特集 2022年7月6日

交番のおまわりさんはどこまで対応してくれるのか

交番のおまわりさん、どこまで対応してもらえる?

普通に生活しているなかで、交番にお世話になることって、自転車が盗まれたとか、落とし物を拾ったとか、それぐらいしかなく、あまり接点がないなと思う人が多いかもしれません。

『警察24時』みたいな、交番勤務のおまわりさんに密着したテレビ番組などをみると、酔っぱらいの介抱をしたり、ケンカの仲裁をしたりと、とにかく通報があれば、なんでも対応しているという印象があります。

実際のところ、交番のおまわりさんには、どの程度のことまで対応してもらえるのでしょうか? 交番勤務経験のある元警官の方に、伺ってみました。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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道案内のついでに観光案内はしてもらえる?

交番のおまわりさんは、どんなことまで対応してもらえるのか……。

実際に交番へ行って聞き出すわけにもいきません。そこで、元警察官のモデルで女優の田中杏樹さんに、交番勤務をしていた経験から、どの程度まで対応できるのか……そんなお話をお伺いします。

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田中杏樹さん

田中さんは、大学卒業後に山形県警に奉職。22歳から24歳ごろまで山形市内の交番で勤務 されていました。その後、鑑識課などを経て、女優業を目指して退職。現在は芸能事務所 に籍を置き「教場Ⅰ、Ⅱ」「未満警察ミッドナイトランナー」などのドラマや、舞台などに も出演するかたわら、一般社団法人日本刑事技術協会に所属し、 「交番(KOBAN)博士」として、交番勤務経験にまつわるエピソ ードを紹介する講演活動なども行っています。(敬称略)

西村:われわれが、ふだん警察とふれあう……というのもちょっと変ですが、接点を持つのはまず交番のおまわりさんだと思います。その中で、おまわりさんはどこまで対応してくれるのか……。

田中:はい。

西村:まずはなんですが、道案内。これはもちろんしてもらえますよね。

田中:はい、もちろんですね。

西村:例えば、観光客が「博物館とか美術館みたいなの、この近くにあります?」といった、観光案内に近いこと、おまわりさんは答えてくれますか?

田中:それはもう、ぜんぜん、自分が知っていればこの近くにありますよって案内します。

西村:じゃあ「この近くに、おいしいラーメン屋さんあります?」というのは……。

田中:それは、個人の意見になっちゃうから、難しいですけど、でも、おいしいラーメン屋さんを聞かれたら、近くのラーメン屋さんを案内はします。そのときに会話のなかで「個人的にはここおいしいと思いますよ」ぐらいのことをちょっと言うことはあると思いますけど。

西村:あ、それぐらいは教えてくれるんですね。

田中:そうですね「そういうのはやってんないんで」……とはやらないです。ほんとに食べるところを探してる人には案内します。けれども、『警察官が好きなラーメン屋を知りたい』みたいな目的で聞かれたりすると、ちょっとお答えできないことはあるかもしれませんね……。

西村:「シャッター押してもらえますか」ってお願いできます?

田中:写真も業務に支障のない範囲でシャッター押すぐらいだったら押しますよ。全然問題ないですよ。

西村:じゃあ逆に「一緒に写真撮ってもらっていいですか」というのは?

田中:一緒にはちょっと難しいかもしれない……状況によるとおもいますね。よくあるんですけど、幼稚園や保育園の子供が「おまわりさんいつもありがとう」というお手紙をくれる時に、記念に写真を……という場合は問題ないかもしれませんけれど、個人的に二人で一緒に写真を、というのは難しいかもしれないですね。

西村:一緒に記念写真は難しいか……。

田中:近年はSNSがものすごく発達して、悪用されると問題になってしまうので、厳しくなっている感じですね。

古賀:そうか「おれ、警官と友達だから」みたいに詐欺の道具に使われる可能性もありますね。

田中:例えばですけど、捜査するうえで、その警官の顔がわかってしまう感じで広まってしまうと、その警察官は(捜査などで)使い物にならなくなってしまう。

西村:使い物に……き、厳しい……。

古賀:身元が知れちゃうと困ることがあるのか……。

西村:ぼく、15、6年ぐらい前ですけど、子供が生まれたときに、いろんなひとと記念写真撮ってもらいたくなって、近所の交番のおまわりさんに、記念写真お願いしたことあるんですよ。

古賀:赤ちゃんのときに?

