「
森永 アイスクリーム 森 5L 冷凍」。シンプルな商品名だが、中央に鎮座する「5L」の2文字が圧倒的な圧を放っている。Amazon以外の通販サイトも含め、僕がざっと探した中では最大のサイズだ。
そしてこのアイス、3種類ある。
安い方から、
森、
花、
星。値段が大きく違うのだが、商品ページにはこの違いの説明がない。また、よく見ると商品写真も各ページすべて「花」のものなのだ。
「森」の商品ページより。
バニラ(花)と書いてあるので、おそらく森以外は別のフレーバーなのではないかと予想した。森は緑色だから抹茶だろう。星は黄色……バナナ?
今回はそこの検証も兼ねて、ひとまず一番安い「森」を買ってみた。
余談だが注文詳細画面で配送業者が文字化けしており、人語を解さないなにか得体の知れないものが届けにきそうで怖かった
到着
注文して2日後。ヤマトのクール便で到着した。
まず箱がでかい
抱えるほどのサイズの箱が一つ。でけえ!と思うがAmazonの場合は小物でも大箱で来る場合があるからな。まだ驚くには早い。
アイスと聞いて子供が飛んできた。中身は、子供が持ち上げるにはちょっとした大仕事、なサイズ感
子供が撮ったのでぶれててすみません
やっぱり中身もでかかった。例えるなら、赤子くらいのサイズだ。実際5キロというと、生後2~3か月くらいの赤ちゃんの体重に相当するようだ。生まれたてのほっそりとした新生児ではなく、肉がついてぷっくりとしてきたあの赤ちゃんである。
そして、味は予想どおり抹茶だったのか?
バニラだった
どうやら森、花、星はすべてバニラアイスで、それぞれ等級を表しているらしい。僕が買った森は、バニラアイスの中の一番安いランク。品名はラクトアイス、無脂乳固形分6.0%だ。これが花や星だと、品名もアイスクリームになる。
ところでこの森、割合的には安いアイスのそれだが、なんせ5リットルあるので、300ccの乳固形分が入っていることになる(比重の違いはこの際おいておこう)。コンビニアイス2カップ分まるっとの、乳固形分である。だから美味いという話ではないが、なんかすごい。
5リットルアイス、「なんかすごい」のである。
ちなみに半溶けでした
ちょっと舐める。うまい。
これが5リットル家にある。そんな日常が、いまから始まるのだ…!
5リットルのアイス購入のポイント(1)
・3つのランクから好きなのを選ぼう
・半溶けで届くのですぐ冷凍庫へ
冷凍庫問題
さて、これだけでかいとどうしても避けて通れないのが、「冷凍庫に入るかどうか問題」だ。
ギリギリ入った
うちの冷凍庫はトレイが入っていて2階建てになっていたのだが、それを取り払う必要があった。
これでも465リットルのファミリー用冷蔵庫である。一人暮らしなどで小さい冷凍庫しかない場合は、残念ながらあきらめるしかない。
高さ25センチあるからな
冷凍庫の深さがすりきりで28センチ
高さ3センチほど余裕があるように見えるが、天井のほうも出っ張っているのでほんとにギリギリだった。
これは単純に定規で測っただけではわからないので、買う前にはぜひ実際に25cmのものを入れて、シミュレーションしてほしい。
5リットルのアイス購入のポイント(2)
・買う前に、25センチのものが入る冷凍庫かどうか確認しよう
食べる
到着時は半溶けだったアイスだが、一晩おくと凍っていい感じのテクスチャになった
この、表面がちょっと毛羽立った感じ
いよいよ食べてみるわけだが、さて、このでかいアイス、どうやって取り分けるべきだろうか。
ひとまずどこの家にもありそうな、スプーンで取り分けてみる。
けっこうスッと入っていく
もっと固くて掘れないかと思ったのだが、思いのほかスッとスプーンが入っていき、スムーズに取り分けられる(単に冷凍庫の設定温度の問題かもしれない)。
しかしこの巨大なアイスを迎え入れるからには、やはりこれを用意すべきではないか。
アイスすくうやつ!!アイスクリームディッシャーといいます
ガシャッ、と握ると中で金具が動いて、アイスが落ちてくる
右、スプーンですくったもの。左、ディッシャーですくったもの
すくうのはスプーンでも差し支えないのだが、なにぶん容器が深いので、量が減るにつれて浅いスプーンではすくいにくくなる可能性はある。ディッシャーを入手可能であればぜひ使いたいところだ。
