特集 2022年12月15日

発表会の観客が本当にジャガイモだったら

先日、人前で楽器を演奏する機会があった。

直前までは気楽に構えていたのだが、いざ本番になるとビックリするくらい緊張した。プピー、スコー、ポペー。視野が半分になるくらい恥ずかしかった。

そういえば、人前で緊張するときには観客をジャガイモだと思えばいいと聞いたことがある。

…本当に観客がジャガイモだったらどうだろう。
 

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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人をジャガイモと思う方法、2パターン

・ただのジャガイモが座席に置いてある
・体は人間だが頭部だけジャガイモの人がいる

人間をイモと思え!と言われたらこの2つの絵面が浮かぶけれど、頭がイモの人間なんてこの世に存在しないじゃないか。

前者で想像するにしても人とイモとでは体積が違いすぎるのが問題だ。脳内で人間を圧縮してイモの姿に置き換えるのは難しい。

町のホールを貸し切った

頭の中で考えていても埒が明かないので観客席を用意して実際にやってみた。

座席にイモのパターン

はじめに座席にイモが佇んでいるパターンを試してみる。近所のスーパーで買ったジャガイモをひたすら並べていく。

イモは一個30円だった
整然と並んでいて気持ちいい

イモを並べているだけなのに新進気鋭の芸術家になった気分がする。これはミニマルアートだ。あるいは農産業のイベントで来場者に配布される芋だ。

演奏会のつもりでスーツを引っ張り出した
右手の町章は「高い山と深い渓谷の間に霞たなびく幽すい境を表現」している

準備が整ったので楽器を構えて壇上に立つと、気持ちが入りすぎて顔がこわばっていた。緊張とともにステージから観客席を見てみる。

これが本当に観客がジャガイモの発表会だ!
別の角度から

ステージ上からだと小さなイモはよく見えない。誰も座っていないのと同じである。こんなに何も起こらないとは思わなかった。

確かにこれなら緊張しないかもしれないが、それは無観客に見えるからである。芋は何の役割も担っていない。イモは緊張の中抜き業者だ。

イモの量を増やしても
誰も座ってないと同じという状況は変わらず

そして満員の客席を脳内でこの図に置き換えるのはやはり難しい。座席にイモのパターンは現実的ではあっても緊張を和らげないのだ。 

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ジャガイモ人間のパターン

先程の手法が間違っているとすれば、例の助言は頭がジャガイモの人間を想像しろと言っていることになる。つまりこういう絵面のことだ。

せ、先輩!怖いのですが!!

「役員なんてジャガイモだと思えば良いよ」なんて部下に助言するビジネスマンは、このイメージで若手を勇気づけようとしていたのである。

白っぽいイモでも怖い
壇上に立つとデスゲームの司会者になった
イモのお面は手作り

イモ人間はとんでもなく怖い。百歩譲って緊張はどうにかなるにしても恐怖でおかしくなりそうだ。少しでもヘタをこいたら制裁を受けそうな気さえする。

芋好きなのに「おいしそ~」とはならない不思議

距離を置けば印象が変わるかと思ったが、ステージ上から見てもイモの地縛霊みたいで怖かった。いろんな意味で緊張する。 

ここまでボカしても芋だからすごいな
イモ人間で埋め尽くされた客席、もはや発表どころじゃない

ジャガイモ頭の人間が目の前にいると怖すぎて発表どころではなくなることが分かった。 

フレンドリーさが逆に怖いセンパイ

結局のところ、人間をジャガイモだと思えとアドバイスすることの真意は理解できなかった。どっちのパターンであれ想像しづらいからだ。

もしかするとあのアドバイスは緊張をほぐすための冗談なのかもしれない。そう考えると僕はギャグに真面目にツッコんでいたのか……恥ずかしい!
 

プリンターからA3の芋が出てくる様子がおかしかった

 撮影に使ったジャガイモは粉ふき芋にして食べる予定である。

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