タイルのテーブルに一目ぼれをした。
のどから手が出るほどほしい、何が何でもほしい。
あごが外れるような値段だとしても買いたい。
しかしそのテーブルは非売品だった。
それなら自分で作ってみようと、はじめてDIYすることにした。
右も左もわからないけど、なんとかしたいと思います!
1995年、海の近く生まれ。映画と動物とバーベキューが好きです。オレンジジュースを飲んでいたコップに麦茶を注いでもらう時でも「コップこのままでいいよー!」と言えます。
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人生初のお問い合わせ
先日、引っ越しをした。
住み始めて1週間でサイドテーブルが欲しいなと思い始めた。
床に座った時にコップと本が置けるような小さいテーブルだ。
それから3週間、家具屋を周って探したがなかなかピンとくるものがない。
売り場にないならネットの海だ!と、インスタグラムで探していたら、とんでもなくかわいいミニテーブルを見つけたのだ。
ぎゃーー!かわいい!
一目惚れだ。もうこれ以外考えられない。
特に左下の濃い茶色のテーブルが欲しい、買おう。
すぐにこの投稿元である丸万商会のホームページへ行き、オンラインショップでミニテーブルを探した。
しかし、見つからない。
売っていないとわかっても、悔しくなかった。
なぜならインスタの投稿に「特注デザインも承ります。」と書いてあったから。
望みはまだある!
これは問い合わせるしかない。
今までなら諦めていたが、今回は違う。
こんな衝撃的な一目ぼれは後にも先にもないはずだから。
絶対に欲しい。どうなったって欲しい。
他の家財道具が全てなくなったとしても、このタイルのテーブルさえあればいい。
ドキドキしながらメールを送信した。
どうか、どうか、買えますように。
DIYを決心する
濃い茶色のタイルテーブルが欲しいです、と連絡したところ丸万商会から返信が来た。
添付いただいた写真。これだ!胸が高鳴る!
しかしこのテーブルは特注品で作ったものらしい。
また、脚のついている台座が高価なので、タイル部分のご購入はいかがですか?とご提案いただいた。
テーブルを探していたけど、自分で作ってみるのもいい。
でも初心者にDIYできるのだろうか、と不安を打ち明けたところ、作りやすい方法を画像つきで教えてくれた。とても親切だ。
それから一週間後、タイルシートが届いた!
とってもすてき!
テーブルとしての機能は0だが、なぜかもう満足感がある。
さぁ、作ろう!はじめてのミニテーブル!
これであってる?の連続
さて、はじめてのDIY、一体なにから始めたらいいのだろう。
こういうときはいつも「なにから始めればいい~のか、わからないまま時は流~れて」とラブストーリーは突然にをもじって歌うのがすき。いい歌だよね。
ただ歌っていても始まらないので、資材の豊富なホームセンターに来た。
丸万商会からお送りいただいた参考画像を見ながら使えそうな材料を探していく。
このくぼみにタイルをはめる。四角い板、囲う木枠、脚が必要だな。
店内を探してみたが、枠と脚に使えそうな木材がなかなかない。角材を買って切ればいいのだろうか?ちょうどいい大きさが見つからない。
頭ではわかっているけど、難易度がわからないから怖い。
とりあえず、タイルを埋める目地材と、塗料、ハケ、安かったので木の板を買った。
いちいちこれでいいのかどうか心配になる。
切断が必要になる角材は一旦買わずにおいた。
翌日、枠と脚を求めてカインズへ。
ちょうどいいおしゃれな脚があったので購入。
さらに理想の色がついた木の板もあったので購入。
あっけないほどすんなり見つかってよかった。
購入すると2時間無料で作業場が使えるというカインズ工房でDIYをしていくことにした。
買ったものはこちら。
左から、枠を作る木の棒、30センチ四方の木板、4本の脚。
タイルは約30センチ四方なのでちょうどいい。
これで役者は揃ったはず。
まずは木の板を囲う枠を作ろう。
32センチのところで印をつけてみる。
なんとなくもう一度そろえてみたら、もう印がずれてる。
不思議&不安すぎる。
いいや、切ろう。
引きながら切るというのは小学生の時に習って覚えている。もうかなり前だが意外と覚えているもんだな。
あっさり切れた。
切れ目がギザギザだ。
木の板をきれいに切るには、たしか「糸のこ」がよかった。
説明書を見ながら刃を取り付ける。取り付けも自分でやるところがDIYという感じがする。
合ってる?これ。
自分でやって刃が飛んできて大怪我したら大変だ、という子供のころにはなかった危険回避能力でカインズ工房にいる先生を呼んで確認してもらった。これで安心。
糸のこで切ってみよう。
ガガガガガ!あぁ!懐かしい感覚!
