AIもすごいし、カクシ釘もすごい
ミュージックビデオを1本作るのにかかる時間は、1時間〜3時間。
日記みたいに気軽にサクッと作れてしまう(楽しすぎて昼ごはんを抜いて編集してしまう日もあった)
今回、音楽を作れる人の視点を、ちょっと垣間見た気がするのだが、普段からこんな楽しいことやってるなんてズルい。
何かを作りたいというのは、人間みんなにある欲望だ。
そのハードルが20cmくらいになった時、何が生まれてくるのか、今からとっても楽しみある。
AIを活用すると、日常がミュージック・ビデオになるので、聞いてください。
AIの進歩が目覚ましい。
歌詞を打ち込み、曲調を指定するだけで、すごい精度で楽曲を作ってくれるサービスまで登場してしまった。
たとえば、当サイトデイリーポータルZの歌詞を打ち込んでみよう。
こちらが生成された音楽。
デイリーポータル「Z」(ズィー)と、読み方にちょっとクセが出ていたりするが、それ以外はかなりの精度ではないだろうか。
日本語も対応しているし、いわゆるボカロっぽい声だけじゃなくて、いろんな曲調・声質が出力されるのも嬉しい。
いくつか楽曲を生成していると、ボーカルが歌い始める前に、「スッ」と息を吸う音まで入っており、「そこに誰かおるやろ」感がちょっと怖かった。
この恐るべきAI技術を使えば、日常のささいな出来事を、全て音楽にできる。
さらに、その音楽に、同じくAIで作った画像や動画をつけていけば、1本の「ミュージックビデオ」になるだろう。
1 庭でバーベキュー
(作詞:小堀 作曲:SunoAI)
2 電気代がヤバいから
(作詞:小堀 作曲:SunoAI)
3 お客様の声
(作詞:お客&店員 作曲:SunoAI)
4 不審者情報
(作詞:アライグマ&日本不審者情報センター 作曲:SunoAI)
5 注釈
(作詞:世の中のTVCM&小堀 作曲:SunoAI)
一週間くらいで、5本のミュージックビデオができてしまった。
ミニアルバムが出せる勢いである。
すごい時代が来ている。さっそく1本目から紹介させてください。
この時の状況を思い出して歌詞にまとめ、先ほどのSuno AIに打ち込む。
完成した動画がこちら。
0:19〜が見どころです
これは楽しい。写真フォルダを漁るだけじゃなく、今回もともと書く予定だった工作記事もミュージックビデオにしてみよう。
題材は、数ヶ月くらいかかった爬虫類のケージ制作である。
完成した動画がこちら。
これはこれでいいかもしれない。
補足すると、私は普段、水漏れするガレージの中で、カメなどの爬虫類を飼育している。
飼っている爬虫類は寒いのが苦手なのであたためる必要がある。
あたためるために、オイルヒーターを使っていたこと、契約していた電力会社が気づいたら市場連動型に変わっていたことが重なり、電気代が月々約65,000円という、とんでもないことになった。
今年の冬はなんとかしたい!と、クーラーボックス並みの断熱性のケージを作った、というわけである。
奮発して正面の扉は、5mm厚のアクリルにしてやった。もうやけくそ気味ではあるが、扉をあけると、むわっと湿気を帯びたあたたかい空気が漏れ出てきて、「あ!これ!爬虫類ショップの空気!」とひとりでガッツポーズをした。
そして、今回の工作で私が伝えたいことは、以下の2アイテム素晴らしさである。
ホームセンターで、先っぽにピンクやブルーの謎の物体がついている釘を見たことはないだろうか。あれはカクシ釘という名前である。
たとえば、板をボンドで接着する時は、浮いてこないようにクランプで固定する必要がある。そんなときに役立つ。
普通の釘のように打ち込むと、先端の樹脂のところで、釘が止まる。ボンドが固まってから、横からト金槌で叩くと、キレイにポロッと先っぽだけが取れるといわけだ。
そして、そろそろ読者の方もお気づきになられていると思うが、今、私はなんの記事を書いていたのか完全に道を見失っている。
皆さん、AIと、カクシ釘に興味持っていただけてますか。
絶対必要な工具ではないのだが、えいやで買ってみたら、大好きになった。
たとえば、角材に板を固定すると、板だけちょっとはみ出たりすることがありますよね。そんな時にこのトリマーを使えば、はみ出た部分だけきれいに削り取ることができる。
