特集 2019年2月21日

浜名湖佐久米駅のユリカモメが多すぎる

想像以上の迫力でした

静岡県掛川市の掛川駅を起点として、浜名湖北岸を走る天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖線、略して天浜線。天浜線の駅の中に浜名湖佐久米(さくめ)という無人駅がある。

一日の平均乗車人数は30人以下という小さな駅だが、ユリカモメがおびただしい数集まる駅として、近頃遠方からも多くの人が訪れる駅となっている。

そこには、人とユリカモメの深い信頼関係があった。

1988年静岡生まれ・静岡在住。平日は制作会社勤務、休日は大体浜名湖にいる。
ダイエット目的でマラソンに挑戦するが、練習後温泉に入り、美味しいものをたらふく食べるというサイクルを繰り返しているため、半年で10kg近く太る。

前の記事:北海道民はいくらを買ったことがない~土地柄買ったことがないもの投稿発表~


おじさんと一緒におじさんを待つ

まずはとにかくこれを見てほしい。

今日はこのド迫力のユリカモメと天浜線のコラボを見に来た

新東名高速道路三ヶ日ICから車で約10分、目的地の浜名湖佐久米駅へ到着。見てくださいこの絶妙な天気!

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THE・曇。

浜名湖佐久米駅は民家も店も少ない閑静な場所に位置する。

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車で訪れる際は大きな牛のトイレが目印。手前には三ケ日みかん、三ケ日牛、コンクリ詰めにされたうなぎがいる(筆者予想)

ガラガラッと引き戸を開け駅の中へ入ると、ちょっとした待合室はあるものの、ホームへほぼダイレクトインだった。

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ホーム向こう側には浜名湖が広がる。ドラマで描く田舎の駅そのものだ

ただ通常の駅と違うのは、

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電車を待つ人より、ユリカモメの数が圧倒的に多いこと

 

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ホーム内側にもユリカモメがいっぱい!かわいい!

想像以上の多さに圧倒されていると、慣れた手つきでユリカモメを誘導しうまく写真を撮っているおじさんがいた。

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手のひらにエサを乗せ、それをめがけてきたユリカモメを瞬時にカメラに収めている

動きの速いユリカモメを上手に撮るには、きっとこのおじさんに聞くのがベストだ。

話を聞くとおじさんは、

※ ユリカモメは暖かい日はあまり来ないこと
※ 寒い日の方が多く来ること
※ 小魚が取れなかったユリカモメがこの駅に集まってくること

などを教えてくれた。

なるほど、小魚が取れなかったゆりかもめがこの駅に集まってきているとしたら、わたしがゆりかもめだった場合この駅に来る側のゆりかもめだなと思った。
小魚が取れ自分でなんとかやっているユリカモメは、クラスでも割とイケてる感じのグループに属すユリカモメに違いない。

やはりこういう時は現地の人に話を聞くのが一番だ。いい情報をもらった、と思っていたら、おじさんは「もうちょっと待ってるといいよ」という。

詳しく聞くと、毎日午前10時台と午後2時台に来るべつのおじさんがいるらしく、その人が来るとユリカモメがもっとたくさん集まるとのこと。

今の状態でも十分集まっていると思ったが、せっかくなのでおじさんと一緒に、そのおじさんを待つことにした。

おじさん、遅れて登場

噂のおじさんはどうやら天浜線の到着時間に合わせ来るようだ。
次に来る10時台の天浜線は10時33分着の下り電車。

撮影ポイントを探してうろうろしていたら、そうこうしているうちに電車が来てしまった。

 

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電車が来たいいタイミングで先ほどのおじさんがエサをまき出したので…

 

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便乗して迫力ある写真を撮ることができた!おじさんありがとう!

