自作機内食の面白さよ
機内食スタイルにご飯を詰め直す作業は想像以上に面白い。
詰めたあとにそれっぽい!となるか、全然違う!となるかで結構盛り上がった。
ご飯メニューにもパンが付く、水がパックに入っているなど、機内食特有の文化がまだまだあるので、リアリティを追求する余地はたくさんありそうだ。
機内食が好きだ。
味も好きだが、飛行機に乗っているときにしか味わえないという特別な食事であることも気に入っている。
小さめのトレーにぎっちり詰まったお皿に、なぜか付いてくるクラッカー。ちょっと短いフォーク。どれも特徴的すぎる。
これを家で食べられたらきっと楽しいんじゃないか。
機内食を自宅で作ってみることにした。
機内食と聞いて頭に浮かぶのはこんな食事だ。
運搬の効率を高めるためだろう、皿は全部四角くなっていて、メインはご飯の上におかずが載るどんぶり形式だ。
ビジネスクラスやファーストクラスは違うのだろうが、お目にかかったことがないので僕の中での機内食といえばこれである。
機内食を自宅で作ってみたい。そんな思いは募るばかりだったが、作るにあたってもうちょっと参考になるものがほしい。食器の大きさとかどんなだったかな。
そう思って調べてみると、なんと成田で機内食風の食事を出しているところがあるという。
この中のカフェレストラン「FLIGHT CAFE CHARLIE'S」で食べられる。
店内は飛行機グッズが盛りだくさんで、実際に使われていた飛行機のシートも売られていた。すごい。
本当に目と鼻の先に成田空港があるので、離陸する飛行機が店の窓から見える。
売られている飛行機グッズを見たり、すぐ頭上を飛んでいく飛行機を眺めているうちに、機内食がやってきた。
このトレーにきっちり収まった皿!
カフェレストランということもあってかスープやデザートも付いているが、体裁はまごうことなき 機内食である。
そしてメインのカレーがしっかり辛くてうまい。別でお子様ランチ版の機内食もあるので、こちらは大人向けの味付けだ。
お店には機内食の食器セットも売っていた。今回の記事にぴったりではないか。
が、ちゃんとしたやつなのでそれなりのお値段がする。うーむ。
機内食のフォークとスプーン、ちょっと短いですよね。これだけでも多少は気分が出るというものだろう。
さて、皿の方はどうするか。100均ショップを探した結果、ちょうどいいのを見つけた。
正方形でプラスチックの食器というのが意外とないのだ。陶器の皿だとちょっと高級そうに感じる。プレミアムエコノミーだ。乗ったことはないので適当に書いた。
だがミニサイズの弁当箱がしっくりきた。なんとなく、ぴったりそうなサイズなように見える。
これで機内食のメニューを作ってみようと思う。
機内食のメニューといえば!という質問になんと答えるだろうか。
カレーライスかもしれない。帰りの路線で多く遭遇するように感じる。
みんな日本の味を待ち望んでいるのか、すぐになくなってしまうので今までありついたことがない。
色々と思い描くだろうとは思うが、僕の中では「照り焼きチキンとそぼろご飯」だ。
ご飯の上に錦糸卵とそぼろが乗っかって、脇に照り焼きチキンと筑前煮となぜかブロッコリーが付いているイメージ。
TERIYAKIも世界に浸透しているはずだし、これを作ることにしよう。
違うメニューのはずなのに、味付けに使う調味料が全く同じになってしまった。
煮詰める工程も同じだ。大丈夫だろうか。
自炊を初めて13年になるが、錦糸卵は作ったことがなかった。
僕の自炊の歴史の中に「彩りのためのメニュー」が入り込むことがなかったのを思い知った瞬間であった。
もっときれいに、薄く卵が焼けるはずだったんだけどな…と思いながら、感覚で細く切る。
これ、錦糸卵界に入れていいのだろうか。悩ましい。
悩ましく思った結果、脇にある炒り卵が誕生した。卵界の保険である。
あれ、それっぽい。1つの弁当箱にぎゅうぎゅうに詰まることで機内食らしさが出てはいないか。
