よく辛いものを食べた後、お尻が痛くなるという話を聞くが、特にそういうことはなかった。ただ大は大丈夫だったのだが、ビールをたくさん飲んだせいか、先発だった小の方にピリッと刺激があって、なるほどーっと思った。
アフリカ帰りの友人とアフリカ料理店へ
アフリカにはどんな激辛料理があるのだろうか。それ以前にアフリカの料理というものが、どんなものか全くわからない。
そこで数年前にエチオピアへいったことがある友人の小松ヌンチャクさんと一緒に、赤坂にあるアフリカ料理店へ行くことにした。なんでもドロワットという辛い料理があるらしい。
そこで数年前にエチオピアへいったことがある友人の小松ヌンチャクさんと一緒に、赤坂にあるアフリカ料理店へ行くことにした。なんでもドロワットという辛い料理があるらしい。
ラーメン屋の上にある『サファリ』という店にしました。薄暗くてちょっとおっかないね。
エチオピアをはじめ、アフリカを何か国か旅してきた小松さん。今欲しいものは電気式の圧力鍋だそうです。
エチオピアといえば、本名はシマガツオなんだけどエチオピアと呼ばれる魚が日本にいて、『エチオピアで作るエチオピア料理』っていうネタをやろうとしたんだけど、エチオピア料理がまったくピンとこなくて断念した因縁の国だ。
ここでエチオピア料理の特長を掴んで、いつかまたエチオピアを釣った時に備えたいと思う。
ここでエチオピア料理の特長を掴んで、いつかまたエチオピアを釣った時に備えたいと思う。
なぜかエチオピアと呼ばれるシマガツオ。ぜんぜんカツオじゃない。
建物の外観から漂ってくるサファリの雰囲気は、ちょっと入りづらい感じだが、入り口の看板は意外と親しみやすいものだった。
どうやらカレー押しの店らしく、『カレーはサファリ』という、まったくピンとこないキャッチフレーズが潔い。
どうやらカレー押しの店らしく、『カレーはサファリ』という、まったくピンとこないキャッチフレーズが潔い。
お目当てであるエチオピア料理のドロワットは、ギャートルズのタイトルロゴっぽいフォントで書かれていた。『たべるホッカイロ』ってなんだ。
この看板で安心して、意外と入りやすい店なのかなと思ったが、その入り口は見知らぬ街のスナックくらい入りにくい雰囲気だった。
この青い扉を開ける勇気をください。
一人だったら躊躇したところだが、アフリカ帰りの小松さんが一緒なので、まあ大丈夫だろうとオープン・ザ・ドア。
扉の向こうからこれでもかとアフリカが目に入ってきて、「ナイト・サファリにようこそ!」と、絵に描かれた女性が出迎えてくれたような気がした。
扉の向こうからこれでもかとアフリカが目に入ってきて、「ナイト・サファリにようこそ!」と、絵に描かれた女性が出迎えてくれたような気がした。
おー、異文化。
アフリカで飲まれているお酒はなんですか
このサファリは、アフリカンレストランバーということで、アフリカの料理を食べながら、お酒を楽しめる店のようだ。
アフリカ料理と一口でいっても、アジア料理とかヨーロッパ料理くらいざっくりしているが、マスターはエチオピア出身なので、エチオピア料理であるドロワットは本場の味が期待できる。
アフリカ料理と一口でいっても、アジア料理とかヨーロッパ料理くらいざっくりしているが、マスターはエチオピア出身なので、エチオピア料理であるドロワットは本場の味が期待できる。
「マスター、エチオピアの人でしょ?肌の感じでわかるよ」と小松さん。正解!