切れた!この4本の棒で、こんな感じで囲いたい。
イメージできてきた。
まだまだ完成への道のりは長い。地図を見ながら初めて歩く道が遠く感じるように、なんでもはじめての道のりは長いのかもしれない。
そういえば、枠の角をななめにしたらかっこいいと思う。
全部を45°で切ればいいんだ、という理屈はわかる。
端をななめにカットしてみた。
やってしまいました。
遠くから見ても確実にすきまがある。
近くで見てもやはりすきまがある。
ななめにするには短すぎた。これは作り直しだ。ツラい。
ミスした事実を受け入れられるまで、名画見てんのかってくらい木枠を見つめてた。
テーブル、ほんとに作れるのだろうか。
さぁ、現実に戻ろう
短いならば仕方ない、木をつなごう。そして45°カットは諦めよう。
こうやって真ん中で繋げることにした。
木をさらに半分に切り、接着剤がつきやすいようにヤスリで断面をきれいにする。
もうわかった。アバウトな制作にラッキーは起きないんだ。丁寧にやるぞ。不安なぐらいがちょうどいいのだ。
4辺の木の棒ができたら、接着剤で枠を貼り付ける。
たったこれだけなのに2時間かかった。恐るべしDIY!
しかしここまでできただけで達成感がある。
いよいよタイル貼り
接着剤を乾かしている間に、中華料理を食べて家に帰ってきた。
タイルを貼る前に脚をつけていく。
ネジをつけるのうますぎ!ネジをつけるの快感!
ごはんを食べて元気が出たのか、DIYの楽しさが分かってきた。
さっきまで上手くいかなくて苦手かもと思っていたけど、ネジをつけるのがうまいと気づいてやる気が出てきた。なにか壁を乗り越えた気がする。
足がついたら天板部分に接着剤をつける。
接着剤を塗るのも得意かもしれない。きれいに塗れてる。
新たな得意に気づくのって嬉しいな。
タイルはこのように裏面にシートが貼ってある。
かわいい模様が崩れないようになっているのだ。
赤子を抱くようにそーっとタイルを持ち上げて、
ゆっくりはめ込む。
はい!既にかわいいー。
次にタイルを目地材で埋めていく。
丸万商会のアドバイス通り浴室用にした。
水を混ぜながら耳たぶの硬さになるくらいまで練り上げたら、タイルに塗っていく。
目地材を塗りこむの気持ちいい!
作業中、失敗したら嫌だな、あってるか不安だなという気持ちと、どうにでもなれ!やっちゃえ!という開拓していく気持ちが一緒にあるのだ。それが両方あるから楽しいのだと思う。
しっかりと奥まで目地を塗りこんだら、
よく絞ったスポンジで優しくなでていく。
さらに布で拭いて、数時間乾かすと、
きれいに固まった!少しヒビが出ているところは目地が奥まで入ってなかったのかな。
タイルをきれいに拭き上げれば完成!
夏だね~!お昼はベランダに出して使うのもいい。
人生のお気に入り家具ランキング堂々の1位だ。
なんといってもタイルがかわいい。いくら眺めていても飽きない。
使っていて気づいた。塗料で断面の部分を塗るのを忘れていた。
この塗料ほのかにチョコレートのにおいがする。たぶん、入ってる。
断面部分だけ塗ろうとしたがはみ出したので全部塗ることにした。
左が塗った枠、右が塗っていない枠。色が全然違う。
乾かして今度こそ完成!
おおー!色合いが深くなって高級感が出た。
いい、良すぎる。
はじめてでこんなにいいものができると思わなかった。
この世界が終わるまで使おう。
夜はベッドの横のお茶置き場に。
自分で作る楽しさ、一点もので特別というDIYの醍醐味は知っているつもりでいたが、やってみると少し違う。
もちろんそれもあるのだが、無謀な夢が見れるのだ。
これができたら、次は椅子、棚、犬小屋、とステップアップして、10年後にはツリーハウスが作れるんじゃないかな!そしたら早期リタイアして森に住んで山菜をとって暮らそう。楽しそうだ。
こういう妄想が何とも楽しい。
はじめてのDIYで、見たことのない夢のルートが開けた気がした。
JINSの一目惚れ
人が一目惚れをした瞬間を見たことがある。
その男は駅の入り口から出てきた。
紺と白のチェックのシャツに黒縁メガネで都会に出てきたばかりの大学生という印象。JINSの店員のような服装だったからJINSと呼ぶことにする。
JINSが駅の入り口でスマホを見ながらウロウロしていると、後ろから小走りでお姉さんがやってきて「すみません、パスケース落としましたよ。」話しかけた。
モンブラン色のゆる巻きでクリーム色のブラウスにタイトスカートを履いた、いかにも育ちの良さそうなOLのお姉さんだ。少し遠くから見ても美人だとわかるのに、その上ナチュラルな笑顔でJINSにパスケースを手渡し、そのまま走り去ってしまった。
JINSはパスケースを受け取ったまま、はじめて綿毛を見た子犬のような顔で瞬きもせずに固まっていた。
きっと今現れたお姉さんの映像を脳内でスローモーション再生しているのだろう。あのお姉さん、絶対いいにおいがしたでしょうね。
はっと我に返ったJINSはお礼を言うのを忘れた!という顔でお姉さんをキョロキョロ探した。
しかし見つからず、パスケースに目を落とし、再び顔を上げた時のJINSの表情が忘れられない。
うっとりとろけちゃっているのだ。
頭上を3人の天使が飛び回っていて、ゴーン!ゴーン!と鐘の音が響いて、白い羽が舞い降りていた。
人間のあんな幸せそうな顔は見たことがない。
JINSはこれからこの駅に来るたび、春の風のようなお姉さんを思い出すんでしょう。
本当にいいものを見た。いつかもう一度見たいものである。
告知:Maker Faire Tokyo2022に出展します