西村:赤ちゃんの時にです。「すみません、子供と一緒に写真撮ってもらっていいですか?」 ってお願いしたら、おじさんのおまわりさんでしたけど「はい、いいですよー」つって息子抱いてもらって記念写真に写ってもらいました。

田中:そうですか(笑)状況や人によるんでしょうね。明らかに赤ちゃんとの記念写真だから、いいんですけど、けっこう多いのが、個人的に警察が大好きで……という方がたまにいらっしゃって。

古賀:あ、マニアの方……。

田中:そうですね、悪い方でないことはわかりますが、個人の判断でお断りすることもありますね。

西村:ここ十数年、ネットでSNSが普及しはじめてより一層厳しくなった感じでしょうか。

田中:(警察官は)SNS自体も、ものによってはNG、アカウント持つのもダメ。というところもあるみたいですね。

西村:厳しい……こっそりやるなら、完全匿名でやるしかないんでしょうね。

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あいさつはめちゃくちゃうれしい

西村:子供があいさつしたらもちろん、あいさつ返すとおもいますけど、大人がバカでかい声で、オハヨーゴザイマス〜なんて言ってきても……返しますよね。

田中:もちろん、返します(笑) あいさつされてシカトするほうがおかしいじゃないですか。なんなら、敬礼とかされたら、答礼してましたね。

古賀:へー!

西村:「ご苦労さまです!(敬礼)」ってしてたら、敬礼返してくれていた?

田中:私は返してましたね。大学生とかがノリで「イェーイ」とかいって、ふざけて敬礼してくることがあるんですよ。

古賀:いるんだ……。

田中:いるんです。でも、私はそういう人にもちゃんと律儀に敬礼は返してました。ただ、私の上司の部長は、そういう、大学生のノリに付き合って、相手が盛り上がるのが嫌だからやめろって、めっちゃ言われました。警察をそんな低く見せるなと。

古賀:調子に乗らすなってことですね。

西村:もうそれぐらいになると、その警官の個人の考え方で対応も変わってくる感じですね。

田中:ただ「敬礼をされたら、返す」というのは法律でも決まってるんですよ。

西村:えぇ! そんな法律があるんだ……。

昭和二十九年国家公安委員会規則第十三号
警察礼式
(答礼)
第八条 敬礼を受けたときは、何人に対しても、必ず答礼を行わなければならない。
(※敬礼を返さなくてもよい場面もある)

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普通は、敬礼したら答礼してくれるはず。

西村:こんどから、おまわりさんにちゃんとあいさつしよ……。

田中:もう、それは本当にすごくうれしいです。怖がってチラッとみて顔そむけたりする人は多いですけど、あいさつしてくれる人はなかなか居ないので、おはようございます、おつかれさまです、ご苦労さまですって言ってくれるだけで「ありがとうございます……」って気持ちになります。感謝されることがなかなか無いので……。

西村:『ハコヅメ』(※交番勤務警官を主人公にした漫画作品。昨年ドラマ化された)で、警察官はサンドバッグになるのが仕事だと、みんなに嫌われて袋叩きにされるのが仕事だと書いてありましたけど、そういう気持ちのところに、あいさつされたら、うれしいですよね。

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話を聞くテクニック

西村:子供が泣いてたらもちろん、話を聞くという話になると思いますけど、45ぐらいのおっさんが、号泣してたら……どうしますか?

田中:そうですね(笑)状況にもよると思いますけど……さめざめ泣いてたら声はかけないかもしれませんけど、泣きながら暴れてたりするようだったらもちろん止めますし、話も聞きにいくことになりますね。

西村: 3時間ぐらい同じ場所でさめざめ泣いてたら?

