広告企画 2023年8月10日

滋賀の人は箱メガネをよく買う?

滋賀県の人は箱メガネを買うの?

メルカリのデータでは、滋賀の人はメルカリで「箱メガネを買いがち」らしい。

箱メガネ? どういうこと?

わからないことが多いので、滋賀に行って調べてみた。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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漁撈の民具?

まず、箱メガネがよくわからない。漁師さんが魚をとるときに水につけて水中を見る道具? ですよね?

メルカリ調べによると、滋賀県の人はこの箱メガネをメルカリでよく「買いがち」だという。ほんとかな。

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ほんとかいな。

メルカリで買うぐらいだから、普通に箱メガネを滋賀県の人はよく買うのか、それを検証したい。……というか箱メガネってどこで売ってるんだ?

「滋賀県 箱メガネ」で検索すると、滋賀県立琵琶湖博物館の収蔵物に箱メガネがあるという。さっそく、琵琶湖博物館に向かう。

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琵琶湖博物館は、琵琶湖に住む生き物、琵琶湖の地質や地形、琵琶湖と人々の関わりや暮らしの歴史など、琵琶湖のことならなんでもわかる博物館だ。

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この博物館の「おとなのディスカバリー」という展示室の中に、学芸員の方に直接質問できるコーナーがある。

とりあえず、箱メガネについて聞いてみたところ、箱メガネは収蔵しているものの、展示はされていないとのこと、さらに担当の方もあいにく不在であったので、箱眼鏡以外の漁撈器具を拝見させてもらった。

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琵琶湖は、御存知の通り日本最大の湖なので、古来漁が大変盛んだった。そのため、琵琶湖で漁をするための道具はバリエーションがとても多い。

針がついた棒でどじょうを叩き、針を刺して取るといった「どじょう叩き」など、かなり荒削りな漁具に、大変興味を引かれた。

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こういった漁をするためには、やはり箱メガネがあると、たしかに効率が良いかもしれない。

漁具のコーナー以外にも、琵琶湖にすむ魚や虫などの生き物の展示、琵琶湖の周りで暮らしていた人々の住まいなどが実物大のスケールで再現してあったりして、かなり楽しめる展示内容となっている。

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琵琶湖にしかいない、ビワコオオナマズ
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琵琶湖湖畔の農家の家屋の実物大の再現。完全にばあちゃんちだこれ

なかでも興味を引かれたのは、各時代の家電や生活用品の展示。

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琵琶湖関係あるのかな……

もう、ここまで来ると、琵琶湖関係なくない? というきもしないでもないが、琵琶湖の恵みを受けて暮らしている人々の歴史と考えれば、関係がないともいえない。

しかし、昭和60年代あたりの展示は「なつかしいなー」という気分になるが、平成20年代ごろの日用品は、どうかすると家に無造作においてあるようなものなので、なんだか妙な感覚に襲われる。

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昭和60年代の日用品とおもちゃ
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ゴミ感あるんだよな〜、時代が近いからしかたないんですけども

うっかり昭和ノスタルジーと平成レトロの展示に夢中になってしまった。箱メガネだ。

琵琶湖博物館で対応してくださった学芸員さんによると、博物館では、子供たちと水中生物を観察したりするときに、レジャー用の箱メガネをよく使うという。レジャー用の箱メガネなんてあるのか。と、感心してしまったが、ホームセンターや釣具店に行くと置いてあるという。

というわけで、ホームセンターに行ってみたら、たしかにあった。

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レジャー用箱メガネ(青いバケツ状のやつがすべて箱メガネ)

その後、別の釣具店に行ってみたところ、そこでもレジャー用の箱メガネを売っていた。どうも、箱メガネとは言わず「アクアスコープ」というらしい。

釣具店の店員の方に話を伺ったところ、漁師がマジの漁撈で使うようなプロ用の箱メガネは置いてないけれども、レジャー用のものはそれなりに売れる……そうだ。

釣具店に来ていた方に話を聞いてみたところ、やはり同じような感じで、子供の頃に琵琶湖で水遊びしたときに、使ったような使わなかったような……という曖昧な感じであった。

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質問に答えてくださった滋賀県の人、ありがとう

大阪のたこ焼き器みたいに、実は滋賀県のお宅には、一家に一台「箱メガネがある」のでは? と聞いてみたところ「いや、たぶんそれはないですね(笑)」とのこと。そうか、そういうものか……。

ぼくは、東京に住んでいるけれど、東京のホームセンターで、これほどの数の箱メガネ(アクアスコープ)が売っていただろうか。シュノーケルや水中メガネ(顔に装着するタイプ)は売ってあったような記憶があるけれど……。

海のような波のある場所だと、顔に装着するタイプの水中メガネが便利かもしれないが、湖沼のような波がそんなにない場所は顔を水につける必要がない箱メガネが便利なのかもしれない。

滋賀県では、海水浴の代わりに湖水浴をするが、そのときに、湖の生き物を観察するために、子どもたちが箱眼鏡(アクアスコープ)を買う……ということがあるかもしれない。ただし、一家に一台(個?)というわけでもない。そういう温度感のようだ。

そんな機会、あるかどうかわからないけれど「あ、箱メガネがほしい」となった場合、近所のホームセンターなどで取り扱ってない場合は、メルカリで検索して買うのが便利かもしれない。

***

※追記

箱眼鏡について、琵琶湖博物館の学芸員の方にメールで質問したところ、大変丁寧な御返事をいただきました。せっかくなので、頂いた回答をご紹介します。

質問①

博物館に収蔵されている箱眼鏡には「シャクリ漁につかう」との記載がありました。シャクリ漁とはどのような漁でしょうか? シャクリ漁でどのような魚をとっていたのでしょうか?

回答①

シャクリ漁は、竿の先の針に魚を引っかけるので、箱メガネが必要でした。この漁法で獲れる魚として代表的なのはアユになります。他にも川を遡上するビワマス(アメノウオ)捕りに箱眼鏡を使ったという話があります。これはヤスによる突き漁だったと思われ、昭和50年代まで使用されたそうです。

質問②

現在、琵琶湖で箱眼鏡を使って漁を行っている漁師さんはいらっしゃいますか?

回答②

現在、漁師でこの漁法を行っている人がいるという話は聞きませんが、遊びやオカズ獲りで、この漁をやっている人がいないとは言い切れません。ただ私は見たことがありませんし、見たことがあるという話も聞いたことはないです。

質問③

箱眼鏡は、板ガラスが必須だと思いますが、安くて品質の良い板ガラスが手に入りにくい時代(例えば江戸時代など)にはなかった道具でしょうか? なにか代替となるような道具があったのでしょうか?

回答③

仰るとおり箱眼鏡は1890年代以降に普及したもので、それ以前は海面に油をたらして油まくを張る方法を用いていました。琵琶湖でこれが行われていたか否かはわかっていませんが、恐らく他地域と同様、油を使って漁をする人がいたと思います。

質問④

現在レジャー用の箱メガネ(アクアスコープと称されるもの)が普及しており、ホームセンターや釣具店などで販売されています。滋賀県にお住まいの方はこういったレジャー用の箱メガネをよく買われますか? (ご自身で見たり聞いたりした範囲の印象で構いません)

回答④

現在の滋賀県でレジャー用の箱メガネを購入して使っているという話は、あまり聞きません。

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