特集 2023年5月31日

生茶を手作りする

左が市販の生茶、右が手作りの生茶(の原液)。

キリンの生茶は、わざわざ生茶と名乗るくらいだから、生のお茶の葉で作っているのだろう。

毎年お茶の葉を摘んで蒸したり揉んだり煎じたりしていたのだが、今年は生茶作りに挑戦してみようか。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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夏も近づく八十八夜にお茶を摘む

茶摘みの歌にある八十八夜は、立春から数えて八十八日目。私も毎年五月の頭ごろになると、友人宅の庭など、どっかしらでタケノコ掘りとセットでお茶摘みをしている。

タケノコが生えてくるような広い家には、だいたいお茶の木の生け垣があるもので、「お茶の葉?そういえばうちも昔はお茶にしていたんだけどね~」と、快く摘ませてくれるのだ。ありがたや、ありがたや。

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裏山にタケノコが生えてくる友人の実家にある、お茶の木の生垣。
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一芯二葉で摘むのがいいんだったかな。農薬が掛かっていないことを確認していただこう。

持ち帰った茶葉は、蒸して、揉んで、煎じて、緑茶のようなものにしたり、半渇きにして、揉んで、発酵させて、煎じて、紅茶のようなものを作っている。

家でお茶を淹れて飲む習慣はあまりないが、自分で作った思い入れのある茶葉は味わい深いものなので、この時期だけはよく飲んでいる。

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左が緑茶のようなもの、右が紅茶のようなもの。適当にやっても結構おいしくできる。
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お茶の葉にお湯を注ぐと生茶になるのか

今年はちょっと趣向を変えて、生茶を作ってみることにした。生茶というくらいだから、生の茶葉にお湯を注げばできるはずだ。

本当に生とするならば、お湯だと火が通ってしまうので水が良いような気もするが、それだとお茶になる気がまったくしない。

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よく洗ったお茶の葉。水でもお茶になるなら、この時点で味が出てしまう。
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そのままだとエキスが出ないような気がしたので、ちょっと刻んでみた。まさに新茶という感じの好ましい青臭さが広がった。
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熱湯を注いでしばらく待つ。
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カップに注いで、ヴィジュアル担当として茶葉を泳がせてみた。

市販の生茶よりもだいぶ色が薄いようだが、とりあえずホットで飲んでみると、生の茶葉をそのまま口に含んだような味である。うっすら感じられる甘さとほんのり心地よい渋さのバランスに初夏の訪れを覚える。

生の茶葉なので、煎じた緑茶のような香ばしさ、紅茶のような発酵の奥行きは当然ないものの、茶葉のエキスから上澄みだけを汲み取ったような、すごく贅沢な味がする。おしゃれなカフェの期間限定メニューにありそう。

ただこれが生茶かと言われると生茶ではない。生茶というよりは茶葉の出汁だ。ごはんにかけてもいいかもね。

凍らせたお茶の葉にお湯を注ぐと生茶になるのか

お湯を注いだだけの自家製生茶は簡単でよいのだが、もう少しお茶の成分を濃く出したい。そういえば生茶はお茶の葉を冷凍しているというのを聞いたことがあるような気もするので、そっちも試してみよう。凍結によって細胞が壊れて、お茶のエキスがたっぷりと出るはず。

さっさと正しい製造方法を調べろよという話だが、正解を知るのは一通り試してみてからでも遅くはない。私は生茶を飲みたいのではなく、試行錯誤がしたいのだ。

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凍らせて軽く砕いた生の茶葉。
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熱湯を入れる。代わり映えしない写真で恐縮です。
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色のついたカップに入れたのでよくわからいなが、そんなに色は出なかった。

冷凍した茶葉で淹れた生茶は、摘んでそのまま淹れたものと見た目はあまり変わらなかったが、飲んでみると結構違った。

やはり冷凍によって成分で出やすくなったようで、味も香りも大幅アップ。茶葉の味わいを丸ごと引き出しましたという満足感がある一杯となった。これもまたうまい。

そのまま淹れただけでは出てこなかった茶葉の奥にある渋みのアタック感も強くなっているので、茶葉で作った薄い青汁を飲んでいるような味わいである。

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