特集 2012年9月12日

奥多摩の山で昭和のゴミを発掘してきた

山頂付近はゴミが大量に埋まってました。
山頂付近はゴミが大量に埋まってました。
2005年から山に登り始めて7年になる。そんなにガツガツ登ってる訳じゃないが、山に登っていて気になることが一つあった。異様に古いゴミが結構な量落ちているのだ。

今時のステイオンタブではなく、懐かしき昭和の、缶から取れるプルタブのジュース缶や見たことのない缶詰など。今回は、そんな昭和のゴミを集めて観察してみたいと思います。

昭和の話が長々続くので、別のウィンドウで「ジューシィ・フルーツ On Radio Show 1981 [演奏曲完全収録版]を再生して聴きながら読んでみてください。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

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山に落ちてるゴミは大抵古い

最近は登山で出たゴミは家まで持ち帰るのが当たり前のマナーとなっている。なかには駅やサービスエリアのゴミ箱に捨てて来ちゃう人もいるが、本当は家まで持って帰ってくるのがマナーだ(と、僕は思っているが文化の違いもあります)。

が、昔はそういうレベルですらなく、ゴミは山に捨て放題していたのらしい。山に登ると本当に昭和のゴミがたくさん落ちている。
今時こんな缶のポカリスウェットを山に持っていく人はいない。
今時こんな缶のポカリスウェットを山に持っていく人はいない。
見たことがないファンタグレープの空き缶。「さちこ」って名前が書かれていた。この「さちこ」は今何歳になっているのだろう。
見たことがないファンタグレープの空き缶。「さちこ」って名前が書かれていた。この「さちこ」は今何歳になっているのだろう。
なにかのブドウジュースの空き缶。
なにかのブドウジュースの空き缶。
雪印のナショナルパイナップルジュース。聞いたこと無いね。
雪印のナショナルパイナップルジュース。聞いたこと無いね。
この様に、山には古いゴミがたくさん落ちている。それはなぜなのか?
ゴミを持ち帰ろう運動の頃に作られた看板らしい。
ゴミを持ち帰ろう運動の頃に作られた看板らしい。

昭和時代はゴミをその辺に埋めていたらしい

山を歩いていると、ゴミを持ち帰りましょうという看板をよく見るが、大体かなり年季が入っている。20年か30年は経っていそうな感じだ。

聞いたり調べたりしたところ、1960~70年代の登山ブームは今と違って若者が中心のブームだった様だ。で、その頃は、ゴミを山頂付近に埋めるのが登山者の正しいマナーだったのらしい。

正気?って感じだが、きっとその辺にポイ捨てするよりは埋めて見えなくする方がマシと思っていたのだろう。今でも小さなゴミや煙草の吸い殻を道ばたの側溝に捨てる人がいるが、きっと同じような意識で自分は正しいことをしていると思っているのだろう。

ポイ捨てよりはマシだから、山にゴミを埋めるのがマナーであり常識だった時代があったのだ。2012年の常識からすると、ずいぶん志の低いマナーである。
だが、考えてみれば僕が子供の頃(30年以上前)に教えられたマナーで、今では非常識になっている事もある。子供の頃僕は、親に「電車の中ではゴミは座席の下に置くのがマナーだ」と教えられた。都会では常識の時期が違うのだろうけど、千葉の田舎ではそういう感じだったのだ。

が、今はゴミは自分でホームのゴミ箱に捨てるのが正しいマナーだろう。
この看板も大分古い。自然を大事にしないのが当たり前の時代があったのだ。
この看板も大分古い。自然を大事にしないのが当たり前の時代があったのだ。
考えてみるに、当時非常識とされていたのは、「車窓からゴミを投げ捨てる」行為であり、それと比べたら席の下にゴミを置くのは大分マシだ。全てはそういう事で、「その時代の非常識に対してマシ」なのが「その時代の常識」って事なんじゃないかと思う。後の時代から見たらどっちも非常識だとしても。

