その前に聞いて聞いて!台風がすごかったのよ!
と、そんな飲茶村の前に台風の話をさせて!もうすごかったんだから!ごめんね!…はじめての香港、初日は東洋の魔窟と呼ばれた九龍(クーロン)城塞跡地を見に行って、さて明日は丸一日掛けていろいろ見に行くぞ!と思って早めに就寝。
ちなみに九龍城塞はポケモンGOの聖地と化してました。 この場所について詳しくは
大山さんの記事をご覧あれ。
夜は星空のようなビル郡の窓明かり。 人口密度が高く、これらオフィスではなくほぼマンション!それが翌朝…翌朝ですよ!?
暴風雨~~~!!!
なんとまーツイてないことに!人生初の香港にピンポイントで台風が直撃!しかも五年ぶりの最大警戒のシグナル10、なんだそれと思っていたら「室内待機かつガラス割れっかもしれないから窓から離れとけ」というレベルだという。台風には「ハト」というなんとも気の抜けた名前が付いていたが、もはや怪鳥サンダーバード。ただ、香港は狭くて地域差が小さいためか、警報レベルが一定値に達すると交通機関は電車からバスまで全線停止。学校も、会社ですらも強制的にお休みとなる。
だから夜に警報が解除されるまでホテルにこもるしかなかったんだけど、何が怖いって細く長い高層ビルなだけに、揺れるんですよね。風で、ビルが、揺れるんですよ。母さん…香港は怖かところです。ハトこわい。
台風でホテル揺れてますけど…
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台風の上に地震が来たと思ったときは絶望でした。
で、翌日はカラリと晴れてうだる暑さ…どっちもイヤだ。 ご覧の通り、街路樹がえらいことになっていました。
電車とバスを乗り継いで一時間、飲茶村へ。
という訳で、お待たせの?飲茶村こと「川龍村」へ!
目的地へ行くには、まず「荃灣」(ツェンワン)という駅へ。路線の端にあるので遠い印象があるけれど、九龍と呼ばれるエリアの中心地から20分足らずで到達できる(もちろん駅にもよるけど)。九龍から橋を越えて南にある香港島に滞在した場合、さらに10~15分ほど多めに見込んだ方がいいかもしれない。
旅っぽいな~!とワクワクしていたら駅前の吉野家を見てちょっぴり萎えた。 吉野家は全然わるくない、わるいとしたらそう感じた私だ。
駅から5分ほど歩けば前面とドア脇に「80」と書かれたミニバスを発見、これに乗り込む。
「駅を出て5分」とさらりと書いたが、迷いに、迷いに、迷い尽くして、実は30分も掛かった。人に聞けばよかったんだけど、正直にヘタレるといろいろあってちょっと香港人にビビってた。知らない土地では可能な限り、ネット環境を死守しよう。ましてや取材をしようとするならば。
ひとたび道を間違えると恐ろしく遠回りする羽目になる、迷宮・香港。
安堵とともに走り出すミニバス、片道6.4香港ドル=およそ90円でした。
汗がすごい。
川龍村は山の上にあるため、窓から見える景色は街中からあっという間に緑に変わる。香港は本当に小さく陸地面積は東京23区の二倍弱、それでも十分に狭いのだが、開発地域がその25%程度という話なので、人が住む面積は23区の半分という計算になる。だから、山を上っても上っても斜面などお構いなしに高層マンションが建っていて、ミニバスは住人たちの足となっていて、停車のたびに誰かしら降りていた。
いつの間やら山道を走っており、
ハイキングっぽい景色だなーと思っていると、
ふつうに高層マンションがあるので日本人の目には新鮮に映る。
峠茶屋的な飲茶屋へ
バスに揺られて15分、少し折り返したら停まってバスの終点を知らせる。
バスの進行方向、その逆にー。
飲茶屋はあります!
彩龍茶楼。よく見たらコカ・コーラめっちゃ推してるな。
この川龍村には飲茶屋がこの店を含めてたったふたつだけ。ここは登山道のスタート地点でもある場所で、もともとはその客に向けて出来たものなのかもしれないが、今では香港人はもちろんのこと外国人の来客でも賑わっているという。が、平日かつ11時という半端な時間のためか、到着時点で客は自分ひとりだった。店員のおばちゃんから「ハロー」と招かれて、前述の迷子により猶予は30分間なので早々に入店する。
店員は全員女性、テーブルはアルミ製、食器は色付き、ところどころがベトナムっぽい。
えーっと…お!これだな。
道は迷えど店のシステムだけは事前に調べて把握している。ここは完全セルフサービスで、このセイロを勝手に持っていって最後にお会計、知ってさえいれば外国人にもスムーズで有り難い。では、どうやって中身を見るの?というと、それこそ勝手に開いて見ればいいとのこと。では、お言葉に、というかルールに甘えて…。
お!
