机が長ければ長いほどお金持ち
場所はデイリーポータルZの企画会議のために借りた会議室。会議前に時間をもらった。
机やイスが重くて大変だった。お城みたいな場所を借りればこんな苦労はなかったんだろう。
でも貴族になりたいわけではないのだ。長い机の端と端で、普段みたいにものを食べたいだけなのだ。だから場所は普通に借りられる普通の会議室がいい。
机の長い辺が1メートル20センチ。6つつなげたので7メートル20センチになった。
会議室の端と端。写真に収まるギリギリである。机が長ければ長いほどお金持ちなので、限界を攻めることができてとても嬉しい。
すごく遠い。ただ部屋の向かいを見ているだけじゃないのだ。同じ机を共有しつつ向かい合っているので遠さが際立つ。
表情もうっすらしか読み取れなくて駅のホームを挟んで反対側にいるような感じだ。橋田さんがこっちを見ているのが分かるが、何を思っているのかが分からない。真顔で見つめ返すしかない。
すぐ横に、石川さんに立ってもらった。
貴族の親子の食事では、傍に執事のような人が立っている。これもやりたい。長い机とともに、すぐ近くに人がいる食事も経験しておこう。
よし。この布陣で、ぼやける相手とコンビニ弁当を食べよう。
【貴族の親子はこんな気持ちだったのか①】相手が食べているものが分からない
トルー(筆者):橋田さんのそれ、ハンバーグ弁当ですよね
橋田:いや? 違うよ?
トルー:ハンバーグ弁当じゃないんですか?
橋田:うん
トルー:いや、ハンバーグ弁当でしょ
橋田:違うってば
いきなりつまずいた。なぜか僕は橋田さんの弁当をハンバーグと思い込んでいるし、橋田さんも正解を教えてくれない。
傾けて見せてもらったが、遠いのでなんの意味もなかった。ハンバーグ弁当にしか見えない。
「そのブロッコリーおいしそうですね」みたいな会話だけはできると思っていたので大誤算だった。
【貴族の親子はこんな気持ちだったのか②】別の空間のようになる
しゃべることがなくなってどうなるかと言うと、相手の動きを実況しだす。
檻の中の動物を見ているような気持ちだった。何を考えているか分からないが食べていることだけは分かる。
観察できる範囲では、食べていることだけが自分と相手の共通点なのだ。だから食べていたら嬉しいし「食べた」と言う。
橋田さんもそうだったらしい。お互いが相手を見ながら「食べた食べた」と言っていた。
林さんに、モニター越しに相手を見ているみたいと言われてピンときた。まさにそんな感じだ。
ということは、遠いどころじゃなく別の空間にいる感覚に陥っている。確かに同じ机なのに。