人は共に食事をすると、その時の見た目を相手の大きさと思い込むのかもしれない。
【貴族の親子はこんな気持ちだったのか③】伝わらなさが楽しくなってくる
トルー:あ、このコンビニにあるカントリーマアム、普段買わないんですけど、こんな質感なんですね
橋田:どんな感じ?
トルー:粉が付いてサクサクする感じで。ほら、カントリーマアムって滑らかでしっとりしてるイメージあるじゃないですか
橋田:粉?
トルー:そう、粉。あの、ほら!
トルー:ほら! あの、粉の… ほら、サクサクした感じで
だんだん、この伝わらなさがクセになってきた。同じ話を大声でずっとしているというのは、大盛り上がりと大差ないのではないか。
少なくとも、橋田さんにカントリーマアムを見せようと頑張るこの時間は楽しかった。
貴族の親子も、テストの答案用紙とか遠くから見せたらいい。「何を間違えたんだ?」「だから、ここだよ、ほら」とか言い合うのはきっと楽しいから。
【貴族の親子はこんな気持ちだったのか④】執事のポジションが一番変
最後に石川さんのポジションのおかしさに触れよう。
ここまでの写真の通り見た目にもおかしいし、体験としても変だった。石川さんを意識するあまり左半身がうっすら熱かった。
長い机で食事をするのがどんな感じが知りたいのと同様、すぐ近くで人が立っているのがどんな感じか知りたいだけなのだ。執事役というわけではない。だから楽にしてもらっていい。
だけど執事じゃないのに横に立っている人はいない。だから石川さんは執事っぽく立つことになった。これがすごく気になる。
でもこの場の僕は、机を挟んだ相手とのコミュニケーションを優先するべきだろう。だから横の人はそっけない返事でいい。すごく気になるが、そのままでいい。
居心地悪そうだなと思っていたら、突然石川さんが前に倒れて弁当をよく見始めた。
そういう展示なんだったら言っておいてほしい。心臓飛び出ちゃうから。
楽しいんだったら言ってよね
こんな風にして僕はあんかけチャーハンとカントリーマアムを食べ、橋田さんものり弁を食べ終えた。
貴族の親子はとても難しい食事をしていることが分かった。
しかしその難しさが楽しい。当たり前のことが伝わりそうで伝わらないところがすごく新鮮だった。
想像の中の貴族の親子は、重い雰囲気で食事をしていたが、内心そのゲーム性を楽しんでいる可能性が出てきた。何だよ、楽しいんだったら言ってよね。
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