特集 2022年4月15日

乾いたままのライスペーパーを食べるおやつ バイン・チャン・チョンがあまりにうまい

けっして、海辺に流れ着いたプラスチックごみではない

ライスペーパーといえば生春巻き、あのしっとりした皮を思い浮かべるが、本場ベトナム(特に南の方)では水で戻さず乾いたままのライスペーパーを、おやつとして食べるんだそうだ。

「友達の家に行って、置いてあったらキャー!ってなります、気がついたら全部食べちゃう!」

ベトナム食品店の店員さんがそう言うので食べてみた。

まちを歩くのと建物が好きで不動産会社に入りました。
休日は山を登り川を渡り海で石を拾います。

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> 個人サイト note

昼から飲むのにうってつけのおやつ

「MIX GA」と書かれたラベルがぺたりと貼られただけのストロング包装

GAはチキンね、と店員さんが教えてくれたのは味の種類。おやつそのものの名前はバイン・チャン・チョン(BÁNH TRÁNG TRỘN)という。

何やらいろいろなものが入っている
袋の中身を皿にあけてみた。山盛りに入っているのが生春巻きの皮、ライスペーパーだ
それから謎の粉と油の小袋。

粉をなめてみたら目玉が飛び出そうなほどしょっぱい。でもしょっぱいだけでなくてエビ…と砂糖?なにやらフクザツな味がする。

それからカラフルなものたち!

ピーナツ、乾燥ネギ、何かの葉っぱ、チキンジャーキー、フライドオニオン、小エビ、唐辛子。

ビビッドな色合いに、見ているだけでわくわくする。

食べ方はかんたんで、全部をひとつのふくろでわしわし混ぜて揉んで、なじませたら完成だ。
へへ、ではちょいと始めさせていただきますね…
近くでみるとプラスチック感がすごい

乾いたライスペーパーがぺたりと舌にはりついた瞬間、甘辛しょっぱい、濃い〜エスニック味がガツンとくる。それから鼻に抜けるのはナンプラーやパクチーの香り、追ってライスペーパーがふにゃんととろけて、急いでビールを流し込んだら

清流〜〜!!

あっはっは、これはうまい、うまいです。ジャンクな口の中がさっぱり洗い流されて、たぶんビールはうっすいさっぱりしたやつが合う。

カリカリに乾いた葉っぱは噛むと爽やかな香りがふわっと抜ける。レモンの葉なのだそうだ!
チキンジャーキーはみしっと硬く、よく噛むとじゅわじゅわ旨味がでてくる。甘辛い、いかのくんさきに似た味。
たまに出会うピーナツがまたまろやかで優しい

箸でつまむたび違う味がするのが楽しくて、ビールでざぶざぶ口の中を洗い流すのがたまらなくて、夢中で食べてしまう。

かさが多く見えるけれど、ライスペーパーが優しく溶けるからぺろりと食べられます。こりゃビール泥棒だね。
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さて、無事バインチャンチョンのファンになったわけだが、ここで一つ問題がある。

なぁ
あれほんとなんなんだろうね

カルディのような大手チェーンとはちがって、ちいさな食品店での商品との出会いはまさに一期一会だ。一度買ったきり入荷がなく、今も再会を待ち望む商品は数しれず。

バインチャンチョンだっていつ姿を消すかわからないのだ、今のうちに自らの手で再現できるようにして、来る別れに備えたい。

スーパーで買えるものでジェネリック・バインチャンチョンを作ろう

吟味を重ねた結果、オーディションに集められた方々がこちら。

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オーデイションメンバーを紹介する前に、お店で買ったバインチャンチョンに入っていたものをおさらいしておこう。