一口食べてみると、味のほうは、まあ安いバニラアイスという感じではある。濃厚さはないが、こういう安っぽい味もこれはこれでうまい。ただしこれは一番安い「森」の話で、最上位「星」なんかは乳脂肪分も16%でハーゲンダッツ越え。Amazonのレビューを見ても、かなり濃厚そうな感じだ。
森は高級感はないが、僕はアイスが好きなので普通にうまい。アイス=うまい。
ただ思うに、このアイスの真価は味や食感ではない。「家にアイスが常にある」という安心感だ。
家に常にアイスがない場合、夜中に急に食べたくなってひもじい思いをすることがある。また、たまに家にアイスがあると、それほど食べたいわけでもないのに「せっかくだから」と思って食べてしまったりする。
しかし家にアイスが常備されていればどうだ。「食べたい」と思った時にはもちろん食べられるし、そうでないときは今までなかった「家にあるけど今日は食べたくないから食べない」という選択肢も登場する。がっつく必要はない。だって、常にあるのだから。
なんなら盛るだけ盛ってこのまま冷凍庫に入れてもいい
この「あるけど食べない」こそが、体験として最もリッチなのではないかと個人的に思っている。
狩猟生活をしていたかつての人類は、獲得した食べ物のほとんどをすぐに消費せざるを得なかった。そして農耕が始まると備蓄の概念が生まれ、人々は毎日の食事に困ることがなくなり、人口も増大した。
アイスも同じ。コンビニで都度買ってくる「狩猟」から、常に家にある「備蓄」へのパラダイムシフト。それを実現させてくれるのが、この5リットルアイスなのだ。
4人家族でたっぷり食べてもこの残量。人間という存在の無力さすら感じる
5リットルのアイス購入のポイント(3)
・皿に盛るときスプーンですくってもOK
・「今日は食べない」という選択肢もある
外でふるまう
せっかく大量のアイスがあるのだ。会社に持って行って、同僚にもおすそ分けすることにした。
保冷剤満載で移動中(中身撮り忘れて駅のエレベーターで撮影)
アイスのパッケージはふたがしっかり締まる容器ではないので、溶けると悲惨なことになりそうだ。氷点下16度まで下がるという強力保冷剤を2個つめて、さらにダメ押しで普通の保冷剤も追加。
電車と徒歩で1時間の道のりを経て、会社の会議室へ。
5リットルのお手並み拝見、的なテンションでやってきた同僚たちが
現物を見た瞬間、沸いた
「でかい!」
「アイス屋のショーケースの中に入ってるやつでは!?」
「パッケージがかっこいい!」
「バルクってなに!?」
俺の持ってきたアイスで明らかに場のテンションが上がり、たいへん誇らしい気分である。5リットルアイス、多くてうまいだけでなく、モテる。
一人ずつ順番にアイスクリームディッシャー体験をしたのち
会議中に食べるアイス、最高
でかくて笑える、ディッシャーが楽しい、食べておいしい。エンタテインメントとして充実しすぎではないか。
IT企業の福利厚生でよくコーヒー飲み放題とかおかし食べ放題とかあるけど、本当に導入すべきものは業務中に自由に食べられる5リットルのアイスだったのかもしれない。業務用アイス、そっちの意味でも業務用なのである。
5リットルのアイス購入のポイント(4)
・持ち出す場合、輸送にはクーラーボックスと、強力保冷材を使おう
・アイスクリームディッシャーがあるとエンタテインメント性が2倍
活用範囲が広すぎる
1時間かけて運んだアイスは若干柔らかくなっていたものの、ぜんぜん許容範囲のコンディションだった。となるといろんな場所に持ち込める可能性が見えてくる。花見とか、部活とか、スポーツ観戦、合コン、何でもいける。
さらに会議室では食べ方についても、「トーストに塗りたい」「ハニートーストとかに乗せるととうまいやつでは」「減ってきたら牛乳と混ぜて凍らせるとまた復活する」などなど、さまざまな意見が出た。
そのインパクトゆえに活用範囲が広すぎる5リットルアイス。ぜひ連休中に冷凍庫の整理をして、あなたの自宅にも迎え入れてあげてほしい。
アイスクリームディッシャーはかなりうまい下手の差が出ることが分かった。写真は編集部・橋田さんの作品。うまい。
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