食材リウムは、太るテラリウム
コケリウムはひとつの作品ができるまでひたすら材料を並べ作り上げていくが、食材リウムは材料が食材なので途中途中つまみ食いできてしまう。
料理をしながらつまむ感覚に似ている。
最近、「コケリウム」づくりにハマっている。コケリウムとは、コケを使ったテラリウムのことだ。テラリウムがそもそもわからない方は、オッケーグーグルしてほしい。
手軽に作れるわりに見栄えがよく作品数も徐々に増えているが、材料となるコケが意外と手に入らず地味に苦労している。
そこで、もっと身近な材料でコケリウムのような作品を作れる、食材を材料にした「食材リウム(しょくざリウム)」を考案した。
それぞれテーマを設け、3つの作品が爆誕した様子をお届けしたい。
まずは、食材リウム考案の元となったコケリウムを見てほしい。
わたしのコケリウム作品第一号だ。第一号にしてはなかなかの出来だと自負している。
砂利や石、コケを使って日本庭園風のフィールドを作り、その上に睡蓮に見立てた多肉植物を置いた。その睡蓮を見てカエルが物思いにふけっている、という設定である。
カエルがなにを考えているかは個人の想像に任せるが、一応わたしの中では「カエルは車に轢かれやすいから、生まれ変わったら人間になりたいな…できれば」と、来世に想いを馳せている設定になっている。
この素晴らしい表情をしたカエルと本物そっくりな灯篭は、100円ショップSeriaで買える。Seria万歳!
まず材料をそろえるため、スーパーへ買い出しに行った。
身近な食材で手軽に始められるのも、食材リウムの魅力だ。
買い物袋を忘れたのでダンボールをもらった。いっつも忘れる、買い物袋。
レイアウトするだけでいいようにテーマごとに食材を準備し、いよいよ制作スタート!
コケリウムはコケの性質上和テイストになりやすいが、食材リウムの可能性は無限大だ。コケに比べて色数も格段に増えるし、食材の盛り方・切り方次第で高さも自由に調整できる。
今回は3つのテーマを設け、食材リウムを作ることにした。
1つ目のテーマは「楽しい森」。
材料にする食材ベースでテーマを考えていたところ、一番はじめに思い浮かんだのがこの「楽しい森」だ。
きのこのサイズ感が、食材リウムの世界にぴったりだと思った。
そして以前、井口エリさんが小松菜など野菜の根っこを花に見立てブローチにしたアイデアをお借りし、小松菜の根っこと水菜の根っこを取り入れた。このことによって、さらにメルヘンさが増した。メルヘンマシマシ!
(記事はこちら)
動物など生き物を一匹置くことで目指す世界観にだいぶ近づくので、コケリウムのカエルと同じく楽しい森でもりすを置くことにした。
動物の置き物は大好きなSeriaで調達していいルールになっている。
ラズベリーやブルーベリーなど木の実あふれる豊かな森で、りすが平和に暮らしている…そんな世界を作りたい。
どこを回ってもラズベリーがなかったのでブルーベリーのみになってしまったが、たくさん入っているので置き放題である。
また、置き物はりすがなかったため小さなうさぎに変更。森に住んでいる小動物の設定なので、うさぎでも可。
深蒸し茶は浅蒸し茶に比べ蒸し時間が長いため、茶葉のかたちが細かくサラサラとしているのが特徴。お茶を淹れた際味や色が出やすくまろやかで飲みやすいため、お子さまやお年を召した方にもおすすめというこの記事にはまったく関係のない豆知識をここで披露しておこう。
茶処の出身だと無駄にお茶に詳しいアピールをしたくなってしまう。
大きなものから順番に並べていき、最後に切り株に見立てたゴボウにうさぎを乗せたら完成!
