色々なしぶそばがあって楽しい
チェーン店でも色々な違いがあって楽しい。思い入れのあるいつものお店ではなく、遠くにある同じ店に入るとまた違った雰囲気を味わえる。渋谷の本家しぶそばは9/13までなので行きたい人はすぐに行ってください。

東急沿線に住む人々や働く人なら一度は見たことはあるだろう、しぶそば。知らない人に向けて説明するとしぶそばである。(東急沿線の駅構内や駅周辺にある立ち食いそば屋)
渋谷を発祥として、すぐにでもそばを食べたいそば好きの人や働く人の胃袋を支えてきた。常にあると思うと気にならないと思うが、一度腰をおろしてちゃんと見よう。おろそうと思ったらイスがない。立ち食いそばだから。
※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。
突然だが、しぶそばとの出会いを書かせてほしい。
しぶそばを知ったのは、24歳の頃、以前勤めていた会社の出勤前や仕事帰りによく行った中央林間のしぶそばが最初だ。窓の外を見ながら「仕事行きたくないな」と思ったことが昨日のことに思い浮かぶ。
そんな支えになったのが、しぶそばだった。あのときは冷やしたぬきそばを毎回食べていた。期間限定のメニューを食べたりもした。仕事に追われて余裕がなかったあの頃は期間限定メニューが唯一の季節を感じさせる風景だった。
つらいときや苦しいとき、楽しいときもしぶそばがあった時代、通称しぶそばがそばにいるね時代である。
いつもそばにいたそば。それがしぶそばだった。ご静聴、ありがとうございました。
そんなしぶそばが閉店してしまうと聞いた。え...!
たぶん、最初のエピソードでみんな泣いたと思うが、ここからが本題である。
渋谷の地で生まれた立ち食いそば屋のしぶそば。東急グループが運営しており、東急沿線に存在している、東急が好きなおれたちのそば屋である。
本店の渋谷店が再開発の影響により、9/13で閉店をしてしまうそうだ。(他の店舗は営業する)
閉店すると聞いて、こうしちゃいられないぜ!としぶそばに向かった。友が助けを呼んでいるときと、行きたいお店が閉店してしまうときは必ず行かないといけない。
さよならを伝える為に編集部の安藤さんと来た。あまり立ち食いそばを食べることがないそうで、「立って食べる意味があまりわからないんですよね」とお店の中で恐れを知らないことを言いだしたので震えた。
座って食べられるスペースもあるが、立って食べることにした。立ち食いそばのだいごみである。パッと食べて、「ごちそうさん!」と食器を返却し、サッと帰る。これが粋な食べ方である。あと「腹が減っているときに座る時間がもったいないときがあるじゃないですか」と安藤さんに言ったら「あんまりないかな」と言われた。それぞれの価値観でぼくらは生きている。
注文をしよう。「人気はかき揚げそばらしいですよ」と伝えたが、私は特もりそば、安藤さんはもりそばを頼んだ。人気に踊らされない二人だった。
一般的なしぶそばでは食券を買って、店員に渡すのだが、本家しぶそばでは、入口にて先に店員に注文を伝えて会計を行う。注文するともりそばのなら「もーりー」、かきあげそばだと「かーきーあーげー」と独特なイントネーションで厨房へ伝える。こういうのいいですよね。
もりそばの3倍あるであろう特もりそば。そばつゆが2つもきた。これが特もりの量の多さを表している。
こういう量が多い料理を紹介するとき、苦労をして食べたみたいな展開があるだろう。
よくあるような、ぼそぼそして「お前、いつゆでられた?」とそばに問い詰めたくなるそばがあるが、しっかりとしたコシの強さとそばの風味が感じられる。そばがなんだか甘い。おいしいそばを気軽に食べられるのはいいですね。
食べた。もうそれはもう普通に。周りの人も「あんなスピードで!?」と驚いたと思う。
改めて食べてみると、立ち食いの中でもかなりクオリティーが高い。立ち食いそば好きの間でも人気らしいがその理由もわかる気がする。
お店を出たあと、メニューを再度ながめる。月見そばやコロッケそばも魅力的。うまそうだなー。
おいしかったのと、まだ余裕が胃袋に余裕があったので、お店を出てからすぐにもう一度入った。これがおれにできる別れのあいさつだから。
思い切っていったが、とても恥ずかしい。もし、皆さんの中でこのような機会があったら、気持ちを強く持ったほうがいいです。
2回目のとき、店員に「おいしいのでもう1回来ました」と伝えてたところ、「そうですよね!さっきも見たなと思ってました!!」と言われた。「あまりにもおいしかったので...」と言いながら注文する恥ずかしさがある。それを残り超えた先においしいそばが待っているから。
本日、10分ぶり2回目のもりそばを食べる安藤さん。「まさか、2回も行くとは思わなかったから」と食べながらつぶやく。でも、食事ってそのときのノリと勢いだから。
こちらのカレーそばは「カレーショップC&C」のカレーソースを使用しており、だしとカレーのスパイシーさが合わさって、それはもう素敵な味わいである。そばを食べたあと、ライスを入れたくなる気持ちがあるが、なんとかおさえた。ちなみに「カレーショップC&C」のカレーソースを使ったカレーそばは店舗限定である。
