鎌ケ谷にある日本一小さい大仏とは?
というわけで、千葉県鎌ケ谷市にやってきたが、鎌ケ谷にはその名も「鎌ケ谷大仏」という駅がある。


鎌ヶ谷大仏はこの鎌ヶ谷大仏駅のすぐ近くで、歩いて数分で件の大仏が鎮座する墓地に到着。


本来「デカい!」という感想になるはずの大仏だが、それが「日本一小さい」という触れ込みであるうえにいざご対面となると、大仏なのに小さいという現実になかなか言葉が出ない。
「大仏というわりには小さいな」→だから日本一小さいと言ってるでしょ。
「思ったより大きいな」→そりゃ「大仏」だからね。
「想像通りの大きさだ」→あそう、よかったね。
「日本一小さい大仏」という言い方が、見た人がどう感じても誇大表現にならない完全なキャッチフレーズになっていてすごい。

案内板の説明によるとこの鎌ヶ谷大仏は、1776(安永5)年、鎌ケ谷宿の住人、大国屋(福田)文左衛門が発願し、江戸の鋳物師多川主膳に発注し作らせた阿弥陀如来坐像で、高さが1.8メートルとある。これは、台座を含まない仏様の高さが1.8メートルとのことで、台座を含めると2.3メートルあるらしい。

鎌ケ谷大仏は、戦時中の金属供出や、戦後に米軍が買い取りを打診してきたなどの逸話が残るが、すべて福田家の子孫が拒否して大切に残してきたのだという。

そもそも、大仏とは「丈六」よりも大きいものという定義がある。これは、お釈迦様の身長が1丈6尺あったことから、それよりも大きいものを大仏と呼ぶようになった。そして坐像は、1丈6尺(16尺)の半分、8尺より大きければ「大仏」である。
この、お釈迦様の身長であるとされる1丈6尺という長さは、メートルに直すと約4.8メートルだ。その場合、ブッダ(お釈迦様)は5メートル近い巨人という狂ったスケール感になる。

ちなみに記録に残っている史上最も背が高かった人は、2.72メートル(ロバート・ワドロー)なので、ブッダの異常ぶりが引き立つと思う。
とはいえ、この1丈6尺という数は、本当に身長が5メートルもあったわけじゃなく、お釈迦様がはるかに優れた存在であるという意味をもたせた数字であるという話もある。
閑話休題。
さて、この鎌ヶ谷大仏。坐像でその高さは1.8メートルしかない。大仏の基準は坐像で2.4メートル(8尺)以上ということだが、そうなるとちょっと足りない。
しかし、これも尺という長さの単位が過去に伸びたり縮んだりしているため、一定ではないことに注意しなければいけない。
中国に仏教が伝わった漢の時代の1尺は23センチほどだったと言われているので、8尺は184センチで、約1.8メートル。坐像で1.8メートルあればギリギリ大仏の範囲だろう。
大仏を名乗る店たち
駅が鎌ヶ谷大仏と名乗るだけあり、まちなかには大仏を名乗る店がたくさんある。



大仏の眼の前の道は、木下(きおろし)街道という道で、かつては銚子から江戸まで鮮魚を運ぶ街道だった。鎌ケ谷はその宿場町として栄え、このような大仏を建立することができるような大店もできるほどだったということがわかる。