すでに閉店した日本初のアフリカ料理店のシェフがオープンさせた店らしいよ。
アフリカではどんなお酒を飲むんですかと聞いたところ、アフリカの人(ざっくりした括りですが)はビールが大好きで、その種類はとても多く、この店でも現地のビールを数種類を置いているとのこと。
またワインや蜂蜜で作るお酒なども飲まれており、さらには自宅でおかあさんが仕込むようなローカルな地酒もたくさんあるそうだ。
またワインや蜂蜜で作るお酒なども飲まれており、さらには自宅でおかあさんが仕込むようなローカルな地酒もたくさんあるそうだ。
セネガルのガゼルビールをいただいた。日本でいうキリンビールみたいなもんだろうか。軽くて飲みやすく、乾いた大地に合いそうだ。
アフリカのローカルなお酒、どんな感じなんだろうと気になっていたところ、小松さんが旅先で撮った写真を送ってくれた。
これが予想以上にすごかった。
これが予想以上にすごかった。
「飲食店に入ったら、昼間から近所のおじさん達がスクラッチくじで盛り上がりながら回し飲みしていた蜂蜜のお酒」
「現地に行かないと絶対に飲めない謎のローカルドリンク。どぶろく的な感じのビールっぽい酒。おいしくはなく、どのタイミングで『Thank You!』と戻すか迷った」
ということで、この記事では小松さんのアフリカレポートを混ぜてお送りいたします。
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エチオピア料理といえばインジェラ
種類が豊富なメニューを眺めながら、マスターと小松さんにエチオピアの食文化を伺った。世界でこの国だけが『インジェラ』という、イネ科のテフという植物の粉を水で溶いて発酵させ、クレープ状に焼いたものを食べるそうだ。
エチオピアはここ。アフリカ最古の独立国だそうです。
発酵食品だけあって独特の酸味があるそうで、口に合わない日本人も多いらしい。小松さんも滞在中はほぼ毎食インジェラを食べたそうだが、「うーん、酸っぱいんだよねー」とその味の表現に口を濁す。
インジェラの材料であるテフの粉末。
クレープのように焼かれたインジェラ。酸っぱいらしいと聞くと、糠床をイメージしてしまう。
ここサファリでも、予約をすればインジェラを食べられるのだが、インジェラはエチオピアのハイランド(高地)な気候と発酵に適した常在菌があってこそ。
さらにいえば料理をするのは女性の仕事。マスターも最初はなかなかうまくいかず、お母さんに電話でコツを聞いたり、様々な工夫を重ねることで、どうにか日本で美味しいインジェラが作れるようになったそうだ。
さらにいえば料理をするのは女性の仕事。マスターも最初はなかなかうまくいかず、お母さんに電話でコツを聞いたり、様々な工夫を重ねることで、どうにか日本で美味しいインジェラが作れるようになったそうだ。
4日前に予約をすれば、『間違いなくおいしい』インジェラが食べられるそうです。
親しい間柄では、インジェラを手で食べさせる習慣がある。このように嫌な顔をしてはいけない。
アフリカの辛いもの事情
さて話は脱線しまくっているが、この記事のテーマは激辛料理である。そこでマスターにアフリカにおける辛いもの事情を伺ったところ、唐辛子をとてもよく食べるそうだ。
子供の頃から生の唐辛子をおやつ代わりに齧って育ったような辛党も多い。もちろん辛くない料理もたくさんある。
子供の頃から生の唐辛子をおやつ代わりに齧って育ったような辛党も多い。もちろん辛くない料理もたくさんある。
マーケットで売られている唐辛子などのスパイス類。
特に辛いミトゥミタという唐辛子のスパイスがあり、口げんかの強い女性に対して、「あいつの口はミトゥミタだ」とかいったりするらしい。
インドのスパイスともちょっと違って、日本には入ってこない種類も多いとか。
エチオピアには生肉を食べる食文化があり、日本では生魚にワサビを添えるように、生肉に小さな生の唐辛子を刻んで混ぜて食べる。
ただ現地の人が生で食べるといっても、日本人が食べて大丈夫かというのは別の話。アマゾンを裸足で歩いたら怪我をするのと一緒である。そして多くの外国人は日本の和式トイレに座れない。
ただ現地の人が生で食べるといっても、日本人が食べて大丈夫かというのは別の話。アマゾンを裸足で歩いたら怪我をするのと一緒である。そして多くの外国人は日本の和式トイレに座れない。
食に対する好奇心と胃腸の安全性を、どう折り合いをつけるかが難しいよね。
小松さんも食事には十分用心していたが、自由行動の日にローカルな食堂に入って、ついつい牛肉のタタキを注文。
『地球の歩き方』を見ながら「ゲバヤロ(よく火を通して)!」と強く頼んものの、思いっきり生焼けの肉が出てきて、こりゃ絶対やばいと思いつつも、ぐるりと周囲を囲んだエチオピア人の期待に応えようと1/3ほど食べてしまい、翌日しっかりと発熱した。
『地球の歩き方』を見ながら「ゲバヤロ(よく火を通して)!」と強く頼んものの、思いっきり生焼けの肉が出てきて、こりゃ絶対やばいと思いつつも、ぐるりと周囲を囲んだエチオピア人の期待に応えようと1/3ほど食べてしまい、翌日しっかりと発熱した。
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ドロワットとオジャを注文しよう
さてここサファリにある辛い料理は2つ。エチオピアのドロワットと、北アフリカ(チュニジア)のオジャである。辛さを示す星の数は、ドロワットが5個、オジャが10個。
他の料理には一切この星がないので基準が全く分からないが、どちらも激辛であることは間違いないだろう。せっかくなので食べ比べてみようか。
