たまねぎ2.0がきた
いきなり厳しいことを言うようですが、たまねぎという野菜は、料理する人のことをあまり考えていないのではと、思うことがあるのです。
だってまず第一に、刻んでいるときに涙が出る。まな板や手にはいやな匂いがつくし、使い切れずに半端に残しておくとキッチンや冷蔵庫に匂いが充満する。野菜の中では比較的長期保存できるとはいえ、剥いてみたら悪くなっているというパターンもままある。これらの一つ一つは「なんとなく使い勝手が悪いなあ」という感じなんですが、いろいろな面倒くささが積み重なって、ずぼらなおれとしてはつい買うのを躊躇してしまいがちな野菜です。
じゃあたまねぎ食べなきゃいいじゃんというのは、野暮な意見です。これだけ面倒くさい野菜が明治以来、日本の食卓にのぼり続けているのはひとえに味がいいからで、おれとしても今さらたまねぎ無しの食生活というのは困る。だからこそ今は、先進のバイオテクノロジーによって使い勝手のいいたまねぎが開発されることに期待するしかない。
と思っていたらですね、なんかもうあるんですってそういうの。たまねぎのいいところを残しつつ、悪いところを極小化した「乾燥たまねぎ」というのが。
乾燥たまねぎは、名前の通りたまねぎをフレーク状にしてカラカラに乾かした、ただそれだけのシンプルな食品。油分なし、塩分なし、添加物なし、原材料は100%たまねぎ。
見た目は木屑みたいで地味ですけど、こいつはまじでキッチン革命ですよ。たまねぎ2.0ですよ。何がすごいって、袋からむんずと掴み取って、普通のたまねぎの代わりとしてそのままお料理にぶち込めるのです。
令和のポテサラはもうこれでいい
乾燥たまねぎの使い勝手の良さを説明するために、少し極端な例を出しますが、ここにインターネットで見つけたとあるポテトサラダのレシピがあります。
材料はじゃがいも(大)が2個、ハムが2枚。マヨネーズ大さじ5杯、塩こしょう、お酢。たまねぎはみじん切りで¼個。あればにんじんやきゅうりも。
ほかの人はどうか知りませんが、おれはこのレシピが恐ろしい。ポテサラは、ただでさえイモを茹でてつぶして混ぜるという心理的負荷の大きいメニューなのに。そのうえ、クソ面倒くさいたまねぎのみじん切りを要求してくるなんて!そして1/4個という半端な量。残った3/4はどうしたらいいのだ。あれはどんなにぴちっとラップで包んでも、たまねぎ臭がしばらく冷蔵庫に充満するのだ。
きっと世の中には、レシピ通りたまねぎ1/4をみじん切りにして、3/4はさっさと別の料理に使うよという器用な人も多いのでしょう。でもおれのようにずぼらで不器用な人間にはこのレシピは手に余る。そこで乾燥たまねぎの出番ですよ。
ボウルにチンした新じゃが、マヨネーズなどの調味料。そして乾燥たまねぎの大袋から、お好きな量だけガサっとひとつかみ。
包丁もまな板も涙もいらない。もうこれからは、ポテサラはこれでいいんです。
スーパーお助け食材
どうですか、乾燥たまねぎ。もちろんポテサラに限らず、みじん切りやくし切りのたまねぎが必要な料理は、たいてい乾燥たまねぎで代用できてしまいます。
繰り返しになりますが、乾燥たまねぎには包丁もまな板もいりません。皮をむいて刻む手間と時間が大幅に短縮できるし、きつい匂いに涙を流す必要もない。余計な洗い物も出ない。あと地味に嬉しいポイントとしては、そのときに必要な分だけ、自由に量が調整できるところ。さらにダメ押しで、常温で長期保存可能(未開封で2年!)で気づいたら腐っていることもなし。
ちょっと、こんな至れり尽くせりなお助け食材ないですよ…!
まあもちろん、乾燥たまねぎも万能というわけではなく、正直なところ風味は生たまねぎには及びません。といいますか、乾燥させることでシャキシャキした食感や鮮烈な辛味がなくなるかわりに、甘みや香ばしさがぎゅっと凝縮されており、味の方向性が結構ちがいます。
要するに生たまねぎと乾燥たまねぎには得意・不得意があり、使い分けすればいいのです。時間に余裕があればきちんと生たまねぎを料理すればいいし、忙しかったり単に面倒だったり、あるいは在庫を切らしてしまっていれば、そのときは大いに乾燥たまねぎの力を借りればいいのです。
個人的な”推し”でいうと、和風だしで煮る料理は乾燥たまねぎがベストでジャストです。親子煮(親子丼の具)なんかは、鶏むね肉としめじをだし汁で煮ている鍋に、がさっと乾燥たまねぎを入れるだけでOK。工数的にもかなり楽ができます。
たまねぎ一片のサイズがちょっと小さいですが、きらきらとうまそうな色をしてますね。
豚の生姜焼きもなかなかのお味です。
どちらも通常レシピであればたまねぎが必須の料理で、正直なところたまねぎを理由に作るのを敬遠しがちなメニューでした(好物なのに!)。手間暇ゼロの乾燥たまねぎが導入されてから、月に一度は登場するようになりつつあります。
ひき肉とはwin-winの関係にある
ひき肉をつかった料理には、たまねぎのみじん切りがつきものです。ここでも臆せず乾燥たまねぎに置き換えていきましょう。
ひき肉をじゅわじゅわ炒めているとき、肉汁や油脂がどんどん出てきますよね。料理によっては「余分な脂はキッチンペーパーなどでふき取って」などと言われますが、そんなもったいない。どうせなら乾燥たまねぎに吸わせておきましょう。
料理にはしっかりとたまねぎの甘さが加わり、たまねぎのほうは油を吸ってジューシーでうまい。これだけ相性がいいので、最近は深く考えずオートマチックにひき肉に乾燥たまねぎを加えるようになってきました。
乾燥たまねぎは万能トッピング
乾燥たまねぎがストックされている安心感というのはつまり、いつでも簡単に使える野菜がストックされているという安心感なんですよね。
こんなときも、深く考えずにばさーっと乾燥たまねぎを乗せちゃいましょう。
忙しい時期になると、どうしても雑な昼飯が続くことがありますが、そんなときでも乾燥たまねぎでとりあえず野菜を一品目確保。カップ麺に入れてもインスタント味噌汁に入れても、いい仕事をしてくれます。
お買い求めはインド食材店へ
大事な情報が最後まで後回しになりすみません。乾燥たまねぎはインド食材店で買えます。500gがだいたい500円くらいです。生たまねぎの90%は水分らしいので、500gの乾燥たまねぎは5kg相当のたまねぎ…実質タダみたいな値段です。我が家ではそれを使い切るのに2か月くらいかかります。
最近はインド(含むネパール、スリランカ)料理店の傍らで食材を小売りしている業態も増えてきたので、ぜひ覗いてみてください。
どうしても近場にないという方は、ネットでも買えますので!ぜひ!https://kobe-spice.jp/shopbrand/0000000287/