おしらせ・U20部門ができました!
このたびU20部門として、20歳以下の方からの投稿をポテンシャル込みでご紹介するようにしました。つまり、多少の未熟さも「のびしろ」としてとらえてポジティブに評価していくシステムです!
投稿フォームで選択できますので、20歳以下の方はぜひご利用ください。
では作品発表!
👑今月の掲載作品
まずは超優秀作品。今月、記事として掲載した作品をふりかえります。
ヤフオクで買ったぬいぐるみがどこから来たのか知りたくて、ニューヨーク市立博物館に聞いてみた(4/10掲載、ヤング)
編集部より寸評

キャプションの「かわいいぜ」
> 日本語だと「緑あしちゃん」みたいなお名前でしょうか。見たまんまでかわいい〜
細かい言い回しがこなれていて書き慣れていますね。文体を統一させないでリズム出してますもん。
同じキャプションをなんども使ってリズム出しているのも好きです。(林)

ですがこの記事はそれにくわえて海外まで(ネット越しとはいえ)積極的に取材された行動力、そして結果としてその熱意にこたえてくれた先方の親切さまで、いろんなものが盛り込まれた愛にあふれる記事だと思いました。
記事を読む前と読んだあとでは、同じぬいぐるみの写真でも全く違って見えますよね。(編集部・石川)
普通の手遊びじゃ足りない!そんな方には「抽象的手遊び」(4/12掲載、じょーじ) 🌱U20部門
編集部より寸評

「美味しいものは這ってでも食べに行きます。」というプロフィールのユーモアの加減がちょうど良くて震撼しました。センスありすぎだろ。(林)

この作品は(失礼ながら)年齢には似つかわしくない書きなれた印象の文体、そこに突然明かされる「筆者(小4)」に笑ってしまいました。
その後も年齢からは想像できないこなれた文章にたまに小学生の写真が挟まるという、行ったり来たりの面白い原稿でした。
「抽象的手遊び」という概念も少しひねた高校生のような発想で、とにかくあらゆるところにギャップの面白さを感じます。(石川)
以上2本です。おめでとうございます!!
🎉佳作
原稿掲載までは至りませんでしたが、面白かった作品を佳作としてご紹介します。
6ヶ国の消しゴムを買ったので消しゴム祭りを開催します!!!(消しゴムが好きな人(消好人))
消しゴムをたくさん購入したので、私が消しゴム沼でゴボゴボと嬉しげに溺れる様をお届けしようと思います。
海外6ヶ国もの消しゴムを買ったので、珍しいものが揃っていますよ!!!
編集部より寸評

紹介のフォーマットを作って記事にリズムを出すだけで違うと思います。
消しゴムの名前・パンチライン(1行で特徴を表す文章)
写真
性能・生産国
紹介テキスト(200文字ぐらい)
って感じですかね。「もうこれ歯磨き粉だろ。」など紹介文のなかに目を引く表現があるので、テキストをもうちょっとタイトにするとそこが浮かび上がってくるかも。(林)

あと気になるのはやっぱり長さですね!これだけ書くなら何回かに分けてもよさそう。種類を小分けにして紹介するのが味気ないと思ったら、まずは見た目だけ紹介する回にするとかどうでしょう。
あとは先に概要を提示して、次にディテールを書くと読みやすいです。本文に小見出しをつけるとかね。今回だと個別の消しゴムの感想のあとに「刺さる人には刺さるヤツ」とか一言書いてありますが、これは絶対感想の前の方がいい!(石川)
ハングリーカレーの100時間カレーがおいしい。でも家庭のカレーを100時間煮込んだ場合の味も気になるよな。
100時間煮込むのは難しいので10分の1の時間を費やす10時間カレーを作ります!!
編集部より寸評

最後の結論もあっさりしすぎてるので、もうちょっと粘ってもいいかも。せっかく10時間かけたんだし。(林)

途中でカレー食べ始めるの笑いました。食べ比べとかそういう意思は全くなく、普通に食事として。
今後はどんどんこういう企画記事を書いていっていただけるとカレー同様こなれてきてうまくなりそうと思いました。
導入部、現状の100時間煮込んだ人がいる→大変なので10時間でやってみる、だとグレードダウンしとるやんけってなるじゃないですか。そうじゃなくて「10時間で十分うまいのでは?」みたいなポジティブな理由をつけられるともっともらしい導入になると思います。
あと細かいところですが盛り付けたあとのカレー、皿のふちに飛び散ったカレーを拭いてから撮るといいですよ。食べ物系は面白記事でも美味しそうに見せるの大事です。(石川)
👏もう一息
サミットが好きだ。そんなサミットが主催しているお祭りがあるという。
行ってみると、サミットのサービス精神がこれでもかと襲ってくるとんでもないお祭りでした。
編集部より寸評

さて、ネタはおもしろいんですがちょっとサミットに遠慮しすぎかな。
ほめるにしてもオリジナリティある表現を使うことで、対象へのリスペクトとフックは両立できます。
「平和って言葉は、こういう風景のこと」「理由はうまく言葉にできないけど」「こうでなくっちゃね」このあたりは粘ってもいいかなと思いました。(林)

まつりの内容自体が良いのに加えて、サミットカップの話題を入れるなど、自分なりの解釈を入れた構成で書かれているのは良いなと思いました。ただイベントを時系列で書いただけじゃないんですよね。これはすごく大事。
アドバイスとしては、ちりばめられた感想がちょっとエモくしすぎな気がするんですよね。林も言ってる「
平和って言葉は、こういう風景のことをいうのだろう」もそうですし、「理由はうまく言葉にできないけど、ずっと見ていたい。そう思った」のあたりも。読者は現場で実際に見ている筆者より見聞きできる情報量が少ないので、筆者が先に感動しすぎちゃうと置いてきぼりになるんです。筆者が自分で感動するよりも、感動の理由を客観的に伝えることで読者に自分から感動してもらうようにすることを狙うとよいのではと思います。(石川)
おわりに
最後に、編集長 林からのメッセージで今月の月刊新人賞はおしまいです。では林さん、どうぞ。
デイリーポータルZの記事ではライターさんに余計なことを書いてくださいとお願いしています。本題には関係なくても、そのときのちょっとしたできごとを入れることで人が伝わります。
たとえば今日掲載のんちゅたぐいさんの記事だと
「撮影を手伝ってくれた同僚Kは、運動会で娘を撮る感覚だと言っていた。」
この一文で、んちゅたぐいさんの奇行(んちゅたぐいさんごめん)が急に人っぽくなるんですよね。
情報で気を引き、本文で書き手の人っぽさを出し、名前を覚えてもらってまた次も読んでもらう。
そういう作戦です。
さて、余計なことをどうやって見つけるか。余計なことをするな、書くなと教え込まれてきたので慣れないんですよね。
私は後日談を書いていると思い出すことが多いです。
気楽に書いていると、「あれ?これ本文に入れても良かったかな?」と思うことが出てきます。
そういえば店の人が誰かに似てるなと思ったけど、母親だった、とか。
そこは本文に昇格。そうしてデイリーポータルZっぽい余計な原稿ができあがります。
でも、余計なことって他人にとっては面白くないことがあります。そこの判断は自分では難しい。なので編集が半分削っても怒らないでくださいね。