特集 2025年3月20日

けん玉発祥の地、廿日市でけん玉事情を探る

マイけん玉を携えて廿日市を訪れました

広島県の廿日市はけん玉発祥の地である。

世界大会であるけん玉ワールドカップが市内で開かれるなどけん玉による町おこしにも力を入れているが、廿日市市民はみんなけん玉が出来たりするのだろうか?

私もけん玉をかじっていた時期があり、けん玉には人並み以上の興味がある。廿日市のけん玉事情を探ってみた。

1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

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なぜ廿日市でけん玉が生まれたのか?

「けん玉をかじっていた」と書いたが、私がけん玉をできるようになったのは小学一年生から三年生まで通っていた学童がはんぶん「けん玉養成所」の様相を呈していたからだ。

学童を仕切っていた先生がけん玉好きだったのだが、この人がちょっと変わっていて、生徒全員に問答無用でけん玉をさせていた。けん玉検定は全員必ず受けるし、半年に一回くらいある生徒による出し物でもダンスや演技の間に必ずといっていいほどけん玉シーンの演出が挟み込まれてた。

当時は当たり前のようにやっていたが、今思うとかなりのスパルタけん玉教育である。ただおかげで私も晴れてけん玉好きとなった。なんなら主席として学童を卒業したといってもいいくらいで、その後の人生でずっとマイけん玉は持っているし、こうしてけん玉発祥の地にまで来てしまった。

廿日市駅は広島駅と宮島口駅の真ん中あたりに位置している。広島駅や宮島口では外国人をたくさん見たが、ここは住民の利用が多い印象だ。

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「甘」に引っ張られて毎回「あま…」と読んでしまいそうになる「はつかいち」市

かく言う私も広島駅周辺や宮島には訪れたことがあったが、廿日市は始めてである。駅を出ると早速、けん玉が出迎えてくれる。

駅前の一番目立つところにある時計台がけん玉
しっかりマイけん玉を持参してきている。玉の色がオシャレなのがポイント。
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そもそもなぜ廿日市がけん玉発祥の地なのか?それは廿日市が古くから木材の集積地として栄え、江戸時代に生まれた「廿日市ろくろ」と呼ばれる高度な技術によって明治時代に木材加工業が発展したからだ。この廿日市ろくろの技術を使って、1921年に初めて現在のけん玉が削りだされたのである。

日本に伝わった頃のけん玉は棒と玉だけのシンプルなものだった(Jeanne Bôle画『L'Enfant au Bilboquet(ビルボケを持つ子ども)』(1880年頃) Wikipediaより引用)

 廿日市で生まれたけん玉は「日月ボール」と名付けられたが、そのネーミングは太陽のようにまっ赤に色付けられたボールと、三日月型に削られた皿の部分に由来している。つまり初めてけん玉が作られた時からけん玉の玉は赤かったということだ。けん玉の玉といえば赤のイメージが強いが、もし最初に黒で作られていたら、けん玉の印象も大きく変わっていたかもしれない。

タクシーおりばもけん玉
足元にもけん玉

最盛期には国内生産の約4割のけん玉が廿日市で作られていたが、徐々に衰退し、1998年には廿日市でのけん玉製造の歴史は一時的に途絶えてしまう。

しかしけん玉製造が途絶えたことを惜しむ声が市内外から届き、2000年にけん玉の製造を再開、2011年からは廿日市市内のすべての小学一年生にけん玉を配布するなど、けん玉の普及に力を入れている。

商店街のサインもけん玉だし、
けん玉の電灯もある。

廿日市のけん玉の歴史と共に駅周辺のけん玉スポットを紹介したが、ご覧の通りいたる所にけん玉があしらわれている。小学一年生全員にけん玉を配ることからも、廿日市のけん玉に対する本気度がびしびし伝わってくる。

けん玉推しすぎて公衆トイレの鏡のシミすら一瞬、けん玉に見えた

マンホールに合わせてけん玉をする

地域で有名なものが描かれがちなマンホールも、もちろんけん玉柄である。しかも技ごとに複数種のマンホールが設置されている手の込みようだ。

せっかくマイけん玉を持ってきたので、マンホールに描かれたのと同じ技をその場でやるという、けん玉好き100人中98人がやりそうなベタなことをやってみよう。ちなみに駅から遠くなるほど技の難易度があがるけん玉プレイヤーの気持ちを汲んだマンホール蓋の配置となっている。分かりやすく廿日市市の戦略にのっている。

まずはけん玉の入門技である大皿と小皿
これは難なく一発で成功。大皿と小皿、連続でどうぞ。
続いては中皿ととめけん。初心者はまずとめけん習得がひとつの山となる。
中皿も一発クリア。ここまでは割と簡単。
とめけんは3回目で成功。できてよかった。ちょっと緊張した
けん玉養成所こと学童で一番練習したのが玉をもってけんを振り入れる飛行機という技
これも3回目で成功。これができると周りもけっこう沸く。
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つづいては日本一周。ぐっと難易度が上がる。
日本一周は大皿→小皿→けんと玉を移動させていく連続技だ
これも3回目で成功したが長いので成功シーンだけどうぞ

人生で一番ホットなけん玉時代を過ごした学童卒業後も、思い出したようにマイけん玉を引っ張り出して時々やっている。日本一周も大人になってからできるようになった技だ。

そして最後の技は世界一周。カラーのマンホールが1か所だけに設置されている。
廿日市市中央市民センターでマンホールカードも貰えます

この世界一周という技、実は過去に一度も出来たことがない。一見すると日本一周とそんなに変わらないように見えるが、中皿を挟むことで難易度が一気にあがるのだ。

大皿→小皿→中皿→けんと玉を移動させていく。中皿からけんへの移動が難しい。
10回ほどチャレンジしたができず。GIFは短縮版です

すべて成功とはいかなかったが、廿日市でしか出来ない楽しみ方をすることができたので大満足である。

⏩ 廿日市の人たちはけん玉をするのか?

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