おぉ!
おおぉ!!
おおおぉぉぉ!!!
わっしょーーーーーい!!!!
なんだコレ…いい夢か!!
同じ見た目のセイロ、だがフタを開ければ開けるほどいろんな種類の点心さんがこんにちは!よくかぶらないなと感心。隙間からホワッとはみ出る湯気の向こうに、食欲をそそる暖色系の姿が見える。「君もいいね!」「あなたもいいね!」「あ~いいよいいよ!」と胸の内で点心さんを褒めちぎっていると、口元もゆるんでくる。
この次々と点心を見ていく過程がオーディションっぽいなと思った。「本当はみんな採用したいところだけど…」なんて、調子のいい審査員みたいなことを思いながら、プリップリでモッチモチの点心の中から胃袋に収まる分だけ選ばないといけない。食べ残しちゃあ彼ら?彼女ら?(点心)にとっても失礼だ。厳正な審査の元に選んだ上で、伝票といっしょにお盆に載せられたら、自分の手でテーブルまで運ぶ。
なお、揚げ物などの蒸さない料理は別のテーブルにある。 客が少ないためかこのときは充実していないようだった。
お茶も完全セルフサービス、4つの茶葉から選んでもいいしミックスしてもいい。
食器や箸はここで熱湯消毒できる。
点心のうまさと食感の豊かさは比例する(かもしれない)
さぁ、食べるぞ!
いと!
美しき…!
んーーー!
うまいぞ…!!!うまいんだけど…!
なんだろうこの感情は。寄席ですごく高名な落語家を見て、「よかったよ」とは適当に言えないような…自分みたいなもんが言っていいんですかね?…という、恐れ多いような…。これは飲茶という伝統食への敬意も含んでいるのかもしれない。とは言いつつも、それでは何にも伝わらないのでやっぱり頑張って言ってみよう。
このシュウマイ、食感の種類が多い。日本にしろベトナムにしろ、今まで食べてきたシュウマイは肉と皮、せいぜい食感は二種類、乱暴に言えばただの練り物。しかしこれは中にエビや鶏肉の切り身が入っており、ゴロッと舌で転がし噛めばジュワッと肉汁が滲み出す。うまい点心って食感が豊かなのだと思った。
肉団子も!
肉団子は、脂っぽいかと思いきや、ギトギト感はまるでゼロ。食べ終えた口の中は意外にサッパリ。ふわふわもちもちとした食感だけならもったりとしているんだけど、小さく刻んだ玉ねぎなのかシャキシャキッと引き締めるような合いの手が入る。下に敷かれているものは皿へのくっつき防止の湯葉、これもそのまま食べられるオブラートのような役割を果たしている。
肉まんも!
こちらの肉まんは、塩っ気以上に甘みが強い。鶏肉が入っているあたりはやはり料理だけど、黒豆のような甘みが強くて、肉まんとあんまんの中間という表現が近いかも。なので、食べる順番は最後にして、お茶でキリリと締めるといい。饅頭の部分には脂が少なくフワッとしていて、その甘みだけでもいい主食になれる。
あ、茶柱。
お茶も渋みが強く、口の中に点心があった事実を打ち消してくれる。なるほどこれはいいチェイサーで、飲茶という点心とお茶の組み合わせは、とても合理的な食習慣なのだなと深く納得する。
とか言いつつビールは飲みました、許してください。
鶏肉入りのご飯、シュウマイ、肉まん、肉団子、缶ビール、すべてで87香港ドル(ほぼ1200円)。香港はそもそも物価が高いので「あらお得!」とはいかないが、それでも人里離れた山の上という場所もあって、日本で同じものを食べると倍するのでは。ちなみに同量の点心を市内中心地で食べると3倍はした。
あとから来た親子もニコニコ顔で点心を持って二階へ。
もうひとつのお店と、この近くにあるというクレソン畑も気になっていたけど、ベトナムに戻るフライトの都合もあったので、早々に切り上げる。クレソンは水が綺麗な場所でなければ栽培できず、川龍村はそうした自然の環境に恵まれているとのこと。ここは連れ合いがいればいるほど楽しい場所だと思うので、また来たい。
このまま登山できるっちゃできる。次の機会だなー。
高層ビル群もいいけど飲茶もね!
香港といえば密集する高層ビルが有名だし、実際にその迫力は文句なく必見だけど、今回のような飲茶を楽しめるのどかな場所があるという事実は新しい発見だった。どうせ飲茶を食べるなら、どうですか片道一時間かけて川龍村へ。調べると朝5時半という異常に早い時間から営業しているらしい(逆に、15時と早めの時間に閉店する)。山にある高層マンションの住人たちが利用するのかな。
「荃灣」駅で降りて、上記地図にある場所へ行き、80番のミニバスに乗り込んだらそのまま終点へ(少し折り返して停まるので分かります)。