ちゃんとゴミで出来ている海の森公園
東京湾に浮かぶ埋め立て地、中央防波堤内に作られた海の森公園は、東京23区内で最も広い公園として2025年3月28日にグランドオープンした。2005年に計画が発表されてからちょうど20年越しの開園である。
私が訪れた2019年は既に約24万本の植樹も終わり、木々の成長を見守りながら開園に向けての準備が進められていた時期だ。あれから5年半、「果て」はどのような変化を遂げているのだろうか。

公園には5年半前と同じく、東京テレポート駅から出ている「波01」という都バスで向かう。当時は中央防波堤には徒歩では行けず自家用車以外ではこのバスが唯一の交通手段であったが、公園のオープンに伴い東京ゲートブリッジを通ってアクセスすることもできるようになった。新木場から無料シャトルバスも運行しているようだ。


天気の良い週末ということもあり、子連れファミリーはもちろん若者からお年寄りまで幅広い年齢層が訪れていた。ただオープンしたてのこの規模の公園ということを考えると、空いているといって良いだろう。アクセスの悪さが混雑を緩和してくれている。

埋め立て地というとフラットな勾配のない土地を想起するが、この公園は大きな台形のような形をしている。でかい古墳のようだ。そう、実はここは古墳で…とかいう話があったら面白いが、残念ながらここは古代にはめちゃくちゃ海の中なので古墳があるわけもなく、この丘を作っているのはゴミだ。埋め立て地の本懐を果たしている。


足元から上空に視点を移すと、公園内ではかなりの頻度で「ヒューン」という音が聞こえる。海の森公園のそばには羽田空港があるので、飛行機がひっきりなしに上空を飛んでいるのだ。かなり近い距離を飛ぶので音も含めて迫力がある。


階段を登りきるとメインの広場である「つどいの草原」が広がっている。開けた場所に出ると、23区の公園で一番の広さと人の少なさの対比が如実に表れる。遺憾なく疎(そ)が発揮されている。


海の森公園のここが良い!第1位:果て感が残っている
公園のあらましが大体説明できたところで、海の森公園の良いところランキングを1位~3位まで独断と偏見で発表していきたい。引っ張ることもないので第1位から行こう。
第1位は果て感がまだ残っているところだ。5年半前に感じた果て感が公園がオープンした今でも所々に感じられる。
中でも最も色濃く果て感が残るのが、公園の一番奥にある「わいわい広場」である。ここには子ども向けの大きな遊具が設置してあるが、その遊具の周りが今でも「果て」のままなのだ。




このディストピア感は出来立てほやほや、なんならまだ完成しきっていない今だからこその光景だろう。おそらくそのうちこの遊具の周りもきれいになってしまうので、この光景を見たいなら早めに訪れることをオススメしたい。


もうひとつ、別な方向性の「果て」も見ることが出来る。わいわい広場とは逆サイド、公園西側の端っこには道路の「果て」がある。

丸くなって終わっている道路といえばクルドサックだが、この果てはクルドサックほど機能性が考えられているわけでもなく、ただただ「果ての処理」として丸くされている感じがなんとも侘しい。これも埋め立て地ならではの寂寥感として後世に伝えていきたい。