田中:長い時間同じ場所で泣いていればそれはそれで、違和感のある行動になりますから、どうされました? と、話を聞きに行くことになるかもしれませんね。他の人がやらない行動をしてたら、いちおう職質(※職務質問)の対象になりますので。

西村:で、話聞いて「失恋したんです〜」とかだったら。あぁそうですか〜と。

田中:そうですね「あぁ、そうですか。頑張ってください〜」という感じで。

西村:でも、こういうのって、いちいち報告書みたいなのを書かなきゃいけないんですか?

田中:いや本当に「おじさんが失恋して泣いていた」というだけだったら、とくに報告書に書いたりもしないです。

西村:そうですよね、おっさんが失恋して公園で泣いてたとか、公文書で残ると恥の上塗りですしね。

西村:しかし、職質してるうちに、その人の人生相談になっちゃうことってありません?

田中:あります(笑)泥酔者の方とか、それこそ、3時間、4時間話を聞くということもありましたね。

西村:まさに警察24時だ……。

田中:「私はなんでダメなんだ!」みたいにわ−っとなっちゃってる人に「そんなことないですよ……」とか、「私でもそうですよ……」みたいに話を色々聞いて「今は辛いかもしれないですけど……」という風に話をすることはありましたね。

西村:でもはっきり言って、赤の他人の身の上話をきくの、めちゃくちゃしんどくないですか? 仕事とはいえ。

田中:だからこそ、聞く能力が身につきましたね……それが、普通の方だったらいいんですけど、(話を聞き出さなきゃいけないのが)被疑者の方だったりする場合、被疑者の方とうまく心を通わせないと、聞き出せない情報とかもあるし、事実を話してくれなかったりということもあるんです。

西村:そうか、ふつう知らない人に自分の話なんて別にしたくない人の方が多いですもんね……。

田中:そこで、真実を聞かなきゃいけないときは、やっぱり信頼関係がないと話をしてくれないことが多いですし、泥酔者とか喧嘩口論でも、そこでウソつく人もいるわけですよ、DV(※ドメスティック・バイオレンス)とかだとけっこう多いですけど、相手を守りたいという気持ちが強くて、話せないとか……。

西村:明らかに殴られてるのに、大丈夫だとか言い張ったりするやつですね。

田中:傷をメイクで隠してる人もいますし、そういうときはやっぱり真実を話してもらわなきゃいけないので、信頼関係を作るために、小さい世間話を積み重ねて、どんどん話を核心に近づけていくとか。

西村:おまわりさんって、いわゆる「コミュニケーション能力」がめちゃくちゃ高くないとダメですね。

田中:私も昔、失敗したことがあって「正論を言ってしまう」ことがあるんです。被疑者の人へもそうだし、そのへんでたむろしてる人にもそうなんだけど、そんなところに居たらダメですとか。

西村:まあ「正しい事」なわけですから。

田中:でも、人って「正論」で責められるとムカつくだけだったりするんですよね。反発したくなっちゃう。

西村:その気持ちもわかる……。

田中:ただ正論ぶつけても「うるせえ」とか、逆上しちゃう人が多かったんですが、私の上司の部長は真逆で、まず相手の気持ちに共感するんですね「そういう風にしたくなる時あるよね」とか。で、人って「わかってくれるんだ」となると、いろいろと打ち明けてくれるようになるんですよね。

古賀:部長への信頼感が……会ったこともないのに出てきました。

田中:なるほどなと思って、そこから私も共感するというか、その人の立場にたって話をするって大事なんだなと気づいたんです。

西村:SNSのやりとりですよね、したり顔で正論言うやつばっかりなんですよ。わかってるよそんな正論は! みたいな……。

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子供なら対応できるけれど……

西村:交番に世間話しにくる人、います?

田中:います。知り合いのおじいちゃんとかだったら、入ってもらってお茶出したりしますよ。

西村:あまりにも長い間居座ったらさすがに……。

田中:そういうときは「ごめんなさいちょっと事案が入って……」といって引き取ってもらったりしますね。

西村:子供が「おまわりさんのお仕事を調べています」といってやってきた場合は?