エリンギとブナシメジが醸し出すメルヘンな森感、野菜の根っこでできた花の異世界感が想像以上にいい!!ブルーベリーは大粒でうさぎと同じ大きさになっちゃったけど、いつでもおなかいっぱい木の実が食べられそうだし、完成予想図を上回る食材リウムが完成した。
自分からやりたいと言い出したわりに不器用で正直不安も大きかったが、出だし好調で安心した。
コケリウム「考えるカエル」をそのまま食材リウムに置き換えるとどうなるだろう。
コケは間違いなくあおさだ。あおさは全面に敷き詰めるより指し色のようにところどころに点在させた方がバランスがとれそう。よって、とろろこんぶでベースを作り、その上に岩に見立てた大根や食用たんぽぽと一緒に置くことにした。
砂利はなにで表現しようか迷ったが、季節柄新玉ねぎをたくさんおすそ分けしてもらっているので、新玉ねぎを刻み敷き詰める作戦をとった。贅沢…!
刺身に乗っているあの黄色い花もどうも菊らしい。これまで30年間、ずっとたんぽぽだと思って生きてきた。そんな新しい発見ができるのも、食材リウムの魅力だ。スーパーで聞かなくて本当によかった。
最後にカエルを乗せたら…
暗雲が立ち込める。
砂利(きざみ玉ねぎ)が多すぎたのか、とろろこんぶのバサバサ感か、なにが原因かわからないがなにかが違う。
近づけば見え方が変わるのではないか思い、アップでシャッターを切ってみたが
きざみ玉ねぎはよりきざみ玉ねぎに、とろろこんぶはよりとろろこんぶに見えるだけ。
微笑むカエルも、君はなにに微笑んでいるんだと疑問を呈さずにはいられない。
涙を流しながら玉ねぎを刻んだのに、痛々しい結果を生んでしまった。
ちなみにきざみ玉ねぎはツナマヨとあえ溶けるチーズと一緒に油揚げに詰め、フライパンやオーブントースターで焼くとめちゃくちゃおいしいおかずになります。
せっかくの食材リウムなので、和にも洋にも当てはまらない一風変わった世界を作りたかった。
それで思いついたのが、「ハムナプトラ」だ。
なぜ数あるテーマの中からハムナプトラに決まったかはわからない。それだけ金曜ロードショーですり込まれているということだろう。めちゃくちゃやってるよね、ハムナプトラとホームアローン…。
一応説明しておくと、ハムナプトラはエジプトを舞台に主人公がミイラや人食い虫と戦いながら生贄にされかけたヒロインを救う物語、だったと思う。
いかんせん黒くワサワサしたあの人食い虫が気持ち悪い!!という印象が強すぎて、正直物語までしっかり覚えていない。
食材で作るのは少し気が引けるが、あの人食い虫はハムナプトラの世界に欠かせない。ということで、砂漠に見立てたきなこの上に黒豆を並べ人食い虫とした。
そして、砂漠を舞台にしたアドベンチャー大作の定番アイテムといったらやっぱり“お宝”である。お宝の輝きを出すには、氷砂糖が最適だ。
最後におはぎの要領で作ったピラミッドと、茶髪イケメンの主人公を乗せたら完成だ。
これはテラリウム界に新たな旋風を巻き起こす予感!
ここでひとつお知らせしておかなければならないことがある。
完成予想図にあった主人公代わりの茶髪イケメンが、思ったような置き物がなかったため、サーファーイケメンに代わった。
なかったものは仕方ない。気を取り直して、手元にある材料でハムナプトラの世界を作ることにした。
白いとただのおにぎりにしか見えないけど
といいたいところだが、サーファーイケメンの場違い感が半端ない。
そこピラミッドの上…波どっから出てきたし…
人食い虫は黒光りしていて映画と同じゾクゾク感がうまいこと出ているが、サーファーイケメンのインパクトが強すぎてすっかりそっちへ持って行かれている。
やっぱり人が重要か。
リック(ハムナプトラの主人公)のようなフィギュアを見つけたら、全体のクオリティも上げて再チャレンジしたい。
コケリウムはひとつの作品ができるまでひたすら材料を並べ作り上げていくが、食材リウムは材料が食材なので途中途中つまみ食いできてしまう。
料理をしながらつまむ感覚に似ている。
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