特集 2023年9月27日

長い棒を持って動く歩道に乗れば電動キックボードに見える

電動キックボード。いつの間にか頻繁に目にするようになった、気になる存在。

しかし、年甲斐もなく流行りに飛びつくのはちょっと恥ずかしい。どうしよう? 人知れず逡巡してるうちに、時機を逸して(もういいか)で終わる。

そんなことの繰り返しで私は、新しい風を感じることもなく年齢と共に世界を狭めつつある。
 

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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> 個人サイト 片手袋大全

電動キックボードを構成する要素

悲しい気持ちで颯爽と駆けていく電動キックボードを眺めていた時、ある閃きが降りてきた。

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「長い棒」+「直立姿勢」+「平行移動」=電動キックボード?

「背筋をピンと張って長い棒を持ちながら動く歩道に乗れば、電動キックボードに見えるのではないか?」

思いついた。思いついてしまった。「なんちゃって!」で終わらせるのか? 実際にやってみるのか? 新しい風を感じる努力を怠って良いのか? 気が付くと、私は塩ビ管を切ってハンドル状の長い棒を作っていた。

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ハンドルには接着剤でスポンジもつけた
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新宿にて

8月某日。私は新宿に林編集長と安藤さんを呼び出した。勿論、あの長い棒を携えて。

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「やる」と決めた男の顔である

これを持って、新宿西口から都庁方面に伸びる動く歩道に乗るのだ。

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横からの撮影を担当する林さんに、細かい指示を出す

私は今、さながら鳥人間コンテストの滑走路に立つパイロット。感じるんだ、時代の先端に吹く風を。

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林さんと安藤さんに見守られて、私は飛び立つ
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緊張の一歩を踏み出す。背筋をピンと伸ばして、テイクオフ!

スイ~~~

風、感じる! これが電動キックボードから見える景色か。景色なのか! 自分でも驚くほど、上手くいってしまった。

林さんも安藤さんも「見える見える!」と言ってくれている。難を言えば速度が若干遅いかもしれない。ならば2倍速で再生してみたらどうか?

スイスイスイ~~~

時代の風、さらに強く!いきなり最先端にビュンビュン吹く風を浴びて、メガネも吹き飛びそうだ。やってみて良かった。年を取っても、新しいことは始められる。

ただ、動く歩道間の乗り継ぎの様子だけは絶対に見られてはいけない。

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さらに先へ

ならば、さらに一歩先の未来も見てみよう。この方式なら電動キックボードでは不可能な動きも可能にしてしまえるのだから。例えばバックもできる。

~~~イスイスイス

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居眠りしながらだって大丈夫
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安藤さんとの二人乗りも。脳内にセリーヌ・ディオンが流れる

普及と共に交通ルールの問題なども浮上してきた電動キックボード。しかし、これならばお子様からお年寄りまで安心安全(勿論、動く歩道利用者の邪魔にならないように気をつけよう)。どなたでもご自由にお楽しみください。

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それでも安全を重んじる私は、ライトもちゃんとつける

今回も起きてしまうのか、さらなるイノベーションが!

以前「新発明!ノートPCを一瞬で変身させるパネル」という記事を書いた。

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「銀色の板にステッカーを貼ってPCに装着すればオシャレになれる!」という内容

途中、安藤さんの「石井さん!そのパネルだけでもうオシャレじゃないですか!」という一言ですべてが変わった。PCすら必要なくて、銀色の板を持ち歩くだけでオシャレな渋谷の町に溶け込んでしまったのだ。

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これがただの銀の板を見てる人だなんて、誰が思いますか?

今回も同じように安藤さんが叫んだ。「石井さん、動く歩道に乗らなくても、その棒持ってるだけで電動キックボードに見えますよ!」

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確かにそうかも

早速動く歩道を離れ、棒を持ってただの歩道を歩き回ってみる。

⏩ 動く歩道がなくても電動キックボードに見えるのか?

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