田中:それは対応しますね。

西村:では、我々みたいなのが「おまわりさんのお仕事を調べています」といってやってきたら……。

田中:それはお断りする可能性が高いですね。というのも、警察の情報を悪用する人がいるんですよ。数年前に交番が襲撃された事件がたて続けにあって……。(※富山、宮城、大阪などで発生)

西村:ありましたね。拳銃を盗もうとして……。

田中:そういう事件の犯人は事前にリサーチして来るんです。実際、殉職された方もいますので、交番の情報は不必要に教えないことになってますね。

西村:なるほど。

田中:できれば、親切にしたい気持ちはたくさんあるんです。でも、交番への警戒というのも同時に高まっているので、普通の人がしないような質問を急に聞きに来る、たとえば「この交番って何人ぐらいでやってんですか?」とか、そういう方には「ごめんなさい、そういうのは警察の機密情報になるので、お答えできないんですよ」と、断ることになりますね。

西村:まあ、それは仕方がないですね。

田中:子供はまた別ですけど……私が警察のことを含めてこういう風に情報発信する理由のひとつは、警察の仕事ってみなさんものすごく興味はあるけど、まったく知らないという人が多いと思うんんです。

西村:まったく、そのとおりです。

田中:なんだか怖いとか、近寄りがたいというイメージがあるので、もうちょっと身近に知ってほしいという気持ちでやっているんです。

西村:仕方ないんですけど、警察は情報がオープンにならない部分があるせいで誤解されてる部分も多いので、こういう風にざっくばらんに話をきけるとすごく助かりますね。現役だと情報発信とかできないですから。

田中:私は辞めた身なので、話せる範囲でお話をする、実際にお話する内容も、具体的な機密情報に関わることを言うわけではないので。もっと身近に知ってもらえたらなと思ってます。

貸してくれるもの、貸せないもの

西村:ぼく、近所の交番で、よく自転車の空気入れを借りてたんですよ。自転車乗って行って「すみません、空気入れ貸してもらえますか?」って言ったら「どうぞ」つって。これは地味に助かってました。

田中:あ、そうなんですか。

西村:田中さんが勤務されてた交番でも貸してましたか?

田中:空気入れは貸した事ないですけど、一応確認はして、交番にあれば貸してましたね。

西村:よく聞かれると思うんですが、お金は?

田中:お金の件は、公衆接遇弁償費(※東京都の場合。都道府県で名称が違う場合もあります)という制度のある都道府県であれば、1000円ほど、本当に交通費がなくて困っている場合に限って貸し出ししています。

西村:これ実はぼく借りたことがあって……ただ、ものすごく嫌がられました「ホントは貸さないんだよ!」とかいって。でも、財布も携帯も忘れたまま、パスネット(※磁気カード乗車券)で来ちゃって、カードの残金が足りなくって身動きとれなくなって……。お金貸してくれる時、おまわりさんが自分の財布からお金出してて「あ、ポケットマネーから出すんだ」と、悪いことしちゃったなと思って。朝に借りて、昼過ぎにはすぐ返しに行きました。

田中:書類作ったりとか、面倒な作業が増えちゃうんですよね……。

西村:「傘貸してもらえますか?」っていうのは?

田中:傘か……うーん。あれば貸すと思うんですけど、交番に傘って無いんじゃないかな。警官は基本的に合羽なんで。

古賀:あぁ、たしかに! おまわりさん必ず合羽着てますね、傘さしてないですね。

田中:基本的に傘はNGなんですよ、事案のときとかに傘さしてたらダメなんです。

西村:NGなんだ。

田中:危ないというのと、手がふさがるので。

西村:そうか、無ければ貸せないですよね……トイレは?

田中:トイレは、昔はよかったらしいんですが、今はダメですね。悪用する人がいるんですよ。トイレの位置って結構奥まったところにあることが多くて、案内すると、交番内の配置がわかっちゃうんですね。

西村:コンビニでもトイレ借りるとバックヤードが覗けたりしますもんね……電話は?

