馬を愛する……フィリピン
まずはフィリピンです。
フィリピンの国名の由来は、ずばり、人名のフィリップです。
フィリップはスペイン語ではフェリペになりますが、フィリピンの名称はスペイン王国が絶頂期であった16世紀にスペイン王であったフェリペ2世にちなんで名付けられました。
フィリピンは、1521年以降、スペインの植民地でしたが、1898年に米西戦争(アメリカ・スペイン戦争)の結果、スペインが負け、以降アメリカの統治下となりました。
フィリピンという名称は、スペインの植民地時代から使われ、アメリカ統治、独立後にも変わらず使われ続けました。
フィリップは、欧米では多い名前で、つい先ごろ亡くなったイギリス王配はフィリップという名前でした。
フランスでは、フィリップ1世から6世まで、歴代6人のフィリップが王様になりました。やたらおおい。
フィリップというのは、もともとギリシャ語でフィロス(philos=愛する)とヒッポス(Hippos=馬)が合体したフィリッポス(Philippos)が語源です。
日本語の適当な訳語を思いつきませんが、さしずめ愛馬家とか、馬好きといったところでしょうか。
哲学のことをフィロソフィーというのは、ソフィー(知)をフィロス(愛する)、つまり愛知であるというのは有名かもしれませんが、その「フィロス」ということです。
また、英語でカバのことを、ヒポポタマス(hippopotamus)といいますが、これはギリシャ語で馬を意味するフィリッポスと、河川を意味するポタモス(Potamos)が合体したものでしょう。
ギリシャ人を含むインドヨーロッパ語族は、どの民族よりも早く馬を飼い慣らし、その機動力でもって、他の民族を征服して勢力を広げました。そのため、馬は軍事力、つまり力の象徴のようなもので、王様の名前にも好んで使われました。
そして、スペインが、アジアにある諸島を制服したときの王の名前がフェリペであり、そこから、フィリピンという国の名前がついた。というわけです。