋菓子屋さんでは結構な確率でジャーマンケーキが並んでいる。親戚が集まったときやお祝いの席にも、誰かがホールで買うのが定番だったりと広く沖縄県民に愛されているのだ。

ジミーのジャーマンケーキを食べる

今回は特に集まりもなくホールで買うには大きすぎるので、ショートケーキを買った。説明にも「ついに待望のショートケーキとなりました」とある。
沖縄のジャーマンケーキ人気がここからでもわかる。

これが沖縄におけるジャーマンケーキのデファクトスタンダード（事実上の標準）！
チョコスポンジ、バニラバタークリーム、そしてしゃりしゃりなココナッツフィリングが口の中で引き立てあっている。

初めて食べたときは、こんな量のココナッツを一気に食べる機会がないのでこんなケーキがあるんだ！と本当にビックリしたものだ。

色々なジャーマンケーキが沖縄にはあるのだけど、やっぱりジミーのジャーマンケーキの比率が一番安定して美味しい比率なのではないかと思っている。
ただ、結構甘いのでコーヒーが欲しい。

いろんなお店のジャーマンケーキ

ジャーマンケーキは洋菓子店はもちろん、スーパー、コンビニまでさまざまなお店で売られている。

1965年創業、沖縄で愛され続けている和洋菓子店「白バラ洋菓子店」はジャーマンケーキではなく、アレンジした『ジャーマンキューブ』。
箱入りの個包装なのでお土産にもできそうだし、他にも箱形ケーキが何種類か出ていて、大きな箱に詰め合わせもできるようだ。

見た目はジャーマンケーキっぽくないが、食べるともっちりとしたチョコレートの中にジャリジャリのココナッツの存在を感じることができる。どちらかといえばチョコがメインなので、チョコ感をたくさん味わいたい人向け。

佐和田洋菓子店のジャーマンケーキはスーパーの沖縄菓子コーナーに売られていた。

甘さ控えめのチョコスポンジに、ココナッツとチョコが載っている。形は丸で仏具菓子みたいな立ち位置のものなのかもしれない。

食べたらしっかりジャーマンケーキだが、クリームがないからか、口の水分は持っていかれる感じ。

最後はファミリーマートのジャーマンケーキ。

ファミリーマートのジャーマンケーキの特徴は、なんといってもスポンジとクリームの柔らかさ。
若干崩れて食べづらいかったけれど、コンビニスイーツの本気度を感じた。

ちなみに他のコンビニではまだジャーマンケーキが売られているのをみたことがない。沖縄のファミリーマートはこういう沖縄独自のものをしれっと売り出すのがいつも上手いし、味も美味い。

ジャーマンケーキが沖縄から進出することは今後あるのか

ココナッツのしゃりしゃり感が若干好き嫌いはあるものの、総じて沖縄県民に愛されているジャーマンケーキ。こんなに沖縄には定番ケーキで、地方グルメが見直されている中、ジャーマンケーキがいまだに沖縄から海を超えていないことが不思議でならない。

「沖縄銘菓、アメリカ生まれのジャーマンケーキ」。
この初手の情報が錯綜しているのが理由だろうか。とにもかくにも、ぜひジャーマンケーキに出会ったら美味しいのでドイツもこいつも食べてみてほしい。