特集 2020年1月29日

蜜蝋ワックス、その悪魔的魅力

おばあちゃんの知恵袋みたいな内容で恐縮ですが、蜜蝋ワックスを作ると生活の潤い指数が爆上がりしたのでご報告させていただきます。

父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:ゴビ砂場を作る


蜜蝋とは蜂蜜を収穫したあとの蜂の巣から、虫の死骸などの不純物を取り除いたもの。

 

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こちらがその蜜蝋

 

この蜜蝋と植物油を混ぜ合わせることで「蜜蝋ワックス」ができる。蝋もワックスと同じ意味なので、蜜ワックスワックス。不思議な名前である。この蜜蝋ワックス、簡単にできるわりに、めちゃくちゃ幸せになれる。ざっくりまとめるとこのような効果がある。

 

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通販番組なら、芸能人が「ウワァ〜」というポイントです

 

撥水と防汚については、化学塗料のペンキに劣る。しかし、素材の呼吸を妨げないので、木が本来持っている調湿機能を保つことできる。

なにせ、人類初のワックスは、蜜蝋であり、ワックスの語源も蜜蝋にあるらしい。その歴史は紀元前4200年頃の古代エジプトにまで遡るんだとか。

自然由来だからかニスほどのテカテカ感もなく、見た目も自然な風合いに仕上がる。しかし、しかし、なんといっても特筆すべきは……

 

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手触り!

 

蜜蝋ワックスを塗ることにより、素材は湿気を帯び、しっとりとした、それはそれは、心地よい手触りになるのだ。

塗る前の板をおっさんの肌だとすると、塗ったあとは子供の肌くらいになる。柔軟剤を使ったタオルくらいの違いがある。

テーブルなんかに塗って、一晩置いておくとしっとりとした気持ちのよい質感に変わる。毎日ふれるたびにちょっと幸せ気持ちになれる。この蜜蝋ワックス、木製品はもちろん、革製品にも使える。

 

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靴に撥水機能もプラス

 

自然由来なので、ハンドクリームやリップクリームなど、人間の肌に対しても利用されている。植物油が繊維にまで浸透することで潤いが生まれ、蜜蝋が表面をコーティングすることにより潤いを守るらしい。

「あれ?生きとし生きるものすべてに有効なの?」と感じられるが、注意も必要だ。1歳以下の幼児に対して、はちみつは危険であることはよく知られている。蜜蝋にもはちみつと同様、問題となるボツリヌス菌がふくまれている可能性がゼロとは言いきれない(幼児向けの蜜蝋クレヨンなどは高熱処理がされているから大丈夫らしい)。

また、蜜蝋には花粉も含まれているため、花粉によるアレルギーの心配もある。不安を煽りたいわけではないが、全ての対象に対して安全なものなんてないのでそのあたり留意して使っていただきたい。そんな蜜蝋ワックスですが必要なものはこちら。

 

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2!レシピの最小単位!

 

いったん広告です

蜜蝋はAmazonでも売っているし、メルカリでも買える。

私は養蜂農家さんがメルカリで出品されているものを購入した(ちょっと安かった)植物油だけ、一点注意が必要だ。植物油には、乾性・半乾性・不乾性がある。

 

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蜜蝋ワックスには、乾性が適している。

 

 

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なじみ深い植物油は不乾性

 

不乾性を使うと、なかなか乾かずに、まだらになったりホコリがついたりする可能性もある。ただ、乾性油の方が高価。不乾性油のオリーブオイルはご存知の通り安い。調べてみると、特にこだわらずなんでもいいよと言っている人もいるので悩ましい。

 

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安いぞ不乾性

 

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高いぞ乾性
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初回なので冒険せずに、乾性の亜麻仁油に

 

食用の亜麻仁油はそこそこのお値段だが、木工用だと500mlで1300円くらい。Amazonで買った。

作り方は、ざっくりまとめるとこんな感じ。

 

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化学の実験みたい

 

まず、蜜蝋が大きいカケラのままだと溶けにくいので、細かく砕く。(小さな粒になっている蜜蝋ではこの工程はいらない)

 

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蜜蝋は硬ってぇ干し芋っぽいぞ

 

蜜蝋が砕けたら、植物油との割合を決める。割合は

「蜜蝋1:植物油5〜6」くらい。

蜜蝋の割合を増やせば、ワックスは固形っぽくなり、素材の凸凹を埋める能力があがる。油の割合を増やせば液体っぽくなりさらさらと塗りやすくなる。とりあえず作るぶんには割合はだいたいで問題ない。

 

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容器in容器

 

大ぶりな容器に、小さめの容器を入れる。小さめの容器には蜜蝋を入れ、大ぶりな容器にはお湯を入れる。お湯の温度が65℃〜70℃だと蜜蝋が溶け始める。

 

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続いて亜麻仁油を入れる
 
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制作過程が錬金術のようで楽しい

 
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完全に蜜蝋が溶けきるまでまぜる

 

 

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溶けきったら耐熱ガラスやタッパーに注いで完成

 

直接火にかけると焦げ付く可能性があると聞いたので、1回目はそれ従ったが、1時間くらい時間がかかってしまった(しかも、うまく溶けきらず蜜蝋のダマが残った)。

なにかやりかたが悪かったのかもしれないが、2度目は、めんどくさかったのでえいやでガスコンロで加熱した。

 

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めちゃくちゃ簡単に終わった(10分)

 

めんどくさがりの人は、火力に頼ってもいいのではないだろうか。

 

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冷えたらマーガリンくらいの硬さに

 

売り物だと100gで1000円以上くらいするこの蜜蝋。自分で作れば、100gあたり300円くらい。安いので気兼ねなく塗りまくれるのがよい。塗る際には、ふるくなった靴下や布切れに蜜蝋ワックスをつけて、素材になじませる。

 

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古い木材だと木のトゲが刺さりまくるので注意が必要です

 

ニトリル手袋の上から靴下をつけると、トゲも刺さりにくいし、手も汚れないのでいい感じ。トゲのないつるつるの木材の場合は手で塗るのもいい。

 

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テーブルに塗り込んでから、
 
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椅子にも塗り込み、
 
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照明にも塗りたくり、
 
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そろそろ革もいってみるかと靴に手を出し、
 
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ちょっとした木の小物を見つけては塗りこみ、
 
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さらに塗り込み、
 
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前回の記事で作った砂場の雨よけのフタにも塗りこみ、
 
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ガレージの木戸が風雨で変色していたなとこちらにも塗り、
 
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調べていくうちに、亀の甲羅にも有効なことがわかったので、
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塗り込んだところボディビルダーのようなテカテカの亀となった

すごいぞ蜜蝋ワックス

蜜蝋ワックスはペンキみたいに養生とかしなくてもいいのも気楽でよい。多少手や足についても問題ないどころかスベスベになる。

ちなみに、ギターなどの木製の楽器や、木刀に塗りこむ人もいるらしい。分身のような愛用品に蜜蝋ワックスを塗りこむのは、それはそれは、楽しいだろう。想像するだけでヤバイ。楽器も剣道もやっていないのが悔しい。

蜜蝋生活を続けているうちに水分が抜けてガサガサの木(駅のくたびれた木製ベンチなど)なんかを見るたびに、「蜜蝋ワックスぬりて〜!」と思うようになった。今、お寺の秘仏のご開帳に立ちあったら、感想が「蜜蝋ワックスぬりて〜」になるだろう。

今回1200gの蜜蝋(3600円くらい)を作ったのだが、まだ1/3も使えていない。

 

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俺たちの蜜蝋生活はこれからだ!

 

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