特集 2023年11月17日

パズル「箱入り娘」はキャスティングとストーリーだ!

三国志モチーフ「華容道」

中国版の箱入り娘。曹操の駒を出せばゲームクリアです。

三国志の「華容道」でのエピソードがベースになっています。赤壁の戦いでボロ負けした曹操が、家臣と華容道を通って落ちのびようとすると、そこに劉備軍の武将が待ち構えているという場面です。

曹操をはばむのは、

張飛と趙雲、
そして関羽!

めちゃくちゃ強い関羽が最もジャマな駒です。ナイスキャスティング。

元となった物語で、関羽は昔の恩義から最終的に曹操を見逃してしまいます。そこが「曹操は関羽に手こずるけど最終的に脱出成功する」というパズルクリアのカタルシスにもなるのです。く〜

有名なストーリーをパズルに落とし込んだ良作といえます。しかし、

あれ?黄忠と馬超って華容道の時ににおらんよな・・・?

華容道のシーンには出てこない(ていうか赤壁の戦いのとき、まだ劉備の仲間でもない)武将が登場しちゃってます。「劉備軍の強いヤツ」として漠然と付け足された感も味わい深いです。

王将って外に出すもんやっけ

ストーリーを複雑に考察してしまうのが

この「王将出陣」です。(ケース付き。持ち運んでプレイできる)

将棋を落とし込んだ一品。他の箱入り娘と違い、上へ王将を出すという将棋にちなんだ方向の工夫もあるのですが、なんかひっかかります。


将棋は王将を取られたら負けなので、基本は敵から攻められないように王将の周りを固めます。王将が単独で「おれが行ったるねん!」と飛び出すイメージはありません。

まあ、守りを固めすぎると、攻められた際に逃げ場がなくなって負けることもあります。そんなピンチをむかえ、逃げる局面でしょうか?じゃあ曹操と同じく「脱走」に近くないか?とあれこれ考えてしまいます。

「桂馬」「角行(斜めにしか動けないコマ)」が実際の将棋ではありえない動き方をするのも乙です。ファンタジー。

銅山から銅を運び出せ!

足尾銅山に行った時、

銅山版箱入り娘の紹介を見つけました。(残念ながら、この日は資料館が開いておらず実物は見れませんでした。)
銅を出せばクリア!

みんなで協力して、やっとこさ銅を出す喜びがビリビリ感じられそうです!

ただ、これらの駒には労働者だけでなく、「坑車」や「石刀」という道具、そして「岩盤」、「河鹿」、「直利」という岩や鉱脈についてのワードも登場しています。岩を爆破する「発破」もあります(採掘の方法!)。そこらへんバラエティ豊かです。

飯場頭(ご飯準備する人)が上で見守ってるのいいですよね。はやく飯にありつきたくなります。

いったん広告です

あんま考えてなさそうなのもよい

これまで物語性が香り立つものを紹介してきましたが、別にそこまで気にしてなさそうなものもたくさんあります。

のりものバージョン

ライトバンやバスを移動させ、トレーラーを出せばクリアです。

小さいコマがバイクやサイドカー(サイドカーて)、横長のコマがダンプやタンクローリーで、大きさや形にちなんだキャスティングではあります。

「ギュウギュウの駐車場の奥に停まってるトレーラーを出す」というストーリーを考えようと思えば考えられます。しかし、それにしては乗り物のバラエティが豊富すぎで(サイドカーて)、「どんな面白駐車場?」と思っちゃいます。のりもの好きの子供を惹きつけようとしたデザインでしょうか。

同じ会社が出したトランプ柄もあるらしい。これもストーリーは希薄そう(​ハートとクローバーのダブりが気になる)。

持ってるもので一番粗いのが、

相撲の番付モチーフのものです。

横綱が出ればクリアで、「格下を蹴散らす」というストーリーを考えることもできます。しかし、

コマのキャスティングが雑すぎて気が散ります。

どう考えて配置はこうです。

しかもこの横綱パズル、裏側ザッラザラで滑りもよくありません。まあでも、そのユルさがなんか憎めない一品です。

他にも、ただミッキーとミニーの絵が描かれているもの、牧場から牛を出すものなど百花繚乱です。ぜひメルカリなどで定期的にチェックしてみてください。

 


いっぱい持ってるけど下手

私は箱入り娘のプレイ自体は下手で、7割方失敗に終わります。THE POWER STATIONは大体シングルを出すことなく解散します。

運が良ければ20分くらいかかってクリアという体たらくです。

しかし、試行錯誤・悪戦苦闘するからこそ、コマの役どころ、それらが紡ぎだす物語が深く味わえるのだと言いたいです。

私的箱入り娘

頑張って記事を捻り出せればクリア!
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