マドゥライのキャラメルフラペチーノことジガルタンダ
インドのタミル・ナードゥ州にあるマドゥライという都市で、ビリヤニ屋さんのデザートとして出てきたのが、ジガルタンダという謎の冷たいスイーツだった。
同席していたインド在住の方曰く、ジガルタンダは「マドゥライのキャラメルフラペチーノ」とのこと。
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食べてみると、液体部分はキャラメリゼされて香ばしさが加わった甘さ強めの濃厚なミルクのようだ。練乳っぽい。その中で浮遊しているザラザラした食感の物質が舌に楽しく、中央にはたっぷりとアイスクリームが浮いている。
確かに見た目も味もキャラメルフラペチーノみたいなのだが、このザラザラの正体が氷の粒ではなく、よくわからないゼリー状の物質なのである。
決して溶けない不思議なシャーベット。しいて似ているものをあげるとすれば、破れた保冷材から出てくるゼリー状のやつ。
ジガルタンダのザラザラがなにから作られているのか、そもそもジガルタンダがなにを指している言葉なのか、なにもかもわからないことだらけだが、二月でも暑いマドゥライの気候にとても合った冷たいスイーツであることは確かだった。
有名なジガルタンダ専門店で食べてみる
その翌日、『インド亜大陸の麺状デザート、ファルーダを自作したい』などの記事でお世話になった小林真樹さんの著書『食べ歩くインド』で紹介されていた、ジガルタンダ専門店にも行ってみた。
その名も『フェイマスジカルタンダ(Famous Jigarthanda)』。白とピンクと紫を基調としたポップなカラーリングの明るい店で、店内では二人の若い女性がイートインを楽しんでいる。
またジカルタンダが食べられることに興奮していたため、入り口の前で思いっきり転んで変な注目を浴びてしまったが、何事もなかったように入店する。
店員さんは白い不織布の帽子をかぶった髭のおじさんが二人。メニューがまったく読めない現地の言語オンリーだったが、注文はジガルタンダと決めているので問題はない。
元気に「ジガルタンダ!」と注文すると、ミニサイズが40ルピーで、スペシャルが70ルピーとのこと。片言同士の英会話が楽しい。
張り切っている私はもちろんスペシャルを、なんとなくついてきてくれた4人の同行者はミニサイズをセレクトした。
この店のジカルタンダも、キャラメルっぽい練乳味の濃厚なミルクがベース。やはりシャーベット状だけど溶けない謎の物質が混ぜられていて、柔らかいアイスクリームが浮かんでいた。さらに前の店にはなかった赤っぽいソースも少しかけられているようだ。
私が頼んだスペシャルとみんなのミニサイズの違いが、量以外によくわからなかったので、ちょっと店員さんに聞いてみた。
すると「スペシャルにはマライがたっぷり入っているんだ!」と自慢げに教えてくれたのだが、マライってなんだよという話である。
同行者たちが興味津々で私のスペシャルを覗き込んでいると、店員さんは「よかったら食べてみて!」と、マライだけを少しずつ配ってくれた。
それはフヤフヤした湯葉っぽいもので、確かにスペシャルの上に入ってはいたけれど、そのありがたみがまったくわからない。
私には正体がピンとこなかったのだが、同行者の小松さんが「これって温めた牛乳の膜じゃない?」と鋭いコメントをした。言われてみれば確かにそんな感じかも。
ジガルタンダの追加調査
なかなかマドゥライに来る機会もないので、さらに二軒でジガルタンダを食べて、その特徴をより深く確認する。
ジガルタンダは正真正銘のマドゥライ名物なので、驚くことに専門店がそこら中にあるのだ。

