おまけ①
WANIMAの写真の背景はたいてい青空なので、青空の写真に僕たちを合成してみたが、
よくわからないが、ぜんぜん違うものになってしまった。なぜだろう。
おまけ②
写真を撮りにきてくれた大学の後輩なのだが、
隙間から人を撮ると、妙なストーリーを感じて面白いことがわかった。
学ぶことが多い撮影でよかった。
WANIMAというアーティストがいる。
昨年、紅白にも出場した、いま注目すべきバンドである。
彼らの奏でるエネルギー溢れる楽曲はすごい。
ストレートに元気づけられる曲は、WANIMAにしかない、特有の感じがする。
僕はそれが大好きだ。根が暗めな僕はむしろWANIMAになりたいとすら思う。
ところで、「WANIMAにしかない特有の…」という枕詞を使いたくなるのは楽曲だけではない。
アー写。そう、彼らのアーティスト写真だ。
※この記事は記事投稿コーナー「自由ポータルZ」にて開催した「夏のライター通信講座」で制作した作品です。
見たことのない方はこの機会に見てみてほしい。
彼らの写真はどこからどう見ても「WANIMA」なのだ。
明るく、ポジティブでオープンな写真ばかりなのだが、そういった言葉では説明しきれない、「WANIMAにしかない特有の…」感じなのである。
これらの写真の「WANIMAにしかない特有の…」感じを、僕たちでも再現できないだろうか。
仮に再現できるとしたら、写真だけでも、僕たちはWANIMAになることができるはずだ!
WANIMAのアー写をひたすら見比べて、研究をしてみた。(けして暇なわけではない)
その結果、WANIMAのアー写の多くには共通しているポイントがあることがわかった。
意識してGoogleの検索結果を見てみると、どの写真にもこれらのポイントのいずれかがあてはまるはずだ。
逆に言えば、これらのポイントを押さえて写真を撮ると、僕たちもWANIMAっぽく写真に写れるはずである。
それでは実際に撮ってみようと思う。
大学のサークル仲間二人に協力してもらい、インスタントWANIMAを結成した。
どう説明しても記事の趣旨がうまく伝わらないと思ったので、「WANIMAになりたいですか」とだけ訊いて、あとは半ばむりやり招集してみた。
二人とも質問の答えが「Yes」でよかった。
まずは比較用に、ふつうに記念撮影。
いたってふつうの記念写真である。
渋谷で100人にこの写真を見せて何を意識した写真かアンケートをとったとしても、絶対に「WANIMA」というキーワードは出ないだろう。
ここを基準として、先のポイントを加えていき、WANIMAっぽく見えるか検証してみる。
まずは「過剰なほどの笑顔と変顔」。これを足して撮影した写真が、
これである。まだ全然WANIMAではない。彼らは無限遠にいると思った。
これでは単なるうさんくさい人たちである。もしくは、なにかいいことがあった人たちだ。
笑顔ではなく、変顔でも同じように撮ってはみたが、
おどけている人たちでしかない。表情だけではどうにもならないようである。
ここで気づいたのが、実は笑顔は難しいということだ。
自分はとびきりの笑顔でいると思っていても、写真に撮って見てみると、ぜんぜん笑顔になっていない。想像と現実のギャップにびっくりした。
「WANIMAは表情筋のバケモノなのではないか」という声がメンバーからきかれた。本当にそう思う。
MAXレベルの笑顔で写真に写れるWANIMAはすごい。
次に、「カメラが近め」というポイントを足してみる。
先ほどと同じ2枚の写真で、カメラをを寄り気味に加工してみた。
うーん。寄っただけだ。
が、WANIMAを抜きにしても、写真としてはカメラが近い方がいい写真っぽく見える気がした。
「過剰なほどの笑顔と変顔」「カメラが近め」だけではWANIMAに近づくことは厳しいことがわかった。
どうやら、その他のポイントがかなり重要らしい。
WANIMAへのあまりの近づかなさに、不安が募り始めていたその時。
メンバーの距離感を近づけて撮ってみると…