だからきっと、今の常識も未来では非常識になってることがたくさんあるのだろうなと思う。
湧き水が豊かな良い山です。
湧き水が豊かな良い山です。

奥多摩の川苔山に行ってきた

いくつかゴミの写真を見ていただいたわけだが、上に載せた写真のゴミはその場に放置してきた。正直、重いザックを背負って歩いていて登山道に落ちている空き缶を拾って持ち帰る気力がなかった。その点では、過去にゴミを捨てまくった登山者と僕は大差ない。

でも、7年も山に登らせてもらっておいて、ゴミを無視し続けるのは色々申し訳無い。という事で一念発起、奥多摩にたくさんある山の中でも一番好きな川苔山でゴミを拾ってみる事にした。

なお、どんなルートを歩いたかなどはヤマレコに山行記録をアップしました。ご参考にコチラ。
苔むす岩が転がる沢沿いを歩きます。
苔むす岩が転がる沢沿いを歩きます。
川苔山は標高1363m。奥多摩駅からバスで25分ほどの川乗橋(標高410m)から登って鳩ノ巣駅に降りるのが定番のコースだ。
いつでも冷たい沢水で顔を洗えるし、夏でも涼しい良い山です。
いつでも冷たい沢水で顔を洗えるし、夏でも涼しい良い山です。
川苔山はガイドブックや雑誌でもよく紹介される人気のある山だ。ハイシーズンの土日になるとバスは満員、登山道も登山者だらけになる。

コースは半分ほどが沢沿いで涼しいし、湧き水も出ているので水に困ることがない。途中には百尋の滝という大きな滝があり、夏でも長時間いると寒気を感じるほどだ。
百尋の滝。凄い風と水しぶきでかなり涼しい。
百尋の滝。凄い風と水しぶきでかなり涼しい。
滝は真冬になると凍り付き、滝の真下まで歩いて行けるようになる。夏の滝も良いが、冬の凍った滝も良い。
2011年の2月に撮った写真。この年は結構しっかり凍っていた。
2011年の2月に撮った写真。この年は結構しっかり凍っていた。

山頂付近には小屋があった

という様に川苔山は素晴らしい山だ。あんまり好きなので年に3,4回は登りに行く。

山頂の東側の登り口には以前、山小屋というか売店だったっぽい東屋があったが、今では廃材が残っているだけだ。
今こんな感じですが、以前は小屋が建ってました。
今こんな感じですが、以前は小屋が建ってました。
2007年に登った時は、まだ小屋が建っていた。営業はとっくに終わってるっぽくて朽ちかけてはいたが。おそらく、かつての登山ブームの時はここでジュースなどを売っていたのだろう。この辺りから山頂にかけての地面を掘り返すと空き缶などのゴミが大量に出てくる。

