特集 2024年10月5日

里山の山菜狩りでゼンマイを採って、干して戻して食べてみた

友人のおばあちゃんと山菜狩りにいって、ゼンマイの食べ方を習いました。

昨年の春、佐渡島を旅行しているとき、友人のおばあちゃんに山菜狩りを案内してもらうという貴重な機会があった。

春の里山は息を呑むほどに美しく、この山深い土地で人の営みが続いているからこその景色が広がっていた。これが本当の萌えなのか。

コゴミやワラビといった山菜に加えて、ゼンマイも少し採らせてもらったので、前から憧れていた「干して、戻して、食べる」という伝統食文化に挑戦してみた。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

おばあちゃんと孫と曾孫と私

2023年の4月中旬、佐渡島南部の山奥にある友人のおばあちゃん宅を友人親子と訪ねた。

90歳になったおばあちゃんの家のすぐ裏にある里山へ、この季節の日課である山菜狩りに同行させていただくためだ。

里山という言葉はよく聞くし、概念としては何となくわかるのだが、そこに実際訪れるのは初めてかもしれない。

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左が友人で孫、真ん中がおばあちゃん、右が友人の娘で曾孫。

軽トラやトラクターに最適化された道路をずいずいと登っていくと、これぞ里山の景色としか言えないような、段々になった田んぼに畑、手入れのされた斜面、素掘りの水路が続いていた。

普通の観光では決して見ることができない景色(おばあちゃん達含む)に、ずっと鳥肌が止まらない。

これぞ佐渡島の春だ。やー、すごいわ。

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これは良い場所だ。
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集落の人達が手入れをしてきたからの景色。
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ありがとう、佐渡の春。
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耕作放棄地も徐々に増えているようだが、まだまだ現役の棚田が残っていた。

 

コゴミ、ワラビなどを摘ませてもらう

しばらく里山を登っていくと、そこそこ急な斜面をおばあちゃんがスルスルと降りて行った。

ここは日当たりの悪い側の土地で、水分を好むコゴミ(クサソテツ)がたくさん生えているそうだ。

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コゴミがたくさん生えている素晴らしき斜面。

草刈りなどの手入れがされているであろう斜面は、立派なコゴミが採り放題だった。

おばあちゃんは「東京に住む娘(友人の母)に送るんだ~」と、嬉しそうにたくさん収穫していた。

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とてもおいしそうな太いコゴミ。
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「わたしはおばあちゃんとかにいろいろ教えてもらって、佐渡で百姓になるから!」と教えてくれた、通信制の高校に通う友人の娘。

 

コゴミを摘んだその先には、日当たりの良い斜面に太くてしっかりとしたワラビがたくさん生えていた。

採り切れないほどのワラビ。これぞ長い冬を越えて大地から湧き上がる里山の恵みである。

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長年の営みがあってこそのワラビが生える斜面なのだろう。
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当たり前の話だが、どの山にも所有者がいて、余所者が勝手に入ったり、自由に山菜を採ったりしてはいけない。

この集落で管理している山で山菜を採っていいのは、山の世話をしている集落の人とその連れだけ。そこに混ぜてもらって大変ありがたい。

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極太のワラビが素晴らしい。

 

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春の訪れを実感する。
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ちょっと休憩。おばあちゃんにお菓子と菓子パンをもらった。
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これはアケビの新芽で「木の芽(キノメ)」と呼ばれる山菜。
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佐渡ではあまり食べる習慣はないけれど、昔はこれを専門に採って農協に卸していたそうだ。木の芽の苦味を好む新潟で売られていたのだろうか。
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これは山椒の若葉の木の芽。ややこしいですね。
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セリがたくさん生えている水辺を教わった。
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天然の柔らかいセリがすごくおいしかった。
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コシアブラ大好き。
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だいぶ惚けてしまった(育ってしまった)タラノメ。

いろいろな山菜を採らせてもらったが、その中でも今回の目的はゼンマイである。

これまで何度も見かけていたのだが、コゴミやワラビのようにすぐ食べられる山菜ではないらしいのでスルーしていた。だがせっかくの機会なので、おばあちゃんに処理の仕方を教えてもらって、伝統の食文化に挑戦してみたいと思う。

手間暇をかけてゼンマイを食べるという行為に、前からとても憧れていたのだ。

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文字通りゼンマイのような形をしている。胞子をつける男ゼンマイ(右下:胞子葉)と、普通の葉っぱになる女ゼンマイ(上と左下:栄養葉)があって、女ゼンマイだけ食べるという人もいるし、特にこだわらないという人もいる。
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大切なのは全部の新芽を採らず、枯れないように半数を残して摘んでいくことだろうか。
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お弁当休憩。
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佐渡島の小木町にある「こますや」のお弁当は、500円でおかずがたくさん。ごちそうさまでした。

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