「思い出す」だけで自分を動かせる快感
失敗もあったが、紙一枚生活に増やすだけで変わることがあるという事実がおもしろい。「やっぱ自分や人間の脳って単純なんだな」としみじみ思う5日間だった。
先月、ストレッチのやり方が書いてある紙をトイレに貼った。トイレに行くたび、なんとなくその紙を見て体をのばした。
すると肩こりが改善されたのだ。
紙を一枚貼っただけなのに…。自分、めちゃくちゃチョロい。
もっと家に貼り紙を増やせば、私は最強になれるのではないか。貼りまくりました。
まずはきっかけの紙を見ていただこう。
この調子で、貼り紙でもっと暮らしを良くしていこう、というである。
まず「早起きしたい」「筋トレしたい」「家を常にキレイに」など、日々できていない不満を書き出す。
では、貼り紙との暮らしをはじめていきます。
紙を貼り終えてすぐ、夕ご飯を食べた。皿をシンクにおいた瞬間
その後、リビングに戻ってテレビをみた。
しばらくしてキッチンの横を通ると
最高の気分だった。貼り紙はっただけなのに、長年の悪習がたたれたのだ。
これは本当に人生余裕かもしれない。すごい発見をしてしまった。
貼り紙開始2日目。朝起きると
その後、のそのそ起きると
……すこし考えて素通りした。
2日目にして2連敗スタートである。
自分がやってる途中で貼り紙に言われるとめちゃくちゃ腹がたつのだ。
……などの成功、失敗を続け、5日がたちました。
5日間つづけた結果、「貼り紙自分コントロール」において1番重要なことがわかった。それは
たとえば5日間で成功した貼り紙の中に
考えてる間に脳が「ダル」と放棄してしまう。
これが「スクワット1回どう?」だったら続いたかもしれない。
貼り紙はあくまで、超単純作業を思い出すスイッチなのである。
初日に敗北した早起きは、以降も貼り紙を変えていろいろ試してみた。しかし
など全敗北した。ぜんぜん人生余裕などではなかった。かなしい。
ただわかったのは「なぜ早起きしたいか」がまず自分の中で定まってないのだ。
なんとなく早起きしたほうがよさそう、とだけ思っているから、貼り紙を見ても「ま、今日は別にまだ寝れるしいいか」と睡眠に負ける。
よく考えたら当たり前のことなのに、貼り紙を3枚も変えないとわからなかった。紙以前の問題だった。つらい。
そのほか貼り紙にしてよかったものを見ていくと
また、玄関に貼った「財布とカギもった?」のようなリマインダーも相性がよく
悪い例もあげると
また、貼り紙をはってわかったのは人間は文字があるとめちゃくちゃ読んでしまうということだ。
5枚の貼り紙が貼られたリビングにいると
いっぱい貼るとやっぱり気が散るのでここぞ!という所だけに貼るのが大事である。
はじめた当初「貼り紙で賢くなったりもするんじゃない?」と思い
毎日お風呂に入りながら見るので、これはいやでも覚えられるだろう。
「この作戦で暗記もできたら人生また余裕になってしまうな!!」と思ったのだが
貼り紙でうっかり最強の人類になる予定が、長年の悪習にはぜんぜん効かなかった。
ただ簡単なストレッチや、忘れ物、ちょっと変えたい習慣にはすごくよかったので、ぜひ試してみてください。
失敗もあったが、紙一枚生活に増やすだけで変わることがあるという事実がおもしろい。「やっぱ自分や人間の脳って単純なんだな」としみじみ思う5日間だった。
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