もちろん木材をキレイな曲面にすることもできる。出来上がるものが、一気に家具っぽくなるので嬉しい。これはAIにはまだ真似できないことである。
65,000円の電気代をなんとかするためにはじめた今回の工作だが、作るのに70,000円くらいかかった。
ただ、22年12月に44,337円だった電気代だが、23年12月は20,358円になっている。そもそも家の暖房をあまり使ってないなど、いろんな要因もあるだろうが、半額である。
ちなみに65,000を記録したのは、23年の1月。24年の1月の電気代に今からドキドキしている。
話を戻そう。AIである。
AIで日常をミュージックビデオにする話である。普段の何気ない生活のなかに歌詞を探してみたい。
そんなことを考えながら、スーパーマーケットに立ち寄ると、いつも見かける「お客様の声」が歌詞に見えた。
完成した動画がこちら。
お客様の声って、クレームが大半を占めるのかなと思っていたが、私がたまにいくスーパーでは、感謝の言葉も結構あった
(記事内に使用している画像は、個人名などの情報は抜いております)
お客様の声よろしく、世界に実際に転がっている言葉を歌詞にするのはとても楽しい。
みんなが知りたくなる、ニュース情報を歌詞にすることはできないだろうか。
そんなことを考えて、地域のニュースサイトを回っていると、野生動物の出没を知らせるページに目がとまった。
完成した動画がこちら。
2023年 10月〜12月に関西付近に出没した、アライグマの出没情報を歌詞にした。
調べてみると、アライグマはペットとして入ってきたものが、捨てられて野生化し、増えているらしい。
ちなみに後半のアナウンサーの「注意して!して!して!」の連呼はこちらが指示したものではなく、AIによるオリジナルアレンジ。
私は普段、広告制作を生業にしているのだが、せっかくなので最後は、仕事を題材にミュージックビデオを作りたい。それでは聴いてください。
完成した動画がこちら。
「※画像はイメージです」など、画面の下に、ひかえめなサイズで入っている注釈。
普段は主役になれない彼らを集めてミュージックビデオにした。注釈たちも喜んでくれていると思う。
【Suno AI】
一度に2曲ずつ生成してくれるので、気に入った楽曲が出てくるまで何度か試すのがおすすめ。
入力した歌詞を歌ってくれなかったり、独自のアレンジを加えてくれることもある(難しい漢字が苦手なので、難解な漢字はひらがなにして入力しましょう)
【画像生成・加工】
ChatGPTで画像生成したり、その画像をPhotoshopで加工したりして使っている。
【D-ID「Creative Reality Studio」】
楽曲の歌詞に合わせて、写真に写っている人間の口を同期して動かしてくれる。Suno AIと併用すると楽しい。
【Runway】
画像や動画を読み込ませて指示を出すと、4秒単位で動画を作ってくれる。今回は「注釈」のミュージックビデオ内の、テレビのまわりを跳ね回る商品や「お客様の声」で対峙したふたりのまわりのスモークなどを動画にした。
静止画だけじゃなく動画も加工できる。プロンプトでいろいろと具体的な指示ができるので、「映像に登場する人物を全員、原始人にして」とお願いしたら、それなりのものを出力してくれて笑った。
今回ご紹介しているAIのサービスは、無料でもちょっとだけ使える。しかし、たくさん作ろうと思うと有料になる。
大切なのは月額課金に耐える強い心だ。
いろんな素材が揃ったら、最後に、PCに標準で入っている、Windowsのムービーメーカーや、iMovieを使って編集。人力で繋げば、ミュージックビデオが完成!
楽しいので、あなたもやってみませんか。
ミュージックビデオを1本作るのにかかる時間は、1時間〜3時間。
日記みたいに気軽にサクッと作れてしまう(楽しすぎて昼ごはんを抜いて編集してしまう日もあった)
今回、音楽を作れる人の視点を、ちょっと垣間見た気がするのだが、普段からこんな楽しいことやってるなんてズルい。
何かを作りたいというのは、人間みんなにある欲望だ。
そのハードルが20cmくらいになった時、何が生まれてくるのか、今からとっても楽しみある。
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |