特集 2023年8月6日

フィリピンは「馬を愛する」国の名前の由来のはなし

世界にはおよそ200近い国があります。

国の名前の由来はいろいろありますが、前回、アメリカ、コロンビアの由来を紹介しました。

今回は、フィリピン、サンマリノ、セントルシアの国名の由来について調べてみました。

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:アメリカはなぜアメリカ?~「人名が由来」のその元の元まで調べる

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馬を愛する……フィリピン

まずはフィリピンです。

フィリピンの国名の由来は、ずばり、人名のフィリップです。

フィリップはスペイン語ではフェリペになりますが、フィリピンの名称はスペイン王国が絶頂期であった16世紀にスペイン王であったフェリペ2世にちなんで名付けられました。

フィリピンは、1521年以降、スペインの植民地でしたが、1898年に米西戦争(アメリカ・スペイン戦争)の結果、スペインが負け、以降アメリカの統治下となりました。

フィリピンという名称は、スペインの植民地時代から使われ、アメリカ統治、独立後にも変わらず使われ続けました。

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フェリペ二世(ソフォニスバ・アングイッソラ, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)

フィリップは、欧米では多い名前で、つい先ごろ亡くなったイギリス王配はフィリップという名前でした。

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左・エリザベス女王、右・フィリップ王配(セシル・ビートン, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)

フランスでは、フィリップ1世から6世まで、歴代6人のフィリップが王様になりました。やたらおおい。

フィリップというのは、もともとギリシャ語でフィロス(philos=愛する)とヒッポス(Hippos=馬)が合体したフィリッポス(Philippos)が語源です。

日本語の適当な訳語を思いつきませんが、さしずめ愛馬家とか、馬好きといったところでしょうか。

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馬(『西部劇の馬を作る』より)

哲学のことをフィロソフィーというのは、ソフィー(知)をフィロス(愛する)、つまり愛知であるというのは有名かもしれませんが、その「フィロス」ということです。

また、英語でカバのことを、ヒポポタマス(hippopotamus)といいますが、これはギリシャ語で馬を意味するフィリッポスと、河川を意味するポタモス(Potamos)が合体したものでしょう。

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カバ

ギリシャ人を含むインドヨーロッパ語族は、どの民族よりも早く馬を飼い慣らし、その機動力でもって、他の民族を征服して勢力を広げました。そのため、馬は軍事力、つまり力の象徴のようなもので、王様の名前にも好んで使われました。

そして、スペインが、アジアにある諸島を制服したときの王の名前がフェリペであり、そこから、フィリピンという国の名前がついた。というわけです。

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