5年前はまだ小屋の形を保っていた。
5年前はまだ小屋の形を保っていた。
地表に出ちゃってます。
地表に出ちゃってます。

小屋の近くでゴミ塚を発見

上記の小屋近くで地面を調べてみると、ゴミがたくさん埋まってるっぽい場所を見つけた。見つけたって言うか、一生懸命探す事なくそこらじゅうにあった。

今日はここのゴミを調べるか、って事で掘り返してみた。ビックリした。
昔懐かしいプルタブである。
昔懐かしいプルタブである。

出るわ出るわ、ゴミの山

多分、埋めた当時はちゃんと土が被さっていたのだろう。が、長い年月が経ってゴミの一部は地上に出てきていた。

それを軽く掘ってみたら、大量の空き缶が出てきた。いやー、本当にその辺に埋めていたんだなぁ、昭和の登山者は。無茶しよる。
10分ほどでこれだけ出てきた。見たことのない缶ばかりである。
10分ほどでこれだけ出てきた。見たことのない缶ばかりである。
ファンタとスプライトらしいが、見たこと無い。偽物みたいだ。
ファンタとスプライトらしいが、見たこと無い。偽物みたいだ。
よくわからないがパイナップルジュースらしい。
よくわからないがパイナップルジュースらしい。
コカコーラとオレンジジュースである。
コカコーラとオレンジジュースである。
まぐろ缶も埋まっていた。
まぐろ缶も埋まっていた。
セブンアップと野菜ジュース。
セブンアップと野菜ジュース。
こんなコーラの缶もあった。
こんなコーラの缶もあった。
ガラスの瓶も派手に落ちてました。
ガラスの瓶も派手に落ちてました。
他の場所を見てみると、まだまだゴミの山が。
他の場所を見てみると、まだまだゴミの山が。
ちょっと、これはもう無理って事で諦めた。そんなに回収できずすみません。
ちょっと、これはもう無理って事で諦めた。そんなに回収できずすみません。
スチール缶なので地味に重い。
スチール缶なので地味に重い。

持って帰ってきました

掘り出して写真を撮って、あんまりの量にまた埋めてやろうかと思ったが、掘った分はビニール袋に入れて持ち帰ることにした。昭和の空き缶は厚手のスチール缶なので重い。重いが、掘っちゃったんだから仕方ない。

家に持ち帰って洗ってよく観察してみることにした。詳細は次のページで。

綺麗に洗って観察します

掘ったままだと土だらけで汚いので、洗って観察することにした。昭和の空き缶なのに、洗ってみると結構保存状態がいい。
こんなんですが、洗ってみると。
こんなんですが、洗ってみると。
こんなに綺麗なスプライトに。
こんなに綺麗なスプライトに。
オレンジジュースの空き缶も。
オレンジジュースの空き缶も。
森永ネクターなんてあったのか。しかもオレンジ。
森永ネクターなんてあったのか。しかもオレンジ。
長い年月、30年以上は埋まっていたはずなのに保存状態がいいのは、これらの空き缶がビニール袋に入れられて埋まっていたからだ。なにを考えてそうしたのかは判らないが、厚手のビニール袋に入っていた。ちょっとしたタイムカプセルである。ゴミだけど。
洗ったら乾かします。
洗ったら乾かします。

これが昭和のゴミたちだ

ようやく綺麗になった昭和のゴミ。一つ一つ精査していきたいと思います。
ネクターと言えば不二家だと思っていたが、ネクターってのは「100%ジュース」みたいな、ジュースの品質を表す単語なのらしく、以前は色んな種類を各社が出していたようだ。
ネクターと言えば不二家だと思っていたが、ネクターってのは「100%ジュース」みたいな、ジュースの品質を表す単語なのらしく、以前は色んな種類を各社が出していたようだ。
まずはこのオレンジジュース。森永ネクターと書かれている。ネクターといえば不二家だし、桃のジュースの事だと思っていたがオレンジ味で森永のも過去にはあったのだ。

調べてみたら、元々は森永製菓の商標だったのだけど、飲料業界発展のためにそれを開放して他社にも使わせているのだという。
果肉を沈殿させるためか、飲み口が缶の下に付いている。
果肉を沈殿させるためか、飲み口が缶の下に付いている。
ネクターとは果実をすり潰した濃厚な飲み物全般を指す言葉で、一般には果肉飲料と呼ばれるジャンルのものらしい。ってことは、駅にあるジューススタンドのジュースはネクターと呼んでもいい物なんだと思う。

果肉成分を飲み口の部分に沈殿させるためか、缶の印刷に対して下の面に飲み口が付いていた。今とは逆さである。今は不二家ネクターでも缶の上に飲み口が付いているのでこういうのは珍しく見える。

次はスプライト。
こんなスプライト、見たこと無かった。
こんなスプライト、見たこと無かった。
今でもお馴染みのスプライトだが、缶のデザインが見たことない感じで、しかも原材料もシンプル。当時は食塩が入っていたようだ。登山は汗をかくので、食塩入りのスプライトが今あったら登山者に売れそうな気も…売れないか、今はスポーツドリンクあるし。
食塩入りだったんですね、昔のスプライト。
食塩入りだったんですね、昔のスプライト。
車窓から空き缶投げ捨てとかあり得ない。
車窓から空き缶投げ捨てとかあり得ない。

