みんな12年に1度の辰巳を見たい
取材をし、いざ執筆!というタイミングで、編集部からライターの高瀬さんが同じようにメモリアルな辰巳を年越しのタイミングで見に行く記事を書いているとの情報が届いた。なんてこった、完全なネタ被りである。
でもやっぱりみんなメモリアル辰巳を見たいのだ。本来であれば別ネタを検討すべきところだが、12年に1度の記念すべき辰巳を余すことなく伝えるべく、あえてそのまま書かせてもらうことにした。高瀬さんが訪れた年越しの時との違いがあるのかも気になるところである。デイリーポータルZはメモリアル辰巳密着サイトになります。
そもそもなぜ辰巳という地名がついているのか。
干支は方角と対応しており、真北の子(ねずみ)から時計回りに12分割で干支が割り当てられている。辰と巳は南東にあたるが、ここ辰巳は東京の中心(皇居)から見て南東の方角に位置するため、この地名がついている。つまり由来としても干支の辰巳からきていて、この年越しはまさにメモリアルと言えるのだ。
さて、高瀬さんが訪れた大晦日にも盛り上がりを見せていた辰巳駅は5日も引き続き賑わっていた。限定の24時間券を特設の机で販売するほどの力の入れようで私が訪れた際も数組が記念撮影をしていた。
ところで今回のデザイン、どちらも同じ有楽町線が辰と巳に扮しているようにみえるが、よく見ると辰は17000系、巳は10000系と異なる車両が元になっている。
一般的に辰のルーツは巳(蛇)と言われているので、そういう巳から辰への流れも考えて車両が選定されているのかもしれない。12年に1度、鉄道愛と辰巳愛がまじりあう唯一無二の瞬間を我々は目にしている。
静かに辰巳を噛みしめる
駅から外に出ると高瀬さんも「大龍のよう」と形容していたジャンクションが目の前に広がる。
思ったよりも「辰巳」で写真を撮りまくってしまった。この色味、絶対に辰と巳を意識している。確信犯、いや確辰犯(辰しか入っていないように見えるが「犯」の字の右側がほぼ巳なのでセーフ)だ。
ひとしきりジャンクションの辰巳っぷりを堪能したところで冷静に駅周辺を見て回るも、街をあげて派手にメモリアルイヤーをお祝いするムードは特に感じられない。高瀬さんがレポートしていたように辰巳の皆さんは静かにこの記念すべき年を噛みしめているのだろう。
年が明けたばかりなので辰年から巳年に!と言っているが、考えてみるとそもそも普段から干支を意識することがあまりない。
年末年始を除けば干支の話は12歳(もしくはその倍数)歳が離れてることに驚く時か、年齢が疑わしい時の確認くらいでしか出てこない。年の初めには年賀状に書いたり広告に使ったりしてもてはやすのに、すぐに忘れて思い出すのは年の瀬。ひどい話である。
私は常々この干支の不憫さに同情している(だからといって干支を盛り上げる行動は何もしていない)が、こと去年から今年にかけてでいえば辰巳は外の場所よりも干支を意識しやすい街だと言っていい。
東京にお住いの皆さんにおかれましては、日常生活で忘れがちな干支成分を今年は辰巳で補っていただきたい。