「ぱにゃにゃんだー」はラオスで「頑張って」
そもそも語尾に興味を持ったきっかけは「ぱにゃにゃんだー」という言葉。みんななんで教えてくれなかったというくらい知名度が高いんだが、ラオス語で、意味は「頑張って」。個人的にはパンダと猫が並んで肉球をわきわきしてる絵が思い浮かぶ。かわいらしさの極致だ。
一方で実は、ベトナムも「にゃ」とか「ね」をよく使う。単語の中によく含むとも言えるし、ストレートに、語尾に付けるとやわらかい印象になると教えられた。たとえば「カモン(Cảm ơn)」を「カモンニャ(Cảm ơn nha)」と言うとそれだけでソフトになるらしい。
ひょっとしてあるんじゃないか?世界の国にもそんな語尾とイメージが。各国現地に暮らす・暮らしていたライターのみなさんに聞いてみました。ちなみに間に挟んでいる写真は、テーマが概念的すぎて思い出からがんばってひねり出した少しは関係のありそうなイメージです。
中国で「ア」をつけると親しみやすさマシマシ
漫画やドラマなどの創作で中国人のキャラ付けとして語尾に「アル」が付けられるのはもはやだれもが知るところ。ルはよくわからんが、その経緯に語尾の「ア」は一役買ってるのかもしれない。
情報提供:海辺暁子
ドイツは語尾もなんだかドイツっぽい「ヴァ?」
ヴァ。少なくとも日本人の口と舌では出しづらそうな発音だけど、重厚な感じのドイツらしさがあってとても素敵だなと思った。ちなみに久保田さんによると、「素晴らしい」はドイツ語だと「ヴンダーバール」(ちなみにフランス語は「メルヴェイユ」)、有名ミネラルウォーターが「ゲロルシュタイナー」(フランス語はあの「エヴィアン」)とのこと。
情報提供:久保田由希
マレーシア&シンガポールは共通して「ラ」「ヤ」
シンガポールはマレーシアから1965年に独立した国。そんな背景もあって文化はかなり似ていて語尾も同じ。そういえば、シンガポール人が話す英語は「シングリッシュ」として聴きとりづらいと聞いたことがあるけど、外国人が多く住むだけにネタとして広まりやすいだけで、マレーシアもそうなのかもしれない。ちなみに日本も日本でクセのある英語だといわれがちです。
情報提供:森純
ミャンマーは呼びかけ的な「ネ」「ノ」
そんなミャンマーの語尾を教えてくれた板坂さんは以前ブルキナファソというフランス語圏の西アフリカの国に住んでいたこともあり(西アフリカではかつてフランス領だった場所が多く今も公用語とする国が多い、アフリカ全体ではイギリスも)、その話がおもしろかった。
西アフリカの語尾「ラ」はフランス生まれ
おもしろい。よくイントネーションでわかったら「関西の方ですか?」と聞くことがあるけど、それが「西アフリカの方ですか?」だなんて桁違いにワールドワイド。
語尾の話とはそれるけど、日本の統治時代を経たパラオではブラジャーのことをチチバンドと呼ぶそうな。当時の日本語がそのまま定着しているという点では、言葉のタイムカプセルって感じだ。同じような理屈で、「ほらね」が当時のフランスの流行り言葉で、それが西アフリカの語尾として定着したと考えるとロマンがあるなぁ。
情報提供:板坂真季
ニュージーランドはノリのいい兄ちゃんぽい「エィ」
「何?」はベトナムでは「は?」。もちろん聞き返しているだけで悪気なんてまったくないけど、ベトナム旅行に来ていたり、住みはじめたばかりの日本人は、「イラつかせてる!?」と不安になる人もいるんだとか。
また、井上さんの話によると、ニュージーランドの英語はイギリスルーツで、そんなイギリスではアメリカよりも9倍近く付加疑問文を使い、「心配性な性格のあらわれでは」とも言われてる。言葉の使い方で国民性が透けて見える、まさしく語尾には情報が詰まってるなーー。
情報提供:井上龍馬
メキシコシティは「玉ナシ野郎」が若者言葉に
情報提供:Mariposa Torres
ほかにもいろいろあるぞ!世界の語尾
世界に潜む「だよね」
こうして各国で聞いてみると、語尾の中でも「だよね」を意味するものが多いことに気付く。考えてみれば、直前の同意や確認なので、いちいち長ったらしく言うまでもないから、自然と語尾化されたのかもしれません。
そういえば昔「DA.YO.NE」というラップソングがあった。そのあと関西弁版の「SO.YO.NA」という曲も出てたけど、意外と全世界つくれそうな気がしなくもない。
あと気になるのはタイの軍隊の「カッポン」、これは日本でいうところの「~であります!」なんだろうな。