「カレーホット短期間消費」のギネスに載れそうな勢いで使っています。
あと、カレーホットが備え付けられている食堂で自分のカレーホットをカバンから出すとき、はたから見ると、備品をくすねる手癖の悪い人みたいになってしまいました。
これもまた「ああッ……」という感じでした。
なにも悪いことはしていないはずなので、強く生きていこうと思います。
用法用量・マナーを守って、よいカレーホットライフを!
食堂の調味料スペースに置いてある、「見覚えのある」あの調味料、カレーホット。
「カレー」「ホット」という名の通り、味の選択権がない食堂のカレーに辛みを加え、自分好みの辛さに調節するためのオイルである。
ところで、カレーホットがカレーにしか使われないというのは少々さみしくないだろうか。
あんな地味な塩こうじだって、万能調味料としてもてはやされたのだ。カレーホットにも調味料として花を持たせたいところである(個人的にずっと思っていた)。
今回、身近にあるカレー以外の食材を8つ用意した。
いろいろな食べ物にカレーホットをかけて、「カレーの辛さ調節」以外の、いち調味料としての道を探ってみた。
カレーホットは近くの輸入食品店で手に入った。1本、731円。
業務用の調味料なので、スーパーなどではなかなか見つからなかったが、探せばあるといった感じだ。(Amazonや楽天など、通販でも手に入るようだった。)
さっそくかけていこう。
そもそも「どう使うのかよくわからない」という方もいると思う。まずはふつうにカレーにかけて、本職の仕事で働いてもらうことにした。
カレーホットをルーに適量かけるだけで、辛くないカレーが辛くなる!
カレーホットには香辛料が入っていて、単体でもスパイスが香ってくる。
このオイルをかけるのとかけないのでは、なんというか、味の締まり具合が全然違うのだ。
しかし、量を間違えると後々後悔する。かける量が多いと辛すぎるカレーになるからだ。
細川たかしも北酒場で「ちょっとかけるだけでいい 加減がじょうずなほうがいい」と歌っている(歌っていない)。
カレーホットの本職の仕事がこれだ。
このルーティンだけで過ごすのでは、カレーホットもさぞつまらないであろう。
早急にカレー以外のパートナーも見つけたい。
大学の食堂を探してみると、カレーのほかに、ハッシュドビーフが提供されていた。
見た目だけだとカレーに似ているので、もしかしたらカレーホットとのマリアージュが発生してしまうかもしれない。
ためしてみよう。
ハッシュドビーフには辛くある必要性はさしてないとは思うのだが、ひとまずかけてみた。
一口食べてみると、味はハッシュドビーフそのものだった。
しかし食べていくうちにだんだん辛くなっていく。
トマトの酸味やデミグラスの香りが完全にハッシュドビーフなのに辛い。脳がバグる音がした。
バグっているのにまずくはない。カレーホットが溶け込んでいる。不思議だ。
ただひとつ分かったのは、ハッシュドビーフには辛くある必要性は特にない。
うーむ。カレーホットには、もっと冒険が必要だ。
「ルーとライス」にこだわらず、どんどんかけていこう。
食材は残り7種。(8種と言いたかった。ハッシュだけに)
改めてパッケージを見てみると、こんな説明書きが。
「スパゲッティやピラフに」…美味しそうじゃん!!
この時点ですごく美味しそうである。
ミートソースとカレーの香りがマッチして、食べなくてもわかる、絶対おいしいものになった。
せっかくだからとサークルの仲間に集まってもらったので、一緒に食べてもらった。
パスタを頬張りすぎているお茶目な同期だが、「おいしい!」とのこと。
パスタにはタバスコをかけて辛みをプラスすることがあると思うが、それとは全くの別物だった。
ミートソースにスパイスが加わることによって、ドライカレーのような味に変化して、食欲をそそる。これはいいぞ!
残りは6種。
パスタに合うならこんな麺類はどうだろう。
カップやきそばだ。
同期は首をかしげた。
ソースとカレー。絶対おいしいでしょうに!!
