広告企画 2023年8月23日

桃太郎グッズとはなんなのか? そして桃太郎の真相を知る……

岡山といえば、桃太郎。

これはもう、日本全国誰もが思いつく、岡山のイメージだろう。

金太郎や浦島太郎といった他の昔話に比べると、ご当地感がずば抜けて高い。

岡山の人はメルカリで「桃太郎グッズ」を買いがちだという。

どういうこと?

鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:うどん買いがちな香川の人はどれほどうどんが好き?

> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

桃太郎グッズは買ったことない

ところで、東京からずーっとバイクで巡っているのだが、四国あたりからどうもバイクの調子が悪い。チェーンがカラカラと異音を出す上に、ギアチェンジの時に変なショックを受けるときがある。

これはおそらく、チェーンが弛んでいるのだが、適切な工具がないので、自分では如何ともし難く、バイク屋さんにもっていって、チェーンの調整をしてもらわなければならない。

ということで、岡山のバイク屋さんにかたっぱしから電話をかけて、最初に修理をしてくれるとなったところに行こうと思い定め、電話したところ、最初に電話したバイク屋さんが、いきなり調整してくれるということになった。

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バイク屋で修理をまつおれのバイク

バイク店のご主人は、ササッとチェーン調整を終えると、自家製の梅ジュースを振る舞ってくれた。うだるような熱気の中、汗をダラダラ出しながらやってきた体に、爽やかな梅ジュースがしみた。

せっかくなので、桃太郎グッズを買ったことがあるかどうか、話を聞いてみた。

――岡山の人がメルカリで桃太郎グッズを買いがちという話を聞いたんですが……買ったことあります?

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買ったことありますか?

ご主人「桃太郎グッズ? うーんどうかな……」

――そもそも、桃太郎グッズなんて存在するのかな。と思って。お土産屋さんにあるキーホルダーみたいなものとかはあるんでしょうけれども。

ご主人「県や市が桃太郎をキャラクターに使って作っているものがあるかもしれないけれど……すくなくとも、岡山に住んどる人が買うような桃太郎グッズというのは……みたことないな」

「桃太郎グッズ」を「桃太郎と名付けられたもの」ということと解釈すれば、桃太郎と名の付いた商品はいくらでもある。そういう意味の桃太郎グッズならば岡山の人も買うかもしれない、とのこと。

――桃太郎人気というのは実際どうなんでしょう?

ご主人「どうかな……桃太郎よりも、オーくんの方が人気じゃないかな」

――オーくんってなんですが?

ご主人「OHK(岡山放送)のキャラクターです。孫が好きで、家にグッズもいくつかありますよ」

岡山の地元では、桃太郎よりも地元企業のマスコットキャラクターの方が人気があるのではないか疑惑が浮上した。

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桃太郎、ほんとに人気あるのか
いったん広告です

桃太郎のからくり博物館へ

というわけで、地元の人がメルカリで買うような桃太郎グッズとはなんなのか。わからないまま、続いてやってきたのが、倉敷市の美観地区にある「桃太郎のからくり博物館」だ。

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怪しい感じの桃太郎
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眼力がすごい
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おばけやしきではありません!

その雰囲気と佇まいから、おばけやしきと勘違いする人が多いためか、入り口におばけやしきではない旨が宣言されている。これは安心だ。

中に入って入館料(大人600円)を払うと、桃太郎に関するトリックアートなどのアトラクションが楽しめる形になっている。

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桃から生まれた〜という写真が撮れるやつ。だが、図体のでけえ大人は、頭を出すのがやっとなので、よく考えてからやろう。おれは厳しかった
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桃太郎よりもでかい、モモタネちゃんというキャラクター。なんなんだこれ
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鬼ヶ島の洞窟探検? とは?
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鬼ヶ島を探検するというテイで、暗闇の中を進んでいく
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プシュー!(コンプレッサーのエアが顔にかかる) ギャー!

おばけやしきじゃねーか!

と、思わずツッコミたくなるアトラクションも、ある。いや、おばけじゃなくて、鬼なので。という理屈もわからなくもないが。

まあ、でも面白かったです。(おばけやしき苦手な人は、鬼ヶ島探検行かなくても楽しめます)

1階の、トリックアートと鬼ヶ島探検を堪能したら、2階に上がる。

2階は1階の雰囲気とは打って変わって、館長が集めたという桃太郎に関する資料が展示されている。

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桃太郎の紙芝居を完全再現
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貴重な桃太郎の絵本

江戸時代からの桃太郎に関する絵本や書籍など、貴重なものが展示されているのだが、中でもすごかったのが、日本最初期の長編アニメーション作品と言われている『桃太郎 海の神兵』が上映されている。

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『桃太郎 海の神兵』は、戦時中のプロパガンダアニメだが、かつては日本初の長編アニメーション作品ともいわれた
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桃太郎のグッズたちその1
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桃太郎のグッズたちその2