車窓から投げ捨てるのが普通だったらしい

空き缶を見ていたら、いちいち「空き缶を車窓から捨てるな」と書かれていた。現代の缶には「空き缶はくずかごに」とか「空き缶はリサイクル」とは書いてあっても車窓から投げ捨てるなとは書かれていない。

って事は、当時の日本人は車や電車の窓からポイポイ空き缶を捨てていたのだろう。なんか、今の日本人とずいぶん違う。昔の人は随分やんちゃだ。人に当ったら危ないとか考えなかったのだろうか。
いや、捨てないですって。
いや、捨てないですって。
車窓から投げないですよ、ホントに。
車窓から投げないですよ、ホントに。

謎の金属片

上に載せたスプライトの写真、左側にちょっと気になる物が写り込んでいる。見方によってはちょっと可愛い感じの金属片。昭和生まれとか、平成も一桁生まれなら知ってると思うが最近の子供とかは見たこと無いんじゃないだろうか。
これだ。
これだ。
ジュースの缶と一緒に写ってるので、そりゃジュースと関係あるものだ。答えは、缶の飲み口の蓋である。今の缶飲料は飲み口がステイオンタブになっていて缶から離れないようになっている。が、昔は引っ張って缶から外して飲んでいた。

飲み終わったら空き缶に入れてゴミ箱に捨てるっていうマナーだったと思うのだが、発掘したゴミでは缶とプルタブがバラバラに落ちていた。そういうマナーが生まれる前のゴミなのかも知れない。
矢印で示したようなタイプだと、金属のベロ部分に引っかけて飛ばす遊びが出来る。
矢印で示したようなタイプだと、金属のベロ部分に引っかけて飛ばす遊びが出来る。
こういうプルタブが使われていた当時は、アルミ缶のプルタブだけを集めるという謎のチャリティ運動があった。どうも、缶から離れるプルタブを集めさせる事でゴミを減らすなどの目的があったらしい。

が、その後ステイオンタブに変わっても、缶にくっついてるタブをわざわざ外させて集めたり、今ではペットボトルのキャップを集めさせたり、この手のチャリティはよくわかない方向に進みがちであり、はたから見て面白い。
空き缶の上に置いてみた。
空き缶の上に置いてみた。

こんな感じで売られていた

空き缶の上にプルタブを置いてみた。ああ、こんなんだったわ、みたいな懐かしいジュース缶が出現した。

下の写真は、左が現代のステイオンタブで、右が昔の空き缶である。昔のはいちいち開け方が英語で刻印されている。現代のは流石21世紀だけあって洗練されたデザインに、点字がエンボス加工されている。21世紀って案外普通だなー、未来って感じしないなー、なんて思ったいたが、こうして並べてみるとやっぱ相当に未来のデザインである。
両方ともキリンラガービール。21世紀の缶は確実に洗練されている。
両方ともキリンラガービール。21世紀の缶は確実に洗練されている。
キリンと言えば、キリンオレンジエードなんて飲み物の空き缶もあった。元々はキリンジュースという飲み物で、それが昭和45年にオレンジエードに改称、缶の発売は昭和50年という。昭和51年生まれの僕はもしかしたら知ってるのかも知れない商品なのだが、まったく記憶にない。
塗装が剥げ気味ですが、文字は大体読めました。
塗装が剥げ気味ですが、文字は大体読めました。
オレンジエードを全く覚えてないので思い入れなどは無いのだが、缶の上部分が丸く切り取られていた。コップみたいに飲みたくてこうしたのか、それともプルタブが無い缶なのかは判らない。
なぜかスッポリ開けてあった。
なぜかスッポリ開けてあった。
続きましては、コカ・コーラ。これは今もよく見るデザインとあまり変わらない。コカ・コーラ社のデザインは瓶のコーラもそうだが、最初から完成されていた感じがする。
随分昔からこのデザインだったのだな。格好いい。
随分昔からこのデザインだったのだな。格好いい。
缶の見た目はあまり変わらないが、原材料はちょっと違う。「砂糖、カラメル、天然カフェイン、香料、酸味料」だが、現代のコーラは「糖類(果糖ブドウ糖液糖、砂糖)、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン」である。これだけ違うとおそらく味も違ったはずである。飲んでみたい。
カフェインが多かったのだろうか。っていうか天然カフェインなのだそうな。ジューシィ・フルーツ?。
カフェインが多かったのだろうか。っていうか天然カフェインなのだそうな。ジューシィ・フルーツ?。
で、実はもう1本コカ・コーラの空き缶を見つけたのだ。こっちは今までに見たこと無いデザインだった。
こんなの見たこと無い。
こんなの見たこと無い。
裏側はダサくコカ・コーラと片仮名で大きく書かれている。
裏側はダサくコカ・コーラと片仮名で大きく書かれている。
洗練さからはほど遠いレトロなデザインである。缶なのに瓶のコーラをデザインに取り入れている辺り、瓶から缶への過渡期に作られたものなのかも知れない。
瓶の絵が缶に描かれている。
瓶の絵が缶に描かれている。
空き缶を並べてみると、古い方はなんだか偽物みたいにも見える。が、「コカ・コーラ」と片仮名で大きく書かれているし、きっと本物だろう。
並べてみた。年代的にどのくらいの差があるのだろうか。
並べてみた。年代的にどのくらいの差があるのだろうか。
穴を2カ所開けて飲む方式。
穴を2カ所開けて飲む方式。