興奮のまま他のメニューも盛っていく。ちなみに錦糸卵で力尽きたため、残りは全部惣菜コーナーで用意した。
出来たのがこちらである。
思いのほか機内食になった。
メインを飾る照り焼きチキンとそぼろご飯、そして周りの小鉢の合わせ技で雰囲気を醸し出している。
カップに入ったサラダの彩り、日本の機内食であることをアピールするのり巻きが、名脇役として場を演出しているではないか。
クラッカーの存在は大きい。だって普段の食事で出てこないでしょう。
仮に僕がパーティーを日夜行う家庭で育ったとしても、個包装まるごとでは食卓に上がらないと思う。
実際に作ってみると、かなり品目が多くて大変だ。サラダも2つあるし。
また個人的には冷凍の枝豆を解凍したら、冷凍庫で保管しすぎていたらしくだいぶダメになっていたのがわかってショックであった。悲しい。
自作の機内食はかなりいい出来になった。だが、これを毎回作るのは大変だ。
普段の食事を機内食の体裁に放り込んだら、どうなるのだろうか。
完全に「我が家の晩ごはん」である。
ザ・丸美屋の麻婆豆腐を機内食に変身させてみたらどうなってしまうのか。
なくはない、かもしれない。主菜・副菜・汁物という構成なのでリンゴが増えた。
しかし先ほどと比べると色味が悪い。皿の色が統一されているので、映えづらくなっている気がする。
これはさらに色味が悪くなった。機内食として出てきたら2度見するだろう。メインの皿が茶色になるとなかなかに厳しい。
もっと色味を派手に!そういう意識のもと揃えたのがこちらである。
これはかなり派手になりそうだ。
ところで余談だが、「1/2日分の野菜!」とある。昔は「1/2日分の野菜が摂れる!」だったと思う。
野菜!で言い切ることで、野菜だぞ!というアピールが増している気がする。コンビニご飯の煽り文句ウォッチは継続すると発見が多いのでおすすめです。
さて、これを機内食風にしたらどうなるか。
やはり色のコントラストが高い方が機内食っぽくなる。これ全部コンビニで買ったとは思えないだろう。
だんだんと機内食のノウハウがわかってきたぞ。
普段機内食では見かけないようなメニューで作ってみるのはどうか。
せっかくの自作機内食なのでもうちょっとチャレンジしてみたい。
ザ・和食ではどうか。サンマ、焼いちゃったらどうなるのか。
かなり絵力が強い機内食が誕生した。
肉じゃがと小松菜のお浸しの色合いは悪くない。むしろ良い。
だがサンマのインパクトが強すぎるかもしれない。半分に切ったら収まりは良くなったが、何しろ頭の主張が激しすぎる。
サンマの脂がご飯に染み込んでうまいという発見もあった。
そういう意味では良かったとも言えるが、焼いて茶碗に乗せるという選択肢を取った方がおそらく幸せになれる気がする。
それでは、和食の対極はどうか。
ファーストフードの代表選手である。
ほぼ茶色の色合いになりそうだが、果たして機内食盛りをしたらどうなるのだろうか。
意外にもしっくり来るのでは、という結果になった。
ビッグマックを半分に切ったら皿にぴったり収まった。ナゲットのソースもなんだかそれっぽく見える。
そしてハッピーセットのおもちゃを脇に添えたのもなぜか機内食っぽさに一役買っている気がする。やるなパトレンジャー。
色々作った中で、正統派機内食なメニューとマクドナルドがそれっぽい、という結論になった。
なので爲房航空(中国にありそうな名前だ)ではこちらを機内食としたい。
機内食スタイルにご飯を詰め直す作業は想像以上に面白い。
詰めたあとにそれっぽい!となるか、全然違う!となるかで結構盛り上がった。
ご飯メニューにもパンが付く、水がパックに入っているなど、機内食特有の文化がまだまだあるので、リアリティを追求する余地はたくさんありそうだ。
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