田中:電話は、状況にもよりますけど、お貸ししますよ。まずは近くの公衆電話を案内したりはしますけど。小銭もないということであれば、電話はお貸しします。

西村:基本的に緊急でどうしても必要であれば貸しますという感じですね。

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電話、傘、お金は△、空気入れは○、トイレは×

どうしても物をあげたい人vs受け取れない警官

西村:悪気があるわけじゃないということ前提なんですが、近所のおばちゃんが、交番のおまわりさん労おうとおもって「缶コーヒーどうぞ〜」なんて持ってきたら、それは受け取れない?

田中:大変うれしいんですけど、受け取れないですね……。

西村:あらー、やっぱり。

田中:受け取ってしまうと、場合によっては始末書書かないとダメになっちゃいますね。

西村:公務員倫理規定というやつですかね。賄賂になってしまう可能性があるということですね。

田中:そうですね。

西村:じゃあ、勤務が終わった時に、帰り道でおばちゃんが「あ、おまわりさん! うちの庭になってるビワ、いっぱいとれちゃったから、ちょっと持ってって」みたいな、そういうのは?

田中:うーん、ものすごくよく知ってる人で、勤務時間外という場合でいえば……受け取ってしまう可能性もあるかな……。でもやっぱりNGですね。

西村:知らない人が、急に「缶コーヒーどうぞ」みたいな話だったら、うれしいとかよりも普通に怖いですけど、知り合いの家の庭になってるビワだとかなり悩んでしまう感じですね。

田中:本当はダメなんですけどね。ただ、巡回連絡のときに「おまわりさん暑いから中入ってどうぞ」ってなって、お邪魔して、出てきたお茶や茶菓子ぐらいでしたら、いただきますね。

西村:まあ、そのへんは常識の範囲内で、ってことですね。

古賀:おまわりさんに物をあげたいというのは、結局おまわりさんが困ってしまうから、まあ、そういうことは最初からしなくていいって話ですね。

西村:あいさつするぐらいにしておきます。

田中:あいさつだけで、じゅうぶんうれしいので、ぜひ。

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何が起きてるの? 教えてくれる?

西村:近所にパトカーが来てて、なにかあったみたいだけど、なに? なにがあったの? という質問は答えてもらえる?

田中:それは、お答えしないですね……状況にもよりますけど。基本的に余計なことは言わないようにしてます。「そのうち、ニュースで報道されると思うので」とか、ちょっとしたこと「盗みがあって」とか「トラブルで……」みたいに、その程度なら教えるかもしれませんけど「すく終わりますんで、安心してください」といって。

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詳しくはニュースで……。

西村:パトカーきてたら、気になるんですよね……。なんだろなーって。

田中:わかりますよ。はい。

西村:まあ、どうせ教えてもらえないだろうから、聞かないんですよ。聞かないんですけど、やっぱり気にはなるんですよね。

古賀:昔、駅前にすっごい人だかりがあって、警備してるおまわりさんに「え、なんですかこれ」って聞いたことあったわ。おまわりさん小さい声で「ヘーカが、ヘーカが」って。天皇陛下が通るってことだったんですよね。
田中(笑)

古賀:おまわりさん「天皇」とか言わずにちゃんと「陛下」って言うんだと思って、そのあと車で天皇陛下が通りましたよ。

西村:そういう状況なら、言わないと収集つかないこともあるんでしょうね。

古賀:もう、いいから、寄ってこないでって心境だったのかもしれないですね。

どうでもいいことで自首するやつはいる?

西村:自首はどうするのか。というのも気になってて「お金盗んじゃいました……」というのは。

田中:もちろん対応しますよ。

西村:「母親のサイフから50円盗んじゃいました……」

田中:(笑)

古賀:もう帰れって話ですよね。

田中:そんな自首するほどの気持ちがあるなら、最初から盗むなよっておもいますけど……もし、本当に本人がものすごく深刻な様子で来ていたら、盗んだことが事実であれば、話は聞きますし、犯罪に重い軽いはないですから、対処することになると思いますけど。

西村:「立ち小便しちゃいました……」というのは?

田中:うーん、それも状況によるとおもいますけど、話はもちろん聞きますし、もし、されたところから、被害届が出たならば、もちろん犯罪として検挙することになりますね。

西村:自首というか、報告した場合なんですけど、例えば、家の蔵からじいさんの遺品の拳銃が出てきたとき「あわわ、こりゃ大変!交番に届けなきゃ!」つって、持って来ちゃった。という場合。これは?