おいしいカレーやきそばだ。僕はめちゃくちゃおいしいと思った。
僕が通っている大学の近くに「インドやきそば」屋さんがあったのだが、たぶんそういう味になっている。
(インドやきそば屋は気になっていたが、行こうと思う前に無くなってしまった)
首をかしげていた同期いわく、油っこくなるのが気に入らないらしい。
僕は油の受容体がないのだろうか…それでも美味しいと感じた。
この焼きそば、お湯を入れて3分で出来上がりのところを5分以上放っておいた気がするので、多分、のびているせいで「うーん」という感想になったのだと思う。
やきそば自体をちゃんと作れていなかった。
そして、「やきそば弁当」といえば付属のスープだ。
これはかなり評判が良かった。
スープの旨味とカレーホットが合っているのだ。
これを飲んだ同期から「旨味の相乗効果」というコメントが出てきた。ほんとうだ。
残りは5種になったところで、「お供」方面に方向を転換しよう。
うまみといえば、ご飯のお供である納豆はどうだ。納豆は旨味の塊だろう。
カレーホットは納豆にも合ったのだ。
美味しすぎるあまり、僕が食べる前にこの2人が全部食べてしまったので、僕は後日食べた。
納豆とカレーホットのコンビはすごい。旨味の爆発だ。
これから食堂でも家でも普通にやってしまうレベルのうまさである。
いよいよ折り返しだ。ここで最大の冒険をしてみようと思う。
オイルが主役になる料理も用意しよう。
アヒージョだ。
バゲットにカレーホットを染み込ませるのもまた一興であろう。
もはや、 かける の範疇を脱した歴史的瞬間である。
カレーホット界の貴族の遊びのような画像が撮れた。
カレーホットを勢いよく注いでぐつぐつやるなんて、ハウス食品の社員でもやったことがないのではないか。
火にかけると、スパイス成分が一気に揮発して、部屋一帯がカレー屋のにおいになった。
部屋を貸してくれた先輩に平謝りしながら完成。カレーホットアヒージョ!
ぱっと見ふつうのアヒージョだ。色以外は。油が明らかにに赤い。辛そうだ。
味はというと…。
しかしあとをひく辛さ。スパイシーなアヒージョだ!
具材のうまみがカレーホットに溶け込んで、ビールがすすんだ。
アリだ、これ…!
僕は確信した。うまみだ。カレーホットにはうまみなのだ。
食事はここまで。あとはおやつをどうぞ。
さきほどまでごはん系を開拓していったので、おやつ系も開拓していく。
用意したのはポテチと歌舞伎揚げ。
しょっぱいおやつはだいたい最初から個性のある味がついている。
味の渋滞を防ぐためにあえてカレーホットに合いそうなものを選んだところ、こうなった。
けして置きにいったわけではない。
想像の通り、どちらもカレーホットとよく合って、おいしい。
ポテチは芋の風味が相まって、完全にカレーの後味だ。
歌舞伎揚げはカレースナックに変貌している。もはや歌舞伎ではない。インド映画揚げだ。バーフバリだ。
芋や米は、カレーに入っているから合わないはずはない。
置きにいってしまった。
あと、スナック菓子のラインナップにはたいていカレー味がある。
それを考えると、わざわざやるほどのことではないかもしれないと思ってしまった。
(手元にカレー味のスナックがないときには便利)
置きに行ったスナック菓子は当然のごとくうまかった。
では甘いおやつはどうか。
甘い・辛いのサイクルを発動させればおそらく最強だろう。
ラストを飾る、おやつの王様、ハーゲンダッツ。召喚!
いままでにカレー味のハーゲンダッツは見たことがないし、おそらく待っていても金輪際でてくることはないであろう。
カレーホットがあれば、簡単にカレー味のおやつが作れるのだ!はは!
カレー風味のハーゲンダッツ。
食べてみると、これが合わなくはなかった。
ハーゲンダッツがの乳脂肪がもつさわやかさと、スパイスのさわやかさのベクトルが同じ方向をむいているのだ。同居状態。
しかし、ハーゲンダッツは突然、姿を消してしまう。
口の中にただ一人のこるカレーホットが少し辛い(つらい)。
「うわ!カレー辛っ!ラッシー飲もう!カレー食べよ!辛っ!」を繰り返している感じだ。
……皆さんはこれはやらなくてもいい。面白いけれど。
ほんとうにカレーホットは何にでもあうのだ。そしておいしい。
かけることでまずくなった、という食べ物はあまり無かった。(もとの味や香りの強い食べ物だと、カレーホットが負けてしまうことはある)
中でも一番感動的だったのは、カレーホット×納豆だった。
カレーと納豆が互いを尊重しつつ、いいところを引き出しあうのだ。
まさに、「うまみの相乗効果」。うまみの爆発がおきる。
ご飯も進むし、オススメだ。
食堂で納豆にカレーホットをかける人が続出する画がみえるぞ……。
カレーホットは液体なので、とてもなじみやすい。
カレー粉では難しい、「出来合いのものにかける」というのには最適のかたちである。
ハウス食品、めちゃくちゃ天才だ!
そんなカレーホットの仕事をカレーだけに留めておくのはやはりもったいない!
みなさんもカレーホットで、レッツ、うまみの爆発!
あと、カレーホットが備え付けられている食堂で自分のカレーホットをカバンから出すとき、はたから見ると、備品をくすねる手癖の悪い人みたいになってしまいました。
これもまた「ああッ……」という感じでした。
なにも悪いことはしていないはずなので、強く生きていこうと思います。
用法用量・マナーを守って、よいカレーホットライフを!
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