他の料理には一切この星がないので基準が全く分からないが、どちらも激辛であることは間違いないだろう。せっかくなので食べ比べてみようか。
オジャの情報量の少なさに不安が募る。イタイってどこがだ。
ドロワットのドロは鶏肉、ワットは煮物といった意味。水を一切使わずに、大量の玉ねぎを炒めて作るため、とても手間のかかる料理。
エチオピアの料理は『バルバレ』というミックススパイスで辛さの調節をするそうで、どんな料理もこれを入れれば辛くできるそうだ。もちろんドロワットにもたっぷりと入っている。
バルバレは日本でいう醤油くらいメジャーな調味料で、古い紙幣にはバルバレの匂いが染みついているのだとか。
エチオピアの料理は『バルバレ』というミックススパイスで辛さの調節をするそうで、どんな料理もこれを入れれば辛くできるそうだ。もちろんドロワットにもたっぷりと入っている。
バルバレは日本でいう醤油くらいメジャーな調味料で、古い紙幣にはバルバレの匂いが染みついているのだとか。
小松さんにいただいたバルバレ。なんというか乾いた辛さで、塩味と酸味もあってクセになる味。
バルバレ、アフリカの大地っぽいね。
エチオピアのおもてなし
このドロワットは正月や結婚式、あるいは大切なお客様が来た時にだけ作る料理。ドロワットが出てきたらお、それは歓迎の印である。
小松さんもエチオピアで一般家庭にお邪魔した時に作ってもらったのだが、生きたニワトリを締めるところからスタートしたため、食べるまで3時間掛かったそうだ。
小松さんもエチオピアで一般家庭にお邪魔した時に作ってもらったのだが、生きたニワトリを締めるところからスタートしたため、食べるまで3時間掛かったそうだ。
ケッコー時間が掛かったそうです。
もちろんインジェラと一緒に食べる。ゆで卵が付き物。
またそのあとにコーヒーを出してもらったのだが、特別な相手には『コーヒーセレモニー』といって、豆を炒るところから始めるため、これもまた時間が掛かる。
これこそが現地におけるもてなしであり、時間を掛けることこそがエチオピアにおける贅沢なのだろう。
これこそが現地におけるもてなしであり、時間を掛けることこそがエチオピアにおける贅沢なのだろう。
豆を焙煎するところからスタートするコーヒーセレモニー。
アフリカ旅行では、時間に余裕を持って計画を立てたい。
ドロワットは辛いけど大丈夫だった
小松さんの土産話を聞いているうちに、ドロワットとオジャがやってきた。インジェラは予約していなかったので、パンとライスでいただく。
「先にドロワットから食べて!そうしないと味がわからなくなるから!」
料理を持ってきたマスターが強い口調で説明してくれた。そんなにも違うレベルなのだろうか。
「先にドロワットから食べて!そうしないと味がわからなくなるから!」
料理を持ってきたマスターが強い口調で説明してくれた。そんなにも違うレベルなのだろうか。
星5つと星10の料理が登場。
言われた通りに、まずはエチオピアのドロワットからいただこう。
見た目はドロっとしたタイプのチキンカレーである。星5つの辛さがぜんぜんピンとこない。
見た目はドロっとしたタイプのチキンカレーである。星5つの辛さがぜんぜんピンとこない。
さてアフリカの辛さはどんなものか。
おっかなびっくり口に運んだのだが、そこまでウワッとなるような辛さじゃなかった。辛いんだけど、むせっかえったりはしない。
うん、大丈夫だ。味のベースにたっぷりのタマネギがあるだけあって、口当たりがとてもマイルド。ちゃんとおいしいカレー煮込みといった味で、茹で玉子が最高に合うね。
うん、大丈夫だ。味のベースにたっぷりのタマネギがあるだけあって、口当たりがとてもマイルド。ちゃんとおいしいカレー煮込みといった味で、茹で玉子が最高に合うね。
芸人みたいなリアクションをするべきかとも思ったが、ちゃんとおいしい。もし勤め先の近くにあったら、ランチでたまに行くと思う。
現地の味を知る小松さんにも食べてもらったが、「これこれ、おいしい。僕が食べたのはもうちょっと辛かったかな。でもこんな感じ!」と、納得の表情だ。
魚のエチオピアが釣れたら、いただいたバルバレを使ってエチオピア・ワットを作ろうかな。
魚のエチオピアが釣れたら、いただいたバルバレを使ってエチオピア・ワットを作ろうかな。
エチオピア人が作るドロワットだけあって、ほぼ現地の味だそうです。
「辛いだけじゃ食べられないから。辛いけど美味しいでしょ。風邪を引いたら病院に行くんじゃなくて、ドロワットを食べて汗と鼻水を出せば治るよ!」と熱く語るマスター。
アフリカの料理が意外と口に合うという発見。もしなにかの機会に行くことがあっても、どうやら食事は大丈夫そうだ。生肉を避ければ。
アフリカの料理が意外と口に合うという発見。もしなにかの機会に行くことがあっても、どうやら食事は大丈夫そうだ。生肉を避ければ。
オジャはやっぱり辛かった
さて続いては、星の数でいえばドロワットの倍も辛いオジャでおじゃる。
見た目は鮮やかな赤で、油断をするとチキンのトマト煮込にしか見えない。
見た目は鮮やかな赤で、油断をするとチキンのトマト煮込にしか見えない。
星10、ミシュランならご馳走なのだが。
戸惑いながら口に入れたのだが、これが甘く感じてびっくりした。もちろん辛さはあるのだが、ちょっとタバスコを入れたトマトソースかな?という感じ。
あれ、大丈夫だ。どうした、星10。
あれ、大丈夫だ。どうした、星10。
俺の舌、意外と激辛が大丈夫なのだろうか。
なんだ、大丈夫じゃん……とか油断していたら遅れて辛さが到来。うわ、辛い!