電車は軽く汽笛を鳴らしながら、ゆっくり発車する。ユリカモメと共存している光景がほほえましい。

しかし、時間になっても例のおじさんは現れなかった。
先ほどのおじさんいわく「今日は寒いから、おじさん来たくなくなっちゃったのかもなぁ…」とのこと。

ユリカモメは寒い方が来るのに、おじさんは寒いと来ないなんて!ガーン。

残念だがあきらめるしかない…。
そう思って車に戻ろうとすると、一台の白い軽自動車が駐車場へ入って来た。

 

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先ほどのおじさん「おじさん…おじさんが、来たよ!!」

先ほどのおじさんも含め、ホームにいた常連さんらしき人たちが皆駐車場へ出た。お出迎えがすごい。

 

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駅舎の中へ入っていこうとしているのが例のおじさん。わたしも初対面だが思わず「待ってましたよ!!」と声をかけてしまった

長年エサを与え続けてきたからこその信頼関係

あんまりおじさんおじさんいうのも失礼なのでここできちんと紹介しておこう。

わたしたちが待っていた人、それは浜名湖佐久米駅近くで寿司店を営んでいる笹田 順嗣さんだ。

笹田さんがホームへ入ると、先ほどはいなかったであろうユリカモメがどこからともなくやってきて、またたくまにユリカモメだらけになった。

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左側でエサをまいているのが笹田さん。ユリカモメの数が先ほどよりあきらかに増えている

聞くと笹田さんは、20年ものあいだここでユリカモメにエサを与え続けているとのこと。

娘さんが営んでいる駅併設の喫茶店で余ったパンをユリカモメに与えたことがきっかけで、パンを与えているうちに人もユリカモメも増えたそうだ。

笹田さんのおかげでユリカモメ目当てのカメラマンや観光客も増え、天竜浜名湖鉄道から「特別駅長」の役目を任されたこともある。
ただし、これらの活動はすべてボランティアだ。

はじめの頃はユリカモメも警戒心が強くここまで近くで餌付けできなかったそうだが、今ではこんな場面も見ることができた。

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Mouth-to-mouth

すごい…花鳥園でもこんなパフォーマンスは見たことがない!!これはきっと、ユリカモメとの信頼関係が築けてこその業だ。

たくさんのユリカモメに満遍なくエサを与え終わると、笹田さんは「せっかく来たんだから」といって、見物に来ていた男の子に間近でのエサやりを勧めた。
笹田さんが真横にいるからか、ユリカモメは警戒することなく男の子の手や頭に乗り、エサをつついていた。

ほかにも多くの見物客がいたが、その男の子以外やろうとする人が現れなかったので、「ほかにやりたい人は?」という笹田さんの問いかけに全力で手を挙げた。

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笹田さんからエサをもらうと早速ユリカモメが手に!!

 

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水かきがあるので頭にとまっても痛くない。ちょっとワイルドなヘッドスパを受けている感覚だった

これはいい記念になる。記事が公開されたらSNSのアイコンをこの写真に変えたい。

ただユリカモメの数があまりにも多いので、多すぎるがゆえにめちゃくちゃかぶってる写真も量産された。

 

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笹田さんをアップで撮ろうとしたらユリカモメがもろかぶり

 

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わたしも羽でとてもきれいにかぶりました

ユリカモメを上手に撮るにはやはりコツとタイミングがありそうだ。

浜名湖佐久米駅は、ユリカモメの鳴き声と見物客の笑い声に包まれたあたたかい駅だった。

 

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最後にユリカモメと笹田さんと1枚。いつのまにか、ユリカモメが頭に乗ってるのがデフォルトになっていた

駅併設の喫茶店へもどうぞ

浜名湖佐久米駅には「かとれあ」とい喫茶店が併設されていて、餌付け用のパンや記念グッズを買うことができる。

ユリカモメにちなんだメニューがあるかもと思い入ってみたが、自家製ビーフカレー、焼きそば定食、ハンバーグ定食など普通にうまそうなメニューが並んでいたので、かもめっぽい名前とこじつけてカモミールティーだけいただいて帰った。

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冷えたからだが温まりました…
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記念の缶バッチ450円。真ん中のかわいいキャラクターはユリカちゃん
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