桃太郎グッズ……という曖昧な言い方でいうと、よくわからないけれど、桃太郎の名前がついたものを含めれば、トマトの品種やジーンズなどなんでもあるので、メルカリの「岡山の人は桃太郎グッズを買いがち」というのは、バイク店のご主人も言っていたように、岡山の人が意識しないうちに桃太郎のブランドがついたものを買いがち……という意味なのかもしれない。

そう結論づけるしかないな。と思い、桃太郎のからくり博物館の館長にお話を伺った。

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館長の住宅(すみたく)さん

「どうも、館長の住宅です」と現れた館長の住宅さんは、おもむろにちくわを取り出し童謡・桃太郎をちくわで演奏しはじめた。

テレビでみたことある! と思ってしまったテレビっ子の自分。住宅さん、このちくわ笛でなんどもテレビに出たことがある。(のを僕はみたことがある)

この人、ここの館長だったのか……。

住宅さんに、桃太郎のことを伺うと、最初に大変衝撃的なことをいい出した。

住宅さん「そもそも、岡山に桃太郎の伝説は無いんですけどね」

岡山に桃太郎の伝説は……ない!

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有名人だった住宅さん。手に持っているのは蓮根。穴の開いているものなら何でも笛にしてしまう人だった

岡山の桃太郎伝説の元になったと言われている「温羅(うら)」伝説。

「鬼」とされている温羅を吉備津彦が倒した……という話だが、住宅さんによると、よく桃太郎伝説の元になった話として紹介されるが「(鬼と言われている)敵を倒した」という共通項以外、まるで桃太郎の昔話とは似ても似つかない。桃の要素もなければ、犬猿雉の話もなく、団子の要素もない。

ぼくも「なんでこんな話が桃太郎の原型なんだろう」と、かねてより疑問に思ってはいたけれど、桃太郎グッズをこれだけ収集している人がそういうのだから、やっぱり、そうだったのか。と納得してしまった。

住宅さんの話では、まず、岡山に伝わる温羅伝説を、桃太郎の昔話の原型と提唱したのは、1930年に『桃太郎の史実』を著した岡山在住の彫塑・鋳金家の難波金之助という人らしい。

その後、1951年より1964年まで岡山県知事を勤めた三木行治が「桃太郎知事」の愛称で呼ばれはじめ、難波金之助の『桃太郎の史実』に基づく桃太郎伝説=岡山のイメージ戦略を、県主導で行う。例えば、1962年に岡山で行われた国体の広報に桃太郎を使うなど、桃太郎=岡山のイメージは、県のブランド戦略の一環だった。という。

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岡山=桃太郎は、イメージ戦略の賜物

その証拠に、1950年より前の文献にある桃太郎伝説発祥の地には、宮城、山梨、愛知、香川、奈良などが挙げられているものの、岡山は含まれていない。

さらに住宅さんは衝撃的なことをいう。

住宅さん「大抵の絵本には、宝を持ち帰ったときや出発するときの背景に、富士山描かれてますよね……岡山には富士山、無いんですよ」

これはぐうの音もでない。

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富士山描いてある・新井五郎 絵『ももたろう』,光洋社出版,昭和26. 国立国会図書館デジタルコレクション

桃太郎伝説の発祥地としては、現在は山梨県大月市など、岡山以外にかなり有力な説も多い。

以前、桃太郎の背負っている幟の「日本一」の意味が分からず、個人的に岡山の図書館に出向いて『桃太郎の史実』は読んだことがある。

絵本では確かに「日本一のきびだんご」との記述があり、なんとなく受け入れているけれど、よくよく考えると、なぜきびだんごが日本一なのか、なぜきびだんごの日本一を、鬼退治に行く桃太郎が幟でPRしなければいけなかったのか。本当によくわからない。

住宅さんに、幟の「日本一」はなにが日本一なのか? 質問してみたところ、よくわかっていない。とのことだった。

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何のことかよくわからない「日本一」・新井五郎 絵『ももたろう』,光洋社出版,昭和26. 国立国会図書館デジタルコレクション

桃太郎の真相についてのほうが、かなり衝撃的でメルカリの桃太郎グッズの話、どっかにけし飛んでしまったが、桃太郎の謎はさらに深まった。

長くなるので、岡山編はこの辺で終わりたい。

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滋賀県:滋賀の人は箱メガネをよく買う?
京都府:京都の人は梅とぶぶ漬けをよく買うらしいので、京都でお茶漬けを食べて梅干しを買う
東京都:東京ではアニメグッズ買いがちって本当なのか
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兵庫県:兵庫の人はピアノをどれぐらい弾くのか
秋田県:秋田の人、いぶりがっこ売りがちって本当なのか
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香川県:うどん買いがちな香川の人はどれほどうどんが好き?
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青森県:青森の人がりんご売りがちなのは冷蔵技術のおかげ
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鳥取県:鳥取砂丘のラクダに乗る
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長野県:長野は参考書がたくさん売られているし、おやきも美味しい
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鹿児島県:鹿児島で焼酎の蔵を見学する
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大分県:「大分の人はメルカリでクリスマスツリーを売りがち」の謎

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