なんだろう、年を取ると筋肉痛が遅れてやってくるというが、辛さも遅れてくるのかな。
ドロワットのマイルドな辛さに比べて、オジャはストレートな辛さが舌に累積されて、急にレッドカードとなる感じ。
なんだろう、年を取ると筋肉痛が遅れてやってくるというが、辛さも遅れてくるのかな。
ドロワットのマイルドな辛さに比べて、オジャはストレートな辛さが舌に累積されて、急にレッドカードとなる感じ。
チュニジアの辛さは後からやってくるぜ。
すげー辛い。でも辛いといっても、不思議と嫌な感じの辛さではない。スプーンが進む激辛である。食べる足ツボマッサージみたいな、辛気持ち良い感じ。
具は鶏肉に加えて、キャベツ、ニンジン、ジャガイモがゴロゴロと入っており、食べごたえも十分。オジャの赤さは唐辛子だけでなく、トマトやパプリカも入ってるそうだ。
具は鶏肉に加えて、キャベツ、ニンジン、ジャガイモがゴロゴロと入っており、食べごたえも十分。オジャの赤さは唐辛子だけでなく、トマトやパプリカも入ってるそうだ。
食べるサウナ
ライスのおかわりをもらいつつ、辛い辛いとキャーキャーいいながら、さらに追加注文した青唐辛子の特製ソースを掛けてしまう。
口に入れたとたんにガツンとくるタイプの青臭い辛さが加わり、さらに刺激的な味となったが、ちょっと口が飽きてきたところで嬉しい刺激だ。
口に入れたとたんにガツンとくるタイプの青臭い辛さが加わり、さらに刺激的な味となったが、ちょっと口が飽きてきたところで嬉しい刺激だ。
シシトウのような青臭さが加わって、飽きることなく食べられる。
それにしても汗が出る。看板にドロワットは『食べるホッカイロ』とか書いてあったが、オジャは食べるサウナである。だんだんと胃が熱くなってきた。喉元過ぎて辛さ忘れず。明らかに今年一番の汗である。
大汗をかいている我々を見て、「汗が出るのは元気な証拠!」とマスターが笑う。
なんでもドロワットはマスターが食べてちょうど良い辛さにしてあるが、オジャは日本人の激辛好みのお客さんのリクエストで、どんどん辛くなってしまったそうだ。
大汗をかいている我々を見て、「汗が出るのは元気な証拠!」とマスターが笑う。
なんでもドロワットはマスターが食べてちょうど良い辛さにしてあるが、オジャは日本人の激辛好みのお客さんのリクエストで、どんどん辛くなってしまったそうだ。
「アフリカでもこんな汗でなかったよ!」
「これと一緒に食べるとおいしいよ」と出してもらったビーンズサラダ。カレーに添えた福神漬けのように、ドロワットやオジャにすごく合う!
はい、完食しました。
激辛料理というものに免疫がまったくなかったので、全然食べられなかったらどうしようという不安が強くあったのだが、この店の料理は意外と大丈夫だった。
あの星の数がどれほどの辛さを示しているのか未だに謎なのだが、アフリカは私の口に合う激辛料理の大陸なのかもしれない。
あの星の数がどれほどの辛さを示しているのか未だに謎なのだが、アフリカは私の口に合う激辛料理の大陸なのかもしれない。
激辛じゃない料理もおいしそうです。