特集 2025年4月22日

オープンしたての海の森公園にはまだ果て感が残っている

25年3月末にオープンした海の森公園へ行ってきました。

以前、夜の埋め立て地を散歩する記事を書いた。

その時に最後にたどり着いた場所が海の森公園の予定地だった。まさに「果て」と呼ぶに相応しい都内とは思えない光景が広がっていたわけだが、その海の森公園がついに先日オープンした。

これは再び訪れて、あの時の「果て」がどのように変わったのかを見届けなくてはなるまい。以前記事を書いてから約5年半ぶりに海の森公園へ訪れた。

1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

前の記事:けん玉発祥の地、廿日市でけん玉事情を探る

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ちゃんとゴミで出来ている海の森公園

東京湾に浮かぶ埋め立て地、中央防波堤内に作られた海の森公園は、東京23区内で最も広い公園として2025年3月28日にグランドオープンした。2005年に計画が発表されてからちょうど20年越しの開園である。

私が訪れた2019年は既に約24万本の植樹も終わり、木々の成長を見守りながら開園に向けての準備が進められていた時期だ。あれから5年半、「果て」はどのような変化を遂げているのだろうか。

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映画みたいな光景が今でも鮮明に記憶に残っている

公園には5年半前と同じく、東京テレポート駅から出ている「波01」という都バスで向かう。当時は中央防波堤には徒歩では行けず自家用車以外ではこのバスが唯一の交通手段であったが、公園のオープンに伴い東京ゲートブリッジを通ってアクセスすることもできるようになった。新木場から無料シャトルバスも運行しているようだ。

前回は夜ということもあり乗客は疎らだったが今回はほぼ満席
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バスに揺られること約20分、海の森公園へ到着!

天気の良い週末ということもあり、子連れファミリーはもちろん若者からお年寄りまで幅広い年齢層が訪れていた。ただオープンしたてのこの規模の公園ということを考えると、空いているといって良いだろう。アクセスの悪さが混雑を緩和してくれている。

メインエントランスからは長い階段が続いている

埋め立て地というとフラットな勾配のない土地を想起するが、この公園は大きな台形のような形をしている。でかい古墳のようだ。そう、実はここは古墳で…とかいう話があったら面白いが、残念ながらここは古代にはめちゃくちゃ海の中なので古墳があるわけもなく、この丘を作っているのはゴミだ。埋め立て地の本懐を果たしている。

ゴミと土を交互に重ね合わせたサンドイッチ構造によって丘が作られている。こうすることで風の強い沿岸部でも快適に過ごせる台地部を作り出している。
ビジターセンターに展示してあった土壌の断面図をみるとけっこうちゃんとゴミで出来ているのが分かる。大昔に自分が出したゴミが足元に埋まっているかもしれない。

足元から上空に視点を移すと、公園内ではかなりの頻度で「ヒューン」という音が聞こえる。海の森公園のそばには羽田空港があるので、飛行機がひっきりなしに上空を飛んでいるのだ。かなり近い距離を飛ぶので音も含めて迫力がある。

階段は木々で視界が遮られるため、飛行機の音だけ聞こえて、真上を通る時だけ視界に入ってくる。音だけで「でかい何かが来てる…!」と感じるのがちょっとぞわぞわする。
色々な飛行機が通るので飛行機ファンにはたまらないスポットだろう

階段を登りきるとメインの広場である「つどいの草原」が広がっている。開けた場所に出ると、23区の公園で一番の広さと人の少なさの対比が如実に表れる。遺憾なく疎(そ)が発揮されている。

万博の大屋根リングっぽいやつを抜けると広場があるが、
人口密度が低い!テント立て放題!
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海の森公園のここが良い!第1位:果て感が残っている

公園のあらましが大体説明できたところで、海の森公園の良いところランキングを1位~3位まで独断と偏見で発表していきたい。引っ張ることもないので第1位から行こう。

第1位は果て感がまだ残っているところだ。5年半前に感じた果て感が公園がオープンした今でも所々に感じられる。

中でも最も色濃く果て感が残るのが、公園の一番奥にある「わいわい広場」である。ここには子ども向けの大きな遊具が設置してあるが、その遊具の周りが今でも「果て」のままなのだ。

遊具だけ見ればいたって普通の楽しそうな遊具だが、引きで見ると…
周りには「無」が広がっている。こんなに寂寥感のある公園そうそうない。
砂漠の中のオアシスか?後ろのクレーンとの組み合わせも良い。
逆に絵になりすぎるのでいろんな角度から撮りまくってしまった

このディストピア感は出来立てほやほや、なんならまだ完成しきっていない今だからこその光景だろう。おそらくそのうちこの遊具の周りもきれいになってしまうので、この光景を見たいなら早めに訪れることをオススメしたい。

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他にも広場の真ん中からいきなり謎のチューブが出ていてここが造られた土地であることを思い出させたりするし、
公園の外にはゴミが積まれていたりして異質な雰囲気を感じさせる。

 もうひとつ、別な方向性の「果て」も見ることが出来る。わいわい広場とは逆サイド、公園西側の端っこには道路の「果て」がある。

道路の「果て」は丸くなって終わっている

丸くなって終わっている道路といえばクルドサックだが、この果てはクルドサックほど機能性が考えられているわけでもなく、ただただ「果ての処理」として丸くされている感じがなんとも侘しい。これも埋め立て地ならではの寂寥感として後世に伝えていきたい。

⏩ 第2位:人がいない

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