プルタブ無しのコカコーラなんてあったのか

新しい方のコーラは缶の底面に飲み口があったが、古い方は穴が2カ所開いているだけだった。つまり、プルタブすらなかった時代のコカ・コーラなのである。

実は、缶飲料が発明されたとき、当然のようにプルタブは発明されていなかった。缶切りがないのに缶詰を発明しちゃった時代と同じ事が起きたのだが、缶切りがあるし穴を開ければ飲めるんだから別に良いじゃん、とでも思っていたのだろう。
後にプルタブが発明されて道具なしでも飲めるようになるのだが、それまでは缶切りや付属の金具で穴を2カ所開けて飲んでいた様だ。

コーラを小さい穴から飲むのは相当に大変だったと思うのだが、当時はそれでも良かったんでしょうかね。良くないか。良くないからプルタブが出来たんだよね。

下の缶ジュースもプルタブが無い時代の物だ。
なんとかのパインジュースと読める。
なんとかのパインジュースと読める。
錆が酷くてどこの製品なのか読み取れなかったのだが、裏側を見たら「??KUBU & CO LTD」と書かれていた。クエスチョンマークの部分は読めなかったが、Kのマークと、??KUBUと来たら正解は「国分」であろう。

K&Kマークでお馴染みの「国分株式会社」である。そう考えて上の写真を見てみると、読めない部分には感じで「国分」と書かれている様に見える。
KUBUがヒントでした。
KUBUがヒントでした。
これもなかなか古いゴミらしく、缶の上部に2カ所穴が開いていた。それだけ古くても空き缶は原型を留めて埋まっているのだ。よく、プラスチックやビニールは土に戻らない云々なんて言うが、空き缶だって相当土に戻らない。やっぱり種類問わずゴミをその辺に捨てちゃダメだな、なんて思うわけです。
穴を開けて飲むタイプ。缶詰の会社なのでこれでいいやって思ってたんだろうなぁ。
穴を開けて飲むタイプ。缶詰の会社なのでこれでいいやって思ってたんだろうなぁ。
カゴメの野菜ジュース缶も保存状態が良かった。現在の絵は大分緻密になっているが、トマトが中心にある構図は今のデザインとそんなに変わらなく見える(参考リンク)。
ロゴの書体などにレトロ感を感じる。
ロゴの書体などにレトロ感を感じる。
山に登って野菜ジュースを飲むってのも、なんか変わっている感じがする。野菜ジュースに清涼感はないと思うのだが、ネクターのブームがあったようだし、昔の人はドロッとしてて栄養価が高そうな飲み物が好きだったんですかね。
野菜カクテルジュースっていう表現が面白い。カクテルっていう単語がモダンだったのだろうか。お好みにより胡椒を掛けて飲めって書かれているので、スープ的な扱いだったのかも知れない。
野菜カクテルジュースっていう表現が面白い。カクテルっていう単語がモダンだったのだろうか。お好みにより胡椒を掛けて飲めって書かれているので、スープ的な扱いだったのかも知れない。
これも口が下に付いてるタイプ。
これも口が下に付いてるタイプ。