田中:それは最悪銃刀法違反になっちゃいますね。家の中から銃や刀が見つかった場合は触らずにすぐ電話で警察に連絡してもらわないとダメです。

西村:逮捕になってしまう?

田中:そうですね。検挙になっちゃうと思います。

西村:そこは人情の入り込む余地がないんだ……。でもまあ、あきらかに犯罪の意思がなければ書類送検で不起訴でしょうね……。面倒くさいですけど。これ、銃だけじゃなくてヒロポンの未使用のやつが蔵から出てきた! という場合も同じですよね。

田中:ヒロポン?

西村:覚醒剤が合法だった頃に売ってた薬ですね……。

田中:そうですね、それも触らず、交番じゃなくて、警察に連絡してもらったほうがいいですね。

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子供の善意にはきちんと答えたい

西村:子供がお金を拾って届けること、多いと思うんですけど、これいくらから対応します?

田中:金銭の多寡は関係ないです。1円からちゃんと対応しますね。

古賀:やはり、そうなんですね。

西村:これ、実はうちの子がまだ小学生の頃に、50円拾って交番に届けたことがあって、そのときに「保護者の方へ」という封筒をもらってきて、それに「あなたのお子さんは、お金を拾って届けてくれましたので、褒めてあげてください」っていうピーポくんのかいてある紙が入ってました。

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ピーポくんからのお手紙です。いいでしょこれ

田中:へー

古賀:欲しい!

西村:いいでしょう? ぼく、ピーポくんと、みんくる(※都バスのマスコットキャラクター)大好きなので、すごくうしかったんですけど。山形県警はこういうのありました?

田中:いや、なかったですね。でも、お子さんがまだ小さくて、連絡先がはっきりしないとか、権利の話が難しいという場合は、保護者の方に連絡はしますね。

西村:これ、お金だけじゃなくて、たとえば「どうみても……ゴミだな」というものを、子供が「落とし物です」って持ってきた場合はどうですか?

田中:いちおう、ゴミだから捨てる。ということはこっちではしなくて、明らかにゴミだなという場合は「これは、おうちにいったんもってかえって、おとうさんおかあさんにきいてから、一緒にもってきてもらえるかな?」ってお願いするようにします。あきらかなゴミを拾得物として受理するわけにもいかないし、かといって「ありがとう〜(ポイッ)」って受け取ったその手で捨てたりとかできないですから……。

西村:なるほど……ちょっと別の感じになるんですけど、例えば「落とし物をしてしまいました、愛を……」みたいなことを言ってくるめんどくせーやつ。そういうやつのいなし方はどうしてるんだろうという。

田中:不審者ですね(笑)

古賀:そもそも交番に来たりします? そういうおちょくったやつ。

田中:そういう感じの人は来ないですね。でも、大学生のイェーイみたいなノリのやつはたまにあるんですけど、そういうのには「はいはい」みたいに軽くあしらう感じですね。ただ、人によると思いますよ、人によっては完全に無視だと思います。

西村:(笑)

田中:あまりにも業務に支障の出るような感じで絡んでこられると、逆に職質っぽくなりますね。

西村:公務執行妨害になりますよね。あまりにもひどい場合は。

田中:そうですね、あまりにもしつこいとそうなりますね。

西村:あいさつぐらいにしとけって話ですね。


おまわりさん、意外といろんなことに応えてくれる

警官や警察の知識って、はっきり言ってドラマや漫画の中で得た知識しかありません。

しかし、ふだん、無表情で交番の前に立っているおまわりさんも、感情をもった一人の人間であることには変わりないということがよくわかりました。

とっつきにくさや、ちょっと怖いというのもあるかもしれないけれど、まずは、交番のおまわりさんにあいさつぐらいはしてみようとおもいます。

取材協力

一般社団法人日本刑事技術協会
〒103-0027 東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント1階
TEL:03-6261-0650
MAIL:contact@j-keiji.org
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