さらに笑顔を足してみると…。
一瞬WANIMAがよぎって、ものすごいスピードで去っていってしまった。
風味は感じるが、WANIMAではない。
水筒がないからといってコーラのペットボトルに水を入れて飲んだ時のあの薄さだ。
でも距離感が重要なのはわかった。
メンバーの距離感が近ければ近いほどWANIMAがよぎりやすくなり、
センターの人間がダブルピースであれば、よりよいようだ。
(自信満々にのたまっているが、自分の中のWANIMA観はだいぶ麻痺してきている)
ちなみに、「ジャンプしがち」「パーカーを着がち」という要素だが、
ジャンプをしてみても、
写真を撮れば撮るほど、想像の中のWANIMA像と現実のWANIMAがどんどん乖離していく感じがしてとても妙な気持ちがしたし、首をかしげるメンバーを見て自信がなくなってきた。どんどんWANIMAが遠ざかっていく悪夢のようだ。焦ってすこし汗をかいた(ジャンプを何回もしたせいかもしれない)。
「笑顔・カメラ近め・メンバー近め」でWANIMAをよぎらせることには成功したものの、
ここまでの検証にさすがに満足できなかったので、アイテムを投入することにした。
ロゴなどを見てもらえればわかるかと思うが、WANIMAのシンボルカラーは緑・赤・黄のラテンカラー(専門的にはラスタカラーというらしい)なのだ。
これを着て写真を撮ってみた。
普通に撮ると、スタッフバイト感が溢れ出てしまったが…。
ひとたびテンションを上げてカメラを寄せてみると…?
なんだかすごい。
WANIMAと言われれば、WANIMAに見えてこないだろうか。
色という要素は、もしかすると劇薬なのかもしれない。
(僕たちの脳の「WANIMAを知覚する組織」がよくわからないことになってきているのは否めないが)
嬉しくなって色んなところで写真を撮った。
背景が無機物だと、街中感が出ておしゃれだった。
赤・黄・緑を身につけると見違えるようにWANIMA感が増してびっくりした。
ソースだけで食べていた冷凍お好み焼きに紅ショウガ・かつお節・青のりを足したとたん、ホンモノ感がぐっと増すあの感じだ。
理由は簡単だ。これらの色はWANIMAの記号だからだ。(紅ショウガもかつお節も青のりもお好み焼きの記号だろう)
記号を纏うとそれっぽく見えるのは、よく考えると当然の話だった。
WANIMAっぽく写真に写る方法を模索した結果…
といった要素を全て詰め込むと、そこそこWANIMAに近い写真が撮れることがわかった。
これらの要素は複合的で、どれか一つが欠けると途端にWANIMA感が薄れてしまう、めちゃくちゃシビアなものだった。
もっと詳しいことを言うと、腕時計などは極力外したほうがそれっぽく見えることと、直立して写るよりも中腰で写るほうがWANIMAっぽく見えることも、チャレンジする皆さんにはできれば意識してほしい(何様だ)。
ご家庭でも割と簡単に再現できるかと思うので、WANIMAになりたいと思う皆さんはぜひお試しください。
さらに付け加えると、僕たちの写真でも楽しそうに見える写真はだいたいWANIMAっぽくみえるし、メンバーの距離が近ければ近いほどWANIMAらしい写真が撮れた。本物のWANIMAは、メンバーの物理的な距離だけでなく、それ以上に精神的な距離もめちゃくちゃ近いはずだ。
冒頭で書いた「WANIMAにしかない特有の…」もの、それは「WANIMAであることの楽しさ」や「団結感」なのかもしれない。
WANIMAはおそらく、写真に表れているそのままのバンドなのだと思った。
なりたい。
WANIMAの写真の背景はたいてい青空なので、青空の写真に僕たちを合成してみたが、
よくわからないが、ぜんぜん違うものになってしまった。なぜだろう。
写真を撮りにきてくれた大学の後輩なのだが、
隙間から人を撮ると、妙なストーリーを感じて面白いことがわかった。
学ぶことが多い撮影でよかった。
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