話は変わるが、滋賀では缶飲料が逆さだった

上の野菜ジュースは缶の底に飲み口が付いているし、森永ネクターも底に付いていた。そして実は、果肉分の沈殿など関係無いはずのコーラやスプライトも缶の下に飲み口が付いていた。

コーラやスプライトは惰性で缶の下に付けただろう、って感じだが当時の飲料業界では飲み口が下に付いているのが常識になっていたのだろうか。
コーラの場合は飲み口を下にする合理的理由が無い。工場ラインの都合か?
コーラの場合は飲み口を下にする合理的理由が無い。工場ラインの都合か?
ここで思い出されるのが滋賀のスーパーで見かけた光景である。なぜか缶飲料が逆さになって売られていたのだ。僕としては、飲み口が冷蔵庫の底面にくっついていて不衛生だなぁと思ったのだが、これはもしかしたら飲み口が今とは逆に付いていた頃の名残なのではないだろうか。
缶飲料だけは逆さに陳列していた。滋賀以外では見たことがない。
缶飲料だけは逆さに陳列していた。滋賀以外では見たことがない。
果肉飲料かどうかなどは関係無く全て逆さ。
果肉飲料かどうかなどは関係無く全て逆さ。
おそらく、飲み口が下に付いていた当時はネクターなど果肉飲料が流行っていたので、飲み口を下にして陳列したほうが客にとっても、美味しく飲んでもらいたいメーカーにとっても都合が良かったのだ。だから、飲み口を下にして並べるというルールが生まれた。

が、時代が変わり飲み口が缶の上に付くようになっても、内容が果肉など入ってないただの液体になっても、「飲み口を下にして並べる」というルールだけは変わらずに今も運用され続けているのであろう(多分)。

勝手に長年悩んでいた問題が解決した(気がする)。

空き缶紹介に戻ろう

次はセブンアップとまぐろ缶である。セブンアップは日本では1957年(昭和32年)から発売されている。僕はあまり飲んだ記憶が無いが、ファンは多いようだ。

まぐろ缶は「ほにほ印」と書かれていた。株式会社宝幸の商標が「ほにほ」らしい(参考)。「帆に宝(ほう)」でほにほって意味なんだろう。

セブンアップのロゴは今とだいぶ違う。
セブンアップのロゴは今とだいぶ違う。
今だとHONIHOってアルファベットのロゴになっている。お昼ご飯として持ってきたのだろうか。昔はカロリーメイトとかフリーズドライ食品とかないし、コンビニおにぎりも無いし、山に缶詰ってのは定番だったのだろう。重かっただろうなぁ。
今だとHONIHOってアルファベットのロゴになっている。お昼ご飯として持ってきたのだろうか。昔はカロリーメイトとかフリーズドライ食品とかないし、コンビニおにぎりも無いし、山に缶詰ってのは定番だったのだろう。重かっただろうなぁ。

ビールは早くもアルミ缶だった

ここまで載せてきた空き缶は全てスチール缶だ。厚手のスチール缶で硬い。が、キリンラガービールの空き缶は唯一アルミ缶だった。
今のデザインとはかなり違う。
今のデザインとはかなり違う。
アルミ缶が珍しい時代だったのだろう、わざわざ「オールアルミニウム缶」って書かれていた。アルミ缶を使うのが誇らしい時代だったのだろうか。なんだか可愛い。
わざわざ書いてアルミ缶を自慢。
わざわざ書いてアルミ缶を自慢。
アルミ缶は鉄より腐食に強いので、ほぼ錆びずに綺麗な状態で出てきた。が、柔らかいので形は大分ひしゃげていた。