しぶそばがあるのは、なにも東急沿線だけではない。なんと池袋にもあるのだ。気合いと向上心を感じるが、他の沿線から「お前、どこ中だよ」と言われないか心配なので見に行くことにした。
沿線から外れて頑張っている姿を見て安心したので帰ろうと思ったが、気になる看板がある。
磯辺揚げが好き食べ物ランキングの5位に入ってくるぐらい好きなので追加でのせた。磯辺揚げの抱き枕があったら買うかもしれないぐらい好きだ。
ちくわ天はどこのしぶそばでもあるが、磯辺揚げは池袋店限定らしい。自分だけの武器を見つけて戦う姿はプロフェッショナル仕事の流儀で取り上げてもいいと思う。
あと、おあげがかむとじゅわっと甘いおだしがあふれ出す。きつねそばのおいしさに目覚めた瞬間である。おれは仲良くやっていて安心したよ。
店舗限定は池袋だけではない。蒲田駅にもある。
外観はただのしぶそばである。しかし、近づくとその異様さに気づく。
今年は暑い。8月の前半なんて、家のエアコンを16℃にしても暑くてエアコン業者の人に来てもらったら「エアコンには問題ないのできっと気温が暑すぎるからですね」と言われるぐらい暑かった。
そんな猛暑を蒲田のしぶそばでは、そばで暑さを乗り越えようとしている。ありがたいことですね。
そばの上にはたっぷりの豚肉、そして大きなからあげにナッツとトウガラシの揚げたものが乗っている。普通のそば屋でも見たことがないダイナミックなそば。
食べてみると、これはいいものだ。豚肉の甘さがそばつゆと合わさって、ばつぐんにおいしい。ナッツの食感とアクセントとなっていて、それもまたよい。
おいしいものを食べて満足である。いやーでもなー、やり残したことがあるなー。
食べ終わってからまたすぐに入るのが恥ずかしくて、一度蒲田から五反田に行って、山手線で品川まで行き、また蒲田に戻ってきた。バイトのシフト、変わってろと思った。変わってなかった。
オールスターである。マンガや野球でもいつもは一緒にならない人が同じチームになったらワクワクするだろう。そのワクワク感をそばで味わえる。プレイボール。
券売機の上にあるメニュー紹介には「胸やけ注意!」と書いてあったが、その注意書きも納得のボリューム感である。エビにかきあげ、ちくわにかぼちゃの天ぷら、そしておあげ。あついぞ、蒲田。
何か箸休めに飲む、だしのなにかしらかと思った。そういう気配りがうれしい。そう思って飲んでみたら、これ天つゆだな。
あまりのボリュームにそばつゆにつけられないので、別でもらえる天つゆにつけながら天ぷらを食べていく。そして、そばをすする。軽く食べようと思って、オールスターを頼んだら腰をぬかすと思う。
3度目の蒲田店。蒲田がおれを離さない。昨日帰るときにまた見つけてしまったのだ。
火が暴れると書いて爆。5人前って、5人家族分食べるってことだろう。よくわからないけどすごい量なのは確かだ。
そばってサッパリとスルスル食べるイメージがあるだろう。これは気合いを入れないと食べられない。負けるか!と思いながら食べる。でも、チャレンジメニューでもないので食べられる範囲で食べてください。私はそばを無限に食べられるタイプなのでスルスルと食べた。
この量を食べると味に飽きることがある。でも、ごまだれがあるので、味を変えながら食べることができるのでみんなペロリと食べられるだろう。でも、まぁ無理をしなさんな。
昼寝をしたら夕方になった。もう今日はおしまい、飲んで帰ろう。
綱島駅にやってきた。ここでは飲み放題があるらしい。飲んで、シメでそばを食べる、なんて粋なんだろうか。あこがれの生き方がかなえられる。もちろん、しぶそばならね。
2品を色々と選べる。もし足りない場合は単品で天ぷらを注文できるので、それはもう最高にベロベロになってしまうだろう。ベロベロになってTwitterに変なことを書いてしまい後悔する日もあるだろうが、今日だけはベロベロになってもいいじゃない。
飲み放題の場所は2階のようだ。飲み放題の説明を聞いて、おぼんを持って2階に上がる。そこが夢の世界です。
ビールサーバーからそそぐ体験ってなかなかできないので、これだけで1000円の価値がある。
ハイボールやレモンサワーの氷があったりなど、そんなにしてくれなくて、大丈夫ですよと言いたくなる。飲ませてもらえるだけでありがたいです。
ビールを注いで急いで席に着く。今夜無礼講だ。
「めちゃくちゃおいしい!」というわけではない。なんなら普通である。でも、普段できない体験をしながら飲むのって楽しいじゃないですか。この30分は変わった場所で飲むのを楽しむ体験の時間です。
ここからは普通にボーッとしながら飲んだ記録です。
「1000円以上飲まないと!」と思い、かなり飲んでしまった。酔っぱらながらスマホでWikipediaを見たり、YouTubeを見たらすぐに30分になってしまう。いい気分になったので帰ります。
チェーン店でも色々な違いがあって楽しい。思い入れのあるいつものお店ではなく、遠くにある同じ店に入るとまた違った雰囲気を味わえる。渋谷の本家しぶそばは9/13までなので行きたい人はすぐに行ってください。
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