単なる偶然だけど、巡ってみたさがある
高校時代のバイト先が全部潰れたと知ったのは随分前だ。
知った当初は「まさかだけど、私が何か悪い運とか撒き散らしていた可能性ってある?」などど、見えない力に思いを巡らしかけたりもしたが、そんなわけはない。偶然である。
残念なことだけれども、潰れるお店は、さまざまなやむを得ない理由によって、潰れるときには潰れてしまう。
でも店がなくなっても、建物が残ることは結構ある。
使用者が変わったあとも、たくましく生き続ける建物たちの「今」の姿を追ってみようじゃないか。
1軒目:ピザカリフォルニア(ある日急に、ピザロイヤルハットに変貌した)
まずは高校時代、一番長く居座っていたバイト先から探索したい。「ピザカリフォルニア」という宅配ピザ屋である。
ピザカリフォルニア、ご存知だろうか。
略してピザカリとも呼ばれる。
創業は1986年と日本の宅配ピザ界では老舗の部類に入るのだが、今生きているのは50店舗強。東京都内に唯一あるのは田無店……という状況なので、知らない人は知らないのではと思う。
そんなピザカリはかつて群馬県にも数店舗あった。そして私が働いてたいた前橋駅前店は、ある日急に「ピザカリ」から「ピザロイヤルハット」に姿を変えた。2000年少し手前の出来事だ。
ちなみにピザロイヤルハットとは、四国などを中心に展開するまったく別の宅配ピザチェーンである。
おそらくオーナーが何らかの事情で、フランチャイズ契約を結ぶ先を急に変更したのだろう。いや、オーナーにとっては急ではなかったのかもしれない。とはいえ我々バイトは当時、たいそう驚いた。
想像してみてほしい。地方都市の駅前でバウレ族が作ったお面が販売されている光景を。端的にいって偉業である。