次は空き缶以外です

空き缶のゴミが圧倒的に多かったのだが、ビニールのゴミも少しだけ回収してきた。次のページではそれらについて観察してみたいと思います。

サッポロ一番

埋まっているときはくしゃくしゃで本当にゴミだったのだが、洗ってみたら袋麺のサッポロ一番だった。見たところしょうゆ味である。
サッポロ一番しょうゆ味。
サッポロ一番しょうゆ味。
細かく見ていくと、色々面白い事が書かれている。裏側には「ラーメンの本場???の味をお楽しみください。本場の風味がご家庭で召し上がれます」と書かれていた。確かにサッポロ一番は美味いが、本場の味とは大きく出たものだ。

また、麺の原材料に天然ガムが入っている。今のサッポロ一番ではもちろん使われていない。麺のコシを出すためにガムを混ぜていたのだろうか。ガムは油に溶けるので、油揚げ麺にガムなんて入れて揚げてる最中に溶けなかったのか不思議である。
本場がどこを指すのかは不明。おそらく赤い文字で書かれていたのだろう。消えてしまっていた。
本場がどこを指すのかは不明。おそらく赤い文字で書かれていたのだろう。消えてしまっていた。
麺の原材料に天然ガムという不思議。
麺の原材料に天然ガムという不思議。
次はカルビーのサッポロポテトバーベQ味だ。バーベQっていう、Qの表記は40年前から変わっていないのらしい。
今はアルミ蒸着の袋だが、昔はスナック菓子が普通のビニール袋に入っていた。
今はアルミ蒸着の袋だが、昔はスナック菓子が普通のビニール袋に入っていた。
これも細かく見てみると面白い。まず、新発売なのだ。裏側に書かれているプレゼントキャンペーンの締め切りは昭和49年8月31日になっていた。今から約38年前である。ネットで調べてみると、バーベQ味の発売は確かに昭和49年(1974年)だった。つまり、これをもって来た人は新発売のスナック菓子を登山に持ってきたナウイ若者(推定)だったのだ。
新発売で60円。そういえば昔のお菓子は袋に定価が印刷されていた。
新発売で60円。そういえば昔のお菓子は袋に定価が印刷されていた。
値段は60円。当時の大卒初任給が8万円ほどだったそうなので、今の金額だと180円くらいの価値だろうか。

そこそこな値段のお菓子だけあって、袋の裏に書かれている説明には、「本格派」だの「軽食」だの、お菓子の枠を飛び越えているというアピールが目立った。
アメリカがスナックの本場で、そこでバーベキュー味が流行ってるからこれも本格派であるという主張。「、」が多すぎて読みにくい。
アメリカがスナックの本場で、そこでバーベキュー味が流行ってるからこれも本格派であるという主張。「、」が多すぎて読みにくい。
「サッポロポテトバーベキューあじは、軽食そのまま。牛乳と一緒に召しあがれば、ますます申し分ありません。」という言葉遣いに時代を感じる。ハイキングの時に食べるとよろしいというのは、売り文句の一つだったのだ。
「サッポロポテトバーベキューあじは、軽食そのまま。牛乳と一緒に召しあがれば、ますます申し分ありません。」という言葉遣いに時代を感じる。ハイキングの時に食べるとよろしいというのは、売り文句の一つだったのだ。
優秀なアルカリ食品であり、健康スナックであるというアピール。カルビー的にはサッポロポテトはジャンクフードなどではないのだ。
優秀なアルカリ食品であり、健康スナックであるというアピール。カルビー的にはサッポロポテトはジャンクフードなどではないのだ。
直射日光に当ると油が酸化して大変な事になるので、ビニールの透明部分を無くしたと書かれている。が、結局それなりに酸化してしまうのでその後はアルミ蒸着の袋に変わった。これは過渡期の袋と言える。
直射日光に当ると油が酸化して大変な事になるので、ビニールの透明部分を無くしたと書かれている。が、結局それなりに酸化してしまうのでその後はアルミ蒸着の袋に変わった。これは過渡期の袋と言える。
アンパンマンでお馴染みのやなせたかしさんデザインのサマーTシャツプレゼントの説明。誰が描いた絵なのか、昭和って言うか戦後感すらある。
アンパンマンでお馴染みのやなせたかしさんデザインのサマーTシャツプレゼントの説明。誰が描いた絵なのか、昭和って言うか戦後感すらある。
新発売早々類似品が出回っていたらしい。カルビーサッポロポテトと指名して買えと書かれているが、スナック菓子を指名買いってなかなかしないと思う。また、よく見ると「焼菓子」と書かれている。当時は揚げてなかったのか?
新発売早々類似品が出回っていたらしい。カルビーサッポロポテトと指名して買えと書かれているが、スナック菓子を指名買いってなかなかしないと思う。また、よく見ると「焼菓子」と書かれている。当時は揚げてなかったのか?