ライスペーパー、チキンジャーキー、ピーナッツ、乾燥ネギ、レモンの葉、唐辛子、フライドオニオン、小エビ、甘しょっぱい粉、エビの香りのする油

バインチャンチョンの特徴は、ガツンと目が開くジャンク寄りなエスニック味、一口ごとに違う味わいが楽しめる、たくさんの具だ。

ライスペーパー、ピーナッツ、フライドオニオン、小エビはスーパーでゲット
チキンジャーキーはいかのくんさき、ビーフジャーキー、マグロを甘辛く似たおつまみで代用を試みる。
レモンの葉の代用には、フレッシュさと青い匂いが大事だろうと踏んで三つ葉・青シソ・パクチーを用意。
そして味付けの粉と油には、カップヌードルやわかめラーメンといった、おなじみカップ麺のスープを大抜擢。
この濃ゆい味付けが使えそう。味付け部隊には他に塩・砂糖・ナンプラー・味の素・ラー油を揃えた。
小さく切ったライスペーパーと任意の具材をポリ袋に入れて、味付け部隊を投入したら
しゃかしゃか振って揉んでなじませて出来上がり。ベトナムの路上でもこうやってラフに売られているらしい。

いくらでも組み合わせが作れるので、食べつつ混ぜつつ模索するのが楽しい。ここでは特においしかった3つの組み合わせをご紹介したい。

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①ジェネリック度★★★★☆

カップヌードル(トムヤムクン)×いかのくんさきorビーフジャーキー×パクチー×フライドオニオン

日本で最も手軽に手に入り、うまいエスニック味ことカップヌードルトムヤムクン味。発売当初は、こんなうまいもの食べ損ねてはいかんと辛さにむせつつ何度も食べた。いつのまにか通常メニュー化されていたんだな
かやくと粉スープ、調味ペーストを取り出して
いかのくんさき・ビーフジャーキー・パクチー・フライドオニオンをミックス
調味ペーストの湿気のおかげで、うまい具合に全体に味がまぶさった

甘辛しょっぱ酸っぱい、あの味にエビ、フレッシュなパクチーと、エスニックと聞いて思い浮かべる風味が次々と畳み掛けてくる。

ビーフジャーキー、いかのくんさきも噛むほどにいい味が出て、賑やかな口の中をざばざばビールで洗い流せばこれはまさしくバインチャンチョンだ!

②達成感★★★★☆

パクチー×ビーフジャーキー×フライドオニオン×小エビ×味の素×塩×砂糖×ナンプラー

トムヤムクン味のカップヌードルは確かに大正解だったが、マネキンが着た洋服を一式まるっと買いしめたような、そりゃおいしくて当然よという気持ちもある。ならばとイチから組み合わせを試したひとつがこの組み合わせ。

塩だけでは味気なく、味の素や砂糖を足すとぐっと厚みが増す

噛んだらベトナムの風が吹いた。パクチー・ビーフ・ナンプラーはフォーでおなじみの組み合わせだ。口の中でとろり柔らかくなったライスペーパーがしっとりと全員をまとめあげる。

③ひょっこりエスニック度★★★★☆

三つ葉×いかのくんさき×フライドオニオン×小えび×味の素×ナンプラー

三つ目はさらにエスニックの具材から離れた組み合わせでの挑戦だ。

青ジソだと香りの主張が強すぎ、三つ葉がちょうどよかった

ひと垂らしでベトナムに連れて行ってくれるナンプラーのカリスマ性もさることながら、いかのくんさきの甘じょっぱさと三つ葉の青々しい香りが意外にもエスニックのイメージにぴったりハマるのだ。

小えびの風味も華やかで、春の田んぼのような爽やかな風景が思い浮かんだ。


道草食いつつベトナムを目指そう

ヒット作がいくつも生まれる一方で、これは使えると自信満々に揃えたカップラーメン、特に醤油系の味はあまりにラーメン面しすぎるのだった。

パクチー・小エビ・フライドオニオン・乾燥ネギ・カップ麺のチャーシュー
シーフードヌードルのエビとたまご、青ジソにピーナッツ。

どちらもおいしいけれど、醤油とごま油が「ラーメン!」と書かれた看板を持ってズンズン笑顔で迫ってくる。

ラー油や韓国海苔も同様で、慣れ親しんだ味が、ベトナムへの道のりを阻むのだ。

とはいえ、どう混ぜてもおいしくなるから、ああでもないこうでもないと道草食いつつ、旅路を楽しんでみてほしい。

ど〜〜〜〜〜〜しても「あの味」にしたかったら、これ使うといいよと店員さんがゴールを教えてくれました。サテトム(エビラー油ペースト)と、砂糖が入ったチリソルト。見かけたらお試しあれ!
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