2012年版と比べてみる

以上の様にゴミを観察してきた訳だが、現代版も手に入る物を買ってきた。並べて比べてみよう。
右上の青い矢印、サッポロ一番のロゴ、しょうゆ味の表記、ラーメンの絵など、驚くほど踏襲したデザインとなっている。
右上の青い矢印、サッポロ一番のロゴ、しょうゆ味の表記、ラーメンの絵など、驚くほど踏襲したデザインとなっている。
左から新しい順。一番古い右端を除いて、ロゴやデザインなどに大きな変化は無いようだ。早くから完成されてますね。ペットボトルは飲みかけでもキャップを閉められるし容量大きいし軽いし、持ち運びに便利。
左から新しい順。一番古い右端を除いて、ロゴやデザインなどに大きな変化は無いようだ。早くから完成されてますね。ペットボトルは飲みかけでもキャップを閉められるし容量大きいし軽いし、持ち運びに便利。
右のペットボトルのスプライトは、瓶のデザインを真似ている。全体のデザインは完全に別物だが、Spriteというロゴの形は全く同じである。
右のペットボトルのスプライトは、瓶のデザインを真似ている。全体のデザインは完全に別物だが、Spriteというロゴの形は全く同じである。
同じラガービールだが、デザインはもう全然違う。麒麟のデザインもかなり簡略されている。昔のキリンビールはあまりデザインする気が無かったんですかね。それとも、これが当時は超クールだったのか。
同じラガービールだが、デザインはもう全然違う。麒麟のデザインもかなり簡略されている。昔のキリンビールはあまりデザインする気が無かったんですかね。それとも、これが当時は超クールだったのか。
と、いう感じで昔のゴミと今の製品を比べるのはとても面白い。山にはまだまだ沢山の昭和ゴミが埋まっているので、掘って持ち帰ってみたら楽しいと思います。

なんか良いことしたような気分にも浸れるし、ゴミ掘りを目当てに山に登る人なんてそんなにいないから、他の人と違う登山を楽しめるのも魅力です。オリジナリティあるですよ。
このゴミ塚は写真撮っただけで、まったく掘り返す気にならなかった。ゴミ多すぎ。
このゴミ塚は写真撮っただけで、まったく掘り返す気にならなかった。ゴミ多すぎ。

昭和のゴミはまだまだ山に埋まっている

持ち帰れる限界の量は持ってきたが、川苔山の山頂付近にはまだまだゴミが埋まっていた。聞けば、東京都の最高峰である雲取山など、他の山にも大量のゴミが埋められているという。

三丁目の夕日とか見て、懐かしいなー、古き良き時代だなー、なんて思う人はゴミを掘って観察すれば同じように懐かしい気持ちに浸れると思うので、奥多摩の山でゴミを掘ってきたらいいんじゃないでしょうか。

きっと古き良き、懐かしい昭和に触れられると思いますよ。
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